税金1億7000万円を使って誕生する
「タレント上西小百合」の今後
きたる衆院選に向けて永田町がザワつくさなかの9月25日、上西小百合氏(34)が不出馬を表明した。今後は「タレント的な活動」(記者会見より)を行う旨を明かし、芸能事務所と契約するとも報じられているが、果たして彼女に我々の“血税”はいくら使われたのか――。
2012年12月の衆院選で政界デビューした上西氏を有名にしたのは、15年の“国会サボり”疑惑だった。これを受けて維新の党が除名をしたのが同年4月、以降は無所属の国会議員として活動を続けてきた。
およそ57カ月にわたったその代議士生活に支払われた費用を、政治ジャーナリスト氏に試算してもらうと、
「まず国会議員には月129万4000円の歳費が支払われます。加えて年に2回“ボーナス”である期末手当があり、これは年間で約600万円。加えて文書通信交通滞在費という“領収書のいらない金”が月100万円です。さらに会派に交付される月65万円の立法事務費があり、上西さんは昨年1月に『大阪未来創造会』が一人会派として承認を受けています。ざっと見積もって、1億7000万円の税金が投入されていますね」
これだけでも驚きの金額だが、上西氏の元秘書はこう打ち明ける。
「前回の総選挙の際には、選挙費用として300万円~500万円が選挙費用として党を介して支給されていますし、忘れていけないのが上西さんの父も公設秘書として雇われていた点。給与と退職金あわせて、2000万円は税金から出ているでしょう」
「サンジャポ」ギャラにケチ
とはいえ国会議員、何かと支出も多いのでは――元秘書が続ける。
「とんでもない、彼女は“シブチン”ですよ。例えば、選挙活動のために東京にいる秘書を地元に呼ぶ時、普通はホテルを手配します。ところが上西さんが秘書に用意したのは、支援関係者が持っている葬儀場。これなら宿泊費がタダというので、お通夜に使う部屋に寝泊りさせていたんです。さらに、2度目の選挙の際は運動員を雇うのをケチり、ボランティアの人たちに手伝わせていました。それも当選後、彼らにお礼の電話もなかったみたい。ある方が苦言を呈すると、『弁当代は出しただろ』と上西さんのお父さんに言われたそうです」
このあたりはまだ、税金の節約と取れなくもないのだが、
「2015年に上西さんが初めてTBSの『サンデー・ジャポン』に出演した時、ギャラは3万円でした。これに“安すぎる”とケチをつけ、今はテレビに出る時には3、40万円を要求していると聞きます。単純にお金が好きなのでしょう」
杉村太蔵との違い
それでも国会議員としての実績があったのなら、まだいいはずだ。上西氏は不出馬の意向を明かした会見で、「救急救命士の処置範囲の拡大」や「森友学園の追及」を、“成し遂げたこと”に挙げている。
「救急救命士の処置拡大は、政治経験のある秘書がかねてから関心を持っていたもので、上西さんはそれに乗っかっただけ。さらにいえば、一連のタレント的な活動も、スポーツ紙やテレビ局に顔が利く元秘書の“プロデュース”なんです。どうでもいいような彼女のSNSでの発言が記事になるのは彼がいるから。そういう人が後ろ盾にいるのを知っていましたし、どうせ3回目の当選はないと思っていました。今回の“タレント転向”をニュースで見ても驚きませんでしたよ。既定路線でしょう」(同)
上西氏の政界からの撤退を受け、早くも“薄口評論家”こと杉村太蔵氏(38)と比較する声がある。杉村氏の場合、“講演会での収入で年収1億円”と、その成功の程をテレビ番組で明かしているが、上西氏の今後はどうか。碓井広義・上智大学教授(メディア文化論)に分析して頂こう。
「たしかに顔と名前は知られていますが、国民は上西さんのこれまでの振る舞いを忘れていません。視聴者は彼女を求めていないでしょう。杉村さんは上西さんと違い、スキャンダルで失脚したわけではないですから、世間が抱く印象が違います。それに彼の場合、テレビを通して一生懸命な愚直さが伝わってきますよね。講演などに呼ばれるにはこうしたイメージが重要。それに比べ上西さんはご自分を客観視できていないのでは……」
それにしても、こんな人を政治家にしてしまった“維新”の罪は重い。税金1億7000万円の無駄遣いというほかないが……。
【週刊新潮WEB取材班】
(デイリー新潮 2017年10月19日)