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新春ドラマ放談 (3)

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オリコンが発行するエンタメ専門誌「コンフィデンス」。

その新年特別号に、「新春ドラマ放談」のタイトルで座談会が掲載されました。

この座談会で、産経新聞記者の三品貴志さん、ライターの吉田潮さんとご一緒しています。

以下はそのパート3。

10月期のドラマが対象です。


新春ドラマ放談
15年注目ドラマ振り返り&16年の期待の若手
ヒットドラマ・俳優ブレイクのカギを探る!
<パート3>


後半はバラエティ豊かな力作ぞろい
2016年のドラマにも期待

――10月期は『下町ロケット』の他にも力作が多かった印象ですね。『あさが来た』もスタートしました。

三品氏 『あさが来た』は、やはり正統派で面白いですね。波瑠はそれまで、ミステリアスだったり清楚な役が多く、お転婆な役柄が合うのかという危惧もあったのですが、意外に明るいコメディタッチもいけると証明してみせた。それと、やはり出るだけで画面の質が変わる宮あおいの存在感。このヒロイン2人によって、作品が重層的になっています。

碓井氏 少なくとも実話ベースですから、お話も安心して観ていられる。財閥のお嬢さんが幕末からどう流転し成長するのか、という下世話な興味もありつつ。まだ女優としてはこれからという波瑠のたどたどしさ、素人っぽさが、両替商の若いおかみさんや炭鉱主の責任者といった場における初々しさに、うまく自然に重なるんですよね。非常に効果的なキャスティングだったと思います。

吉田氏 女性が朝ドラにはまる要因の1つに、ちょっとダメな男の存在があるんですよ。『花子とアン』での吉田鋼太郎のような。今回は、江本佑と玉木宏というダブルダメ男、さらに風吹ジュンと萬田久子、ダブルヒロインだけでなく、そのへんどこからでも美味しく食べやすく構築してあるなと思います。

――『破裂』『サイレーン』というなかなか刺激的な作品もありました。

吉田氏 『破裂』については、内容がセンセーショナルかつリアルでしたね。介護、高齢化、医療費などのテーマ立てが、どこかでこれって厚労省の本音なんじゃないのという部分も感じられて。でも残念ながら、一般にはあまり話題にならなかった。

碓井氏 原因としては、登場人物に感情移入しにくいというのはあったかもしれません。観ていてスカッとするわけでもなく、正義の味方がいる勧善懲悪でもない。でも全体のバランスは良かったですよね。奇妙な味ではありますが。

三品氏 役者の濃さは見応えありましたが、ずっと緊張して観ていないとお話がわからなくなるようなところはありましたね。そういう意味では、『サイレーン』は分かりやすいというか。『ファーストクラス』以降の菜々緒のケレン味がついにここで確立した感がありました(笑)。

吉田氏 菜々緒の禍々しさが非常に印象的でしたね。せっかくの松坂桃李と木村文乃が霞んでしまうほど。あと、この期で触れておきたいのは『おかしの家』ですね。最初は、ほっこり癒し系で下町情緒を映して終わりだったらつまらないなと思っていたら、全然そうじゃなかった。ふんわりどころじゃなくて、ドラマの必然で人が死んだりもする。描かれている要素を書き出してみると、けっこう社会派な面もある。良い意味で裏切られた作品でした。

碓井氏 私は『釣りバカ日誌 ~新入社員 浜崎伝助~』が良かったですね。実は、映画も原作マンガも大好きなので、ダメなら叩いてやろうと待ち構えていたのですが(笑)、アンチに回らずに済みました。設定を新入社員時代にしたのも大正解。

三品氏 濱田岳の芝居のうまさ、憎めない愛らしさはもちろん、ハマちゃんが今度はスーさんを演じるという構造はうまかったですね。出てくる人が誰も傷つかない、こういうドラマは今なかなか少ないですし。それに、広瀬アリスが良い存在感を放っていますね。なんというか、落ち着きと暖かみを感じる女優さんだと思います。

――駆け足で2015年のドラマを振り返ってきましたが、では2016年のドラマに期待するのは、どういった点でしょうか。注目の役者さんなども含めて最後に教えてください。

三品氏 2016年は、やはり良質なコメディをもっと観たいですね。『デート』や『リーガルハイ』『民王』のような。明るいけど、ちょっとヒネってあるような作品を期待したいです。役者でいうなら、例えば菅田将暉と松岡茉優の共演するコメディとか、どこかで実現してほしい。志尊淳、高杉真宙、芳根京子といった『表参道高校合唱部!』出演メンバーのその後も注目しています。

吉田氏 群像劇が時々疲れてしまうので、力のある人たちが5人くらいで空気感をきちんと作っていくような、大人の鑑賞に耐えるようなドラマが観たいです。真飛聖とかをキャスティングしてもらって(笑)。注目の若手は森川葵などたくさんいますが、以前の『ごめんね青春!』や『表参道高校合唱部!』もそうかもしれませんが、若手の登竜門になるようなドラマ枠がもっと増えるといいなと思います。そういう意味でも、15分枠や30分枠のドラマがあってもいいのにとも思う。

