Quantcast
Channel: 碓井広義ブログ
Viewing all 5565 articles
Browse latest View live

東京中日スポーツで、「日テレ・上重アナ問題」について解説

$
0
0



「高度の清廉性」どこへ
億ション購入に1億7千万円無利息借用
上重・日テレアナ おとがめなし

<文書で謝罪>
上重聡アナウンサーのコメント全文
「一部週刊誌報道で、わたくし上重聡が知人から便宜供与を受けていたとの指摘がありました。 この方には、かねてより応援していただき親交がありましたが、あくまでもプライベートな交友関係であり、会社や仕事について特別な便宜を図っていただいたことは一切ありません。その一方で、個人的なご厚意の申し出に甘えたことによって、疑念をいだかれるような結果を招いたことは、わたくしの不徳の致すところで深く反省しております。現在、そのような疑念を払拭するべく専門家の方のアドバイスをいただきながら対処しています。今後は、放送人としての自覚を強く持ち、信頼されるアナウンサーとなるべく業務にまい進いたします。このたびは視聴者をはじめ関係する多くの方々にご迷惑ご心配をおかけし、申し訳ありませんでした」


週刊文春報じる
2日発売の「週刊文春」で、番組の有力スポンサーから利益供与を受けたと報じられた日本テレビの上重聡アナウンサー(34)が同日、同局を通じて文書でコメントを発表し、利益供与を否定したうえで謝罪した。

しかし、同局によると、司会をつとめる情報番組「スッキリ!!」は降板せずこれまで通り出演。事実上、不問に付されることとなった。

「文春」の報道によると、上重アナは昨年3月、東京都内のタワーマンションの最上階の部屋を購入。その際、購入費用の1億7000万円を同番組のスポンサーでもある、靴の小売りチェーン「ABCマート」の創業者で元会長の三木正浩さんから無利息で借りたという。

さらに、同局では社員就業規則でマイカー通勤が禁止されているが、上重アナが三木さんが代表をつとめる、資産管理会社が所有する高級車で通勤する様子も写真付きで報じられた。

上重アナは同局を通したコメントで三木さんとは「あくまでもプライベートな交友関係」とし、「会社や仕事について特別な便宜を図っていただいたことはありません」と利益供与を否定。「わたくしの不徳の致すところで深く反省しております」と謝罪した。

また、「疑念を払拭するべく専門家の方のアドバイスをいただきながら対処しています」としていることから、購入したマンションや三木さんから借りた1億7000万円については、何らかの“善処”を考慮しているようだ。

番組司会降板せず
同局によると、上重アナに事情をきいたところ、マイカー通勤については「ときどき通勤していた」と事実を認めたため、就業規則に従って厳重注意を行ったという。しかし、同番組も含めて出演中の番組に変更はなし。マンション購入の件については、「個人が結んでいる契約」として同局は関与しないという。

上重アナは3月30日から新司会者として同番組の顔になったばかり。2日の放送には通常通り出演したものの、この件に関しては言及しなかった。

女子アナの時は・・・
日本テレビでは、昨年、銀座のクラブホステスのアルバイト経験を申告しなかったとしてアナウンサーの内定を取り消された笹崎里菜さん(22)が、裁判闘争の末、局と和解、1日の入社式に出席したばかり。局側は、アナウンサーには「高度の清廉性」が求められると説明していた。

報道に関わる自覚なし
▽上智大の碓井広義教授(メディア論)
「日本テレビとしてではなく、上重アナ個人としてコメントを出したということは、『上重アナが個人的にお金を借りた』ということにして(この件を)スルーしようとしているのではないのか。おそらく、スルーすることで上重アナを傷つけないようにしているのだろう。われわれも知り合いからお金を借りることはあるが、1億7000万円という金額はあり得ない。無利息で借りるということは、利息分のお金をもらっているのと同じことなので、上重アナはそのことをどう考えているのか。まるでタニマチから支援してもらっているスポーツ選手のようで、報道番組に関わっているという自覚がない」

(東京中日スポーツ 2015.04.03)


放送開始から90年を迎えたラジオ

$
0
0



北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、放送開始から90年を迎えた「ラジオ」について書きました。


放送90年迎えたラジオ
双方向性メディアの力失せず
3月22日は「放送記念日」だった。1925年(大正14年)のこの日、NHKがラジオの仮放送を開始したことに由来する。今年は「放送90年」と言われるが、正確には「ラジオ放送90年」なのである。

その歴史を振り返ると、戦時中のラジオは、国民に対して国家が意思を伝えるためのメディアだった。そして戦後は、映画と並ぶ“娯楽の王様”として支持された。

しかし、1953年にテレビ放送が始まり、やがて全国の家庭に普及すると、ラジオの地位は徐々に下がっていった。ちなみに、放送時に銭湯の女湯がガラガラになったといわれる伝説のラジオドラマ「君の名は」が流されたのは、テレビ放送開始の前年のことだ。

やや地味なメディアとなっていたラジオが、再び活況を呈したのは60年代後半である。1967年、「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)や「パック・イン・ミュージック」(TBS)など、ラジオの深夜放送が始まったのだ。その2年後には「セイ!ヤング」(文化放送)もスタートする。

これらの番組は、それまでとは違う、身近な存在としてのパーソナリティーが魅力的だった。彼らは恥ずかしい失敗、本音や内面をもさらけ出していた。まるで自分に向かって語りかけてくれているような一体感。いまを一緒に生きているという同時代感。それらが当時の若者たちの心をとらえて離さなかった。

ラジオはマスメディアの一種だが、多くの人に向けた単なる情報伝達の手段ではない。音声のみで情報を伝えることから、話している相手と聞いている“私”との間に、一対一の”メディア空間”が形成される。自分という個人に向けて発信されているという印象、親近感を抱きやすいという意味で、「パーソナルメディア」なのだ。

