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「3年A組」から「ボロ宿」まで 1月期のドラマを総括

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「3年A組」から「ボロ宿」まで

1月期のドラマを総括

 

先月末に幕を閉じた1月期のドラマを総括したい。最も刺激的かつ挑戦的だったのは「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(日本テレビ―STV)だ。高校教師(菅田将暉)が自身の担任クラスの生徒たちを人質にして、教室に立てこもる。その背後には自殺した一人の女性生徒の存在があった。

一見突拍子もない物語と思わせておいて、実は人を傷つける危うさに満ちたネット社会への警鐘、いや異議申し立てを正面から行っていた。SNSなどにおける匿名での誹謗中傷に対する、「自分が同じことをされたらどんな気持ちになるか、想像してみろ!」という真っ当な主張に説得力があった。

次に高畑充希主演「メゾン・ド・ポリス」(TBS―HBC)は、新米女性刑事(高畑充希)がシェアハウス<メゾン・ド・ポリス>に暮らす退職刑事たちの力を借りて事件を解決していくという設定が新鮮だった。

5人のベテランは簡単には制御できないほどの個性派ぞろい。それを近藤正臣や角野卓造などが嬉々として演じ、さながらキャラクターショーのようだった。確かにチームではあるが、互いにリスペクトする個人の集まり、ゆるやかな連帯といった雰囲気で、刑事ドラマという定番ジャンルに新風を吹き込んだ。

そして、「ハケン占い師アタル」(テレビ朝日―HTB)のヒロイン(杉咲花)はイベント会社で働く派遣社員。いわゆる雑用を頼まれても、「はい、喜んで!」と明るく対応しているが、その実態は他人の内面を見通す特殊能力の持ち主だ。

彼女は同僚たちが隠している悩みを見抜き、「自分に対する愛が欠けている。もっと自分を大切にしようよ!」とか、「幸せは待っているものじゃなくて、自分で創るものなんだよ!」といったアドバイスをしていく。

「占い師」というより、特殊能力を生かした「カウンセラー」だ。登場人物たちの悩みには何かしら普遍性があり、見る側もアドバイスや励ましの言葉を自分に引き寄せて聞くことができた。

最後に深夜ドラマの秀作にも触れておこう。濱田岳主演「フルーツ宅配便」(テレビ東京―TVh)の舞台は風俗業界。そこで働く女性たちが抱える事情やトラブルの中に、今の社会や人間の姿がさりげなく映し出されていて興味深かった。

また深川麻衣(元乃木坂46)主演「日本ボロ宿紀行」(同)は全国各地に実在する、味わいのあるボロ宿をめぐり歩くロードムービー風ドラマだ。どちらも深夜であることを武器にした意欲作だった。

(北海道新聞「碓井広義の放送時評」2019年04月06日)

 


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