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人類愛と家族愛が合体した、超SF映画『インターステラー』

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『ヒューリー』に続いて劇場に足を運んだのは、クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』です。

近未来、地球規模の食糧難と環境変化によって人類の滅亡のカウントダウンが進んでいた。そんな状況で、あるミッションの遂行者に元エンジニアの男が大抜てきされる。そのミッションとは、宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つというものだった。地球に残さねばならない家族と人類滅亡の回避、二つの間で葛藤する男。悩み抜いた果てに、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込む。

『ダークナイト』シリーズや『インセプション』などのクリストファー・ノーラン監督が放つSFドラマ。食糧不足や環境の変化によって人類滅亡が迫る中、それを回避するミッションに挑む男の姿を見つめていく。主演を務める『ダラス・バイヤーズクラブ』などのマシュー・マコノヒーを筆頭に、『レ・ミゼラブル』などのアン・ハサウェイ、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインら演技派スターが結集する。深遠なテーマをはらんだ物語に加え、最先端VFXで壮大かつリアルに創造された宇宙空間の描写にも圧倒される。


ノーラン監督というだけで、やはり見ないではいられません。

結果、予想以上の作品でした。

人類滅亡の危機という“大きな物語”と、マシュー・マコノヒーが演じる元エンジニアとその家族という“小さな物語”が巧みに融合されており、トータルで見ごたえのある人間ドラマになっています。

『ヒューリー』が形を変えた、もう一つの『地獄の黙示録』ならば、こちらは、もう一つの『2001年宇宙の旅』だと言ったら、またまた言い過ぎですね(笑)。

169分という堂々の長尺ですが、飽きることなく、スクリーンに没頭しました。

新作が出るたびに「うーん、これはすごいぞ!」と驚かされるのですが、毎回こんなハイレベルな作品を作り続けて、ノーラン監督、大丈夫か? 早死にしたりしないよね。



NHK大河ドラマ「花燃ゆ」初回を見て・・・

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まず、「これは期待できそうだ」というのが、初回を見ての第一印象でした。

ドラマで最も大事なものは物語であり、ストーリーです。

吉田松陰を軸に、幕末から維新へと時代を動かした人物たちを描く。

基本的に面白くないはずはありません。

ただし今回は、吉田松陰の「妹」という、一般的には知られていない人物を主人公に据えたことの不安はあります。

主人公の設定が物語の幅を狭めないか。

まあ、それは初回だけでは判断できませんが、子役の山田萌々香さんの好演もあって、少なくとも文(ふみ)という女性が少女時代から“ひと味違う”魅力をもった人物であることは伝わってきました。

次回からは井上真央さんも本格的に登場するので、文のヒロインとしての存在感も増すでしょう。

松陰はもちろん、やがて最初の夫となる久坂玄瑞や高杉晋作との関わりも興味深い。


それから、初回で感心したのは、いい台詞がいくつもあったことです。

中でも、藩校「明倫館」の場面は秀逸でした。

幕府が禁じた書物をめぐる騒動を踏まえて、後の松陰、吉田寅次郎(伊勢谷友介)が一堂に問いかけます・・・・

 皆に問いたい。
 人はなぜ学ぶのか。

 私はこう考えます。

 学ぶのは
 知識を得るためでも、
 職を得るためでも、
 出世のためでもない。
 人にものを教えるためでも、
 人から尊敬されるためでもない。

 己(おのれ)のためじゃ、
 己を磨くために人は学ぶんじゃ。

・・・・それに呼応するように、後に文の夫となる小田村伊之助(大沢たかお)が続けます。

 人はなぜ学ぶのか。

 お役に付くためでも、
 与えられた役割を果たすためでもない。

 かりそめの安泰に満足し、
 身の程をわきまえ、
 この無知で
 世間知らずで
 何の役にも立たぬ
 己のまま生きるなど
 ご免です。

 なぜ学ぶのか。

 この世の中のために、
 己がすべきことを知るために学ぶのです。

・・・・この場面、そしてこれらの台詞には、このドラマを作っている人たちの「志」のようなものが込められていました。

それがあれば、大きく堕することはないのではないか(笑)。

「これは期待できそうだ」と思った所以です。


そうそう、池田秀一さん(あのシャア・アズナブルです)のナレーションも良かった。

以前、プロデューサー時代に仕事をお願いしたことがありますが、
とにかく上手い。聴いていて安心(笑)。

主観性と客観性のバランスが見事なんですね。プロの仕事です。

池田さん、長丁場ですが頑張ってください。

週刊現代で「本当にうまい役者」ベスト100人を選考&解説

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発売中の「週刊現代」最新号に、特集「いま日本で本当にうまい役者ベスト100人を決める」が掲載されました。

