先日、週刊新潮に掲載された、「松田龍平・翔太」兄弟に関する記事の中でコメントしましたが、新潮社のサイトに全文がアップされました。
以下に転載しておきます。
「松田優作」の背中が遠い
「龍平」「翔太」芸能界の明暗
俳優・松田優作が生前、数々のトラブルを起こしながらも芸能界で干されることがなかったのは、余人をもって代え難い存在感と鬼気迫るような演技力があったからである。では、父と同じ俳優の道を歩む2人の息子はどうか。着実に芸能界での地歩を固めつつある長男・龍平(31)に対して、次男・翔太(29)は……。
1989年に松田優作ががんで死去した際、龍平は6歳、翔太は4歳。龍平は99年に大島渚監督の映画『御法度』でデビュー、父と同じ道を歩み始めた。
「龍平さんは2007年に出演したNHKのドラマ『ハゲタカ』で評価が高まった。龍平さんが演じたIT企業の社長は、何を考えているか分からず、捉えどころのない男。普段は笑顔も見せないが、一旦“やる”と決めたら突き進む。そういう役柄を演じている時の彼は、父である松田優作を思わせるものがあります」
と、上智大学の碓井広義教授(メディア論)は語る。
「ですから、龍平さんと翔太さん、どちらが親父に近いかといえば、それは龍平さんの方だと思います。その表情からは読み取れないものの、きっと内面では色々な葛藤を抱えているんだろうな……。そんな思いを、彼は見る人に抱かせることができる。そういった演技は父親譲りだと思います」
芸能記者に聞いても、
「龍平は昨年の映画『舟を編む』で、日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞など各賞を総ナメにした。父・優作に比べれば“まだまだ”ですが、俳優としての高い評価は定着しつつある」
■“やりたくねぇ”
一方の翔太は05年にデビュー。多くの映画やCMなどで活躍し、“露出度”という点では兄に引けを取っていないように思えるが、
「翔太には、“これが代表作”と言えるものがない。今年はCM出演を除くと単発ドラマ1本、話題にもならなかった映画1本にしか出演していません」(同)
そんな翔太は今年2月、所属していた大手芸能事務所の「研音」を退社。母で女優の松田美由紀が代表を務め、兄の龍平も所属する「オフィス作」に移籍した。
「表向きは“円満移籍”とされていますが、実は違う。移籍の原因は、翔太の“問題行動”だったのです。昨年、彼はフジテレビの月9ドラマ『海の上の診療所』で離島の医者を演じました。その収録現場で、彼は“俺はこんな役やりたくねぇ”などと言って現場の雰囲気を壊してしまったのです」
と、テレビ局社員。
「この翔太の態度を研音が問題視。半ば追い出されるような形で母親の事務所に移ったというわけです。こういうことがあるとテレビ局としても使いにくくなる。このままだと、彼はいつの間にか芸能界から消えてしまうかもしれません」
父や兄の背中が遠くなるばかりか、芸能界での居場所を失ってしまう可能性すら指摘される翔太。ドラマ収録現場での彼の“問題行動”について「オフィス作」の担当者はこう言う。
「把握しておりません」
先の碓井教授の話。
「個人的な意見としては、翔太さんは兄と同じ事務所に移ったことだし、一度、共演してみるといい。兄弟でぶつかり合うことで翔太さんの力も湧くだろうし、起爆剤になるはず」
草葉の陰の父もそれを望んでいるに違いない。
(週刊新潮 2014年10月2日号)