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Channel: 碓井広義ブログ
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日刊ゲンダイで、「ごめんね青春!」学校名騒動について解説

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TBS日曜劇場「ごめんね青春!」。

ドラマの中のセリフで、ある高校の実名が使われたため、騒動になってしまった。

日刊ゲンダイの記事で、この件に関して解説しました。


「私、堀越だから」が大問題
クドカンドラマ「ごめんね青春!」で
“おバカ”呼ばわりされた学校長の言い分
「劇中に出てくる他の校名はすべて架空なのに、どうして一校だけ実名なのか」

こう憤るのは、73年の「芸能活動コース」創設以降(96年から「トレイトコース」に改称)、芸能界で華々しく活躍する歌手や俳優たちを数多く輩出してきた「堀越高校」の伊藤俊行校長だ。

この3連休中に一般紙も含め、マスコミ各社が「実在する高校がTBSへ抗議、そして謝罪」と報じ、明らかになったある騒動に驚いた諸兄も少なくないだろう。コトの発端は、TBSが公式サイトで2日に「『ごめんね青春!』第3話についてのお詫び」と題し、発表した内容だ。

日曜夜9時から放送中の錦戸亮主演の学園ドラマ「ごめんね青春!」の10月28日放送回。落ちこぼれ生徒7人が勉強合宿をしているシーンで、元グラドルだったというお色気満点の女性に、生徒のひとりが「お姉さん、この問題・・・」と勉強を教えてもらおうとすると、「それは無理。私、堀越だから」と言い放ち、拒んだやりとりがトラブルのもととなった。

多くのマスコミがTBSの謝罪文を取り上げるも、<実際の高校名を使用した場面があった>と学校名を明かさなかったことで、余計に世間の関心を集めたわけだが、名指しで“おバカ”呼ばわりされた堀越の伊藤校長は「生徒たちが教室で(該当回の)ドラマの話をしていたと聞き、私も実際に録画を見ました。在校生は一生懸命学業に励んでおり、TBSの制作関係者には直接会って“誤解を解いていただきたい”という趣旨の話をしました。人には言っていいことと悪いことがあるように、我が校の生徒の名誉を傷つける、ああいうセリフをテレビ局がそのまま放送してしまったことは誠に遺憾」とカンカンである。

「ごめんね――」は、NHK朝ドラ「あまちゃん」の脚本家である宮藤官九郎氏が手掛けた作品。国民的ドラマの生みの親の新作とあって注目も高かったが、識者はこの騒動をどう見たか。

TBSの判断の甘さ

上智大教授(メディア論)の碓井広義氏はこう言う。

「クドカンは物語の中に現実や実名を巧みに織り込んでいく脚本家。〝楽しめる人だけ楽しめればいい〟と視聴者の間口を狭くすることで、ディープで際どい笑いを生み出す世界観が真骨頂ですが、今回の騒動は制作側のミスは否めないでしょう。日曜劇場というゴールデン帯で放送する以上、細心の注意を払うべきであり、実名の台詞に疑念を持たなかったとすれば、うかつと言わざるをえない。放送局であるTBSの判断の甘さが浮き彫りになりました。本来、視聴者のクスッという笑いを誘うのが目的だったであろうこの表現。学校名ではなく、『芸能コース出身』という台詞にすることで、その効果は十分あったのではないでしょうか」

これで元グラドル役を演じた中村静香が本当に堀越OGだったら着地は完璧だったのだが・・・。クドカンの心境を代弁するなら、「ごめんね!堀越」か。

(日刊ゲンダイ 2014.11.05)

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