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コメントした、日テレ「女子アナ内定取り消し騒動」記事全文

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週刊新潮で、日本テレビの「女子アナ内定取り消し騒動」についてコメントしましたが、その記事の全文が新潮社のWEBサイトにアップされました。

以下に転載しておきます。


たかが「ホステス歴」で女子アナ内定を取り消し 
「日本テレビ」愚の骨頂
公共の電波を扱うテレビ局は何かとキレイ事を並べたがる。しかし今回の一件は、日テレの差別意識を満天下に知らしめた。ホステス歴が問題視されたミス東洋英和の「女子アナ内定取り消し騒動」である。日テレ基準では「職業に貴賤がある」のだ。

 ******

〈【人権を尊重します】

(1)差別的扱いの禁止

私たちは、一人ひとりの人格や個性を尊重し、性別、信条、身体的条件などによる差別や嫌がらせを、けっして行いません〉

このご大層な文言は、日本テレビグループが宣言し、すべての役員や社員に遵守を求めた「日本テレビ・コンプライアンス憲章」の一節である。だが、以下にお伝えするのは、この理念とはおよそかけ離れた騒動だ。本音と建前が織り成すコントラストが、これほど凄烈な組織もそうはあるまい。

「昨年9月12日、日本テレビから、2015年度採用の女子アナウンサーとして内定を受けた女子大生にトラブルが生じました。彼女は今年3月、自分が過去に短期間、母親の知人の関係者が経営する銀座のクラブでアルバイトをしていたことを局側に告げた。そうしたところ、問題となり、その翌月、人事部長から内定取り消しを通告されたのです」(日テレ関係者)

悲嘆に暮れる渦中の女性は、東洋英和女学院大学4年生の笹崎里菜さん(22)。彼女は、2011年の「ミス東洋英和」の栄冠に輝いた美貌の持ち主だ。ファッション誌『JJ』の読者モデルも務めていたという。そんな彼女の夢は女子アナになること。念願叶い、競争率1000倍と言われる狭き門を突破した彼女は、来年、日テレの女子アナになるはずだった。

しかし哀れ、その約定は、倍率ではなく日テレの度量の狭さによって、反故(ほご)にされてしまったのである。その理由はホステスのバイト歴とされたが、これは自ら掲げるコンプライアンスに抵触しないのか。

納得のいかない笹崎さんはこの10月、日テレに入社を認めてもらうべく、「労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する」ための訴訟を東京地裁に起こしたのである。

今回の一件、そもそも『週刊現代』(11月22日号)の記事で明らかとなり、目下、ネットを中心に議論を呼んでいるが、今時、水商売のバイトに勤しむ女子大生など珍しくもない。たかがホステス歴くらいで、日テレは何が問題だと大騒ぎしたのか。

■「夏目三久」を引き合いに…

笹崎さんが日テレの「アナウンスフォーラム」というセミナーに参加したのは、大学3年生だった昨年9月のこと。訴状で、彼女は大要、こう説明している。

〈セミナー参加後、被告(日テレ)から、“上級セミナーに参加して欲しい”と要請された。その第2回セミナーにおいて、「自己紹介シート」と題されたA3用紙1枚を渡され、提出するよう求められた。

「自己紹介シート」には、学歴や職歴情報を記載する欄が設けられていたが、「すべてのアルバイト歴を記載せよ」との注意書きはなかった。原告は、ドラッグストアや居酒屋でのバイト歴を記載したが、美容室やクラブでのバイト歴は記載しなかった。

その後の9月11日、被告より“明日、本試験を受けて欲しい”との電話があった。原告は被告本社に赴き、健康診断を受け、役員面接を受けた。面接では、「自己紹介シート」を基に質疑応答がなされたが、“その他に何かアルバイトをしていたか”等の質問は一切なされなかった〉

役員面接後、彼女は漢字テストを受けさせられたという。漢字の読みの問題は驚くほどやさしかったが、書き取りの問題は難しいものだった。

〈採点結果に落胆していると、人事担当者から、“漢字の読みの問題の答えを下から読んでご覧”と促された。6つの小間の答えを下から読むと、『あな うん す ぶもん ない てい』。原告は緊張していたこともあり、混乱していると、“これ読んで”と、1枚の紙を渡された。

文書には、『日本テレビは、漢字が苦手ではあるが、負けず嫌いで素直な性格に期待し、笹崎里菜さんを2015年度入社のアナウンサーとして内定することにします』と記載されていた。その後、被告人事局長名義の「採用内定通知書」と題する文書が原告に手渡された〉