碓井氏 大人たちが普通に観られるような、もっとリアルなドラマがあってもいいようには思います。50、60代はテレビの優良な視聴者ですから。無理に恋愛モノや企業モノとかじゃなくても、等身大の日常も十分スリリングだと思うんですよね。それはさておき、注目しているのは中条あやみ、山崎紘菜といったあたり。この2人は憶えていていい名前だろうと思います。

吉田氏 そうそう、ドラマと関連する希望として。ドラマのCMにキャストが出てくるパターン、最近すごく多くないですか? スポンサーさんの意向なのかもしれませんが、あれは逆に視聴者の集中力を削ぐことおびただしい。ぜひ2016年は減らしてほしいです(笑)。


【3人が注目した作品/15年10月期】

碓井氏
『下町ロケット』(TBS系)
『破裂』(NHK)
『コウノドリ』(TBS系)
三品氏
『あさが来た』(NHK)
『釣りバカ日誌 ~新入社員 浜崎伝助~』(TX系)
『サイレーン』(CX系)
吉田氏
『破裂』(NHK)
『偽装の夫婦』(NTV系)
『おかしの家』(TBS系)

(オリコン「コンフィデンス」2016新年特別号)

【気まぐれ写真館】 新校舎建設、進む

“何でもあり”の音楽バラエティーだったNHK「紅白」

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今回は、NHK「紅白歌合戦」について書きました。


NHK「紅白歌合戦」
夜9時からの2時間45分で十分かもしれない
「紅白歌合戦」は本来、その年のヒット曲と人気歌手が集合する大型音楽番組だ。しかし今回、並んだ出場者に違和感を覚えた視聴者は多かったのではないか。

特にラストの近藤真彦も含め、白組26組のうち7組がジャニーズ系というのは異様だ。井ノ原快彦も「あさイチ」での貢献があるとはいえ、10年連続でジャニーズ事務所からの司会者起用は新鮮味に欠けた。

また、あちこちのヒットコンテンツの援用も今回の特色だ。まず、民放各局のヒットアニメのテーマ曲が歌われた。次に映画「スター・ウォーズ」の人気キャラクターも出現。ただし演出が凡庸で、サプライズ感もありがたみもありゃしない。先方は新作のPRになったが、「紅白」にとってどんな意味があったのか。

加えて恒例のディズニーショーだ。ミッキーのキレのいいダンスは見事だが、年始客に向けた東京ディズニーランドのプロモーションにしか見えなかった。そして、さらなるダメ押しが吉永小百合で、映画「母と暮せば」の宣伝とのバーターが露骨でゲンナリした。

今回の「紅白」は、音楽番組というより“音楽バラエティー”だった。今後は、本気で音楽番組としての原点に立ち返るのか。それとも、“何でもあり”の音楽バラエティーとしてカオスを深めていくのか。どちらにしても、夜9時からの2時間45分で十分かもしれない。

(日刊ゲンダイ 2015.01.06)

加島祥造さんに、合掌

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1月6日に、加島祥造さんが亡くなりました。

加島さんの本は何冊も読んできたし、週刊新潮の書評で何度も取り上げさせていただきました。

どの本も、読むと、少しだけ気持ちが軽くなったものです。

92歳の大往生かもしれませんが、いなくなってしまったこと、新しい本が読めなくなったことは寂しいです。

感謝をこめて、合掌。


以下は、書いた書評のいくつかと、このブログに書いた文章です。

加島祥造 『私のタオ~優しさへの道』 
筑摩書房 1680円

詩人で翻訳家の著者が老子に関する最初の本を出してから17年。“老子をめぐる思索の旅”は86歳の今も続いている。本書のテーマは『老子』が示す「優しさ」「柔らかさ」、さらに「弱さ」だ。閉塞社会、不安の時代を生きるためのヒントが見つかるかもしれない。
(2009.12.10発行)


加島祥造 『ひとり』 
淡交社 1680円

雄大な中央アルプスを背に田園風景が広がる信州・伊那谷。著者がこの地に移り住み、独居を始めて四半世紀が過ぎた。89歳になった現在、「老子」を通じての思索はさらに深まり、その言葉は透明感を増している。「求めない、受けいれる」生き方がここにある。
(2012.05.11発行)


加島祥造 『アー・ユー・フリー? 自分を自由にする100の話』 
小学館 1728円

現在91歳になる著者が、信州・伊那谷に移り住んでからの25年間に行った講演のセレクト集だ。「よりよく生きるということは、自分に正直に生きることだ」といった言葉を含む100話が並ぶ。全てに共通しているのは「自由」への思い。老子をひも解きたくなる。
(2014.2.27発行)


