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Channel: 碓井広義ブログ
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bayfm「金つぶ」で話した報道番組のこと(要約)

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1日の夜、bayfm「金つぶ」に生出演しました。

報道番組について話をしたのですが、その概要をニック土屋さんがまとめて下さり、番組サイトにアップされました。

ニックさん、ありがとうございます。

以下に転載させていただきました。



今回のテーマは、「今、報道番組で何が起きているのか?」でした!

この春、テレビ各局の報道番組の“看板キャスター”が軒並み変わっています。

NHK「クローズアップ現代」の、“国谷裕子”さん、TBS「NEWS23」の、“岸井成格”さん、テレビ朝日「報道ステーション」の、“古館伊知郎”さんと、人気キャスター、アンカーマンが相次いで降板しました。

この同時降板劇に関して、“海外のメディア”は、次のように伝えています。

イギリス大手一般紙“ガーディアン”は、2月17日付で、3人の降板を「政治的圧力の中、日本のテレビアンカーたちが降板する」というタイトル記事を公開し、ウェブ版で全世界に発信しています。

そして、イギリスの経済紙“エコノミスト”も2月20日に、「日本におけるメディアの自由 アンカーたちがいなくなった」というタイトルで、英米のジャーナリズムと比較して批判しています。

“エコノミスト”の記事では、NHK「クローズアップ現代」での“菅義偉”官房長官のインタビューが、“国谷裕子”キャスター降板の原因ではないかと、伝えています。

その背景として同紙は、「菅氏は、ジャーナリストの質問に対し、事前予告を通告し、報道組織を厳しく監督することで知られている。しかしインタビューの中で、国谷氏は無謀にも“新しい安保法”が日本を戦争に巻き込む可能性があるのではと質問した。

イギリスやアメリカの基準からすれば、2人の議論は退屈なものだったが、日本のテレビ・ジャーナリストというのは、めったに政治家に対してハードな質問をぶつけたりしない。菅氏の周辺は、こうした国谷氏の質問に激怒した」と書かれています。

(以上、2月24日 LITERA参照)


この春の相次ぐ“キャスター”、“アンカーマン”の降板は、“政治的圧力”があったのではないかと、海外のメディアが報道しています。

今、日本のニュースや報道の現場ではどんなことが起きているのでしょうか?

ということで、今回は、「あなたはニュース/報道番組に何を期待していますか?どんなニュース番組が好きですか?今、気になっているニュースはありますか?」という質問をリスナーに投げかけ、座談会していきました。

報道の自由度ランキング!

パリに本部がある国際NGO“国境なき記者団”は、毎年“報道の自由度ランキング“を発表しています。

これは、その国の“メディア”の“独立性”が高く、“多様性”、“透明性”が確保されていて“インフラ”が整備され、“法規制”や“自主規制”が少ないほど、メディア報道の自由度が高いとされる指標です。

ランキングは、2002年から2015年まで発表されていますが、これまで、“ノルウェー”、“フィンランド”、“デンマーク”など“北欧の国”が上位を占めてきました。

“日本”は、2010年に“11位”でしたが、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故後の”情報の開示”や”取材制限”などの問題が影響し、2012年には“22位”にランクダウン。

その後も、”53位”、”59位”と下落し、2015年には、ついに”180ヵ国”中、”61位”までランキングを下げています。

また、2013年成立した“特定秘密保護法”も、順位の下落に拍車をかけたのではないかと見られています。

ちなみに、特定秘密保護法は、指定された“機密情報の漏えい”に関わった者を処罰する法律です。

(以上、2015年3月14日 THE PAGE 参照)


≪ゲストコーナー≫

上智大学文学部・新聞学科教授の碓井広義さんをお迎えして、「ニュース/報道番組」に関して、お話を伺いました。

同時降板劇の背景は?

