亀梨和也「FINAL CUT」
テレビの抱える“闇”にどこまで迫るか
フジテレビ系「FINAL CUT(ファイナルカット)」は復讐劇だ。家族の命を奪われた少年が恨みを忘れずに成長し、復讐を果たす物語。主人公の中村慶介(亀梨和也)は母親の恭子(裕木奈江)を失っている。
12年前、恭子が経営していた保育園の園児が殺害された。百々瀬塁(藤木直人)がキャスターを務めるワイドショー「ザ・プレミアワイド」は、恭子を“犯人あつかい”して追いつめる。その結果が恭子の自殺だった。
第1話でのターゲットは当時のディレクターで、現在は「ザ・プレミアワイド」のプロデューサーである井出正弥(杉本哲太)。そして第2話では、味方を装って恭子に近づき、恭子犯人説の放送を行ったフリーディレクターの真崎久美子(水野美紀)が狙われた。
このドラマの見どころは慶介の復讐と12年前の事件の犯人捜しだが、実はもうひとつある。ワイドショー、ひいてはテレビが持つ“暗部”を描いていることだ。ワイドショーの場合、報道番組なら常識である裏取り(事実確認)や取材手順の順守が十分ではないことが多い。「疑惑」という形で放送することが可能だからだ。
キャスターの百々瀬が言う。
「情報には2種類ある。知る価値のあるものと、人が見たいもの」
視聴率につながるのは後者であることを熟知しているのだ。今後、慶介がどこまでテレビの闇に迫るのか、注目したい。
(日刊ゲンダイ 2018年01月24日)