漢字テストは酒落た演出のつもりだったらしい。翌日から、笹崎さんは日テレの研修に参加。人事担当者からは「現在、ネットなどで皆さんの写真が掲載されているようなページがあったら、働きかけて、全部消して欲しい」という要請もあった。日テレ局員の話。

「5年前、人気局アナだった夏目三久が、写真週刊誌『フラッシュ』に彼氏とのツーショット写真を報じられました。この際、彼女が満面の笑みでコンドームの箱を手にしていた写真まで出され、大騒ぎになった。結局、夏目は日テレを退社するハメに。この騒動があったので、うちはネットなどへの女子アナの写真の露出を過剰に警戒しているのです」

笹崎さんは、モデルのアルバイトをしていたため、バイト先に写真使用を中止してほしいと交渉。しかし断られ、そのままこの件は失念していたという。その後、今年3月初旬、内定者全員の顔合わせ会が催された。

この場で彼女は、日テレがアナウンサー内定者の肖像権の管理にも厳格であることを知り、モデル会社の写真掲載を放置していたことを思い出した。そこで人事担当者に相談。この際、過去に銀座のクラブで集合写真を撮った記憶が蘇ったという。

〈そのため、人事担当者に“以前、母の知人の関係者が経営する銀座の小さなクラブでお手伝いを頼まれ、短期間、バイトをしたことがありますが、そういうものは大丈夫でしょうか”と尋ねた。翌日、別の人事担当者にバイトの状況を細かく説明。その後、彼からは“今回のことは大丈夫ということが分かった。人事としてもあなたを守ります”と告げられた〉

しかし、その5日後、事態は暗転する。同じ人事担当者から電話で呼び出され、こう言われたという。

「この問題を上に上げたら、問題になってしまった。明日、人事部長から話がある。ホステスのバイトのことがバレたら、週刊誌に好きに書かれる。耐えられるか。父親も仕事を失うかもしれない」

笹崎さんは頭の中が真っ白になりながらも、

「辞める気はありません」

と答える。翌日、社内で彼女は人事部長と対峙していた。部長はこう口火を切った。

「元ホステスが女子アナをやっていると週刊誌に書かれてしまう。笹崎自身の問題だ。耐えられるのか。夏目三久の時はいろいろと書かれて、本人が傷つき、退社することになってしまった。笹崎は大丈夫か」

これに対し、笹崎さんは、

「耐えます。母も応援してくれています」

と返答したが、部長は険しい表情を崩さなかった。

彼らは週刊誌の存在を持ち出し、彼女自身のためだと言って、内定辞退を迫ったわけだ。そして4月2日、彼女は人事部長に再度、呼び出され、こう宣告された。

「残念だが、笹崎を採用することは日テレとしてはできない。傷がついたアナウンサーを使える番組はないという判断だ。内定辞退という判断もある。取り消しよりは騒がれずに済む」

取り消しの理由について、部長は、誓約書の一項目である『申告に虚偽の内容があった場合』に該当すると説明したという。それでも夢を諦め切れない笹崎さんは、人事部長宛に入社を切望する手紙をしたためた。それに対し、人事局長から5月2日付で「ご連絡」という書簡が届く。そこには信じ難い言葉が並んでいた。

〈アナウンサーには極めて高度の清廉性が求められます。他方で、銀座のクラブでホステスとして就労していた貴殿の経歴は、アナウンサーに求められる清廉性に相応しくないものであり、仮にこの事実が公になれば、アナウンサーとしての業務付与や配置に著しい支障が生ずることは明らかです〉

社長以下、日テレのお偉方は、ホステスが接客するクラブなどへは、「清廉ではない」として足を踏み入れることはないのだろう。

■女子アナは清廉か!?

〈平成26年5月2日、「ご連絡」との書状、悲しい思いを抱きつつ読ませていただきました。(中略)何卒ご理解賜りたくお願い申し上げます〉

彼女は人事局長に再度、手紙を宛てたが、同月28日付で採用内定取消通知書が送付されてきた。

裁判沙汰に発展したこの問題、今後、どう展開するのか。特定社会保険労務士の杉山秀文氏はこう見る。

「内定取り消しは、正当な合理的理由がなければできません。例えば、会社側が営業経験者であることや専門の資格を求め、応募者がそれらを『有り』としながら、実際には全く経験がなかったり、資格を持っていなかったことが判明した場合などは合理的な理由となり得ます。翻って、今回のホステス歴の無申告ですが、これは正当な事由どころか、ほとんど言いがかりに近い。日テレは法廷で、ホステス歴が職務上、支障をきたすことを証明しなければいけません。ホステス出身者がダメというなら、最初から採用条件に明記すべきです」