この記事で100人の選考に参加し、解説しています。


いま日本で
「本当にうまい役者」
ベスト100人を決める
〈男優編〉ベスト50
年の大きな楽しみのひとつが、新しく始まるドラマの品定めという読者はきっと多いことだろう。1月最初の週が明け、いよいよ本格的に「2015年の冬ドラマ」が始動した。

ドラマ・映画界では、昨年は大物俳優の訃報も相次ぎ、まさに大きな世代交代の時期に突入している。15年を迎えた「いま」、本当にうまい役者は誰なのか。これからの日本の映画界、ドラマ界を担うのは誰なのか。

本誌はこの問いに答えるべく、上智大学教授の碓井広義氏、映画プロデューサーの日下部五朗氏、評論家の中森明夫氏、そして放送作家の山田美保子氏の4人に意見を聞いた。そのうえで、受賞歴や出演作の視聴率、話題性などを加味し、男優・女優あわせて「現役トップ100人」を選抜、ランキングを集計した。

現在、国内で活動するプロの俳優はおよそ1万人。今回選ばれたのは、そのうちわずか1%の「トップ・オブ・ザ・トップ」であり、これだけでも日本を代表する「うまい役者」であることは間違いない。

では一体、その中でもさらに頂点に立つのは、いったい誰なのか。さっそく、男優から見ていこう。



ここ数年のドラマの中で圧倒的な人気を誇り、社会現象にまでなった『半沢直樹』。かねてから当代きっての演技派として知られていた堺雅人(41歳)と香川照之(49歳)の2人が、同作によって「国民的俳優」にまで大きくジャンプアップを遂げたことに、異論は少ないだろう。

堺演じる主人公・半沢、そして香川演じる仇敵・大和田が至近距離で怒鳴り合うあの凄まじいシーンは、いまも人々の脳裏に強烈に焼き付いている。

「ぜひ『半沢』の続編が見てみたいですね。堺さんは『内に秘めた闘志』を表現するのがうまい」(中森氏)

「2人とも30代半ばで開花した役者といえますが、堺さんはセリフ回しに安定感があり、役作りも幅広い。香川さんは決してスマートな二枚目ではないけれど、例えば西川美和監督の映画『ゆれる』でも、複雑な役柄を演じ切っていた。お父さんの市川猿翁譲りの頭の良さで、演じながら自分の演技をどんどん修正できるんだと思います」(日下部氏)

堺は来年16年度のNHK大河ドラマ『真田丸(さなだまる)』で、主人公・真田幸村を演じることが決定している。一方香川は、1月18日からTBS系ドラマ『流星ワゴン』で西島秀俊(43歳)とともにダブル主演の予定。今年以降も、堺・香川の二人が日本のドラマ界を引っ張ってゆくことは確実だ。

また今回は、昨年のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』で大役を務めあげた岡田准一(34歳)が、上位にランクインした。中森氏はこう語る。

「ジャニーズの中では、間違いなく彼がトップでしょう。大河はここ最近厳しい状況が続いていますが、プレッシャーの中で1年間大きく視聴率を落とさなかったのは偉い。彼は映画『木更津キャッツアイ』で宮藤官九郎さんと出会ったことが大きかった。宮藤さんと出会った役者は、演技の幅が広がるんです」

岡田は一昨年の映画『永遠の0』で、戦時下の日本軍エースパイロットという悲壮な主人公を演じ、役者として本格的に注目されるようになった。「この数年、ぐっと細やかに感情表現ができる役者になってきた」(中森氏)、「これから40代、50代を迎えるのが楽しみ」(山田氏)と、第一線で走りつつも、さらなる成長を続けていることが高評価につながっている。

堺や香川、岡田がいままさに俳優としての「旬」というべき期間にさしかかっている一方で、今回のランキングではもちろん、いついかなる役柄でも的確に仕事をし、存在感を示す名優たちもトップを窺(うかが)う。

