日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!! 」。
今週、取り上げたのは、フジテレビの新しい連ドラ「若者たち2014」です。
フジテレビ「若者たち2014」
48年後の今、リメークする意味は何か
今クールの「HERO」や「GTO」もそうだが、続編やリメークは最近のフジテレビのお家芸だ。
ヒットドラマは貴重な資産であり、それを上手く生かそうとするのもまた商売ではある。とはいえ、よもや「若者たち」を引っ張り出してくるとは思わなかった。
田中邦衛や山本圭が出演したオリジナルが放送されたのは1966(昭和41)年。高度経済成長の陰に隠れた社会問題や矛盾を物語に取り込んだ社会派ドラマだった。48年後の今、これをリメークする意味は何なのか。
「若者たち2014」の初回を見て、あらためて驚いたのは豪華キャストだ。妻夫木聡、瑛太、満島ひかり、蒼井優、長澤まさみ、橋本愛、吉岡秀隆と主演級をこれだけ揃えたドラマも珍しい。
彼らを通じて学歴、就職、家族、恋愛、結婚など、いつの時代にも共通する若者たちの課題や悩みを、現代社会という背景の中で描いていこうとする意志が垣間見えた。
そして、ドラマ全体に漂う昭和テイストも悪くない。家族同士が自分の感情をむき出しにして、気持ちを直接ぶつけ合うドラマは久しぶりだ。メール万能の時代に鬱陶しいと言われそうだが、ほっとするような人間らしさがそこにある。
演出陣の中軸は「北の国から」のベテラン・杉田成道だ。その職人技が、昭和と現在を見事につないでいた。
(日刊ゲンダイ 2014.07.15)