そもそもアナウンサーとは清廉な存在なのか。松坂大輔投手や巨人の高橋由伸選手と結婚した、同局出身の柴田倫世アナや小野寺麻衣アナのように、富と名声を併せ持つプロ野球選手との色恋沙汰に励む女子アナは数多いる。それを世俗まみれと言わずして何と言おう。

「片腹痛い言い分です。例えば、田丸美寿々は妻帯者の男性と不倫の末、結婚したし、近藤サトも歌舞伎俳優の坂東三津五郎と略奪愛で一緒になった。これのどこが清廉なのでしょうか」(芸能評論家の肥留間正明氏)

メディア論が専門の碓井広義・上智大学教授も、

「日テレの主張は、ホステスが“清廉さを欠く”職業と明言するもの。“職業に貴賤があると考えている”と思われても仕方がない」

今回の問題について、日テレに見解を尋ねると、

「民事裁判で係争中の事案であり、当社の主張は裁判を通じて明らかにします」

報道機関でありながら、木で鼻を括(くく)ったようなこの対応。ならばトップの大久保好男社長はどういう見解か、自宅を訪ねた。すると、夫人がインターホン越しに、

「大久保は風邪で体調不良なので、お引取り下さい」

と言うのみで、社長本人は頬かむり。ちなみに彼は読売新聞の元記者だ。かつて自身は夜討ち朝駆け、取材対象者に対応を求めてきた。それがいざ取材される側になると、この有り様で、ご都合主義も甚だしい。当の笹崎さんはこう語った。

「皆さまをお騒がせすることになり、本当に申し訳なく思っております。私の願いが届きますことをただただ祈っております」

仮に勝訴して、入社できたとしても、独善的な組織で色物扱いされる苦労は想像に難くない。退くも進むも、彼女には茨の道が続く。

(週刊新潮 2014年11月20日号)


・・・・あらためて今後の予想を言えば、たとえ笹崎さんが裁判に勝って、日テレに入社できたとしても、アナウンス部に配属されるとは限りません。

一旦入社させてしまえば、社員に関する人事権は基本的に会社が持つわけですから。

また裁判で負けた場合、来年他の局を受け直しても、こういう形で騒動になった以上、どの局も受け入れることは難しいでしょう。

またフリーアナとして事務所に所属しようと思っても、そういう会社はクライアントであるテレビ局に配慮するわけで、笹崎さんと契約するところがあるかどうか。

新潮の記事のように、「退くも進むも、彼女には茨の道」であることは間違いありません。


【気まぐれ写真館】 秋空に命綱!?

広報セミナー2014

28日(金)午後は、HTB「イチオシ!」に出演

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28日(金)は札幌に飛んで、HTB北海道テレビ「イチオシ!」で
コメンテーターです。

湯石狩市弁天町「番屋の湯」からの生中継もあります。

放送は、午後3時55分から!

28日の「金曜オトナイト」は、漫画家の江川達也さんと・・・

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11/28 (金) 23:30 ~ 0:00
大竹まことの金曜オトナイト 

【ゲスト】 江川達也(漫画家) 
レギュラー: 大竹まこと、山口もえ、碓井広義(上智大学教授)
進行: 繁田美貴(テレビ東京アナウンサー)


江川さんといえば、90年代に「ビッグコミックスピリッツ」に連載されていた、『東京大学物語』が衝撃的でした。

主人公は函館の高校生、村上直樹。

ヒロインは、水野遥。

この作品について、番組の中で江川さんとトークを展開しています。



<番組内容>
意外な事実が判明!
漫画の神様・手塚治虫には濃厚なエロスの世界があった!?
貴重なイラスト大公開!

◆流出ワイド◆
◇20代男性の13.3%が 学生の頃、女子の●●●●舐めの経験アリ!
その真相を探るべく街頭調査を決行!

◇ファーストフード店モスバーガー
好影響が出ているという「モスジーバー」の正体とは?