「役所広司さん(58歳)、渡辺謙さん(55歳)、三浦友和さん(62歳)、西田敏行さん(67歳)といったベテラン勢は、やっぱり安定感があるし、様々な役柄を幅広く演じ切るオールマイティさを身に付けていますよね。佐藤浩市さん(54歳)も、父親の三國連太郎さんのような落ち着きが少しずつ出てきている。彼らとやると、制作する側も安心できるんですよ」(日下部氏)

そうしたベテラン勢の中でも、碓井氏が「最近になって見直した」と感心したのが、中井貴一(53歳)だ。

「中井さんといえば、生真面目なイメージが固まっていた。それが『最後から二番目の恋』(フジテレビ)シリーズや、NHKの『サラメシ』のナレーションを通して、いい意味で『軽み』が持ち味に加わったと思います。父親の佐田啓二さんから受け継いだ看板に、新しい良さを加味できている。50代にして、ひと皮もふた皮も剥けるのはすごい」

俳優に限らず、人生には時に「壁」にぶつかることがある。50代、60代、70代と年齢を重ねてなお活躍する人は、そうした壁にぶつかるたび、たとえいくつであっても成長を遂げ、次のステージへ登ってゆく。ただ、彼らのようなトップ男優の場合、最大の障害は「過去の自分」であることが多いのが厄介である。

ほかに高評価を得た俳優に共通する特徴は、この「過去の自分」を克服した、または克服しつつあるということだろう。

「ずっと『天才子役』『美少年』と言われ続けていた神(かみ)木(き)隆之介さん(21歳)は、映画『桐島、部活やめるってよ』でオタクの役を演じたことをきっかけに脱皮した。いまでは悪役も十分にこなせるようになっている」(中森氏)

「山田孝之さん(31歳)は、当初のイメージは『暗くて無口』という感じで、どうなるんだろうと思っていたんですが、最近は缶コーヒーのCMで吹っ切れたように『働くお兄さん』を演じているのが、本当にうまくて驚きました。最も見直した俳優の一人です。竹之内豊さん(43歳)も、ここ2、3年でものすごくうまくなった。三枚目や、少し浮世離れした役柄を積極的に引き受けていて、独特の『竹之内ワールド』ができつつある。山田さん、竹之内さんが出ている作品は、必ず見てみたくなりますね」(山田氏)

こうして苦闘の末に這い上がってきた実力派がいる一方、ランキング上位争いには多くの「個性派」たちまで食い込み、まさに混戦状態だ。

「『陰影のある男』をやらせたらピカイチなのが浅野忠信さん(41歳)。大森南(な)朋(お)さん(42歳)も『何を考えているか分からない男』を演じたら右に出る者はいない。藤原竜也さん(32歳)や、それから阿部サダヲさん(44歳)なども『狂気』を演じた時にひときわ光る物がある役者です」(碓井氏)

「すでに浅野さんは、もはやうまい、下手という次元を超えて『ブランド』に到達したのではないでしょうか。昨年の映画『私の男』で演じた、二階堂ふみ演じる娘と近親相姦する父親の役は圧巻。中年にさしかかって、『いぶし銀なのに凶暴』という新たな魅力を得た」(中森氏)

しかし、こうした並み居る大物、そして曲者を抑えて総合トップに躍り出たのは、NHKの朝ドラ『マッサン』で「鴨居の大将」を演じ、圧倒的な存在感を見せつけている堤真一(50歳)だった。

「彼は役者としては遅咲きだったけれど、コメディに人情もの、アクション、シリアスと幅広い役柄をこなせる。しかも、懐が深い」(日下部氏)

『フライ、ダディ、フライ』や『ALWAYS 三丁目の夕日』(ともに05年)、『クライマーズ・ハイ』『容疑者Xの献身』(ともに08年)などで数々の映画賞を総なめにしてきた堤。近年では、器が大きくたくましい「日本の男」というイメージが完全に定着した。

大らかで、てらわず、気取らず――そういう「日本人みんなを勇気づける」役柄を演じられる役者という意味では、数多いる男優たちの中でも、いまや彼は稀有な存在といえるだろう。