またラジオは「地域メディア」でもある。東日本大震災の際、テレビでは犠牲者数など全国向けの情報が流されていたが、地元のラジオは給水車や食糧配布の場所など、被災者が“いま欲しい情報”を堅実に伝えていた。またリスナーから刻々と届く肉声(メッセージ)を読み続けたことで、ラジオは地域の人たちの心に寄り添うメディアとなった。

近年ラジオ放送をインターネット上で同時配信する「radiko(ラジコ)」のようなサービスの登場により、新たなラジオファンも増えてきた。送り手と受け手が互いを感じることのできる双方向性は、今後も形を変えて継承されていくべきラジオの力だ。

(北海道新聞 2015.04.06)

NHK朝ドラ「まれ」 好発進を支える“5つの要素”

$
0
0



日刊ゲンダイに連載しているコラム 「TV見るべきものは!!」。

今週は、NHK朝ドラ「まれ」について書きました。


NHK朝ドラ「まれ」
いいドラマには、必ずいいセリフがある
先週からNHK朝ドラ「まれ」が始まった。ひと山当てることばかり考える父親(大泉洋)、それを支える母親(常盤貴子)と共に能登へ移住してきた娘・まれの物語だ。

“ダメおやじ”の影響か、まれはデッカイ夢が嫌いで、地道にコツコツが信条の高校生に成長。この設定が効いている。夢を持つことを自分に禁じたヒロインが、やがて本来の夢に向かって歩み始める。いわばマイナスからの出発であり、見る側も応援したくなるのだ。

また現代劇ということもあり、気軽な気持ちで見ることができる。前2作の「花子とアン」や「マッサン」に共通する、実在の人物をめぐる“縛り”のようなものがないからだ。むしろ「あまちゃん」を思わせる笑いとツッコミ、全体が明るいコメディータッチであることも悪くない。

次はキャストだが、主役の土屋太鳳(写真)は期待の本格派。4年前、長谷川博己をブレークさせたドラマ「鈴木先生」(テレビ東京系)でも、突出した存在感を示していた。今どきのアイドルタイプとは異なる、骨太な若手女優だ。

脇役陣も充実している。特に祖父母代わりを演じる、舞踏家の田中泯と田中裕子。この老夫婦の組み合わせが何とも絶妙だ。田中裕子の「自分の生きる場所は、自分で守る」といった言葉も潔い。いいドラマには、必ずいいセリフがある。

(日刊ゲンダイ 2015.04.08 )

【気まぐれ写真館】 能年玲奈? じゃなくて、川栄李奈

「マッサン」エリーは、今後も日本で通用するのか!?

$
0
0



日刊ゲンダイに、「マッサン」でヒロインを演じた、シャーロット・ケイト・フォックスさんに関する記事が掲載されました。

この記事の中で、コメントしています。


”黒船女優”の成功例はゼロだが・・・
「マッサン」女優
日本続投に勝算アリ
バックに“大物”ディレクター
胸元がパックリと割れたセクシーなスーツに身を包み、歌声を披露する姿は堂々としたもの。3月末までNHK朝ドラ「マッサン」のヒロインを演じていたシャーロット・ケイト・フォックス(29)。あのエリー役の女優である。

「朝の顔」という大役を終えた彼女が次に演じるのは、またもや大役。今度は米ブロードウェーのミュージカル「CHICAGO」(NY公演10月26日~、東京公演12月4日~)の主演の座を射止めたのだ。

8日の記者会見には70社120人の報道陣が集まり、注目度の高さをうかがわせた。熱気ムンムンの会場でシャーロットが口にしたのは、感謝の言葉だった。

「日本では勇気と忍耐を培い、演技力も同じ人間とは思えないぐらいスキルアップしました。今があるのは『マッサン』のおかげ。私の人生を大きく変えてくれました」

朝ドラの撮影が始まって間もない昨春にはホームシックにかかり、夫や家族恋しさに一時帰国したのも、まるで嘘のよう。今ではすっかり“親日家”で、今年1月に大阪市内で行われたイベントでは「ずっと日本でこの仕事を続けられるようにしたい」と永住宣言。

もっとも、この発言が原因で「絶対ムリ」「勘違い女優」なんてアンチの声が多く上がっているが、まあ、無理もない。かつて「熱中時代」に出演して人気を博したミッキー・マッケンジーは、共演した水谷豊の妻となり、活動の場を日本に移したが、女優も結婚生活も長くは続かず、あっという間に過去の人に……。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)はこう言う。

「朝ドラひとつとっても次から次へと新たな作品が放送される中、視聴者の記憶はどうしても褪せてしまう。“エリー効果”は永遠に続くわけではありません。日本のテレビ界では毎クールごとにドラマが量産されていますが、果たしてどれだけ外国人女優を起用する作品があるのか。そして、酷なことをいうようですが、現時点のシャーロットは誰もが認める演技達者とは言い難い。もし仮に彼女の生き残る道があるとすれば、役の大小や作品を選り好みすることなく、何でも引き受ける覚悟。そして、バラエティーでも通用するトーク力を習得することではないでしょうか」

過去に成功例がないだけに、厳しい声ももっともだが、実はシャーロットには、強力な助っ人がバックについている。NHKのオーディションに彼女を紹介した演出家の存在だ。

「国内外の映画やドラマの配役を担うキャスティングディレクターの奈良橋陽子氏です。彼女はハリウッドに顔がきき、『ラストサムライ』で渡辺謙、『バベル』では菊地凜子をキャスティングした仕掛け人。シャーロットは奈良橋さんの娘が代表を務める事務所に所属している。“勝算”がなければ、日本で活動させるわけがありません」(芸能関係者)

“黒船女優”が日本の芸能界を席巻の予感である。

(日刊ゲンダイ 2015.04.09)

