テレビ朝日系
「ドクターX ~外科医・大門未知子~」
不易と流行の絶妙なバランス
ドラマのシリーズ物は、おなじみのメンバーが、おなじみのストーリーを演じるだけになった途端、視聴者が飽き始める。ベースとなる世界観を変えずに、細部は時代や社会とリンクさせながら変えていくこと。それをしっかり実現しているのが、米倉涼子主演ドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)だ。
たとえば今シリーズの初回。舞台となる東帝大学病院に、初の女性院長(大地真央)を誕生させた。彼女のモットーは「患者ファースト」。医学界や医師たちに清廉性を求めることから、ニックネームは「マダム・クリーン」だ。結局、不倫問題でクビを切られたが、出だしのインパクトとしては十分だった。
また普通なら、この女性院長を数週間は活用すると思うのだが、たった1週で舞台から下げてしまったことも驚きだ。「もったいない」と考えるより「贅沢感」を、そして「スピード感」を大事にしたのだろう。
それは第2話も同様だ。このシリーズから登場した「ゆとり世代の医師」の一人、伊東亮治(野村周平)を軸に物語が展開されたが、伊東は医師をやめてミュージシャンを目指すことに。好演した野村も1回限りだった。
一方、ブレない大門はもちろん、神原(岸部一徳)や麻酔科医の城之内(内田有紀)、蛭間(西田敏行)と取り巻き連中などの“変わらなさ”にホッとする。不易と流行の絶妙なバランスだ。
(日刊ゲンダイ 2017.10.26)