「実は千葉真一主宰のJAC(ジャパン・アクション・クラブ)出身で身体能力も高い。今後のさらなるステップアップのためにも、本格的なアクションに改めて挑戦する姿を見たいですね」(碓井氏)

また今回、多くの二枚目俳優たちを抜き去り、見事トップ10入りした個性派若手俳優もいた。『軍師官兵衛』で黒田家の筆頭家老・栗山善助を演じた、濱田岳(がく)(26歳)である。

「画面のどこにいても目が行く役者さん。悪人役も面白い人の役もできますし、演出家は、彼のような役者なら当然使いたくなりますよ」(山田氏)

「芝居は一人でやるものではないですから、彼のような役者が必要なんです。彼にしかできない役がある」(中森氏)

濱田はしばしば「若い頃の火野正平に似ている」と言われることがあるという。ドラマ『必殺仕置人』シリーズの正八のように、火野が’70年代から’80年代にかけて演じたコメディ・リリーフ的役柄を、若き濱田が受け継いだという事実は、まさに「時代はまわる」ことを感じさせてくれる。

大河ドラマ『花燃ゆ』は4日に第1話が放映され、民放各局でも追いかけるように連ドラの放映が始まった。

中でも今期の注目株は、フジテレビ系『デート』で杏と共演している長谷川博(ひろ)己(き)(37歳)だ。

「長谷川さんはドラマ『鈴木先生』での主演も評判でしたが、主役はもちろん、共演相手の女優を立て、輝かせるような演技をする時がとてもいいと思います。鈴木京香と共演したドラマ『セカンドバージン』でもそうでした」(碓井氏)

「すごく男前というわけでもないんだけれど、不思議な魅力がある。堺雅人さんのように、『どこまでが本心なのか分からない』タイプで、見る者を引き込む芝居ができる」(中森氏)

この国には、まだまだ実力と意欲を兼ね備えた男優たちが数多くいて、いまも日々研鑽を積んでいる。もしかすると、彼らの中から10年後、20年後の「健さん」が現れるのかもしれない。

(週刊現代 2014.01.17/24号)


オトナの男のためのドラマだった「東京センチメンタル」

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日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ東京の年末特別ドラマ「東京センチメンタル」について書きました。


2015年もテレビ東京は
オトナの男の味方であってほしい
喧騒の年末特番に閉口していた12月30日夜。テレビ東京が放送した特別ドラマ「東京センチメンタル」に救われた。いや、大作とか問題作とかではない。中年オヤジの淡い恋物語なのだ。

しかし、主人公の和菓子職人を「花子とアン」の吉田鋼太郎が演じたことで俄然魅力的なドラマとなっていた。吉田はバツ3で現在は独身。結構惚れっぽい。10年ぶりで再会した高岡早紀と谷中の町を散歩しながら、また仕事上のつき合いがある黒川芽以と深川を食べ歩きしながら、つい「もしかしたら」という勝手な妄想が湧き上がる。

結局、子供と多額の借金を抱えた高岡は北海道の資産家を選び、若い黒川は結婚のお知らせを送ってくる。つまり片想いのままフラれるのだが、吉田は執着しない。「ま、いっか」という余裕の負けっぷりが微笑ましいのだ。オトナの男はこうでなくてはならない。

このドラマには「町歩きの楽しみ」という裏テーマがある。日常からのささやかな逸脱。オトナならではの趣味だ。ドラマの中に登場する谷中の「カヤバ珈琲」も、深川の「イベリコバル門仲」も実在の店だ。この辺りは「孤独のグルメ」を想起させる手法で、どの店も行ってみたくなった。

2015年もまた、テレビ東京はオトナの男の味方であってほしい。そんな願いが叶いそうな、オトナなドラマだった。

(日刊ゲンダイ 2015.01.07)

「本当にうまい役者」ベスト100人を選考&解説(女優編)

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発売中の「週刊現代」最新号に、特集「いま日本で本当にうまい役者ベスト100人を決める」が掲載されました。

この記事で100人の選考に参加し、解説しています。

以下は「女優編」です。




いま日本で
「本当にうまい役者」
ベスト100人を決める
〈女優編〉ベスト50
いま日本で一番うまい「女優」は誰か――。ここからは、男優編に続いて、女優のベスト50を一挙公開し、今年注目すべき女優、抜きんでて演技が巧みで、画面によく「映える」女優たちを一緒に確認していこう。

