記念すべき100作目の朝ドラ
「なつぞら」が4月1日にスタート
広瀬すずがヒロインの奥原なつを演じる。戦争孤児となり、引き取られた先の北海道で幼少期を過ごしたなつが、上京してアニメ業界へ飛び込み奮闘する物語だ。
広瀬の魅力について、上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は熱っぽく語る。
「作り物ではない、天性の明るさは朝ドラ向き。何も言わなくても笑顔が画面に映るだけで、その日は幸せな気分でスタートできる。理屈抜きの無敵な笑顔は朝ドラヒロインの“真打ち登場”という気がします」
天真爛漫さは撮影現場でも健在、とNHK制作統括の磯智明氏は語る。
「ベテラン俳優陣に囲まれて、持ち前の明るさでかわいがられています。北海道ロケでオフの日に皆さんで食事に出かけるなど、物語とリンクして本当の家族ができあがっていくような、和やかな空気があります」
当初の舞台となる昭和20年代の北海道・十勝は馬が主な移動手段。広瀬は乗馬の腕前で周囲を驚かせたという。
物語が始まる昭和21年、なつは9歳。広瀬が登場するのは第3週からだ。高校卒業後に上京、アニメーターを目指すという時系列を史実と照らし合わせると、興味深い物語が見えてくると碓井教授は言う。
はたして宮崎青年の登場はあるのか。
「事実、草創期には何人かの傑出した人物がいました。当時の時代背景を参考にしていますので、この登場人物がもしかしたら……というような視点でも楽しんでもらえるかもしれませんね」(磯氏)
「実在の人物を描く“実録路線”の物語は、モデルの実人生だから大きく逸脱することができない。その意味で、架空の人物である“広瀬なっちゃん”がどんな歩みを見せるのか注目したいです」(碓井教授)
(本誌・秦正理)
(週刊朝日 2019年4月12日号)