◆文化情報コーナー◆
江川達也がオトナイトのためにチョイスしたオススメ映画
ドキドキとハラハラが止まらない作品


28日(金)のHTB「イチオシ!」

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国井アナ、ヒロ福地さんと


今週の「国井美佐アナウンサー」

29日(土)朝は、HTB「イチオシ!モーニング」

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29日(土)朝7時、HTB「イチオシ!モーニング」に生出演します。

「モーニング」の放送は平日が朝6時、土曜は7時からです。

30日(日)の「TBSレビュー」で・・・・

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進行の木村郁美アナウンサーと

11月30日(日)
朝5時30分~6時
「TBSレビュー」
今回は、25周年を迎えた、老舗の情報番組「噂の!東京マガジン」(毎週日曜昼1時)がテーマです。

題して、「あえてマンネリズムを貫く ~噂の!東京マガジン~」。

若い女性たちが料理を作る「平成の常識 やって!TRY」や、目玉コーナーの「噂の現場」などで知られています。

この番組の特色、長い間支持され続けてきた理由などを解説しました。

【気まぐれ写真館】 11月が終わる札幌

【気まぐれ写真館】 北海道千歳市「柳ばし」の生姜焼き定食

まだ間に合う!?「オトナの男」が見ないのはモッタイナイ秋ドラマ

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気がつけば、もう折り返し点を過ぎた秋ドラマ。

いずれも物語は佳境へと差し掛かっています。

連続ドラマを途中から見るのはシンドイと思う人が多いかもしれませんが、このまま見ないでいるのはそれ以上にモッタイナイ。

まだ間に合う!?「オトナの男」のための、秋ドラマ最終案内です。


深夜の贅沢な“しめの一本” 
「深夜食堂3」(TBS系)

買ったばかりの漫画誌「ビッグコミックオリジナル」。最初に読むのは長年の習慣で「釣りバカ日誌」だ。そして最後に開くのが安倍夜郎の「深夜食堂」である。“しめの一杯”という感じがするからだ。

ドラマ「深夜食堂3」(TBS系)の、一見コワモテだが、どこか優しいマスター(小林薫)の佇まいは、シリーズを重ねても変わらない。

また相変わらず、「豚バラトマト巻き」や「紅しょうがの天ぷら」など出てくる料理もうまそうだ。しかも料理とストーリーのマッチングが押しつけがましくないことも嬉しい。

そして、このドラマの魅力の一つがキャスティングだ。たとえば第3話の石橋けい。「有言実行三姉妹シュシュトリアン」や平成のウルトラシリーズ以来の根強いファンを持つ。今回の「婚約者の浮気を知って別れ、興信所の調査員をしている30代独身女性」なんて、まさにハマリ役だった。

第4話で「男前な大阪女」を演じた谷村美月もいいキャスティングだ。強がりと健気さが同居したキャラクターを、NHK「さよなら私」の愛人役とは違ったタッチで見せていた。

演出陣には松岡錠司、山下敦弘、熊切和喜など、映画好きには嬉しい手練れの監督たちが並ぶ。30分の1話完結形式が、そのまま熱い競作の場となっているのだ。いわば、深夜の贅沢な“しめの一本”である。


石原さとみの演技が光る 
「ディア・シスター」(フジテレビ系)

焼酎「ふんわり鏡月」のCMに出ている石原さとみがいい。

夏に流れた「間接キッスしてみ?」も目が離せなかったが、現在放映中の「冬・こたつ編」がまた憎たらしいほど可愛いのだ。

あの独特のユルさ、無防備感が幅広い世代のオトコたちを刺激する。もはや石原の“代表作”と言えるのではないか。

そんな彼女の新作ドラマが「ディア・シスター」(フジテレビ系)だ。

一応、姉役の松下奈緒とダブル主演ということになっている。しかし石原演じる妹が物語の主軸であることは明らかだろう。

真面目で大人しい姉に比べ、勝手気ままで自由奔放な妹だが、実は家族や友達のことを人一倍心配する優しい娘であることも分かってきた。

また石原は妊娠しており、その相手は松下も憧れていた元高校教師(田辺誠一)だ。さらに石原は難病まで抱えている。

普通はこのあたりで「話を盛り過ぎだろう」と言われそうだが、意外や破綻していない。支えているのは、昨年の「ラスト・シンデレラ」(フジテレビ系)で篠原涼子を見事な“おやじ女子”に仕立てた中谷まゆみの脚本であり、かつて演出家のつかこうへいに鍛えられた石原の演技力だ。

美人姉妹の恋愛模様というだけでなく、実は「結婚とは? 家族とは? 命とは?」といったテーマを織り込んだ、なかなか骨太なドラマになっている。

60年後に出会う、獅子文六『娘と私』

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獅子文六の名前も、『娘と私』のタイトルも知っていたが、読んだことはなかった。

