日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今週は、フジテレビの「ヨルタモリ」について書きました。
「ヨルタモリ」(フジテレビ系)
日曜深夜はモッタイナイ
「笑っていいとも!」を終えた、タモリが始めた「ヨルタモリ」(フジテレビ系)。舞台は湯島あたりのバーで、ママが宮沢りえだ。タモリは店の常連客。岩手でジャズバーを経営する吉原に扮している。
ゲストはあくまでもこの「設定」の中で自分を表現しなくてはならない。一種の遊びなのだが、ストレートなトーク番組を好む視聴者には不評かもしれない。
また、“番組内番組”として挿入される「世界音楽紀行」や「日本古典文学講座」なども同様だ。「いいとも!」のタモリを見慣れた視聴者は、「コレって面白いの?」と違和感を覚えるだろう。
この番組をタモリの原点回帰と呼ぶのはややオーバーで、<「いいとも!」のタモリ>から脱するためのリハビリだと思えばいい。国民的番組では言えなかったことも、「吉原さん」の設定なら言えたりするからだ。
たとえば先日のゲストは松たか子だった。話題は当然「アナ雪」になる。すると吉原が「ハッキリ言って、『ありのまま』を歌わせておくのはモッタイナイ」と言い切ったのだ。松の実力を高く評価するタモリだからこその本音だった。
初回から見てきて思う。これが日曜深夜に置かれているのがモッタイナイ。かつての「今夜は最高!」は土曜深夜で、「タモリ倶楽部」が金曜深夜。明日は休み、という余裕の中で見たい1本である。
(日刊ゲンダイ2014.12.03)