“ゲスの極み乙武”だけじゃない
有名人の不倫「トンデモ言い訳」
“ゲスの極み乙武”なる言葉も生まれた乙武洋匡氏(39)の不倫騒動。HPに妻と連名で謝罪文を掲載して“炎上”。2月に20年不倫を暴露された桂文枝師匠はとにかく家族に平謝り。
発覚時の対応次第で、「その後」は大きく左右される。著名人のコメントから、失敗・成功のポイントを、識者とともに見ていこう。
3月末、晴れて梨園の妻となった藤原紀香の元夫・陣内智則(42)も、2009年、離婚会見で話した。
「私の未熟さ、心の弱さ、家庭を持つという責任を果たせず、浮気をしてしまった。全ては僕の責任です」
と“平謝り系”。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは、「紀香を守ったところは偉い」と高評価だ。
3月には、米米クラブの石井竜也(56)とファンとの「東北被災地不倫」も。「自分自身に深く失望しております。なくした勇気と自信を、もう一度取り戻す」。
「曲をつくるだけあって言葉のチョイスがうまい」と上智大学の碓井広義教授(メディア論)は指摘する。
見事な麗句と対応の素早さも奏功したが、よその不倫騒動で沈静化。乙武がいるだけで石井の心が強くなったかどうか。
自身の不始末を、妻も登場させて沈静化を目論む「妻が尻拭い」系も多い。
11年、ホステスとの議員宿舎不倫が報じられた後藤田正純衆院議員に代わり、「私が至らなかったので、夫に不始末をさせてしまいました」と支援者に謝ってまわったのは妻の水野真紀(46)。夫であるクリントン大統領(当時)の浮気を、ヒラリー・クリントン氏(68)は「右派の陰謀」と言いきってかばった。
深夜の“現場”を写真誌に報じられた布袋寅泰(54)も、妻によりかかる。「(今井)美樹ちゃんは今回の報道に関しても笑って許してくれました」
だが、いつも妻に頼って事が収まるとは限らない。育休不倫の宮崎謙介前衆院議員(35)は、妻の金子恵美衆院議員(38)に「恥をかいてきなさい」と会見に送り出され、過去にも女性を「傷つけた」とぽろり。しっかり恥をかいた。
「妻の言葉足らずだったかも。あなたは恥をかいてきて、でも私と有権者は傷つけないでとしっかり言えばよかったのに」と岡野さん。
碓井教授も「金子さんの“よくできた妻”ぶりが強調され、保身も見え隠れする」と夫妻ともに斬る。
かつては峰竜太の不倫会見に同席した海老名美どり、川崎麻世の会見でにらみを利かせたカイヤなど、安易な妻頼みがその後、収拾不能の事態に発展する場合もあるので注意したい。
夫妻連携が成功したモデルケースは、浜田雅功(52)と小川菜摘(53)だ。不倫発覚後のコメントで、「羽を伸ばし過ぎ、その羽は、家族にへし折られました」という浜田に併せ、小川が「伸ばし過ぎた羽根を、家族にバキバキに折られ、その羽根をそっと畳み、意気消沈ゴリラになっています」とブログでコメントした。
「夫婦漫才としても素晴らしい作品。家の様子が目に浮かぶリアリティーもある」と碓井教授は絶賛。
岡野さんも「夫婦はいつまでも男女ではいられないが、よき同志になれると教えてくれる」。
疑惑自体を否定する、という方策はどうか。至近な例は今年の不倫暴露合戦の火つけ役ともいえる“ゲス不倫”のベッキー(32)。
「お付き合いということはなく、友人関係であることは間違いありません」
その後、さらなるLINE画面の流出で火だるまとなったのは周知の通り。古くは1989年、神楽坂芸妓とのスキャンダルが首相辞任の遠因になった宇野宗佑元首相のように、最後は「明鏡止水の心境であります」と一切の思慮を捨てるという手もあるが、火消しの好例とはいえないだろう。
不倫騒動では炎上・鎮火にキャラも大きく貢献する。会社員との不倫が露見し、「酔ってお城だと思って(ラブホテルに)入っちゃった」と話した杉田かおる(51)に、思わず噴き出した人は少なくないはずだ。
「嘘に聞こえないし、本人のイメージが下がらなかった」と碓井教授。
実はこの「開き直り型」、けっこう多い。
矢口真里(33)は騒動直後に「一緒に住んでます」と発言し、炎上した。だが、なかには、後世に残る“名言”も。森本レオ(73)は年下女性との関係を「異文化交流みたいなもん」と豪語し、元祖トレンディー俳優、石田純一(62)は「文化や芸術といったものが不倫から生まれることもある」と発言し、大バッシングされたものの、20年の時を経て、「言葉の意味が深い。哲学のよう」(岡野さん)。
「好きになったひとにたまたま家庭があったの」。現在の夫、糸井重里と交際中だった樋口可南子(57)のセリフだ。
古谷一行(72)はAV女優との情事を問われ、「関係を持ったという事実に対しては後悔していませんが、表沙汰になったことは後悔しています」。
潔さに芸能記者は虚を突かれた。現場を直撃された“セクスィー部長”沢村一樹(48)は最後に言った。
「いやもう、したでもいいですよ。バックでしました」
もうこうなると一回転して好感触か。よい子のみなさんはまねしないでね。
<炎上>
▼嘘をつく
▼自己中、自己防衛(相手への配慮がない)
▼無自覚が透けてみえたとき
<沈静>
●いろいろな意味で正直
●許せるキャラである(言動とリンク)
●よいパートナーに救われる
(碓井教授による)
(週刊朝日 2016年4月15日号)