この春、報道番組を降板することになった、国谷さん、岸井さん、古館さんの3人は、言うべきことを言う、“現政権”にとっては“うるさ型”の人たちでした。

何か圧力があって“辞めさせられたわけでない”と言ってはいますが、“3人同時降板”というのは、何かあったのではないかと感じざるを得ないそうです。これは、“テレビ局側”の“政権”に対する、一種の“忖度”(そんたく)であり、放送局として“配慮”したのではないかと、碓井さんは見ています。

ニュースキャスターはどうあるべきか?

ニュースを淡々と読み上げる、アナウンサーとは違い、“キャスター”や“アンカー”は、“自分”という“フィルター”を通して、政治や経済を語っていいし、“起きていること”の“奥”や“裏側”にも言及すべきだそうです。

「自分としては、こんな考え方ですが、皆さんはどう思いますか?」という具合に、自分自身のモノの“見方”があり、“違和感”を口にし、“バランス”も考えるというのが、キャスターの役目です。それがなければ、キャスターではないと碓井さんは考えています。

公平中立な報道とは?

1960年代後半、TBSの報道番組「ニュースコープ」のキャスターだった“田英夫”さんは、“ベトナム戦争”で“アメリカ”に爆撃されている、“北ベトナム”に取材に行き、その実態をリポートし、放送しました。

これに対し、“放送行政”に影響力を持つ、当時の“自民党の総務会長”が、「偏向している」と、クレームをつけています。結局、田さんは実質的にキャスターを降板させられ、TBSを去りますが、その後のベトナム戦争の経緯を考えると、“事実”を伝えたその行動は正しかったと歴史的に証明されています。

報道される内容が、“公平中立”か、また“偏向”しているかは、一体誰が判断するのか? 少なくとも、“政治権力”が簡単に判断すべきではありません。

“権力”というのは、“圧倒的な力”を持っています。そのため、ある事柄に対して、“賛成”、“反対”の意見を“半分ずつ”放送したとしてもそれは必ずしも、“公平中立”であるとは言えない場合もあるそうです。

自主規制が一番怖い!

今年の2月に、“高市早苗”総務大臣が、“放送法”の規定をもとに放送の内容によっては、将来的に“電波停止”もあり得ると発言し、波紋を呼んでいます。

ニュースを報道する“現場”では、この発言に対して目に見える形ではなく、“心理的”な影響があるのではないかと、碓井さんは見ています。“同調圧力”により、“面倒な政治案件”は扱わないというような放送局の“内部的自主規制”が起きる、あるいは起きている恐れがあるそうです。報道する側が、流れに従ってしまうと、私たちが本当に“知るべき情報”が入ってきません。こうした“自主規制”が一番怖いそうです。

政権はメディアの力を知っている!

今は、テレビやラジオで報じたことが“ネットで拡散”される時代です。かつては目に見えなかったメディアからネットで拡散されていく声、その影響力を政権は非常に意識しています。

“政権側”は自らにとって、“マイナスイメージ”となるニュースが伝わることをよしとしていません。逆に、“都合の良い情報”は伝えたいと思っています。この10数年を振り返ってみると、“安倍政権”ほど、”メディア”に対して”過敏”になっている政権はなかったのではないかと、碓井さんは見ています。逆に言うと、それだけ安倍政権は、“メディアの力”をよく知っているとも言えます。

放送法が生まれた経緯!

かつて戦争時の“翼賛体制下”で、日本の新聞やラジオは権力に従い、“日本は勝っている”と、事実に反する報道を伝え続けた歴史があります。その反省に立って戦後、“放送局”は“権力”から“独立”して、“正しく”情報を伝えていこうという精神から、“放送法”ができました。しかし今は、政権がその放送法を盾にして、メディアを抑え込もうとしているのではと、碓井さんは危惧しています。

最近の若者はネットでニュース!

