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産経新聞で、「番組関連本」について解説

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「ブラタモリ」シリーズ、累計100万部突破 
番組と出版社、ヒット“両得”


■ファンの購入見込み

出版不況といわれる昨今、NHK総合の紀行番組「ブラタモリ」の公式本(KADOKAWA)が、今秋発売された13、14巻で、シリーズ累計100万部を突破した。人気の理由は潤沢な番組写真と丁寧な編集。番組関連本の出版が続く背景には、テレビ局と出版社の利害の一致がある。(三宅令)
                  ◇
◆人気を上回る数字

「ブラタモリ」は、タレントのタモリ(73)が、さまざまな街を“ブラブラ”歩きながら土地の歴史や暮らしを紹介する人気紀行番組。毎週土曜午後7時半からNHK総合で放送されている。

地理学や地質学マニアのタモリの語り口が人気で、2桁の視聴率を切ることはまずなく、過去最高は平成28年6月4日放送の、お伊勢参りを特集した18・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。土曜夜の激戦区でトップ争いの一角を担っている。

出版の動向などを調査研究する出版科学研究所の久保雅暖(まさはる)研究員は、「本来、紀行・ガイド本は5万部売れれば大成功。番組人気を考えても、シリーズ累計100万部とは、かなり頑張っている」と評価する。

◆書籍化向きの番組

番組関連本の購入者は、もともと番組のファンであることが多い。「『ブラタモリ』の場合、特に読書好きの中高年にファンが多いようだ。その点も、公式本の売れ行きに追い風となっているのでは」と分析する関係者もいる。

番組の二次利用の窓口であるNHKエンタープライズによると、「もともと番組自体が書籍化に向いていた」という。番組関連本の多くは、放送用の動画から取り込んだ静止画を掲載するため、どうしても良質な画像が掲載できない。ブラタモリは番組の演出で写真を随所で使用するため、スチール(静止画)カメラマンを同行させており、「その写真を公式本に転用できた」という。

また掲載した地図に盛り込まれた情報などをQRコードを通じてスマートフォンで確認できるようにするなど、「編集にあたり、読者に番組を追体験してもらえるように気を配っている」(KADOKAWA担当者)。

◆出版社からも垂涎

久保研究員によると、番組関連本は出版社から見ると「番組自体の知名度があり、出版前から売れ行きを見込める“おいしい仕事”」だという。

一方、「テレビ局にとって番組関連本は、かつては番組PRのためだけに作られていたが、今は著作権料で収益が見込める事業のひとつ」と指摘するのは、上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)だ。

近年は書籍化やDVD化などを見込んで番組予算を組むことが当たり前となってきており、「制作現場にとっては、より番組作りに金を掛けることができ、経営的にも1つの番組で2度おいしい。今後も番組関連本の出版は進むだろう」と話した。

                  ◇
■根強い実用系 ドラマ公式本も

番組関連本で売れるのは「実用系テキスト」「知的エンタメ」「人気ドラマ」の3分野-。

番組関連本の歴史は、大正14(1925)年7月、東京放送局(現NHK)のラジオ番組「英語講座」のテキストから始まるとみられる。

定期購読者による安定収益が見込めたことから、テレビ番組の放送開始後、各局が料理や健康など多くのジャンルでテキストを刊行。
今も実用的な番組関連本は人気を集める。

近年は体験型の知的エンターテインメントが求められる傾向が強い。番組の内容を追体験しようと、「ブラタモリ」やクイズ番組「東大王~」などの公式本が流行する一因でもある。また「コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」など人気ドラマのノベライズも盛んだ。

「おっさんずラブ」公式本は、予約が殺到し、販売前から重版が決定。上智大学の碓井広義教授は「一種のファングッズとしての需要だろう」と分析している。

(産経新聞 2018.11.07)



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