記事をアップするのを忘れていましたが、先日、例のSMAP問題に関して、「しんぶん赤旗」でコメントしました。
SMAP「独立騒動」
疑問残る「謝罪番組」
見えた芸能界のブラックぶり
人気グループSMAPの独立騒動では、18日のフジ系バラエティー番組「SMAP×SMAP」にメンバー5人がそろって、「謝罪」しました。でも、スッキリしないのはなぜ? 騒動で明るみに出たのは、「大物アイドル」ですらあらがうことができない芸能界のブラックな実態でした。(取材班)
番組の冒頭、SMAPの5人は黒いスーツ姿で登場。顔をこわばらせながら「申し訳ございません」と頭を下げましたが、最後までグループ存続についての明言は避けました(発言は別表)。番組を見た本紙読者から「あまりにも前時代的で背筋が凍る思い」(東京都・女性)などの感想が届き、BPO(放送倫理・番組向上機構)にも多くの意見が寄せられたといいます。
芸能問題に詳しい上智大学新聞学科の碓井広義教授(メディア論)は、「SMAPがファンに謝罪した形ですが、まるで(所属する)ジャニーズ事務所に対する謝罪を公開の場でやらされているかのように見えました」と、番組で謝罪させた「異様さ」を指摘します。
騒動の発端は、番組の数日前にスポーツ紙が事務所の内紛を報じたことでした。実権を握るメリー喜多川副社長と対立するSMAPのマネジャーが、木村さんを除くメンバーを連れて独立を画策した、というものです。
碓井さんによると、こうした事務所の内紛劇がここまで公になることはなかったといいます。しかし、事務所の派閥争いに「持ちつ持たれつの関係」にあるメディアへのリークが使われ、いったん外に漏れた情報は火だるまのようにネット社会を駆け巡る…。「今回のような騒動であれば、メンバーが謝罪するのでなく、内部のゴタゴタを引き起こした事務所のトップが出てきて謝るべきです」
気になるのはSMAPの今後。事務所との契約が切れる9月以降、テレビなどの仕事が減るのでは、との懸念も伝えられています。
「もし、彼らが圧力で干されるようなことになったら、テレビは国民から見放されてしまいます」と危機感を語るのは、テレビコラムニストの桧山珠美さん。「『わびを入れる』とか『メンツ』とか、やくざと変わらない芸能界のお粗末な裏世界が見えてしまいました。日本を代表するアイドルのSMAPですら、独立する自由がないのかと失望する人も多かったのでは」
ブラック企業被害対策弁護団の代表を務める佐々木亮弁護士は、メンバーを労働者に置き換えると「退職妨害という、最近のブラック企業と共通するものがある」と事務所側の対応を批判します。「背景には、日本の芸能人の地位の低さがあります。労働組合があり不利益を課さないようにやっているアメリカと比べ、日本の業界のブラックぶりは明らか」だと、労働組合の必要性を訴えます。
桧山さんも、「ファンや視聴者が声をあげてたたかわなくちゃいけない」と語ります。「芸能界のあしき慣習をこのままにしていいのかと。声がどんどん大きくなって、もしかしたら一アイドルグループの解散騒動が、大きな成功体験になるかもしれません」
番組でのメンバーのコメント(発言順)
木村拓哉さん このままの状態だとSMAPが空中分解になりかねないと思い、今日は自分たち5人がしっかり顔をそろえて皆さんに報告することが大切だと思いました。
稲垣吾郎さん 世間をお騒がせしてしまったこと、申し訳なく思っています。これからの自分たちの姿を見て応援していただけるよう頑張っていきます。
香取慎吾さん たくさんの方に心配をかけてしまい、申し訳ございませんでした。みなさんと一緒に、今日から笑顔をつくっていきたいと思っています。
中居正広さん 今回の件で、SMAPがどれだけみなさんに支えていただいているのかを、あらためて強く感じました。
草剛さん 今回、ジャニーさんに謝る機会を木村君が作ってくれて、今僕らはここに立てています。5人でここに集まれたことを安心しています。
木村さん 最後に、これから自分たちは何があっても前を見て、ただ前を見て進みたいと思います。
(しんぶん赤旗 2016年1月24日付)