碓井さんが教鞭をとっている、上智大学文学部新聞学科は、新聞だけでなく、マスコミに関する総合的な勉強をしているそうです。ちなみに、新聞学科という名称は80年前から使われていますが、現在、全国で2つしかないそうです。

最近の大学生は、“スマートフォン”でニュースをチェックしており、テレビはあまり見ないそうです。見たとしても、それは興味あるものであり、自分の身近なモノにしか関心がないようです。ネットのニュースに上がっていないことは、世の中で起きていないと思い込んでいる節があるそうです。ネットに掲載されているニュースが、全てでなく、一部であることも若者に伝えていかなければばらない時代だそうです。

ニュースバリューは優先されているか?

“現場の記者”がニュースになると感じ、どの程度の価値があるのか、“ニュースバリュー”が優先され、報道番組は作られていきます。しかし最近、その“判断基準”が揺らいでいるようです。みんなに“ウケる”ことを優先し、“報道番組”が“バラエティ化”している傾向があるそうです。新聞は、“記事の大きさ”や“ページ”、紙面を見れば、何を重要にしているかがひと目で分かります。

一方、テレビのニュース/報道番組は、“トップにくるかなどの順番”、“時間の長さ”、“視点”で、何を重要としているのかを知ることができます。しかし今や、公共放送ですら、芸能ネタがトップになることもあり、本来“伝えるべきモノ”を伝えていないのではと、碓井さんは心配しています。

ニュース/報道番組には何が必要なのか?

ニュース/報道番組に必要なことは、“見ている人”、“聴いている人”、“市民”にとって“重要な内容”かどうかです!もちろんその中には、“耳に痛い”ことも含まれています。“SNS”の発達によって、誰もが情報を発信できる時代になりました。だからこそ、“プロフェッショナリズム”とは何かということが問われます。

インターネットの“速報性”には敵いませんが、既存メディアは情報の“裏を取る”という“確認作業”を長く行ってきた実績があります。既存メディアは、“正確性”、“信頼性”、“奥行き”があり、重要な役割を果たしていることを再認識すべきです。

対話の場を提供する!

既存メディアの人たちは、ネットの反応を気にせざる得ない状況になっています。しかし、ネットの情報をそのまま出すわけにもいきません。ネットは、ユーザーそれぞれが自分の好みがあるものについてはいいのですが別ジャンルのモノ、自分に関心がないものは、世の中で起きていないという”情報の回路”が”分断”されてしまう傾向にあります。

自分は普通だと思い込み、他の相手に対してレッテル貼りをし、ある種の閉じられた、限られた情報回路だけになってしまいます。ですから、これから既存メディアは、情報を分断されているネットの住民に”対話の場”を提供していく必要があります。分からなければ聞けばいいし、そうすることは決して恥ずかしいことではありません。視野を広げるのが大切です!

どんなことを意識すればいいのか?

何ができるのか?

複数の情報源を持ちましょう!

ネットだけでなく、たまにはテレビやラジオ、新聞もチェックしましょう!

簡単に情報を鵜呑みしてはいけません!

情報には必ず送り手がいます。誰がどんな意図でその情報を送り出しているのか想像しましょう!

自分の頭で判断しましょう!

これまで培った、自分の知識、経験、感覚によって判断することが必要です!権力が、自分たちに都合の良いことは伝え、都合の悪いことは伝えないようにする“メディアコントロール”を行うと、いろいろな回路やルートから入ってくる情報が限られていまい、一部の情報しか入らなくなってしまいます。

そうしたことも意識して、複数のルートから情報を得て、最後は、自分で判断することを習慣づけましょう!

≪今週の金のつぶやき≫

人気キャスターの同時降板劇を入口に、現在ニュース/報道番組の現場はどうなっているのか?また私たちは、メディアからどのように情報を得ればいいのか?を碓井さんに分かりやすく解説して頂きました。

新装開店の“金つぶ”いかがでしたか? 時間は短くなりましたが、その分内容がギュッと詰まっていると感じて頂ければと思います。

(「金つぶ」番組サイト 2016.04.04)


「金つぶ」の姫、乃木坂46の衛藤美彩さん

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