毎日新聞で、NHK「クロ現」調査委・中間報告についてコメント

$
0
0



NHK調査委:一部誤り認める
…やらせ指示は判断示さず
NHKの報道番組「クローズアップ現代」などで「やらせ」があったとされる問題でNHKは9日、調査委員会の中間報告を公表した。一部については誤りがあったことを認め、過剰演出の可能性についても言及しているが、記者が「やらせ」を指示したかどうかなどについては「意見に食い違いがある」と指摘するにとどまった。

問題の番組は「追跡“出家詐欺”〜狙われる宗教法人〜」。多重債務者がブローカーを介して出家の儀式を受け、名前を変えて融資などをだまし取る詐欺の手口を紹介。昨年4月25日に関西ローカル「かんさい熱視線」で放送されたあと同年5月14日「クローズアップ現代」で全国放送された。

やらせが疑われているのは、ブローカーとされる男性の元に、多重債務者とされる男性が相談に訪れる場面。窓越しに部屋の様子が撮影されている。

中間報告では、相談場所とされた事務所をブローカーの「活動拠点」とコメントしたことは「誤りであり、裏付けが不十分だった」と認めた。

また、記者が詐欺の現場を突き止めたように構成されているが、実際は2人に依頼して撮影していた。「視聴者に実際と異なる取材過程を印象づけた」として過剰な演出がなかったかなど検証の必要性を指摘した。

しかし、記者が演技を依頼したかについては「記者は一貫して否定している」とし、ブローカーとされる男性と意見が食い違っている点を指摘。男性を「ブローカー」と伝えたことについても記者と男性の間で認識が大きく異なっているとした。

ブローカーとされた男性は9日、代理人の弁護士を通じて改めて「記者に演技を求められた。自分はブローカーではない」とコメントした。

同日の「クローズアップ現代」で国谷裕子キャスターは、ブローカーの「活動拠点」ではなかったことを認めた上で謝罪。「取材や制作が適切であったか調査委員会はさらに調査を進め、できる限り早い時期に報告書を公表することにしています」と述べた。

中間報告について碓井広義・上智大新聞学科教授(メディア論)は「記者がだまされていたのか、それともブローカーではないと知りながら取材したのかといった核心部分が解明途上だったのは残念だ」と述べた。

【望月麻紀、須藤唯哉、北林靖彦】

◇弁護士「承服できない部分も多い」

NHKの中間報告を受け、NHKに訂正放送を求めたブローカーとされた男性の代理人の弁護士は9日、「各関係者の供述内容が明らかにされたことはポイントの明確化という意味で評価するが、承服できない部分も多く存在するので、内容を精査し、今後の対応について改めて検討する」とのコメントを発表した。

(毎日新聞 2015.04.09)

朝日新聞で、NHK「クロ現」調査委・中間報告についてコメント

$
0
0



やらせの有無、言い分対立 
NHK「クロ現」中間報告
NHKのクローズアップ現代で「やらせ」が指摘されている問題で、調査委員会は9日、中間報告を公表した。やらせの有無については調査を続けるが、番組で「(詐欺あっせんの)活動拠点」とした表現は誤りだったと認めた。詐欺をあっせんする現場を記者が突き止めたかのように構成した番組が、実際には旧知の関係者に依頼して撮影していたことも判明。識者からは「過剰な演出では」との声が上がっている。

番組は昨年5月14日に放送され、出家して戸籍名を変えることで債務記録の照会を困難にする「出家詐欺」の特集だった。大阪放送局の男性記者が詐欺あっせんの「活動拠点」を突き止め、ブローカーとされた男性にインタビュー。さらに現場を訪れた多重債務者を追いかけて、犯罪につながる認識はないかただす構成になっている。

ところが中間報告によると、記者は多重債務者の男性と8、9年前から知り合いで、「出家詐欺の相談に行く」と聞いたことをきっかけに取材が始まったという。多重債務者の男性が、ブローカーとされた男性に交渉して撮影したもので、事前に3人で打ち合わせをしていた。

さらに2人が相談する撮影では記者が同じ室内に残り、「よろしくお願いします。10分か15分やり取りしてもらって」と話す声や、やり取りが一通り終わったところで、「お金の工面のところのやり取りがもうちょっと補足で聞きたい」などと声を掛けた様子が記録されていた。

調査委は「番組を見た視聴者の多くは、このような形で撮影が行われたとは想像し得ないと思われる」として、取材・撮影の手法が適切だったか検証を進めるという。現場には記者のほかにも、ディレクターやカメラマンがいたことから、取材・制作のチェック体制についても調査する方針。

碓井広義・上智大教授(メディア論)は、「記者が撮影したい『絵』が先にあって、関係者をはめ込んでいった印象を受ける」と指摘する。

大阪市内の現場を番組では「(ブローカーの)活動拠点」として紹介していたが、実際には多重債務者の男性が、知り合いから鍵を借りていた部屋だった。男性は「自分が(撮影場所を)決めた」と話しているという。記者はこうした経緯を知らず、多重債務者の男性に「(ブローカーの)拠点でよいか」と尋ね、後日「それでいい」と返答があったので「活動拠点」と表現したという。NHKは「表現は誤りであり、裏付けが不十分だった」と認めた。

一方、「やらせ」の有無については、言い分が食い違っている。
記者は調査委の聞き取りに対し、「演技の依頼はしていない」と否定。取材に対し男性が詐欺の手口を詳細に語り、「われわれブローカー」と話したことから、ブローカーと確信していたという。NHKはさらに調査を進め、最終報告をまとめる。弁護士ら外部の調査委員の意見も聴いた上で公表する方針。

一方、ブローカーとして登場する男性は、「ブローカーの経験はなく、記者にやらせの指示を受けた。犯罪者のような放送をされ、憤りを感じる」として、NHKに訂正を求めている。男性の代理人弁護士は9日、中間報告を受け「各関係者の供述内容でポイントが明確化されたことは評価するが、承服できない部分も多い。内容を精査したうえで今後の対応を検討する」とのコメントを出した。

