福島県「もっと知ってふくしま!」
1本6秒でPR 心地よい感覚に
知人のアナウンサーから聞いた話だ。生放送でニュースを読んでいるとき、ある瞬間、時間がゆっくりと流れだすことがあるという。
1秒が10倍ほどに延び、原稿の文字は大きく立ち上がり、複数のスタッフの動きも同時に認識できるそうだ。それはまるで自分の意思で時間を操っているような心地よい感覚だと。
福島県のアニメーションPR動画「もっと知ってふくしま!」の長さは1本6秒。「面積、全国3位」「民謡、会津磐梯山」「赤べこ」など県の名物や特産品をそれぞれ6秒間で紹介していく。
全部で25本あり、まとめて見ても2分半だ。かわいいアニメとテンポのいいナレーションに乗せられて、「福島、行ってみようかな」なんて思っている自分に驚く。
この時間の魔術師の如き仕業は、クリエイティブディレクターの箭内道彦さん(福島県郡山市出身)によるものだ。たかが6秒、されど6秒。まさに命短し、恋せよ乙女である。ん? 違うか。
(日経MJ「CM裏表」 2019.03.25)