加島祥造さんの『小さき花』
『タオ 老子』などで知られる加島祥造さん。最新刊『小さき花』(小学館)が出た。

見開きページの、右に言葉、左に書。文と画が加島さん、そして書は金澤翔子さんの作品だ。

米寿[88歳]の年を迎えた“伊那谷の老子”は、ますます澄み切っていく。この本の中の言葉は、シンプルだからこそ、強い。書もまた、眺めていて、飽きることがない。

楽シサハ
身ノ
自由ナル
トコロニアル

いま在るがままでいればいい
いちばん好きなことを
するがいい
いま要るものだけ
持つがいい
――加島祥造『小さき花』



(2010年12月15日)


詩人・加島祥造のドキュメンタリーと「巨匠」
いい番組を見た。

NHK ETV特集
「ひとりだ でも淋(さび)しくはない~詩人・加島祥造90歳~」。

信州・伊那谷の自然の中で暮らす詩人・加島祥造さん(90歳)の言葉が、この時代をどう生きるか悩める人々から注目されている。ベストセラーとなった詩集「求めない」、「受いれる」の中で加島は言う。会社や家庭の中で求めすぎる心を転換してバランスをとり、ありのままの自分を受け入れるとずいぶん楽になると。

もともと加島さんは横浜国大の英文学教授だった。ノーベル文学賞作家ウィリアム・フォークナーやアガサ・クリスティの数々の翻訳で名声も獲得。しかし、なぜか心は満たされず、逆に息苦しさを感じて生きていた。

そんなとき、野山で自由に遊び回っていた幼少期の頃の感覚を思い出せという内なる声が聞こえた。60歳になった加島は、我慢の限界に達し、社会から飛び出す。そして、たどり着いたのが伊那谷だった。その大自然に触れるうち、自分の中に可能性を秘めた赤ちゃんのようなもう一人の自分、いわば「はじめの自分」がよみがえった感覚を感じたという。

その後、伊那谷で暮らすうちに、なぜか詩が湧いて出てき、また、絵も描けるように変わっていった加島。精神のバランスも徐々に取れるようになっていった。

そんな加島さんの元を訪ねるようになったのが、政治学者の姜尚中(63歳)。順風満帆に見える姜だが、実は、4年前に長男を26歳の若さで亡くした。それがきっかけとなり、60歳を過ぎて、このままの人生を送っていいのか、何が自分にとっての幸せなのか考えるようになったという。そんなときに偶然出会ったのが加島さんだった。それ以来、たまに伊那谷を訪れて、加島とのやりとりを繰り返している。

わがままと言われようと、ただ命に忠実に向き合ってきた加島。番組では人生の晩年をどう生きるか、今もあがき続ける90歳の日々を見つめる。

加島さんの本はすいぶん読んできた。とはいえ、共感しながらも、簡単にその境地に近づけるはずもない。

番組で見る最近の加島さんは、ますます遥かな道を歩んでいる、という印象だ。亡くした”大切な女性”の話も含め、「ああ、加島さんらしい90歳だなあ」と思いながら、なんだか嬉しかった。

見終わって、いい気分でいたので、エンドロールをぼんやり眺めていた。NHK福岡の制作だったが、ディレクターの名前は見逃してしまった。けれど、「編集 吉岡雅春」という文字は目に入ってきた。

吉岡さんは番組編集者だ。知る人ぞ知る、天才的編集者。私もお世話になった、テレビ界の大先輩だ。今は、主にNHKスペシャルで、その名を見ることが出来る。

30年前、新人のアシスタント・ディレクターとして、吉岡さんに初めて会った。その際、先輩のディレクターから、吉岡さんのニックネームが「巨匠」であることを教えられた。出会った時から、すでに巨匠だったわけだ。そして私がディレクターになってからも、何度もお世話になった。

取材が不十分な時、その指摘は厳しく、私はすごすごと「追撮」に出かけた。編集作業に少し疲れたり、私が煮詰まったりすると、吉岡さんはキャッチボールをしようと言う。黙ってボールをやりとりしながら、こちらも打開策を考えるのだ。

巨匠は、今でも、ディレクターとキャッチボールをしているのだろうか。

(2013年10月20日)

毎日新聞で、ペリー荻野さんと「芸能」対談

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特集ワイド 
大予測2016 
<芸能>

「真田丸」三谷氏の執念 ペリー氏
「紅白」1年かけ再考を 碓井氏

今年はどんなテレビドラマや音楽が話題になるのだろうか。テレビウオッチャーでコラムニストのペリー荻野さん(53)、メディア論が専門の上智大教授、碓井広義さん(60)が語り合った。【構成・江畑佳明、写真・内藤絵美】

−−まずドラマについて。昨秋から続くNHK連続テレビ小説「あさが来た」は、平均視聴率20%台を保ち、好調です。その理由は何でしょうか?

