「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。
勝目 梓 『異端者』
文藝春秋 1836円
今年84歳を迎えた官能文学の大御所が、タブーとされる異端の性愛を描く。主人公は、南房総の古いリゾートマンションで暮す新垣誠一郎。老境を迎えた男が、自ら封印してきた過去の秘事をふり返る。行間から立ち昇るエロスの香りは、勝目マジック健在の証しだ。
坂口昌弘
『ヴァーサス日本文化精神史~日本文学の背景』
文學の森 2430円
空海と親鸞、芭蕉と一茶、小林秀雄と山本健吉など、16の対比(ヴァーサス)によって日本文化・文学を貫く精神を探ろうという大胆な試みだ。たとえば釈迦とキリストの章では慈悲と愛、さらに「戒」が検討されていく。異質性と同質性から見えてくるものは何か。
(週刊新潮 2016.10.20号)