発売中の「週刊朝日」最新号に、“春の情報番組改編”に関する特集記事が掲載されました。
この記事の中で、各番組について解説しています。
飛躍!迷走?春の情報番組改編
●フジテレビ「直撃LIVE グッディ!」
この春の番組改編で、年間視聴率3位に沈むフジテレビが仕掛けている。社運を賭けて切り崩しを狙うのは、昨年の年間視聴率三冠王である日本テレビの「情報ライブ ミヤネ屋」(午後1時55分~)だ。
フジが今回、最も力を入れたのが“曰く付き”とされる午後の時間帯の変革だ。2012年からの「知りたがり!」は1年で終了、13年からの「アゲるテレビ」も半年で打ち切りと、情報番組は苦戦から抜け出せずにいる。
起死回生を狙ったのが、15年も報道番組「スーパーニュース」のメインキャスターとして君臨した“女王”安藤優子と、バラエティー「トリビアの泉」でMC経験がある俳優の高橋克実を情報番組「直撃LIVE グッディ!」(午後1時55分~)の進行役に起用したこと。
終了後に続けて放送される報道番組「みんなのニュース」(午後3時50分~)と合わせた5時間を生放送に切り替えた。その背景には、独走状態の「ミヤネ屋」の存在があった。
「ミヤネ屋」は近年、午後の時間帯では唯一の生放送枠として、注目を集めた記者会見や事件を独占して報じてきた。その高視聴率番組にフジが果敢にも挑んだ、まさに「社運を賭けた勝負」なのだ。フジ社員が解説する。
「上層部は『グッディ!』では特に芸能ネタの強化をはかり、『ミヤネ屋』に対抗しろと指示している。『ここで勝てないとフジは勝てない』とまで言われています。視聴率を上げて、その後のゴールデン番組にも弾みをつけたいと考えているのです」
初回放送は、連ドラで医師役を演じる斎藤工がわざわざ白衣姿で登場した。すると安藤は、
「私27年間ニュースをやってきて、それが終わった途端、39度の熱が出たんです。今日も本調子じゃないの。診てほしい!」
と、相変わらずの報道愛をチラつかせつつも、セクシー俳優にノリノリで絡んだ。が、トップニュースは「三菱電機の液晶テレビが突然真っ暗になるトラブル」と地味な上、芸能ニュースを解説する週刊女性編集部の荒木田範文氏の肩書をテロップで「週刊文春」と間違えて訂正するというバタバタの展開だった。
その分、首位にある「ミヤネ屋」はそつのなさが際だった。司会の宮根誠司はいつもどおりの笑みを浮かべ、「他局も変わりましたから」とあえて触れた。リニューアルしたスタジオセットは「大塚家具です。全部」と時事ネタでボケる余裕を見せつけ、結果は視聴率に顕著に表れた。
「グッディ!」は第1部3.6%、第2部2.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)だったのに対し、「ミヤネ屋」は7%台。ダブルスコアでフジが惨敗した。
上智大の碓井広義教授(メディア論)が分析する。
「安藤さんは今までの夕方のニュースと変わらない印象。彼女は顔に出るタイプで、やわらかいネタでの反応の鈍さが視聴者にはわかりやすかった。常に『私が』と前に出ていこうとする安藤さんに対し、高橋さんはまだ自分をどう位置づけるかがつかみきれず、制作側もそこが見えておらず、視聴者もどう見ていいのかわからなかった」
前出のフジ社員も言う。
「安藤さんが自分の言いたいことを半分に抑え、『オバちゃんキャラ』になりきれたらという意見も出ています。ただ、スパルタな安藤さんと、テンパった自分を隠さない高橋さんのコンビが夫婦漫才のようなやりとりでハマってくると数字は上がるのではないか」
(週刊朝日 2015年4月24日号より)