「週刊新潮」に、以下の書評を寄稿しました。
小路幸也 『駐在日記』
中央公論新社 1620円
物語の舞台は神奈川にある山合いの集落。昭和50年、前任地では刑事だった蓑島周平が、妻の花を伴い駐在所にやってきた。穏やかな人々が暮らす、のどかな田舎に、駐在夫婦の心を震わす不思議な事件が発生する。人情とノスタルジーに満ちた連作短編集だ。
コロナ・ブックス編集部
『牧野富太郎~植物博士の人生図鑑』
平凡社 1728円
77年前に刊行され、現在も売れ続けている『牧野日本植物図鑑』。稀代の植物博士の人物像と業績にスポットを当てたビジュアル版自叙伝だ。学歴は小学校中退。自らを「植物の愛人」と称した牧野。精緻にして美しく、また温もりのある植物図にその人柄が窺える。
林 香里
『メディア不信~何が問われているのか』
岩波新書 907円
著者はジャーナリズムが専門の東大大学院教授。今やメディア不信は世界同時多発の社会現象だと言う。新聞の信頼度がネットよりも低い英国。「おまえは、フェイク・ニュースだ」と大統領が叫ぶ米国。本書では豊富な海外事例を基に問題の本質に迫っていく。
(週刊新潮 2018.01.18号)