この女優たちが出演するドラマや映画をチェックしておけば、きっと素晴らしい作品に、今年も出会えるはずだ。

それでは早速、ランキングを見ていこう。今回、栄えある第1位に輝いたのは――満島ひかり(29歳)である。

上智大学文学部教授(メディア論)の碓井広義氏は満島を推した理由をこう語る。

「彼女はまさに『全身女優』のような存在です。ベスト50に入った女優たちは、みなすばらしい演技力を持っていますが、彼女らと比べても、全身を使って役に成りきるという点では、彼女は一番でしょう。泣きの演技から、笑いの演技、怒りの演技まで何でもこなせる全方位型の女優です」

元々は『フォルダー5』というアイドルグループの一員だった満島は、園子音監督の映画『愛のむき出し』(’09年)での体を張った演技で、注目を集めた。昨年もドラマ『若者たち2014』や『ごめんね青春!』に出演し、気合いの入った演技で、視聴者をくぎ付けにした。

コラムニストの山田美保子氏も満島についてこう絶賛する。

「彼女はとにかく演技に対して真面目で真摯なんです。ドラマ『woman』(’11年) では、2人の子供を抱えるシングルマザーを見事に体現しました。生活に困窮しながらも健気に頑張るその姿に、涙が止まりませんでした。彼女の演技は、見る者の心を揺さぶる力があるんです」

その満島に続き、2位に入ったのが寺島しのぶ(41歳)である。

『仁義なき戦い』の元プロデューサーの日下部五朗氏は、寺島を高く評価する。

「さすが往年の名女優・富司純子さんの娘だけあって、その演技力には舌を巻く。彼女は、決して美人のタイプではないが、あの体当たりの演技には、誰もが心を奪われる。しかも、彼女は必要とあれば、脱ぐことも厭わない。今の映画界にとって非常に貴重な存在です。女優というのは、セリフだけでは語れないものが絶対にあるんです」

寺島が、映画『キャタピラー』(’10年)で見せた、戦争により四肢を失った夫と性行為に及ぶシーンは、もはや伝説となっている。まさに「魂」で演じた濡れ場だった。その演技は海外でも高く評価され、ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した。

「役者は観念ではなく、本能で芝居をしないと心の表現まではできない。全身全霊で芝居に向き合ってこそ、寺島のような『本物』の女優になれるんです」(日下部氏)

そしてなんと3位に輝いたのは、今年の大河ドラマ『花燃ゆ』で主演を務める井上真央(27歳)だ。

「ここ最近の井上の成長には、目を見張るものがあります。彼女は元々ドラマ『キッズ・ウォー』(’99年~’03年)で子役としてブレイクした。そのため子役のイメージがなかなか抜けずにいたんですが、永作博美(44歳)と共演した『八日目の蝉』(’11年)で完全に化けました。原作は角田光代で、母だと思っていた女性(永作)が、実は、自分を誘拐した犯人だったという重たい設定です。そんな影のある役を演じることで、子役から大人の女性へと脱皮したんです」(アイドル評論家の中森明夫氏)

同じく、碓井氏も井上を高く評価する。

「今年の『花燃ゆ』の主役にも抜擢されたように、彼女は、最近では珍しくなった古き良き日本女性を体現できる20代の女優なんです。箸の持ち方から、字の書き方まで、すごく綺麗なんです。普段の生活から演技のことを心掛けている証拠でしょう。着物も似合うし、まさに大和撫子と呼ぶにふさわしい女優です」

4位には、四十路を超えて新境地を切り開いた宮沢りえ(41歳)がランクイン。映画『紙の月』(’14年)での濃厚なベッドシーンは観客に衝撃を与え、2月に決る‘14年度日本アカデミー賞の主演女優賞の最有力候補とのうわさもある。

「10代の時に『Santa Fe』でヌードを披露してから約25年。40歳を超えてさらに大人の色気に磨きが懸かりました。宮沢の人生は波乱万丈だった。貴乃花との婚約破棄、元夫との離婚、そして去年は二卵性母子とも言われた最愛の母を亡くした。しかし、それらすべての経験を宮沢は、演技に活かしているからすごいんです」(日下部氏)

