週刊新潮に、以下の書評を寄稿しました。
山岡淳一郎
『木下サーカス四代記』
東洋経済新報社 2160円
「木下サーカス」と聞いて懐かしく感じる大人は多い。実は現在も年間120万人の動員を誇るエンタメ企業なのだ。中国・大連での旗揚げから約100年。本書はこのユニークな共同体の歴史と、実業としてのサーカスを模索し続けてきた木下家四代の秘密に迫る。
藤原智美
『この先をどう生きるか
~暴走老人から幸福老人へ』
文藝春秋 1296円
話題を呼んだ『暴走老人!』から12年。自身も還暦を過ぎた著者が、「定年前後世代」の生きる道をより深く掘り下げる。必要なのは過去と正面から向き合うこと。それも文章化が大事で、著者はこれを「リボーン・ノート」と名づけている。まずはそこからだ。
(週刊新潮 2019年3月7日号)
小路幸也
『テレビ探偵』
角川書店 1620円
舞台は昭和40年代。主人公は音楽バンド&コントグループのボーヤだ。土曜夜8時に生放送される公開バラエティで、まさかの殺人未遂事件が起きる。誰が、何のために? 当時の超人気番組をモデルに、テレビが熱かった時代の芸能界を活写する連作ミステリー。
松岡正剛
『雑品屋セイゴオ』
春秋社 1944円
フェティッシュは「もの」に託した観念力だそうだ。この雑品屋には月球儀、文庫本、万年筆など、いかにも著者好みの品々が並ぶだけではない。水枕、ドライバー、おかき、宇宙服といった意外なものたちこそ、当店の真骨頂。当代一流の薀蓄と愛着の集大成だ。
(週刊新潮 2019年2月28日号)