ペリー氏 時代設定が幕末から明治で「ちょんまげでスタートした初めての朝ドラ」と私は呼んでいます。時代劇好きの私は「やっと来た!」と歓喜しています。

碓井氏 ハハハハハ。

ペリー氏 制作側が朝ドラの本流である「女性の一代記もの」をしっかり研究しているのが大きい。朝ドラは「女性の一代記もの」と「自分探しもの」があります。1990年代以降の視聴率低迷期は「自分探し」が多かったのですが、本流は「おしん」(83〜84年)に代表されるように激動の時代を生き抜く「女の一代記」。最近では「カーネーション」(2011〜12年)や「花子とアン」(14年)がありました。

碓井氏 主人公のモデルは豪商・三井家のお嬢さんで、実業家として日本女子大学設立に尽力した広岡浅子。物語の軸がしっかりしているから、安心して見ていられる。それと時代設定が幕末から明治という大激動期である点が大きい。現代は明日が見えにくい閉塞(へいそく)感が漂っていますが、現代と比べものにならないほどのパラダイムシフト(社会構造の大転換)があった時代を、ひとりの女性がどう生き抜いたか、視聴者は参考にしたいのかもしれません。

ペリー氏 舞台が関西というのもいい。あの時代を新鮮な角度から見られますから。

碓井氏 同感です。幕末維新ものは、江戸を舞台にすると武家中心の話になってしまう。武家だとしきたりに縛られて面白くありませんが、「あさ」は大阪の商人たちが自由で伸び伸び活躍します。

ペリー氏 また、細かいところでは「あまちゃん」(13年)で主人公の「じぇじぇじぇ」という決めぜりふがあったように、「あさ」でも「びっくりぽんや!」があって、これもヒットの「鉄板要素」。まさに「あさ(朝)が来た!」という感じです。

−−春からの朝ドラは「とと姉ちゃん」です。

ペリー氏 生活総合誌「暮(くら)しの手帖(てちょう)」を創刊した大橋鎮子をモデルに描かれます。これも一代記もの。期待したいですね。

−−民放では「下町ロケット」(TBS系)が好評でした。

ペリー氏 「このドラマは応援せねばいかん」という気持ちになりましたよね。

碓井氏 さすがと思うのは「ドラマの三要素」すべてをうまく詰め込んでいたことです。物語の面白さ、キャスティング(配役)がよかった。演出でも、登場人物のアップから、3000人の社員の整列という壮大なシーンまで画面にすきがなかった。「きちんとドラマをつくれば、視聴者は見てくれる」と証明してくれました。今年も手の込んだドラマを見たい。

−−今年ブレークしそうな若手の俳優はいますか?

ペリー氏 男性では菅田(すだ)将暉さん。昨年5〜8月放映の「ちゃんぽん食べたか」(NHK)ではさだまさしさんの青年期をうまく演じていて好感が持てました。映画「ピンクとグレー」が9日に公開されますが、今後も出演作が続きます。

碓井氏 女性では昨年のポカリスエットのCMに出演した中条あやみさん。うかがい知れない雰囲気があって、期待大です。2月公開予定の映画「ライチ☆光クラブ」ではヒロイン役で登場します。

−−大河ドラマは三谷幸喜さん脚本の「真田丸」です。

ペリー氏 試写会で初回を見たのですが、三谷さんの執念を感じました。三谷さんが大河を手がけるのは「新選組!」(04年)以来。数年前「今度大河に関われるなら真田をやりたい」とおっしゃっていたんです。

碓井氏 へえ。僕は信州の出身なので、非常に関心が高い。が、やはり池波正太郎さん原作のドラマ「真田太平記」(NHK、85〜86年)のイメージが刷り込まれています。比べる必要はないとわかっているのですが……。三谷さん的なギャグより、男たちの骨太なドラマを見せてほしい。

ペリー氏 試写会を見た私のイチ押しは、昌幸(幸村の父)役の草刈正雄さん! 「真田太平記」で幸村を熱演していました。このドラマで昌幸役だった丹波哲郎さんが乗り移ったみたい。視線をクールにすーっと動かす所作とか。もう、感激。

碓井氏 それは楽しみです!

−−音楽界はどうでしょう。昨年末の紅白歌合戦は視聴率が低迷しましたが。

碓井氏 かつては「1年を振り返る音楽番組」でしたが、昨年は「ディズニーから番組宣伝まで何でもありの音楽バラエティー番組」になってしまった。音楽番組として何をしたいのかわからない。今年1年かけて紅白のありかたを考え直してほしい。以前のような午後9時スタートの2時間45分番組で十分な気もします。

−−懐メロが目立ちました。今年ヒットする兆しはありましたか。

ペリー氏 目玉が乏しくサプライズも少なかったのは残念でしたが、AKB48は既に国民的歌手になった感じがしました。E−girls、初出場の乃木坂46もそうですが、数多くの若い女性たちが歌って踊る路線は今年も続くのでしょう。お母さん的視点ですが、好感が持てますから。

碓井氏 アニメ番組「ラブライブ!」の声優で結成したμ’s(ミューズ)も女性グループですが、最近の音楽界ではアニメソングの存在が大きいと改めて感じました。

ペリー氏 演歌からは2人が初出場しました。三山ひろしさんは、多くの苦労を乗り越えているので歌に味がありました。山内恵介さんも新鮮でした。今年は演歌の盛り上がりに期待したいですね。