そして5位には、ドラマ『時効警察』でのコミカルな演技から、シリアスな演技まで幅広くこなす麻生久美子(36歳)が、選ばれた。

「顔は美人だけど地味。その特徴を演技に最大限活かしているところがいい。 ドラマ『泣くなハラちゃん』(’13年)で、かまぼこ工場で働く独身女性を演じた時は、見ているだけでせつなさが伝わった。そういう空気感まで表現できる女優なんです」(山田氏)

6位は松たか子(37歳)。昨年は『アナと雪の女王』で歌手としての話題が先行した彼女だが、映画『告白』(’10年)で魅せた鬼気迫る演技は、観客に強烈なインパクトを与えた。歌舞伎一家に生まれ、舞台で鍛えた演技力は健在だ。

7位には昨年、映画『そして父になる』やドラマ『最高の離婚』に出演した尾野真千子(33歳)が入った。尾野は中学3年生の時、地元奈良の中学校で偶然、河瀬直美監督の目にとまりスカウトされるという珍しい形でのデビューだった。

「河瀬監督によれば、その時の尾野の立ち姿がスクリーンに『映える』と瞬間的に思い、スカウトしたみたいです。それくらい彼女は、見ている者を惹きつける雰囲気を持った女優なんです。もともと男っぽく、サバサバしていて、神経が太いので、演技も大胆で見ていて気持ちがいいですね」(中森氏)

8位には、いまや若手演技力№1と言われる二階堂ふみ(20歳)がランクインした。彼女は昨年『軍師官兵衛』で淀役を熱演し、一躍全国にその名を売った。満島ひかりや吉高由里子を見出した園子音監督によると、彼女は演技に対する理解度が、圧倒的に優れているという。また、映画の知識量、読書量は若手の中でも群を抜いており、演技に対しての研究は、他を寄せ付けない。まだ20歳と若いが、海外からも注目される逸材なのである。

9位には、岩井俊二監督の『リリィ・シュシュのすべて』(’01年)でデビューし、『フラガール』(’06年)でブレイクした蒼井優(29歳)が入った。

「同世代の中でも特に、個性派女優として知られる彼女ですが、年を取るごとに『若いころの大竹しのぶさん』に似てきましたね。居るだけで芝居ができる生まれつきの女優です」(山田氏)

10位に入ったのは、綾瀬はるか(29歳)だ。昨年は主演を務めた『明日、会社休みます』が大ヒットし、改めて世間に綾瀬はるか人気を印象づけた。

「普通この歳の女性が、『処女』で恋に臆病な女性を演じると、どうしても違和感が出てくるんですが、彼女がやるとわざとらしくないんですよね。今回の『こじらせ女子』は、まさに彼女のハマリ役でした。天然と言われるけど、ハマった時の爆発力はすごい」(碓井氏)

11位以降にも画面に「映える」注目の女優は、まだまだいる。昨年、映画『まほろ駅前狂騒曲』やドラマ『MOZU』で存在感を発揮した真木よう子は19位に入った。NHK『花子とアン』で無邪気な演技から、大人の演技を魅せた吉高由里子(26歳)は20位。

遅咲きながら、今回のランキングで上位の13位に入ったのが、高畑淳子(60歳)だ。

「ドラマ『白い巨塔』(’03年)で石坂浩二の妻を演じ、注目を集めてから12年。昨年のドラマ『昼顔』では、上戸彩(29歳)の姑役で安定感のある演技を披露しました。先頃、紫綬褒章を受章するなど、今もっとも必要とされるベテラン女優です。彼女の演じる母親はとにかく存在感がある。ヒステリックになったり、優しく慰めてくれたり、いろんな顔を見せてくれるんです」(山田氏) 

‘80年代を代表するアイドルから、近年、女優として再評価された小泉今日子(48歳)が18位にランクインし、薬師丸ひろ子(50歳)も31位に選ばれた。

「キョンキョンも薬師丸もNHKの『あまちゃん』でアイドルから、本物の女優に進化しました。二人のアイドル時代を知っているだけに感慨深い。あえてノーメイクで撮影に挑むなど、年齢どおりのリアルな演技は素晴らしい」(山田氏)

1位の満島ひかりと同じ世代には、16位の貫地谷しほり(29歳)、21位の石原さとみ(28歳)、39位の宮崎あおい(29歳)、49位の長澤まさみ(27歳)など、まだまだ多くの実力派女優が存在する。

