日刊ゲンダイで、フジテレビの月9ドラマ「カインとアベル」について、コメントしました。
フジテレビ月9「カインとアベル」
初回史上最低
8.8%の大ショック
放送枠の消滅もウワサされるフジテレビ「月9」の凋落が止まらない。17日放送の「カインとアベル」が初回の平均視聴率8・8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。昨年7月期「恋仲」の9.8%を下回り、初回視聴率の最低を更新したのだ。
主演はジャニーズの人気グループHey!Say!JUMPの山田涼介(23)。旧約聖書の「創世記」がモチーフで、優秀な兄に対し、複雑な気持ちを抱く弟の“成長”を描いたヒューマンラブストーリーだ。
ドラマを見た上智大教授の碓井広義氏(メディア論)はこう言う。
「一言で言えば、“チープ感”でいっぱいです。まず、主人公の山田君に『月9』を引っ張るだけの存在感がない。桐谷健太以外のキャストにも“凡作感”が漂っています。物語も兄弟の葛藤なのか、恋愛なのか、ミステリーなのか、何を描きたいのかハッキリしません。予算削減の影響でしょう、セットもまるで“昼ドラ”のよう。このままでは第2話以降、視聴率が急落する可能性は高いです」
■局内に吹き荒れる亀山社長の悪評
今期のドラマは、まさにフジの“独り負け”だ。初回視聴率をみると、米倉涼子主演のテレ朝「ドクターX」が20.4%という驚異の好発進。織田裕二主演のTBS「IQ246」は13.1%、石原さとみ主演の日テレ「地味にスゴイ!」も12.9%の好スタートだ。フジで“10%超え”しているドラマはひとつもない。
実はフジ社内の雰囲気も開局以来、最悪だという。上司のパワハラ疑惑や心を患う社員など“悪い話”が後を絶たないのだ。視聴率の低下とともに業績も悪化していて、今年の夏のボーナスはすでに3割カットされている。「楽しくなければテレビじゃない」を旗印に、わが世の春を謳歌したのも今は昔。最近ではテレビ東京の後塵を拝すことも多い。一体“元凶”は何なのか。社員らが異口同音に言うのが、亀山千広社長の悪評だ。ある社員は不満をこうブチまける。
「フジの幹部が集まる定例会があるのですが、そこで亀山さんが『今年の冬のボーナスをゼロにしろ』『リストラを検討しろ』と言い出しているらしいんです。業績を改善するために数字を作ろうとしているのですが、まずは自分自身がここまでの低迷を招いた責任を取れという話です」
失敗のツケを社員に押しつけるためのコストカットなら誰でもできる。フジにまず必要な“処方箋”は、成功体験から抜け切れない“亀のクビ”のすげ替えじゃないか。
(日刊ゲンダイ 2016.10.20)