関西テレビの「『発掘!あるある大事典』調査委員会」委員も務めた音好宏・上智大教授(メディア論)は「それぞれの主張の食い違いを詰め切れていない。原因究明が不十分で再発防止に向けた言及もこれからと、中間報告とはいえ、あまりに不十分と感じた。思い込みで記者が突き進んだという印象は拭えない。視聴者に誤解を与えなかったかが今後のポイントだ」と話した。

記者は9日、朝日新聞の取材に「会社を通してください」と話した。(後藤洋平、中島耕太郎、岩田智博)
     ◇
9日のクローズアップ現代の放送では、国谷裕子キャスターが中間報告の内容を説明し、「活動拠点」と報じたことについて、「取材が不十分だったもので、部屋の借り主と視聴者の皆さまにおわび致します」と謝罪した。
     ◇
■NHKの中間報告の主なポイント
・「やらせ」指導の有無
 出演男性は「演技を依頼された」。記者は否定
・出演男性はブローカーだったのか
 男性は否定。記者は「間違いないと思った」
・撮影場所は詐欺あっせんの「活動拠点」か
 裏付けが不十分で誤り
・指摘を受けた場面構成や撮影手法
 視聴者に実際と異なる取材の過程や手法を印象づけた

(朝日新聞 2015.04.09)

読売新聞で、NHK「クロ現」調査委・中間報告についてコメント

$
0
0



NHK記者「演技依頼していない」食い違う証言
NHKの報道番組「クローズアップ現代」に出演した男性が「やらせがあった」と訴えている問題で、NHKの調査委員会は9日、中間報告を公表。

不十分な裏付け取材による事実関係の誤りを認定したほか、過剰な演出があった可能性があることを明らかにした。調査委が近くまとめる調査報告書で「やらせ」の有無などをどう判断するのか注目される。

◆4点で証言にズレ

「やらせはあったのか」「取材がずさんでは」。9日午前、NHKで行われた会見。記者の質問に対し、NHK幹部は「あくまで中間報告。判断は調査委員会が下す」と繰り返した。

昨年5月14日に放送された同番組は、多重債務者をブローカーを介して出家させ、名前を変えさせて融資などをだまし取る「出家詐欺」の手口を紹介する内容。調査委は、取材や制作に携わった記者らNHK側計14人と、番組で「ブローカー」とされた男性ら3人から聞き取りをし、記者と男性との主な説明の食い違いが4点明らかになったとした。

ブローカーとされた男性は「自分はブローカーではないが、記者から役を演じるよう依頼された」などと主張。記者は「男性はインタビューの中で自らを『われわれブローカー』と称した。演技の依頼はしていない」と説明している。

中間報告は、番組取材への認識や口止め依頼の有無を含め、これら4点の説明の相違を「主張の食い違い」などとするにとどめたが、会見で質問を受けたNHK幹部は、記者が男性本人に対し、ブローカーかどうかを尋ねて確認していなかったことも明らかにした。

(中略)

碓井広義・上智大教授(メディア論)の話

「問題の放送回の根幹は『ブローカーを見つけ、多重債務者とのやりとりを取材できた』という点であり、記者が男性に対してブローカーであるのかどうかを確認していない時点で、記者の認識にかかわらず、根幹に関わる部分の取材が不十分だったと言うほかない。また、事実関係と番組構成が合致しないなど不自然な点も多く、記者がスクープ性やストーリー性にこだわり、無理をした疑いもぬぐえない」

(読売新聞 2015.04.10)


<書評した本> 本田靖春 『現代家系論』ほか

$
0
0



本田靖春さんの絶筆となった連載をまとめたのが、『我、拗ね者として生涯を閉ず』(講談社)でした。

闘病生活をしながら書いた自伝的ノンフィクション。

こうして見ると、すごい書名です。

そして、『現代家系論』は、本田さんのいわば処女作にあたります。

こういう入手困難だった本が読めるという意味で、文春学藝ライブラリーは有難いシリーズです。


本田靖春 『現代家系論』
文春学藝ライブラリー 1566円

『不当逮捕』、『誘拐』などで知られる著者が没して10年。デビュー作である連作ノンフィクションが初めて文庫化された。

ある人物にスポットを当て、家系という背景を含めてその実相に迫っていく。対象としたのは、政・財・学・芸能などの分野における三代続きの家柄だ。羽仁五郎、湯川秀樹、永野重雄、武者小路実篤といった著名人たちが並んでいる。

著者は、羽仁を「“歴史漫談”が売り物のエンタテーナー」と呼び、鹿島守之助(鹿島建設会長)が築いた血縁を、政略結婚ならぬ「戦略結婚」だと看破する。一貫しているのは、相手の名声や業績にまったく影響されない立ち位置と、冷徹な取材者の目である。


貴田 庄
『志賀直哉、映画に行く~エジソンから小津安二郎まで見た男』
朝日新聞出版 1944円

『怪盗ジゴマ』から『東京物語』まで。志賀直哉は文壇屈指の映画ファンだった。著者は日記や随筆などを検証し、その軌跡を明らかにする。ディートリッヒ、ガルボ、原節子、そして高峰秀子。文豪はまた銀幕の美女たちを愛した。本書は「観客の映画史」でもある。


西牟田 靖 『本で床は抜けるのか』
本の雑誌社 1728円

冗談みたいな書名だが、実際に大量の本で床は抜ける。危機感を覚えた著者は事例を調べ、体験者の話を聞き、蔵書家の指導を受ける。大好きな本をいかに「処分」するか。その辛くて悩ましい問題と向き合った日々の報告である。仕事や家族との関係も他人事ではない。


内田樹、白井聡 『日本戦後史論』
徳間書店 1620円

『日本辺境論』の論客と、『永続敗戦論』で注目を集めた気鋭の政治学者。2人がこの国の課題を語り合う。軸となるのは「なぜ今戦争ができる国になりたがっているのか」だ。敗戦の本質の隠蔽。対米関係の矛盾。右傾化とシンガポール化など深刻度が増している。