しかし、ちくま文庫の11月の新刊として書店に並んだことで、手に取ってみた。

昭和28年から31年にかけて、「主婦之友」に連載された自伝小説だ。

読み始めると、結構面白くて、止まらない。

フランス人の妻との間に生まれた娘、麻里。

その妻は病気で亡くなってしまい、娘と2人の生活が始まる。

慣れない父親稼業には無理があり、やがて麻里を女学校の寄宿舎に入れる。

だが、今度は麻里が病気になってしまい、しかも自分の再婚も・・・・。

約60年前の小説だが、家族に対する情愛や思いは、時代が移ろうと、そう簡単に変わるものではない。

ちなみに『娘と私』は、昭和36年に放送された、NHK朝ドラ第1作目の原作だ。


今週の「読んで書評を書いた本」は次の通りです。

小川征也 『先生の背中』 作品社 

齋藤 孝 『自伝を読む』 筑摩書房

広瀬隆・後藤克幸 『今夜も肴はビートルズ!』 KTC中央出版

尾崎俊介 『ホールデンの肖像』 新宿書房

木田 元 『哲学散歩』 文藝春秋

* これらの書評は、
  発売中の『週刊新潮』(12月4日号)
  読書欄に掲載されています。

第52回ギャラクシー賞「CM部門」上期入賞作品はコレだ!

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選奨委員を務めさせていただいている、ギャラクシー賞(主催:放送批評懇談会)「CM部門」。

第52回ギャラクシー賞、上期入賞作品が決定し、公表されました。

いずれも2014年の4月から9月までに流された多くのCMから選ばれた秀作です。

並んだ作品たちは、いわば、この半年間の“CM界俯瞰図”と言えるでしょう。

これら13本に、半年後に選出される下期候補作品(本数未定)を加えた中から、ギャラクシーCM大賞1本、優秀賞2本、選奨10本、そして奨励賞などが決まることになっています。

以下、入賞作と私の寸評です。


第52回ギャラクシー賞上期入賞作品
<2014年4月1日~9月30日>
インテリジェンス
DODA シリーズ
「チャップリン×綾野剛篇」「キング牧師×綾野剛篇」
(インテリジェンス GLIDER ギークピクチュアズ)

チャップリン、そしてキング牧師の肉声の迫力。言葉の中に、彼らの生き方が凝縮しているからだ。

NTTドコモ
歩きスマホ「全員歩きスマホin渋谷スクランブル交差点」
(NTTドコモ エヌ・ティ・ティ・アド 博報堂 ティー・ワイ・オー)

CGで、渋谷のスクランブル交差点を渡る、無数の人の動きを再現。歩きスマホの危険性がリアルに伝わってくる。

NTTドコモ
スマートライフ「親子のキャッチボール篇」
(NTTドコモ 電通 スプーン)

普段言えないことがたくさんある関係、娘と父親。心の中の声をキャッチボールに託すという設定が秀逸だ。

サントリーホールディングス
サントリー天然水 シリーズ
「信じられる水の山から(南アルプス)篇」
「朝摘みオレンジ運命の出会い篇」
「朝摘みオレンジ朝の匂い篇」「スパークリングはじめるもんね篇」
「天然水かき氷(南アルプス)篇」
(サントリーホールディングス 電通 エンジンプラス)

やさしい手触りのアニメーションで、人と水との関わりを表現している。押しつけがましくなく、あくまでも自然風に。

テレビ岩手
震災復興キャンペーン「つづけよう 復興ハート!風の電話」
(テレビ岩手)

東日本大震災から3年半。全国放送での震災関連情報は、時間と共に明らかに減少している。しかし、地元のテレビ局は今も粘り強く伝え続けているのだ。

東海テレビ放送
公共キャンペーン・スポット「震災から3年~伝えつづける~」
(東海テレビ放送)

東日本大震災を伝え続けているのは地元局だけではない。被災地のメディアではないからこそ、何を、いかに伝えるかに悩みつつ、でも決してやめていない。

日清食品ホールディングス
カップヌードル シリーズ「現代のサムライ篇」「壁ドン篇」
(日清食品ホールディングス catch Six 博報堂 ティー・ワイ・オー)

このシリーズ、最近の「本音と建前編」もそうだが、外国人の目で見たニッポンが新鮮で面白い。

フォーシーズ
ピザーラ シリーズ ピザーラVSピザブラック「生地篇」「アボカド篇」
ピザーラキャンペーン「母の日にはピザーラ篇」
(フォーシーズ 東急エージェンシー 17 東北新社)

