「とんねるず」のおかげだから
「フジ」が切れない「石橋貴明」
黄金時代のスローガン、“楽しくなければテレビじゃない”ではないが、“これじゃあまるで意味がない”。凋落の著しいフジテレビのお荷物と言われた「とんねるず」。その番組打ち切りがようやく決定したものの、新番組が始まるという。そこには、切るに切れない事情があって……。
1988年スタートの「とんねるずのみなさんのおかげです」から、足かけ30年。「みなさんのおかげでした」(みなおか)の3月終了が発表されたのは、昨年暮れのことだった。フジテレビ関係者は、
「近頃は視聴率が振るわず、度々、打ち切りが囁かれていました。多い時で1人あたり1000万円近かった高額のギャラが制作費の大半を占め、問題視されていたのです。昨年、亀山前社長に代わって就任した宮内社長が、聖域なき改革を打ち出し、各番組に視聴率のノルマを課しました。その結果、ようやく『みなおか』を打ち切ることになったのです」
ところが、番組終了の翌4月から、深夜枠でまたしても、とんねるずの番組を新たにスタートさせるというのだ。正確には、木梨憲武(55)は出演せず、石橋貴明(56)のみとなるが、視聴率が取れないゆえに切り捨てたタレントを再度起用するとは、随分と懐が深いではないか。
お気に入り
放送記者によると、
「タモリの『笑っていいとも!』が終了した際は、半年ほど後に『ヨルタモリ』を始めましたし、小堺一機の『ライオンのごきげんよう』の時も、代わりの新番組が始まりました。局に貢献したから、スパッと切ることが出来ないのでしょうけど、そこがフジのダメなところでもあるのです」
よく言えば情に厚いが、悪く言えば、この期に及んでも会社の状況が見えていないというわけだ。それにしても、なぜ、数字が取れないとんねるず絡みの新番組をスタートさせるのか。
「とんねるずは、日枝相談役のお気に入りだからですよ。日枝さんが編成局長の時に『夕やけニャンニャン』、社長時代に『みなおか』がヒットし、絶頂期のフジを支えた立役者と言えます。日枝さんは彼らに恩を感じていて、だから、視聴率が取れなくても『みなおか』が続けられたのです。特に石橋はプライベートでも日枝さんと親しいため、宮内社長はそのことを忖度して石橋の新番組を用意したと言われています」(同)
フジテレビは、「番組編成は現場担当者が行っており、社長や相談役が関与することはございません」と言うが、上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は、
「現在、新番組の内容はまだ決まっていないそうですが、制作費を抑えるためにも、トーク番組になる可能性が高いと聞いています。とんねるずの魅力は、傲慢キャラの石橋が好き勝手なことをし、木梨がそれを中和することで成立していました。新番組は石橋1人ですから、本来の面白さが生かされるのかどうかが心配ですし、そもそも目新しい番組になるのかも疑問です」
楽しいフジテレビの復活には程遠い?
(週刊新潮 2018年2月15日号)