日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。
今週は、TBS日曜劇場「99.9―刑事専門弁護士―」について書きました。
TBS系 日曜劇場「99.9―刑事専門弁護士―」
緩急自在の芝居にハズレなし!
香川照之が出ている「日曜劇場」にはハズレがない。「半沢直樹」「ルーズヴェルト・ゲーム」「流星ワゴン」、そして今回の「99.9―刑事専門弁護士―」だ。
主役は嵐の松本潤。飄々としていながら、「事実が知りたいんです」と言って、とことん事件を追究する弁護士、深山大翔を好演している。どんなに逆転するのが難しそうな案件であっても、同僚弁護士の榮倉奈々やパラリーガルのマギーや片桐仁(怪演に拍手!)の力を借りつつ、その真相に迫っていくのだ。
香川が演じる佐田は、深山が所属する刑事専門ルームの室長だが、本来は企業弁護のエキスパートだ。元検事で野心家。超マイペースで暴走気味の深山にブレーキをかけたり、時には手柄を横取りしたりする。ハラに一物も二物もあるこの男を、香川は緩急自在の芝居で造形していく。
しかもここ数週ほど、18年前の事件の再審請求にからんで、佐田の過去が浮かび上がってきた。宇田学のオリジナル脚本は、しっかりした伏線とその回収が毎回見事だが、ドラマの後半戦に入ってますます冴えている。松本潤と香川照之の本格勝負もこれからだ。
そうそう、佐田が唯一言いなりになってしまう年下妻役の映美くらら(元・宝塚月組トップ娘役)がいい味を出している。“ポスト檀れい”の出現かもしれない。
(日刊ゲンダイ 2016.05.25)