杉山恒太郎 『ピッカピカの一年生を作った男』
小学館文庫 551円

どのジャンルにも“知る人ぞ知る”人物がいる。CMのクリエイティブディレクターとして長年活躍してきた著者もそんな一人だ。児童雑誌『小学1年生』の名作CMはいかにして生まれたのか。思考法はもちろん、時代のエッセンスをすくい取る極意も明かされる。

(週刊新潮 2015.04.09号)

NHK朝ドラ「まれ」のカギを握る女優たち

$
0
0



発売中の「サンデー毎日」最新号で、NHK朝ドラ「まれ」についてコメントしています。


NHK連ドラ「まれ」好発進
カギを握るのは
「土屋太鳳と田中裕子」の愛憎劇
NHKの新しい朝ドラ「まれ」が好調な滑り出しを見せている。初回の平均視聴率は関東地区で21.2 %。20%を超えたのは、2013年度前期の「あまちゃん」以来、5作連続だ。

好発進の要因の一つは、全体的に明るい作品づくりといわれている。「花子とアン」「マッサン」と前2作はいずれも戦前戦中から戦後を描き、どうしても歴史の影が背景にあった。

上智大文学部の碓井広義教授(メディア論)が指摘する。

「今作は現代劇ということもあり、いい意味で気軽な気持ちで毎朝見たくなるように作られています。笑いとツッコミがあり、コメディータッチになっているところがいい。夢が大嫌いな女の子・希という基本設定も『どういうこと?』と興味をひきます。今後の展開に期待が持てますね」

これからのカギを握るのは、2人の役者と見られている。

1人はもちろんヒロイン役の土屋太鳳(20)だ。実は土屋、NHKの秘蔵っ子といわれている。ドラマデビューは10年の大河ドラマ「龍馬伝」。翌年には朝ドラ「おひさま」に出演し、昨年の「花子とアン」ではヒロインの妹役を演じている。他にも「真夜中のパン屋さん」「今夜は心だけ抱いて」などNHKの作品に出続けているのだ。

今回はオーディションを勝ち抜いての抜擢だが、NHKの期待のほどがうかがえる。

「能年玲奈や橋本愛とも異なり、また今どきのアイドルタイプでもありません。テレビ東京の『鈴木先生』で初めて見たのですが、骨太で非常にうまい女優が出てきたなという印象を持ちました」(碓井教授)

父(大泉洋)の破産や夜逃げから、希が人生をどう切り開いていくのか。若いけれどもキャリア十分な土屋の、説得力ある演技が楽しみだ。

もう一方のキーマンとなるのは田中裕子(59)だ。「『ごちそうさん』のキムラ緑子や『マッサン』の泉ピン子のように、パンチ力のある“いびり役”として期待されています。夜逃げ同然で石川県の能登に引っ越してきた希一家に対し、早くも嫌味な言葉を投げかけるなど、演技派の田中は要注目でしょう」(テレビ誌ライター)

逆境からスタートした「まれ」。単なるサクセスストーリーではなく、味のあるスパイスとして田中の絡みがドラマの成否を握っているともいえそうだ。

残念なダメ親父とデキた娘。物語は“鉄板”だが、ヒロインと脇を固める役者たちのバランスがうまくいき、稀(まれ)な名作となるか。

ジャーナリスト・青柳雄介

(サンデー毎日 2015.04.19号)

ウディ・アレン監督の新作は、プチ肩透かし!?

$
0
0



ウディ・アレンの新作が公開されました。

『マジック・イン・ムーンライト』、見に行かないわけにはいきません。


この世に魔法や超能力など絶対に存在しないと信じる英国人マジシャン、スタンリー(コリン・ファース)が、ある大富豪が入れあげている米国人占い師の真偽のほどを見抜いてほしいと友人に頼まれる。すぐさま自信満々にコート・ダジュールの豪邸に乗り込むスタンリーだったが、その占い師ソフィー(エマ・ストーン)が連発する驚くべき透視能力に圧倒され、人生観を根底からひっくり返される。しかも容姿も性格も抜群にチャーミングな彼女に、不覚にも魅了されてしまい……。




舞台は1920年代の南仏。

リゾートと上流社会。

マジシャンと美人占い師。

ロマンチック・コメディ。

・・・てなことはともかく、ウディ・アレンはなぜ、こういうお話を映画にしたかったんだろう。

何を描きたかったんだろう。

ストーリーが、「あれれ?」「こんなですか?」という感じで、どうにも、いまいち面白みに欠けるのです。

ウディ・アレン節ではあるし、おしゃれかもしれないのですが、正直言って、やや退屈でした。

天文台のシーンは素敵でしたが、全体としては、うーん、残念。

ま、時には、こういうこともあるぞ、ということで。

監督は、まだまだ元気そうなので、次回作に期待しておきます。

今期連ドラ、続々スタート中

$
0
0


先週から、今期の連ドラが続々スタート。

第1回目は、もちろん全部、見ています。

ちなみに、主なドラマの初回視聴率は・・・・

 ・心がポキッとね(フジテレビ) 10.4%

 ・医師たちの恋愛事情(フジテレビ) 10.3%

 ・アルジャーノンに花束を(TBS) 11.5%

 ・天使と悪魔(テレビ朝日) 6.4%

 ・ドS刑事(日本テレビ) 12.7%


「ほ、ほ~」という数字が並んでいますね。

今週は、「キムタクがフジからテレ朝へ」で話題の「アイムホーム」や、堺雅人の「Dr.倫太郎」(日本テレビ)も放送開始。

いずれ、いろんな媒体で論評していく予定です。


えーと、明日(火)発売となる「週刊朝日」の特集記事、「飛躍!迷走? 春の情報番組改編」で、各番組について解説しています。



“北海道産”ドラマ「不便な便利屋」に期待

$
0
0



日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、テレビ東京のドラマ24「不便な便利屋」を取り上げました。


