「週刊新潮」に、以下の書評を寄稿しました。
矢野誠一
『新版 女興行師 吉本せい~浪花演藝史譚』
ちくま文庫 734円
10月に始まったNHK連続テレビ小説『わろてんか』。ヒロイン・藤岡てんのモチーフは吉本興業創業者の吉本せいだ。本書では、本人はもちろん桂春団治やエンタツ・アチャコなどの実像も活写される。山崎豊子の小説『花のれん』(新潮文庫)との併読も面白い。
吉本ばなな 『人生の旅をゆく 3』
NHK出版 1512円
ベルリンへのリアルな旅も引っ越しという移動も、このエッセイ集では大切な「人生の旅」だ。その途上で遭遇する父(吉本隆明)や母など親しい人との別れが、読後に強い印象を残す。何かを失い、再び立ち上がろうとする人には、収載の「手を動かす」を薦めたい。
木村 誠
『大学大倒産時代~都会で消える大学、地方で伸びる大学』
朝日新書 821円
来年から始まる18歳人口の本格的減少。毎年10万人もの受験生が消えていくことで、大学はどうなるのか。教育ジャーナリストの著者が、早慶から地方の国立大学まで、その経営、研究、志願者獲得策などを探っていく。中でも大学と地域社会の関係は重要課題だ。
(週刊新潮 2017.10.12号)