毎日新聞で、「紅白歌合戦」についてコメントしました。
紅白歌合戦
強まるバラエティー色、狙いは視聴率回復?
大みそかに放送される第67回NHK紅白歌合戦。昨年は8年ぶりに、1、2部ともに視聴率が30%台にとどまった(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。今年は、目玉のSMAP出演はかなわなかったが、バラエティー色をさらに強めて人気回復を図る構えだが、成否はいかに--。
30日、会場となる東京都渋谷区のNHKホールでリハーサルがあり、出場歌手が取材に応じた。東京都庁前から中継で出場するTOKIOの国分太一さん(42)は「NHKホールでは見せられないようなパフォーマンスとエンターテインメント性を見せられると思う」と自信を見せた。
出場歌手は全46組。矢島良チーフプロデューサーは選考基準を「今年の活躍、世論の支持、番組の企画演出に合致する歌手」と説明するが、国民的ヒットソングが少ない中、基準が見えにくくなっている。うち6組がメドレーを歌い、デビュー曲での出場もある。
一方、企画枠では今年海外で注目されたタレントの渡辺直美さんと「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」のピコ太郎さんがショーを披露。人気映画「シン・ゴジラ」も登場し、タモリさん、マツコ・デラックスさんもゲスト出演する。
審査員でも話題作りに余念がない。出場歌手の一人、星野源さんとドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS)でカップルを演じ、注目を集めた俳優の新垣結衣さんを選んだ。
こうした番組の変化について碓井広義上智大教授(メディア論)は「今年の活躍が明確ではない歌手は選ばないという努力は見られる」と評価する一方で「番組の哲学がなく、バラエティーなのか歌番組なのかわからない」と指摘する。
バラエティー色を強めていることについて矢島氏は「1年を締めくくる歌の祭典だが、テレビの祭典でもある。いろいろな要素から今年はこういう1年だったと振り返ってもらいたい」と話している。
放送は、総合テレビとラジオ第1で31日午後7時15分から。【須藤唯哉】
(毎日新聞 2016.12.30)