「不便な便利屋」(テレビ東京系)
北海道にこだわり続ける鈴井貴之の
“東京の作り手”たちへの挑戦状
北海道を舞台にしたドラマといえば、いまだに倉本聰脚本「北の国から」が挙がる。しかし今後はこのドラマが加わるかもしれない。「水曜どうでしょう」で知られる鈴井貴之が脚本・監督を務める、「不便な便利屋」(テレビ東京系)だ。

主人公は脚本家の竹山純(岡田将生)。演出家とぶつかり、東京を離れて北海道に来た。バスで富良野へ向かうが、猛吹雪で立ち往生。名も知らぬ町で途中下車する。ちなみに、純がバスの車中で読んでいたのは倉本聰のエッセイ集「さらば、テレビジョン」だ。

純は飛び込んだ居酒屋で、梅本聡一(遠藤憲一)の生き別れた息子だと勘違いされ大歓迎を受ける。酔って携帯と財布を失くし、便利屋である聡一の世話になるが、なかなか町を出て行けない・・というのが先週の初回だ。

冬の北海道で雪のトラブルは日常だ。道路封鎖や町の孤立も珍しくない。北海道出身・在住の鈴井は、ローカルならではの暮らしと人情をユーモアを込めて描写。登場人物たちの不思議なキャラクターと相まって、独自のドラマ空間を生んでいる。

主人公の純という名前や富良野は「北の国から」を、また便利屋は瑛太と松田龍平の「まほろ駅前番外地」を想起させるが、単なるオマージュではない。むしろ北海道にこだわり続ける鈴井の、“東京の作り手たち”に対する挑戦状とみた。

(日刊ゲンダイ 2015.04.14)

読売新聞で、産経新聞前ソウル支局長の帰国についてコメント

$
0
0



加藤達也・産経新聞前ソウル支局長が韓国から帰国。

15日の読売新聞で、この件についてコメントしました。


「帰国ほっとしている」
産経前支局長 笑顔で「感謝したい」
韓国政府から出国禁止措置を解除された加藤達也・産経新聞前ソウル支局長(48)は14日午後7時半過ぎ、羽田空港に到着し、「帰国してほっとしている。それが正直な気持ち」と安堵の表情を見せた。

出国禁止措置は昨年8月から8か月間続き、加藤達也・前支局長の帰国は、同7月以来。

同空港で報道陣に帰国して一番やりたいことを問われると、加藤氏は「日本にいる多くの人が心配してくださったことについて、感謝したい」と笑顔で答えた。

韓国政府の出国禁止措置については「自由に移動することを制限することは、非常に大きい問題だ」と延べ、「今後の裁判ではしっかりと主張が受け入れられるよう、論点を整理しながら分かりやすく説明していきたい」と力強く語った。

加藤氏は最後に、「どうもお世話になりました」と一礼した後、同社幹部に付き添われながら、大手町の産経新聞東京本社に車で向かった。

8か月もの出国禁止措置については、韓国内でも問題視する意見があった。

ある放送局記者は、「事実上の拘束だったが、過剰な対応だった。産経新聞が証人出廷を保証すると言っており、欠席することは考えにくかった」と指摘。

刑事事件に詳しい韓国の弁護士も、「もっと早く解除すべきだった。シフが最も重視していた『大統領密会説』で虚偽との結論が出たから踏み切ったのだろうが、判断が遅すぎた」と関奥検察の対応を批判した。

一方、日本国内では改めて、出国禁止措置を続けた韓国政府を非難する声が上がった。

ジャーナリストの田原総一朗さんは、「加藤氏が帰国できたのはよかった。そもそも、(出国禁止は)ジャーナリズム、そして表現の自由、報道の自由に対する弾圧であり、とんでもない措置だった」と話した。

また、碓井広義・上智大教授(メディア論)は、「日本の報道各社が一貫して韓国政府の対応を批判してきたことも、今回の解除につながったのだろう」とした上で、「これで問題が解決したわけではない。加藤氏は起訴されたままで、報道の自由が脅かされていることには変わりない。引き続きマスコミ全体にかかわる問題として注視していくべきだ」と述べた。

(読売新聞 2015.04.15)




新学期、碓井ゼミもスタート!

$
0
0




参加した新メンバー

先輩たち

大先輩たち

2015年度 碓井ゼミ

毎日放送「ちちんぷいぷい」で、自民党「NHK・テレ朝を聴取」について解説

$
0
0



大阪・毎日放送の看板番組「ちちんぷいぷい」。

17日に自民党が NHKとテレ朝の幹部を呼び、聴取を行う件に関して解説しました。

パネル形式での登場です。

取材を受けて話した内容のポイントが提示されており・・・・


●特定の番組を取り上げて、政権与党が関与するというのは、大きな問題。

●自民党は、「あくまで聴取」と言いますが、放送局の人間を個別に呼び出して聴取するのは、十分に「圧力」です。

●NHK、テレビ朝日 以外の放送局にとっても、「無言の圧力」となると思います。

●今回の問題で「TV報道の公正さ」についても議論されることがありますが、政党の数が増えた現在、「全党派に公正な報道」は難しいのが現状です。

●今回のように、政党個別の聴取が広がれば、「政党から見た公正さ」で番組を批判する事にもつながりかねません。

●背景には安倍政権が「テレビ報道」の影響力を恐れて、「メディアコントロール」に力を入れているのが大きいと思います。

(毎日放送「ちちんぷいぷい」 2015.04.16)

週刊現代で、「昭和の英雄」マイ・ベスト3を選ぶ

$
0
0



発売中の「週刊現代」最新号に、「昭和の英雄 マイ・ベスト3」という特集が掲載されました。

タイトル:
56周年&通算2800号記念
有名人100人が選んだ
「昭和の英雄」マイ・ベスト3
トップ30を発表(前編)

