小林麻央さんブログ、共感呼び読者数127万超
…専門家「言葉に勝る薬はない」
がん闘病、連日の更新
乳がんで闘病中のフリーアナウンサー、小林麻央さん(34)の公式ブログに、共感の輪が広がっている。病気への不安や家族への思いなどをありのままに書き込んだブログは、9月の開設から3カ月で読者数が127万人を突破。芸能人ブログの中でも断トツの数で、日々、増え続けている。読者からは、小林さんへの励ましの言葉とともに「一緒に頑張ろうね」といったコメントも相次ぎ、多くの人を力づけている。(豊田昌継)
海老蔵さんブログも上回る
〈力強く人生を歩んだ女性でありたいから子供たちにとって強い母でありたいからブログという手段で陰に隠れているそんな自分とお別れしようと決めました〉
「なりたい自分になる」と題して小林さんがブログ「KOKORO.」を始めたのは9月1日。夫の歌舞伎俳優、市川海老蔵さん(38)が小林さんの乳がんを公表して約3カ月後。テレビのワイドショーやスポーツ紙なども速報の形で大々的に報じた。翌2日にはかつらを装着した写真、同21日には病床の写真とともに、ほぼ連日のように更新している。
ブログを運営する「Ameba(アメーバ)」によると、登録読者数は12月4日午後7時現在で127万6739人。芸能界随一のブロガーとして知られる海老蔵さんの約88万をも上回る。1日あたりのアクセスランキングも、ほぼ毎日、芸能人部門1位だ。
昨3日には「はなまる」との題名で、温浴療法に取り組む水着姿の写真とともに、〈治療のためのスケジュールを予定通りクリアできるだけで“はなまる”です〉と喜びを記した。読者らの賛同を示す「いいね!」のクリック数は5万を超え、寄せられたコメントは1300件以上。
〈私も手術が終わりました。私も麻央さんと一緒に歩んでいます〉〈温浴療法は…体を温めるからダメだと思い込んでいました。勉強し直さなきゃあ!〉など、同じく闘病中とみられる人の声も多数寄せられている。
「言葉による免疫力」
ブログを通してがんと闘う人々に勇気を与え、共感を呼んだことが評価され、英公共放送BBCが選ぶ「今年の女性100人」にも選ばれた。
こうした現象に、がんの闘病に詳しい産婦人科医で日本笑い学会副会長の昇幹夫氏は「言葉による免疫力の効果は実証されている。医学的に厳しいといわれる状況でも、多くの応援をもらうことで病気克服につながった例はいくらでもある。それは応援する同様の患者も同じ。言葉に勝る薬はない」と指摘する。
一方、芸能界やメディア事情に詳しい上智大学の碓井広義教授(メディア論)は「ブログは毎日、記者会見を開いて情報を出すようなもので、それによって、外部が発信する自分に関するマイナス情報によるストレスから解放される面もある。思い切った決断が奏功していると思う」としたうえで、「芸能人は寝ている以外は、たとえブログでも他人に見せたい自分を演じている。でも、彼女は究極状態にある一人の人間として世間と同じフィールドに立っている。それが伝わってくるから多くの人から共感されるのではないか」と話している。
(産経新聞 2016.12.5)