−−バラエティー番組の勢いは変わりませんか。

ペリー氏 昨年は「マツコ(・デラックス)時代」と言ってもいいくらいでした。

碓井氏 マツコさんには知性と品性を感じるし、確かに面白い。視聴者にとっては「この番組を見て損はしない」という最低保証があります。でも制作側がタレントの個性にばかり頼る姿勢はいかがなものでしょうか。

ペリー氏 先日、浅草の劇場を中心に活動している芸人さんたちを紹介する番組を見ました。普段テレビでは見ない方々ですけど、とても面白くて。今年は、こういう人たちが出てくるバラエティー番組がもっとあってもいい。

碓井氏 全く同感ですね。今年はタレント力だけではなく、制作側の番組構成力がより問われると思います。

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ぺりー・おぎの
 1962年愛知県生まれ。時代劇の主題歌を集めたCD「ちょんまげ天国」をプロデュースするなど、時代劇をこよなく愛す。著書に「ちょんまげだけが人生さ」「バトル式歴史偉人伝」など。
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うすい・ひろよし
 1955年長野県生まれ。慶応大卒。テレビ制作会社のプロデューサー、東京工科大教授などを経て現職。新聞コラムでの辛口論評で知られる。著書に「テレビの教科書」など。

(毎日新聞 2016.01.06)


撮影:内藤絵美(毎日新聞)

週刊新潮で、NHK「紅白」と石川さゆりについてコメント

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また“津軽海峡”で紅白出場の石川さゆりが不満
「新曲出しているんですよ」
2年前の北島三郎、今回の森進一と、NHK『紅白歌合戦』から演歌歌手の“卒業”が続く。一方、それでも君臨し続ける歌手もいて、例えば石川さゆり(57)の通算出場回数は38回。紅組歌手では、和田アキ子に続く歴代2位の記録なのだとか。そんな石川、舞台裏でこんな不満を口にしていた――。

最近、石川が紅白で披露する曲目には一定の法則がある。今回は「津軽海峡・冬景色」で前回は「天城越え」、前々回は「津軽海峡・冬景色」で、その前は「天城越え」……。2007年以降、この2曲の無限ループに陥っているのだ。

「石川には、内心忸怩(じくじ)たるものがあるはずです」

とは、NHK関係者。

「紅白の本番前、司会者と全出演歌手との面談が行われるのですが、その場で石川さんは“もう何回目でしょうね”とか“今年も新曲出しているんですよ”と言っていた。また、昨年10月にリリースしたアニメ『ルパン三世』の主題歌『ちゃんと言わなきゃ愛さない』を引き合いに、“今年はルパンもやりましたし”とアピールしていた」

これについて、上智大学の碓井広義教授(メディア論)は次のように語る。

「よく言ったな、と感じます。これは石川さんだけの問題ではない。紅白に出られるのは嬉しいけれど、まるで懐メロ歌手のように扱われ続けることには、忸怩たる思いがあるという、ある種の代弁だと思います。」

来年歌うのは、新曲? それとも「天城越え」? 

(週刊新潮」2016年1月14日迎春増大号)


実習授業「テレビ制作」 追い込み中!

2015年大晦日のテレビ番組を振り返る

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北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、大晦日のテレビ番組について書きました。


2015年大晦日のテレビを総括する
紅白は音楽バラエティ?
大晦日の夜は、NHK「紅白歌合戦」と民放各局を往復しながら過ごした。まず今回の「紅白」だが、1年を締めくくる音楽番組というより、正体不明の音楽バラエティという印象だった。

目立ったのは内外のヒットコンテンツの援用だ。アニメコーナーが設けられ、民放各局のヒットアニメのテーマ曲が、その映像と共に流された。映画「スター・ウオーズ」の人気キャラクターも出現した。ただし演出が凡庸で、サプライズ感も有難味も希薄だった。先方は公開中の新作のPRになったが、「紅白」にとってこのタイアップはどんな意味があったのか。

そして、「紅白」では珍しくなくなったディズニー・ショーも披露された。ミッキーのキレのいいダンスは見事だったが、年始客獲得を狙う東京ディズニーランドのプロモーションにしか見えなかったのが残念だ。さらに吉永小百合も登場したが、主演映画「母と暮せば」の宣伝とのバーターが明白で、ややがっかりした。

今後は、あらためて音楽番組としての原点に立ち返るのか。それとも、“何でもあり”の音楽バラエティとして喧騒を続けるのか。「紅白歌合戦」という伝統枠そのものについて、根本から検討する必要があることは確かだ。いずれにせよ、午後9時からの2時間45分で十分かもしれない。

一方の民放は、「史上最大の限界バトル KYOKUGEN2015 魔裟斗VS.山本KID徳郁」(TBS―HBC)、「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND―PRIX2015~IZAの舞~」(フジテレビ―UHB)、そして「THE BEST OF WBA世界S.フェザー級タイトルマッチ&WBA世界L.フライ級タイトルマッチ」(テレビ東京―TVH)と、横並びの格闘技が目立った。

