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Channel: 碓井広義ブログ
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テレ朝が放送を見送った「幸色のワンルーム」について解説

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テレ朝が放送を見送った「幸色のワンルーム」
系列局の対応に温度差
準キー局の朝日放送テレビ(大阪市)が制作した連続ドラマ「幸色(さちいろ)のワンルーム」をめぐり、系列局の放送対応が注目されている。

キー局のテレビ朝日(東京都)を含む系列全24局のうち、現時点では朝日放送を含む3局が放送。テレ朝は放送見送りを決定した。誘拐事件を肯定的に描いているという内容への批判の一方、表現の自由の観点から批判に否定的な意見もあり、議論を呼んでいる。(大塚創造)

                   ◇

朝日放送が7月8日から放送を始めたドラマは同名の漫画が原作で、親に虐待された中学2年の少女が声を掛けてきた男と一緒に暮らす物語。インターネット上などでは、埼玉県朝霞市で平成26年に中学1年の少女が誘拐されて2年後に保護された事件がモデルではないかと指摘された。

5月には朝日放送とテレ朝がドラマの放送を発表したが、「模倣犯」や「二次被害」への懸念などから批判の声の一方、「表現の自由」の観点から批判に否定的な見解も示されていた。

結局、テレ朝は6月18日に放送中止を決定し、理由について「精査した結果、総合的に判断して放送を見送ることにした」と説明する。これに対し朝日放送は「本ドラマは実際の事件と関係なく、誘拐を肯定するような描き方もしていない。視聴者には作品のテーマである『人と人とのつながりの大切さ』について、ドラマを通して訴えていきたい」と話す。

朝日放送以外では現時点で、山形テレビと青森朝日放送が放送。山形テレビは「朝日放送の主張を踏まえ、局として総合的に判断した」、青森朝日放送は「朝日放送からドラマの内容について説明を受けた結果、総合的に判断し、放送することにした」とコメントした。朝日放送によると、他に数局が番組購入を検討中という。

別のキー局の幹部は「系列局はキー局に追随する傾向が強い」と指摘し、今回のドラマについて系列局の大半は放送しないとの見方を示す。一方、このドラマは民放テレビ局の公式ポータルサイト「TVer(ティーバー)」や、動画配信サービスの「アベマTV」「GYAO!」で配信(一部で閲覧期間に期限あり)されており、無料で見ることができる。

上智大の碓井広義教授(メディア文化論)の話「ドラマでは青年と女子中学生、それぞれの複雑な心理や葛藤が描かれている。2人の関係性も含め、一般的な意味での『誘拐』と呼べるかどうかも見どころであり、単純に犯罪を美化するとはいえない内容だ。自己規制で放送中止した場合、視聴者はこうした判断を行うことさえできない。さらにこのドラマは動画配信されており、全国で視聴可能だ。期せずして系列体制の意味も問われることになった」

(産経新聞 2018年8月7日)

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