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タイムシフト視聴率導入で、どうなるテレビ界!?

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発売中の「週刊プレイボーイ」最新号に、「タイムシフト視聴率」に
関する特集記事が掲載されま

この中で、解説しています。


タイムシフト視聴率導入で
テレビの現場は大混乱!
タイムシフト視聴率、驚きの測定方法

7月14日、ビデオリサーチ社が2014年3月31日から6月29日までの「タイムシフト視聴率」を初めて公表した。タイム視聴率とは「録画機などで番組がどれだけ再生されたか」を表す指標で、かねて導入の必要性が問われていたものだ。

元ビデオリサーチの社員で、リサーチ評論家の藤平芳紀氏が解説する。

「これまで視聴率は、世帯ごとの『リアルタイム視聴』を測定する、テレビが始まった60年前の調査方法。家族が居間に集まって1台のテレビを見ていた頃ならいざ知らず、今は録画だったりワンセグだったりと、視聴方法が多様化している時代です。もはやリアルタイム視聴率だけで視聴実態を把握できるはずがないんですよ。アメリカでは2005年からタイムシフト視聴率の測定が始まっていますし、今ではCMの再生視聴率が主流になりつつある。日本でもようやく始まったのかという印象ですね」

今回はまだ実験段階だというタイムシフト視聴率だが、そもそもどのように測定しているのか。ビデオリサーチ社の担当者に話を聞いた。

「まず調査対象世帯のテレビから出力された音声を測定器でデータ化し、ビデオリサーチのセンターサーバーに送信。そこに蓄積されている全放送番組のデータベースと照合して、どの番組を見ていたのか判定します。このシステムを“音声フィンガープリントによる機械式(PM)調査”といって、今回は放送から7日以内に再生された番組を測定しています」

わかりやすく言うと、録画再生中のドラマのセリフなどからドラマ名や放送日時を判定しているのだ。では早送りした場合は?

「今回の調査では実施していませんが、音声が聞き取れる倍速程度の早送りなら技術的には測定可能です。ただ、音声マッチングなので、それ以上の早送りや映像がスキップされた場合は測定できません」(担当者)

タイムシフト視聴率は、ここに大きな問題をはらんでいる。

「録画再生した場合、CMはスキップされる可能性が高い。だから、タイムシフト視聴率がいくら高くても、スポンサーは素直に喜べないでしょうね」(藤平氏)

ビデオリサーチ社によると、このタイムシフト視聴率は「来年1月から正式に運用する予定」という。とはいえ、CMビジネスについては、「すぐにCM枠の販売価格に反映されることもないし、しばらく様子を見ていくと思います」(大手広告代理店社員)

新たな視聴率導入で笑う局、泣く局

タイムシフト視聴率が公表されたことで、戸惑いを隠せないのはテレビ番組制作の現場だ。

「タイムシフト視聴率の測定に乗り出すという話は昨年から聞いていたけど、ハッキリ言えば表に出してほしくない数字。なぜなら、リアルタイムの視聴率が悪くても僕らは『録画視聴が多いんだよ』と言い訳していたのに、それができなくなる。録画の数字は曖昧なままにしておこうよ、というのが正直な気持ちです」(民放キー局のディレクター)

公表されたタイムシフト視聴率の上位にランクインしているのは、ほとんどがドラマだ。

上智大学文学部新聞学科教授(メディア論)の碓井広義(うすいひろよし)氏が話す。

「連続ドラマは見逃すと続きがわからなくなるから、録画する視聴者が多いといわれていました。だから、この結果はある意味、予想どおり。ということは当然、タイムシフト視聴率はドラマに力を入れている局にプラスに働く傾向にあるので、特にTBSとフジテレビは早く正式運用してくれと思っているのではないでしょうか」

今回の調査結果ではドラマの強さが浮き彫りになったが、対照的にバラエティ番組に携(たずさ)わる放送作家は浮かない表情。

「ドラマには勝てないと思っていましたが、まさかここまでタイムシフト視聴率が低いとは……。さすがに無視するわけにもいかないし、録画してでも見てくれるような仕組みを考えなきゃいけない。とりあえずシリーズものの企画を増やしていって、数字にどう影響するか見ていきたい」(放送作家)

また、タイムシフト視聴率が導入されれば番組編成にも影響を及ぼす可能性があるという。

「録画率の低いプロ野球中継は減少傾向に拍車がかかっていくでしょうね。その代わりとして、話題性のある映画やスペシャルドラマが増えていくんじゃないかな」(制作会社社員)

なんにせよ、新たな指標の導入は時間の問題。視聴率の種類が増えることで、よりシビアに番組が評価されることになりそうだ。

「リアルタイムもタイムシフトも視聴率が振るわなければ、すぐに番組は打ち切られるようになる。もはや弁解する余地がないですからね」(前出・碓井氏)

テレビ業界はパンドラの箱を開けてしまったのかもしれない。

(週刊プレイボーイ 2014年8月18日号)





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