もちろん格闘技ファンが一定数存在するのは事実だが、あまり魅力的とも思えない対戦が視聴者の大晦日の気分にマッチしていたのか、熟考すべきだろう。

それ以外の局は、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 大晦日年越しスペシャル・絶対に笑ってはいけない大脱獄24時!」(日本テレビ―STV)、「くりぃむVS林修!年越しクイズサバイバー2015」(テレビ朝日―HTB)といったバラエティだった。固定ファンもいる定番ではあるが、新鮮味に欠けた企画と言わざるを得ない。

どこか1局くらい、「この1年の政治・経済・文化を、分かりやすくまとめて振り返る」といった内容の大晦日特番があってもよかった。

(北海道新聞 2016年01月08日)


【気まぐれ写真館】 我が家の梅、満開

【気まぐれ写真館】 ”真田丸”どーもくん

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NHK大河ドラマ「真田丸」の放送が始まりました。

第1回、もちろんツッコミどころはありますが(笑)、結構面白く見ました。

ただ、「真田信繁」って言われると、「誰だ、それ」と思ってしまう。

やっぱり「真田幸村」がいいなあ、と。

日曜の昼間、「NHKとっておきサンデー」には、全身ヨロイ姿のどーもくんも出ていました。

がんばってるなあ。

実習授業「視聴覚教育」 収録本番!2016.01.12

ポストセブンで、不倫騒動「ゲス川谷」の音楽活動について解説

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ベッキー不倫騒動でゲス川谷 
「音楽活動へ影響ない」との分析
週刊文春により不倫疑惑が報じられたタレントのベッキー(31)と、ロックバンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音(27)。これまで清純キャラを売りにしてきたベッキーにとって、騒動の代償はあまりに大きかった。CM契約を結んでいる10社のうち、コンビニ大手のローソンはベッキー出演のCMを一時取りやめ。1月末の契約満了を待ってそのまま事実上の“降板”となるケースもあり、順風満帆かに思われたタレント人生において最大の危機を迎えている。一方、相手の川谷はというと、ネット上で激しいバッシングの嵐にさらされているものの、仕事の面ではこれといった影響がなさそうに見える。

上智大学教授(メディア論)の碓井広義さんによれば、この差は“メディア露出度の違い”にあるという。

「ベッキーさんの主戦場はテレビだから、主要視聴者層である主婦の反感を買うようなことをすると、致命傷になります。一方の川谷さんはCM出演も、テレビのレギュラー番組もない。一時的に音楽番組への出演は減るでしょうが、今や音楽番組はプロモーションの一環にすぎないので、さほど影響はないでしょう。バッシングをしている人たちも、その多くはもともとバンドのCDを買っていない人たちなので、セールスが下がることも考えにくい」(碓井さん・以下「」内同)

今いるファンが離れてしまうことはないだろうか。

「バンド名からして人を喰ったようなところがあるので、イメージは崩壊していません。ファンが一気に離れるようなことはないと思います。現時点での仕事上のマイナスというと、せいぜい『今年の紅白には選ばれない』ということくらいですが、それも今時のアーティストにとっては痛くも痒くもありません。今回の真相が報道の通り不倫であるとするならば、“両成敗”にはなっていないようですね(笑い)」

奇しくも1月13日発売のゲスの極み乙女。ニューアルバムのタイトルは『両成敗』。まるで川谷自身の状況とリンクするかのようである。妻帯者でありながら人気タレントと逢瀬を重ね、仕事上のダメージはほぼゼロ。不倫騒動をきっかけにバンドの楽曲を試しに聴いてみたという人が少なからずいたことを考えると、騒動はむしろプラスに働いているようにも思える。

過去にもMr.Childrenの桜井和寿、GLAYのTERU、布袋寅泰など不倫を報じられたミュージシャンはいるが、音楽活動に大きく影響することなく活動を続け、今やこの3人は日本を代表するアーティストとして君臨している。ミュージシャンはいい音楽を作っていれば、不倫など私生活の騒動の影響を受けにくいというのはそうした例からも明らかだ。川谷もこの“ミュージシャン特権”により逃げおおせるのだろうか。

「離婚など個人的な問題を抱えることになるでしょうし、今後しばらくは女性を胸キュンさせるような詞を作りにくくなるかもしれませんが、音楽家はテレビに出ることが仕事ではないので川谷さんも過去の例と同じ流れに乗ると思います」

ベッキーは「芸能界引退危機」という声さえ出ているが、川谷はまさに“逃げ得状態”ということになる。

「不倫は男性側が結婚しているパターンが多く、女性側は『妻から男を盗んだ』というイメージを持たれやすい。それだけでなくベッキーさんの場合は、会見の内容もよくなかった。説明がなく、『ごめんなさい』で済まそうとしているように映りました。せめて一言、『好きになってしまった』などと言えばよかった。事務所の指示もあったのかもしれませんが、今は事実をうやむやにするより正直に言ってしまったほうがいい時代。あの会見は後々、ボディーブローのように効いてきます」

1月15日の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)での出演が予定されている川谷は、騒動について何か語るのだろうか。

