日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今回は、TBSの2夜連続大型ドラマ「LEADERS リーダーズ」を
取り上げました。
社会の閉塞感が安易に強いリーダーを
求める傾向を生んでいないか
先週末、TBSが「半沢直樹」の福澤克雄ディレクターと伊與田英徳
プロデューサーを投入して、2夜連続大型ドラマ「LEADERS リーダーズ」を放送した。
トヨタ自動車を興した豊田喜一郎(豊田佐吉の息子)がモデルの
「史実に基づいたオリジナル作品」だ。主演は佐藤浩市。
まず、大作であり、力作であることは確かだ。「国産自動車づくりに
人生を賭けた男」を正面から描いていた。
戦前に、やがて日本が自動車社会になることを予見し、敗戦後も
自動車産業が国の復興の中核になると信じて歩み続ける。
特に印象に残ったのは、主人公の「社員は家族」という姿勢だ。戦死した社員、病没した社員に涙する“熱い家父長”がそこにいた。
ただ、見ていて不思議に思ったことがある。
なぜこんなにいい会社が、70年代にはノンフィクション作家の鎌田慧が「自動車絶望工場」で描いたような姿に堕したのか。
「工程を細分化し再構成した合理化は、人間の能力を細分化させ、人格さえ企業に都合のよいように再構成する。それはロボトミーの
手術にも匹敵する」という過酷な現場を見ないで亡くなった喜一郎は幸せだった。
百田尚樹『海賊とよばれた男』もそうだが、過去のリーダーを称揚する作品が目につく。社会の閉塞感が安易に強いリーダーを求める
傾向を生んでいないか、気になる。
(日刊ゲンダイ 2014.03.25)
・・・・ずらっと並んだスポンサーですが、さすがにトヨタ自動車は加わっていませんでしたね。
メインバンクの三井住友FGは、しっかりありましたが(笑)。