この記事で、選者の一人となっています。


私が「マイ・ベスト3」に選んだのは・・・・

長嶋茂雄
昭和30年代に少年時代を過ごした者にとって理屈抜きのヒーロー。あの頃は野球中継といえば巨人戦ばかりで、日本中の子どもたちが背番号3に憧れ、草野球をする時もサードを守りたいと思ったものだ。何より、あの天性の明るさが魅力だった。デビュー時の4打席フルスイングによる連続三振。日本プロ野球史上初の天覧試合での劇的なサヨナラホームラン。引退に際しての「我が巨人軍は永久に不滅です!」の言葉。それらすべてが物語であり伝説だ。

石原裕次郎
映画が“娯楽の王様”だった時代がある。次に来たのが、お茶の間にテレビが君臨した時代だ。石原裕次郎は、この2つの時代をスターとして生き抜いた稀有な俳優である。日活で量産されたプログラム・ピクチャーも、「太陽にほえろ!」や「西部警察」などのアクション・ドラマも、製作の先頭に立った映画「黒部の太陽」も、見る者を元気づけ、明日へと向かわせる力があった。また、病に倒れても、裕次郎は裕次郎であり続けた。自らが生きた伝説であることを熟知しており、大衆の願望に殉じた、ヒーローらしい最期だった。

三島由紀夫
昭和の年号がそのまま年齢と重なっていた、まさに昭和の作家だ。言葉と肉体とで文学を生きた三島は、“文士の時代”を体現した最後の一人ではないだろうか。昭和20年代から40年代半ばまで、文学のみならず、文化の最前線に立ち続けた驚くべき才能。今年は生誕90年であり、没後45年にあたる。衝撃的な最期は今も謎に満ちており、作品が読み継がれるのと同様、三島由紀夫という物語は続いている。




そして、100人が選んだ「ベスト30」の上位は・・・

1位 長嶋茂雄
2位 美空ひばり
3位 田中角栄
4位 王 貞治
5位 本田宗一郎
6位 黒澤 明
7位 手塚治虫
8位 力道山
9位 高倉 健
10位 古橋広之進




(週刊現代 2015年4月25日号)


・・・・ちなみに、私が長嶋茂雄と共に選んだ石原裕次郎は14位、三島由紀夫は22位でした。

記事全体は、ぜひ本誌をご覧ください。

週刊朝日で、[春の情報番組改編]について解説(1)

$
0
0



発売中の「週刊朝日」最新号に、“春の情報番組改編”に関する特集記事が掲載されました。

この記事の中で、各番組について解説しています。


飛躍!迷走?春の情報番組改編

●フジテレビ「直撃LIVE グッディ!」

この春の番組改編で、年間視聴率3位に沈むフジテレビが仕掛けている。社運を賭けて切り崩しを狙うのは、昨年の年間視聴率三冠王である日本テレビの「情報ライブ ミヤネ屋」(午後1時55分~)だ。

フジが今回、最も力を入れたのが“曰く付き”とされる午後の時間帯の変革だ。2012年からの「知りたがり!」は1年で終了、13年からの「アゲるテレビ」も半年で打ち切りと、情報番組は苦戦から抜け出せずにいる。

起死回生を狙ったのが、15年も報道番組「スーパーニュース」のメインキャスターとして君臨した“女王”安藤優子と、バラエティー「トリビアの泉」でMC経験がある俳優の高橋克実を情報番組「直撃LIVE グッディ!」(午後1時55分~)の進行役に起用したこと。

終了後に続けて放送される報道番組「みんなのニュース」(午後3時50分~)と合わせた5時間を生放送に切り替えた。その背景には、独走状態の「ミヤネ屋」の存在があった。

「ミヤネ屋」は近年、午後の時間帯では唯一の生放送枠として、注目を集めた記者会見や事件を独占して報じてきた。その高視聴率番組にフジが果敢にも挑んだ、まさに「社運を賭けた勝負」なのだ。フジ社員が解説する。

「上層部は『グッディ!』では特に芸能ネタの強化をはかり、『ミヤネ屋』に対抗しろと指示している。『ここで勝てないとフジは勝てない』とまで言われています。視聴率を上げて、その後のゴールデン番組にも弾みをつけたいと考えているのです」

初回放送は、連ドラで医師役を演じる斎藤工がわざわざ白衣姿で登場した。すると安藤は、

「私27年間ニュースをやってきて、それが終わった途端、39度の熱が出たんです。今日も本調子じゃないの。診てほしい!」

と、相変わらずの報道愛をチラつかせつつも、セクシー俳優にノリノリで絡んだ。が、トップニュースは「三菱電機の液晶テレビが突然真っ暗になるトラブル」と地味な上、芸能ニュースを解説する週刊女性編集部の荒木田範文氏の肩書をテロップで「週刊文春」と間違えて訂正するというバタバタの展開だった。

その分、首位にある「ミヤネ屋」はそつのなさが際だった。司会の宮根誠司はいつもどおりの笑みを浮かべ、「他局も変わりましたから」とあえて触れた。リニューアルしたスタジオセットは「大塚家具です。全部」と時事ネタでボケる余裕を見せつけ、結果は視聴率に顕著に表れた。

「グッディ!」は第1部3.6%、第2部2.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)だったのに対し、「ミヤネ屋」は7%台。ダブルスコアでフジが惨敗した。

上智大の碓井広義教授(メディア論)が分析する。

「安藤さんは今までの夕方のニュースと変わらない印象。彼女は顔に出るタイプで、やわらかいネタでの反応の鈍さが視聴者にはわかりやすかった。常に『私が』と前に出ていこうとする安藤さんに対し、高橋さんはまだ自分をどう位置づけるかがつかみきれず、制作側もそこが見えておらず、視聴者もどう見ていいのかわからなかった」

前出のフジ社員も言う。

「安藤さんが自分の言いたいことを半分に抑え、『オバちゃんキャラ』になりきれたらという意見も出ています。ただ、スパルタな安藤さんと、テンパった自分を隠さない高橋さんのコンビが夫婦漫才のようなやりとりでハマってくると数字は上がるのではないか」