(ポストセブン 2016.01.12)

【気まぐれ写真館】 睦月の夕景 2016.01.13

ドラマ特番で意欲作 テレ東の“鉱脈”は日本の職人技

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、ドラマ特番「彼女が恋した職人さん」について書きました。


「彼女が恋した職人さん」
テレビ東京ならではの、
意欲的なドキュメンタリードラマだった
昨年、テレビ東京系で放送された「LOVE理論」。“ラブ理論マスター”を演じたのが、当時、恋愛騒動の渦中にあった片岡愛之助だったこともあり話題になった。深夜のドラマ特番「彼女が恋した職人さん」(6日放送)は、「LOVE理論」を手がけた西古屋竜太監督の新作である。

主人公は大学生の巧(千葉雄大)だ。外国史学の教授(竹中直人)に、カナダからやって来たマリー(テイラー)の案内役を頼まれる。彼女の目的は、日本の「職人の技」に触れてリポートを書くこと。2人の珍道中が展開される。

この番組の特色は、全体はフィクションのドラマでありながら、登場する職人は実在する人たちであることだ。江戸指物師の木村正さん、大阪・堺市で本焼き包丁を作る池田良一さん、そして金沢の加賀友禅作家である白坂幸蔵さんなど、まさに“日本の匠”というべき人たちが“本人”を演じているのがほほ笑ましい。

若い2人に向かって、丁寧に自分の経験を語る匠たち。一見地味な仕事の中に生きがいとやりがいを見いだし、伝統を継承していこうとする姿に頭が下がる。また、彼らの手作業を紹介する映像も見る側の興味を引いた。

「和風総本家」をはじめ、日本の職人技という“鉱脈”を見つけ育ててきたテレビ東京ならではの、意欲的なドキュメンタリードラマだった。

(日刊ゲンダイ 2016.01.13)


実習授業「テレビ制作」 鋭意編集中!


今年度最後の「2年生ゼミ」

【気まぐれ写真館】 睦月の夕景 2016.01.14

産経新聞で、「SMAP解散」についてコメント

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NHK紅白歌合戦2015

【SMAP解散協議】
「芸能界への見方変わる」「常識を覆せるか」 
メディア専門家、今後の展開を注視
国民的人気グループ「SMAP」の解散協議の情報に、メディア専門家らからも驚きや戸惑いの声が相次いだ。

「老若男女問わず抜群の知名度を誇る国民的アイドルが解散となれば影響は大きすぎる」

テレビコラムニストの桧山珠美さんは驚きを隠せない様子。芸能界では事務所を円満退社できなかったタレントに仕事が回ってこなくなるケースも多いといい、「仮にこれだけの影響力を持つ彼らでさえテレビに映らなくなるようなことがあれば、芸能界に対する視聴者の見方も変わるし、存在も揺るがしかねない」と話した。

元民放プロデューサーの影山貴彦・同志社女子大教授(メディアエンターテインメント論)は、将来的な解散や個人的活動に理解を示す一方、「お家騒動のような形で傷つける状態は好ましくない」と憂慮する。

今後については「解散しないという結果もあり得る」と予測。例え、分裂が避けられずメンバーが別々の事務所に所属しても、「SMAP」という看板を下ろさず定期的に一緒に活動する可能性を指摘する。景山氏は「SMAPだからこそ常識を覆してほしい」と期待を込めた。

一方で、解散を前向きに捉える意見も。上智大学の碓井広義文学部教授(メディア論)は、「彼らも年齢を重ねた。ファンやメディアは『アイドル』という名目を外し、個々のメンバーが活躍できる場を広げる応援をしてあげてもいいのでは」と語る。SMAPの活動が結成後約30年に及ぶことに触れ、「こうしたグループは世界的にも数少ない。よくぞここまで続けた」と労った。

(産経新聞 2016年01月14日)

読売新聞で、年末年始特番についてコメント

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NHK紅白歌合戦2015

年末年始の視聴率、バラエティー好調
「紅白」最低39.2%…スポーツ・格闘技は明暗

各テレビ局が力を入れて編成した年末年始の特別番組。視聴率を見ると、NHK「第66回紅白歌合戦」が歴代最低を記録。毎年恒例のバラエティー番組の好調ぶりが顕著で、スポーツ・格闘技の中継は明暗が分かれる結果となった。目立った番組の視聴率を基に、総括する。(テレビ取材班)

紅白

大みそかの「紅白」は、午後9時から番組終了までの第2部が39・2%と、2007年以来の40%割れとなり、番組が2部制となった1989年以降、最低だった。瞬間最高視聴率は番組終了5分前、勝敗の投票集計中に流れたダイジェスト映像(45・1%)だった。

NHKの籾井勝人会長は7日の定例記者会見で、紅白の結果について問われ、「もし30%に下がったなら深刻に考えなくてはならないが、2014年と比べて数%違っても致命的ではない」と語った。内容についても、「私自身は出来が悪かったとは思っていない。出来栄えと、出て来た数字に感覚的なギャップがあり、数字が間違っているんじゃないかと思うくらいだ」と自信をみせた。