「今の20代後半の女優は黄金世代なんです。10代の頃から演技力が高く、映画やドラマで主役を務めてきた。ここ10年の芸能界を牽引してきたのは、彼女たちだといっても過言ではない」(中森氏)

一方、若手女優からは、30位の橋本愛(18歳)、32位の有村架純(21歳)48位の能年玲奈(21歳)のNHK『あまちゃん』トリオと、NHK『花子とアン』で醍醐役を演じた高梨臨(20歳)が50位にランクインした。

「橋本は、18歳になった瞬間に、大人の色気や演技を学ぶためポルノ映画を観に行ったそうです。『あまちゃん』のイメージが強い能年ですが、天才的な女優であることは間違いない。これから更に進化するはずです。有村はドラマからCMまでなんでも、できる器用さがある。万人受けする演技ですね」(中森氏)

脇役ながら、確実に実績を積み上げランクインした女優もいる。15位に入った安藤サクラだ。

「奥田瑛二さんと安藤和津さんの娘だけあって、演技力は抜群です。普通の女性を演じさせたら、右に出る女優はいません。また『百円の恋』でボクサーを演じたと思ったら、『0.5ミリ』では、介護ヘルパーの役をやったりと、どんな職業でも演じられる器用さがある」(山田氏)

木村多江(43歳)、吉田洋(40歳)も脇役を中心として演技力を磨き、そして今やドラマや映画では欠かせない存在となっている。

脇役から、次はおそらく主演に抜擢されるほど力をつけたのが、15位の黒木華(24歳)だ。

「初めて彼女の演技を見たとき驚きました。とにかく女優としての芝居の勘がいい。出るときは出る、下がるときは下がる。そのタイミングが絶妙なんです。松たか子さんが主演を務めた『小さいおうち』で、主役じゃないのに、第64回ベルリン国際映画祭の最優秀女優賞を受賞したくらいですからね。個性派女優として、今後も存在感は増してくるでしょう」(山田氏)

今回ランキング入りした「本当にうまい女優」50人は、今年どんな作品に登場し、どんな演技をみせてくれるのだろうか。彼女らが演じる物語を見るのが、今から待ち遠しい。

(週刊現代 2014.01.17/24号)


今年最初の「オトナイト」は、キャイ~ンの天野さんと・・・

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BSジャパン
「大竹まことの金曜オトナイト」

2015年1月9日(金)
夜11時30分~深夜0時00分

【ゲスト】天野ひろゆき(キャイ~ン)

<出演者>
レギュラー:大竹まこと、山口もえ、碓井広義(上智大学教授)
進行:繁田美貴(テレビ東京アナウンサー)
ゲスト:天野ひろゆき(キャイ~ン)


<番組内容>
◆流出ワイド◆
(秘)超気持ちいい!一発で卵の黄身を取り出す方法
(秘)クレームによりジャポニカ学習帳の表紙から昆虫が消える
(秘)夫が妻の話を聞いている時間は約6分
(秘)高2当時に採取 12年凍結した卵子で出産

◆文化情報コーナー◆
街で直撃取材!
「あなたの持っている本見せて下さい」
天野ひろゆきオススメ本
「智恵子抄」
さらにおススメ映画、漫画まで!



今週の「繁田美貴アナウンサー」

日刊ゲンダイで、爆笑問題「政治ネタ却下」騒動について解説

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爆笑問題 政治ネタNG騒動
NHKの弱腰 及び腰が招く
「表現の自由」の危機
圧力ないのに“忖度”して自主規制の愚
これも「公平中立な報道」の一環なのだろうか。7日未明放送のラジオ「爆笑問題カーボーイ」でNHKからの“圧力”を暴露した「爆笑問題」。3日に生放送された「初笑い東西寄席2015」の制作サイドが政治家ネタにNGを出したと明かし、太田光(49)は「プロデューサーにもよるけど“自粛”なんですよ。政治的圧力は一切ない」、田中裕二(49)は「それが色濃くなってるのは肌で感じたね」と語った。

 NHKは「放送にあたって娯楽番組の打ち合わせを出演者とする際、その中身について普段から明らかにすることはありません」(広報局)というが、この一件に「民放もNHKの姿勢に合わせていくことになれば、テレビ全体に猜疑の目が向くのも時間の問題かもしれません」と話すのは上智大の碓井広義教授(メディア論)だ。

