日経MJに連載しているコラム「CM裏表」。
今回は、大和ハウス工業「太陽を集めた男」編を取り上げました。
大和ハウス工業「太陽を集めた男」編
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映画オマージュ
長谷川和彦監督『太陽を盗んだ男』の公開は1979年だ。
沢田研二さん演じる中学の理科教師が東海村の原子力発電所に侵入し、液体プルトニウムを強奪。自家製の原子爆弾で、政府にローリング・ストーンズ東京公演の開催を迫ったりする。際どい内容は奇想天外にして痛快、さらに苦味も効いた秀作だった。
あれから35年。太陽は盗むものから集めるものへと変わったようだ。大和ハウス工業「太陽を集めた男」篇は、まるでサスペンス映画のような緊迫感にあふれたCMである。
謎の男・松坂桃李さんが乗った真っ赤なランボルギーニ・カウンタックを無数のパトカーが追跡するシーンなど、明らかに『太陽を盗んだ男』へのオマージュだ。ならば役所広司さんが扮する刑事はかつての菅原文太さんか。
松坂さんが目指しているのはメガソーラー(大規模太陽光発電)事業。「この国を変えてしまうような何か」という役所さんの言葉も決してオーバーではない。
(日経MJ 2014.10.27)