バラエティー

紅白の裏番組でトップだったのは、今回で10年連続の放送となった日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 大晦日(みそか)年越しSP」で、第1部が17・6%と安定した力を見せた。

元日のテレビ朝日系「芸能人格付けチェック!」(大阪・朝日放送制作)は、2005年から正月三が日に放送され、08年からは元日放送が定着。今年は18・7%と過去最高を記録。同局系で直後に放送された「相棒 元日スペシャル」(16・7%)を上回った。
同局系では、00年から17年連続で正月に放送されている「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」(2日)も15・0%と好調だった。

スポーツ・格闘技

1月2、3日に生中継された日本テレビ系「第92回東京箱根間往復大学駅伝競走」(箱根駅伝)は、2日の往路が28・0%、3日の復路が27・8%。前年よりわずかに数字を下げたものの、他局を圧倒した。元日朝のTBS系「ニューイヤー駅伝2016」も12・9%と健闘した。

一方、大みそかに紅白と同時間帯に放送された格闘技中継は軒並み苦戦。TBS系「史上最大の限界バトル KYOKUGEN2015」(午後10時~10時52分)が9・0%、10年ぶりに大みそかの格闘技バトルに“参戦”したフジテレビ系「RIZIN2015・IZAの舞」(第2部)が7・3%。テレビ東京系のボクシング中継「THE BEST OF BEST」は3・7%だった。 
(視聴率は全てビデオリサーチ調べ、関東地区)

紅白、原点回帰を

元制作者の碓井広義・上智大教授(メディア論)に、年末年始のテレビの感想を聞いた。

「紅白歌合戦」は、民放の人気アニメを特集したり、スター・ウォーズのキャラクターが出てきたり、とバラエティー色が強かった。低視聴率は、見る側に何の番組なのかが伝わらなかった結果だろう。立て直しを真剣に考えるのなら、純粋な音楽番組に原点回帰する必要がある。

民放については、視聴者目線で考えると、大みそかに格闘技をやる必要があったのだろうか。魅力的な対戦カードも見あたらなかった。

日本テレビとテレビ朝日の恒例バラエティーが好調だったが、通常番組にゴージャス感を足した“お手軽番組”だった。数字的な結果は出るが、延々と見続けるべき内容なのだろうか。

TBS「赤めだか」、テレビ東京「信長燃ゆ」と、スペシャルドラマには良作があった。

(読売新聞 2016年01月14日)

ベッキー不倫騒動について、「離婚届と卒論は違う」とコメント

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ベッキー不倫騒動 
「卒論には審査ある」と大学教授が異論
タレントのベッキー(31)と、ロックバンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音(27)の不倫騒動は、ベッキーのCMの放送を取りやめるスポンサーも出始めるなど、まだまだ収束しそうにない。そんななか、2人がLINE上で交わしたとされる内容に、思わぬところから“異論”が出ている。

騒動をスクープしたのは週刊文春。同誌によると、2人は離婚届を卒論と称してLINE上で、「ちゃんと卒論書くから待ってて欲しいな」(川谷)、「卒論提出できたら、けんちゃんにいっぱいワガママ聞いてもらおうっとー!笑」(ベッキー)などとやり取りしていた。

また、一部スポーツ紙の報道によると、川谷は昨年11月ごろ「早く妻から卒業したい」と周囲に語っていたという。この時期、ベッキーと初めて2人きりでデートをするなど、仲が深まっていったとされている。川谷のそのときの言い回しが、「卒論」という2人の隠語につながったとみられている。

これに対して、主婦たちはこんな言葉で怒りを露わにしている。

「離婚を卒業って言ったり離婚届を卒論って言ったり、ちょっと軽すぎる。男性側の奥さんにしたら、真剣に話し合っている最中なのに」(40代・主婦)

「ベッキーさんの“卒論提出できたら”って、離婚届を出してほしいみたいなニュアンスを感じますよね。ひどい」(30代・主婦)

一方、上智大学教授(メディア論)の碓井広義さんは大学教授の立場から、「卒論」という表現に違和感を持ったひとりだ。

「何とも軽い、“出せばオッケー”みたいな感覚で使われていますが、私に言わせれば、『卒論には審査があるんだぞ!』ということです。そのことはおふたりや世間の皆さんにもわかってもらいたいですね。今全国の大学は、卒論の審査シーズンまっただ中です。審査なしで済まされる卒論はないのです」(碓井さん)

確かに離婚届は役所に提出すれば、書類不備がない限り受理されて離婚が成立する(もちろん、夫と妻の双方が同意している必要があるが)。一方、卒論は指導教員(主査)以外の先生(副査)も加わって審査が行われ、合格判定が出なければ卒業できない。そういう意味でこの2つは大きな違いだ。

ひょっとしたら川谷は、妻との離婚はそう簡単に成立しないということをわかったうえで、「卒論」という表現を使っていたりして…。

(NEWSポストセブン 2016年1月15日)

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