ブラック企業という言葉が日常化する中で、あえて「ブラック」を前面に押し出す勇気。コワモテなのにお母さんには弱い、遠藤憲一のブラック店長が笑える。

ベンチャーリパブリック
Travel.jp 国内エアー「空の最安値・タクシー・福岡篇」
(ベンチャーリパブリック 博報堂 REVAMP catch スプーン)

渋滞にハマったタクシーの料金で福岡から大阪まで行ける、という実に分かりやすいアピール。社内で料金メーターを睨む、本田博太郎の無念が伝わってくる。

三井不動産リアルティ
三井のリハウス「みんなの声鉛筆」シリーズ
「もう一度都心へ」「同居?or近居?」「友達と住まい」
(三井不動産リアルティ 博報堂 スプーン)

妻が家にまつわる本音を夫にぶつける様子を描くには、実写よりもソフトなアニメが有効だった。ユーモア交じりだが、そこにある真実は極めてリアルだ。

三菱電機
宇宙ステーション補給機(こうのとり)
「私もユーザーです1(HTV)篇」
(三菱電機 電通 ティー・ワイ・オーエムプロダクション)

一見SF映画のようだが、宇宙ステーションに物資を運ぶ補給機が稼働している。宇宙船で食べる「栗ようかん」はどんな味なんだろう。

ミドリ安全
HiGRIP「ラーメン修行篇」
(ミドリ安全 電通 ギークピクチュアズ)

一瞬ラーメンのCMかと思うが、滑らない作業シューズのCMだ。この笑える意外性も商品力があればこそ。

琉球放送
歩くーぽん シリーズ
「フォアボール篇」「外野フライ篇」「1塁にて篇」
(琉球放送 博報堂 博報堂DYメディアパートナーズ RBCビジョン)

草野球のベースからベースへ、タクシーやセグウェイで移動!? 近くても歩かない沖縄県民に向けた、「たまには歩け、うちなんちゅ」のコピーが強烈だ。

朝日新聞で、「女子アナ内定取り消し問題」についてコメント

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朝日新聞が「ニュースQ3」の枠で、日本テレビの「女子アナ内定取り消し問題」を取り上げました。

この記事の中で、コメントしています。


女性アナの内定取り消し 
TV局が求める「清廉性」って?
東京・銀座のクラブでホステスのアルバイトをした経験を理由に、アナウンサーの内定を取り消された女性が日本テレビを訴えた。はたして、裁判の行方は。

■銀座のクラブ バイトしたら

「ホステスに清廉性はないのか」「女子アナは清廉なのか」――。東京地裁で初弁論があった11月14日、インターネットのツイッター上には日テレへの批判が巻き起こった。

原因は、提訴した東洋英和女学院大4年の笹崎里菜さんに日テレが送ったとされる人事局長名の文書。「銀座のクラブのホステス歴は、アナウンサーに求められる清廉性にふさわしくない」

訴えによると、笹崎さんは昨年9月に来春の採用が内定。だが今年3月、内定以前に母の知人の紹介で銀座のクラブでバイトした経験を伝えると、内定を取り消された。採用過程で申告しなかったのが「虚偽申告にあたる」とされた。笹崎さんは来春の入社を求めている。

「内定と就職は、婚約と結婚の関係に似ている。合理的理由なく取り消せば法的責任が生じる」と、民事のベテラン裁判官は話す。

■過去の訴訟は判断分かれる

内定をめぐっては、過去にも裁判で争われている。「陰気な印象だった」との理由で内定を取り消された大学生が訴えた裁判で最高裁は1979年、取り消しを無効として会社側に賠償を命じた。一方、デモに参加して逮捕された経歴が内定後に分かったケースで最高裁は80年、内定取り消しを有効とした。

これらの判決から、内定の取り消しは、①内定時に知りえなかった事実が後で判明し、②社会通念上相当と認められる場合のみ有効、との基準が定着した。

労働問題に詳しい吉村雄二郎弁護士は今回の訴訟について、ブログで「総合的に見て内定取り消しは認められない」としながら、「日テレ側に全く合理性がないわけではない」とも書いた。

裁判所がアナウンサーを特殊な職業だと認めた例があるからだ。アナウンサーの女性が別の部署への配転の無効確認を求めた仮処分の申し立てで、東京地裁は76年、「人間的な温かさや信頼感、各種のタレント性を必要とする専門職」との決定を出した。吉村弁護士は「一般の職業に比べれば、ホステス歴をふさわしくないとする余地はある。結局、女子アナとは、ホステスとは、という仕事の評価の問題だ」と語る。