(週刊朝日 2015年4月24日号より)

週刊朝日で、[春の情報番組改編]について解説(2)

$
0
0



発売中の「週刊朝日」最新号に、“春の情報番組改編”に関する特集記事が掲載されました。

この記事の中で、各番組について解説しています。


飛躍!迷走?春の情報番組改編

●TBS「ゴゴスマ~GOGO!Smile!~」、「白熱ライブ ビビット」

年度の変わる4月。今年もテレビの番組改編が行われた。しかし、そこでコケたのがTBSだ。独走状態の「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系・午後1時55分~)に対抗しようとするも専門家からは、辛口評価が並ぶ。

東海地方が拠点の中部日本放送(CBC)で生放送されていた情報番組「ゴゴスマ~GOGO!Smile!~」(午後1時55分~)を全国区に迎え入れたのだ。2008年に「ミヤネ屋」が大阪・読売テレビから全国に躍り出て人気を博したように、二匹目のドジョウを狙ったとも考えられる。

番組名だけ見ると「スマップ関連?」と勘違いしかけるが、スマップは無関係。MCを務めるのは全国では知名度が低いCBC石井亮次アナ。初回視聴率は2.9%だった。

テレビコラムの連載を持つライターの吉田潮氏は手厳しい。

「無難すぎて特筆すべきものが1ミリもない。テレビショッピングの延長線上のような印象ですね」

上智大の碓井広義教授(メディア論)は、

「てっきりTBSは大阪の毎日放送から番組を持ってくると思っていたら名古屋だった。なんなら次は福岡のRKB毎日放送など、半年ごとに地方を変えるほうがまだおもしろいのでは。宮根さんのような強烈な『顔』がいないと難しいでしょう」

この3月に終了した「いっぷく!」の後継として引き続き司会を務める国分太一と共に、女優の真矢ミキを抜擢したのが「白熱ライブ ビビット」(TBS系・午前8時~)。

初回視聴率は3.0%だったが、何より強烈なインパクトを与えたのは“紫”が基調のスタジオセットだ。テレビ局関係者は「紫は欲求不満の色なんて言われますし、通常、深夜番組でしか見ない。それを朝の情報番組にもってくるとは」と驚く。前出の吉田氏が言う。

「真矢のアップが多すぎ。彼女が奇麗なのはわかるが、アレルギー成分で問題になった石けんCMの『あきらめないで!』という“迷セリフ”が今にも聞こえてきそうです」

真矢の起用については、碓井教授も首をひねる。

「放送開始から1週間以上が経ったのに、ほとんど印象がない。局は国分の横で“しっかりもののお姉さん”的な役割を求めたかもしれないが、『次は○○』とコーナーのつなぎだけ。元宝塚スターに失礼な気がします」

ただし2人の脇で、黒縁メガネで進行する井上貴博アナを評価する声がある。

「みのもんたが降板した後の『朝ズバッ!』の後任として、若手ながらものすごい重圧の中で番組を回していた器用さを今後生かしたいところ」(TBS社員)

(週刊朝日 2015年4月24日号より)

週刊朝日で、[春の情報番組改編]について解説(3)

$
0
0



発売中の「週刊朝日」最新号に、“春の情報番組改編”に関する特集記事が掲載されました。

この記事の中で、各番組について解説しています。


●日本テレビ「スッキリ!!」

(午前中の情報番組で)依然好調なのが「とくダネ!!」(フジ)だ。視聴率7・8%と、他局の改編の動きの影響を一切受けず、首位をキープし続けている。

(中略)

同様に固定ファンをつかんで安定した人気を誇るのが「スッキリ!!」(日テレ)だ。今回でテリー伊藤と勝谷誠彦というアクの強い出演者2人を卒業させて、上重聡アナを司会に抜擢した。

さわやかに再スタートした初回の視聴率7・2%と好調。しかし、その直後に「週刊文春」が上重アナの有力スポンサーからの利益供与疑惑が報じ、別の意味で注目を集めてしまった。マンションの購入資金として「1億7千万円」の融資を無利子で受けたと報道され、庶民感覚を軸にする情報番組の顔としては致命傷を負ったのだ。

重しが抜けてスッキリしすぎ

「フリーになった羽鳥慎一アナの後継として看板アナに育てるはずが、まさかの事態。社内はかなり冷ややかです」(日テレ関係者)

アナウンサーには清廉性が求められるからと、銀座でホステス経験があった女子大生の内定取り消し騒動を起こした日テレだけに、分が悪かった。上重アナは番組内で釈明、頭を下げた後も出演しているが、どこかやりにくそうに映る。

むしろ、加藤浩次が折に触れて「今、イメージ上げようと必死な時期だもんな」などと際どいツッコミを入れるのが話題になっている。

「上重アナは直球の元気さが売りなのに、すっかり精彩を欠き、暗いオーラが漂う。ピリ辛コメントを連発するテリー伊藤と勝谷が何を言うかわからないのが面白い番組だったから、2人が不在になった今、一層その価値が浮き彫りになってしまった。重しが抜けてスッキリしすぎ、軽すぎなんです」(碓井教授)

既存の番組が強さを見せる一方、意外に注目なのが「みんなのニュース」(フジ・15時50分~)だ。情報番組やバラエティで活躍するエース・伊藤利尋アナが、報道番組のメーンキャスターに初挑戦中だ。

(中略)

各局が春の改編改革に乗り出したものの、やはり根強い人気は宮根、小倉に加え、エース伊藤で決まりなのか――。

だが碓井教授は、番組の真価が問われるのはこの先だという。

「あるコーナーから番組人気に火がつくこともありえる。いざ何かが起きた時に視聴者は生中継の安藤と宮根のどちらを選ぶのか、その勝負は楽しみです」

(週刊朝日 2015年4月24日号より)



Viewing all 5565 articles
Browse latest View live