■「タレント化を象徴」

「一口にホステスと言っても、最近はコンビニのバイト感覚で気軽に来る学生も多い」。クラブやスナックの業界団体「全国社交飲食業生活衛生同業組合連合会」の猪俣伸介事務局長(74)はこう語る。風俗営業法の管轄下にある業界が、偏見を持たれる構図は昔からあるとも。

今回の訴訟について、テレビプロデューサーの経験もある碓井広義・上智大教授(メディア論)は「女子アナが、社内タレント化していることを象徴する出来事だ」と指摘する。1980年代ごろから女子アナのタレント化が加速したという。月給で使える半面、スキャンダルがあれば局がダメージを受ける。特に日テレは女子アナの過去の私的な写真が流出した事件があり、今回もそれが影響したと見る。

さて、勝訴したら笹崎さんは女子アナになれるのか。元ホステスで作家の室井佑月さんは「職業に貴賤(きせん)はなく、勇気をもって訴えたのは当然。勝ったら堂々と日テレに入ればいい。もし居づらいとしても、結果として名前が知られた彼女が活躍できる場はいくらでもある」とエールを送る。

ちなみに、清廉とは、広辞苑によれば「心が清くて私欲のないこと」だという。(千葉雄高)

(朝日新聞 2014.12.02)

菅原文太さん、最後のメッセージ

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先月28日に、
俳優の菅原文太さんが亡くなりました。

学生時代に
オールナイト上映で見た
「仁義なき戦い」、
今でも時々見直します。

引退されてからの日々も
見事だったと思います。

30年来の友人である報道カメラマンから
以下のようなメールが届きました。

そのまま転載してみます。

合掌。


*********************************************

御無沙汰しております。

日々お疲れ様です。


菅原文太氏の死去。

最後のメッセージ(声明)かと思います。

沖縄知事選での応援演説。

(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/201796

当方かつて何人ものメッセージの姿を
ファインダーの中で見て来ましたが、
菅原文太氏のこの語り、表情、
命がけの次世代への最後のメッセージ。

もし現場にいたら、
何かうまく表せませんが、
身が震えたかも知れません。

菅原文太氏という対象に
カメラ機材と共に吸い込まれて行く様な
状況になるのではないかと思いました。

本当の事を心から語る人の姿には、
不思議ですが
撮影する側は意図せず、
自然とカメラアングルとかフレーム等
決まってしまいます。

*********************************************

「ヨルタモリ」は、日曜深夜じゃモッタイナイ!?

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日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今週は、フジテレビの「ヨルタモリ」について書きました。


「ヨルタモリ」(フジテレビ系)
日曜深夜はモッタイナイ
「笑っていいとも!」を終えた、タモリが始めた「ヨルタモリ」(フジテレビ系)。舞台は湯島あたりのバーで、ママが宮沢りえだ。タモリは店の常連客。岩手でジャズバーを経営する吉原に扮している。

ゲストはあくまでもこの「設定」の中で自分を表現しなくてはならない。一種の遊びなのだが、ストレートなトーク番組を好む視聴者には不評かもしれない。

また、“番組内番組”として挿入される「世界音楽紀行」や「日本古典文学講座」なども同様だ。「いいとも!」のタモリを見慣れた視聴者は、「コレって面白いの?」と違和感を覚えるだろう。

この番組をタモリの原点回帰と呼ぶのはややオーバーで、<「いいとも!」のタモリ>から脱するためのリハビリだと思えばいい。国民的番組では言えなかったことも、「吉原さん」の設定なら言えたりするからだ。

たとえば先日のゲストは松たか子だった。話題は当然「アナ雪」になる。すると吉原が「ハッキリ言って、『ありのまま』を歌わせておくのはモッタイナイ」と言い切ったのだ。松の実力を高く評価するタモリだからこその本音だった。

初回から見てきて思う。これが日曜深夜に置かれているのがモッタイナイ。かつての「今夜は最高!」は土曜深夜で、「タモリ倶楽部」が金曜深夜。明日は休み、という余裕の中で見たい1本である。

(日刊ゲンダイ2014.12.03)

アサヒ芸能で、「紅白歌合戦」について解説

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発売中の「アサヒ芸能」最新号に、「紅白歌合戦」に関する特集記事が掲載されました。

この中で、解説しています。

例によって、記事全体は本誌をご覧ください。

以下、私の解説部分です・・・・


●「紅白」と時代

今年で65回を迎える紅白だが、「時代遅れ」の感は否めないといえよう。

.上智大学文学部新聞学科教授(メディア論)の碓井広義教授が語る。

「紅白が変わったというより、視聴者側が変わったといえるでしょう。視聴者のテレビに対するスタンスが変わってしまった。今の視聴者にとっての『メディアの優先順位』で、何が自分にとって大事か? と考えると必ずしもテレビは一番ではありません。他のメディアもできましたから」


●「紅白」と社会

「家族・家庭のあり方が個人主義どころか『バラバラ主義』になってしまいました。家庭にテレビが一台、そこにみんなが集まって覩るというスタイルが変わってしまったということです。そうした流れに紅白も巻き込まれていったということでしょう」


●NHKと「紅白」

「視聴者にとってより、公共放送にとっての『紅白』という思いがあるのかもしれません。NHK にとって3大“記号”、“シンボル”は『朝ドラ』『大河』『紅白』です。『朝ドラ・大河』がドラマの看板、エンターテイメントの看板が『紅白』です。やめるのは簡単ですが、手放したらNHKは多くのTV局のワンノブゼムになってしまうのではないかという、思いがあるのではないでしょうか」

「ここしばらく紅白は『対処療法』を行っているという印象は否めません。なんとなく状況に合わせる形で、こっちで求められているものを用意 し、あっちが欲しがるものも並べてみましたという、まるで潰れかけの総合デパートみたいです。本当はNHKとして『紅白とはこういうもの』という、『紅白の哲学』を考えるべきなのでしょう」

(アサヒ芸能 2014.12.11号)


「金曜オトナイト」で、宝田明さんと・・・

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5日夜の「大竹まことの金曜オトナイト」。

ゲストは、今年、デビュー60周年を迎えた宝田明さんでした。

宝田さんといえば、やはり「ゴジラ」です。

実はゴジラもデビューから節目の60年で、宝田さんとは同期!(笑)。




1954年に公開された「ゴジラ」第1作は、まさしく反戦・反核の社会派SF映画です。

放射能の破壊力を思い出させ、核兵器の恐ろしさを伝え、単なる怪獣映画ではなく当時の社会問題を映していました。

小学生時代からリアルタイムで「ゴジラ」シリーズを全部観てきたので、今回、宝田さんにお会いできたことは大変嬉しかったです。

番組では、「ゴジラ」の話以上に、宝田さんの戦争体験をうかがうことが出来ました。

幼少期を旧満州のハルビンで過ごした宝田さん。

ソ連軍が自宅に侵入してきたこともあったそうです。

大スターが語る、波瀾万丈な当時の体験は圧巻でした。

「カーサンはバクハツだあ!」の天才編集者・末井昭さん

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「本の雑誌」も今年最後の12月号が出ました。

特集がいい。

「天才編集者・末井昭に急接近!」だもの。

ある年代以上は、その名を聞けばピクッと反応する、まあ、伝説の編集者ですね。

「ウイークエンドスーパー」「写真時代」、それからパチンコ雑誌もあったなあ。

でも、私が一番スゴイと思ったのは、末井さんのお母さん。

というか、お母さんのことを書いた末井さんの本「素敵なダイナマイトスキャンダル」(北宋社→角川文庫→ちくま文庫→復刊ドットコム)だ。

岡山の田舎町で暮らしていた末井少年。

実の母親が、ある日、近所の青年と“ダイナマイト心中”しちゃうのだ。

興味のある方は、この本を、お読みいただくとして・・・・

この事件を綴る末井さんもまたスゴくて、「芸術は爆発だったりすることもあるのだが、僕の場合、お母さんが爆発だった」みたいな感じで書いちゃうのである。

「カーサンはバクハツだあ!」って、岡本太郎どころか、もう誰も敵わないでしょ。

そんな末井さんに迫った特集なのです。


今週の「読んで書評を書いた本」は次の通りです。

北原尚彦 『ホームズ連盟の事件簿』 祥伝社 

奥田英朗 『田舎でロックンロール』 角川書店

永江 朗 『「本が売れない」というけれど』ポプラ新書

山本峯章 『韓国人は、なぜノーベル賞を獲れないのか?』
ベストブック 

Jプレゼンスアカデミーワイン教室:監修 
『本当はコレだけ!ワインのツボ』 幻冬舎 

荒木経惟 『道』 河出書房新社

* これらの書評は、
  発売中の『週刊新潮』(12月11日号)
  読書欄に掲載されています。

【気まぐれ写真館】 パール・ハーバー 2014

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