「以前、自民党が民放各局に公平中立な報道に配慮するよう要請したのも正直、圧力だと思います。籾井(勝人)さんが会長になって以降、目に見えない自主規制をたくさんしているんだろうなと感じました。ネタうんぬんに限らず、扱うニュースの順番、長さ、論調に至るまで気にしているのではないでしょうか。

しかも今回、そういった空気がエンターテインメントにまで浸透しつつあるということがハッキリした。これは嫌な世の中になってきているなと。『爆笑問題』はこれまで何度も生放送をこなしてきたプロですから、どこまでならOKか分かっているはず。それなのに過剰に気にして表現の自由を奪うのはいかがなものか。

今の政治家は特に器が小さいところもあるから過敏になるのかもしれませんが、今回NGの前例をつくってしまったことで、今後の影響が気になります」

一方、民放はというと、元日の「爆笑ヒットパレード」(フジテレビ系)では爆笑問題の政治ネタはなかった。しかし、昨年12月26日深夜放送の「検索ちゃん ネタ祭り」(テレビ朝日系、※事前収録)では、太田が「小渕優子なんて当選した瞬間、“小渕ワイン”で乾杯。ルネッサ~ンス! その後、だるまの目にドリルで穴開けて」とボケ、「うちわ問題」で蓮舫(47)が松島みどり(58)を追及する場面を顔マネを交えて再現。これぞ爆笑問題の本領だろう。

安倍政権に対して弱腰及び腰をバラされてしまったNHK。4日から始まった大河ドラマ「花燃ゆ」も、安倍首相のご当地・山口を舞台にした「ゴマすり大河」といわれているが、政治介入もないのに、勝手に忖度して自主規制とは愚の骨頂だ。

(日刊ゲンダイ 2014.01.08)



・・・・以下、続報です。

NHKの籾井会長が、この件に関して”反論”を行ったそうです。

政治ネタ没問題
NHK籾井会長の“反論”で強まる自主規制
お笑いコンビ「爆笑問題」の政治家ネタをボツにし、批判されているNHK。8日、NHKの籾井勝人会長(71)が批判に対して“反論”した。

定例会見でこの問題を問われた籾井会長。「(自分は)全く関与していない」と話す一方で、一般論として「個人名を挙げてネタにするのは品がない。しゃべる人も品性や常識があってしかるべきだ」と言い放ったのである。

現在、2000人近いNHKのOBから「辞任要求」を突き付けられ、「失格」の烙印を押されている会長とはいえ、仮にも表現の自由を重んじる報道機関のトップなら「ボツにするべきではなかった」と発言するべきなのに、ボツに「賛意」を表したのだから驚くばかりだ。NHKの「言論封殺」を会長自身が認めたようなものだ。しかも「個人名うんぬん……」とは風刺そのものを全く理解していないことになる。

そもそも「政府が右と言っているものを、我々が左と言うわけにはいかない」などと公言する籾井会長は「表現の自由」を“余計なもの”と考えているのではないか。

元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。

「会長が公の場でこういう発言をすると、現場はいま以上に萎縮するでしょう。自己規制の連鎖が始まりますよ」

皆様のNHKが消える日がどんどん迫っている。

(日刊ゲンダイ 2014.01.09)


・・・・権力を風刺する行為に対して、「個人名を挙げてネタにするのは品がない」と。

うーん、このままで本当に大丈夫なんだろうか(笑)。

産経新聞で、「レコード大賞」について解説

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「出来レースでは?」
国民的番組『レコ大』の存在意義は
視聴者に認められているか
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEの「R.Y.U.S.E.I.」に決まった、昨年末の第56回日本レコード大賞(レコ大)。TBS系での発表の生中継は長年、年末年始を代表する国民的番組として親しまれてきたが、昭和50年代をピークに視聴率はこの20年近く、20%を超えられないでいる。識者からは賞の存在感低下を危ぶむ声が上がる一方、関係者は“復権”に向けた模索を続けている。

 ■「作品をランク付けするのか」

レコ大は昭和34年、日本作曲家協会会長だった作曲家の古賀政男と、服部良一、音楽評論家の平井賢が中心となって創設された。前年に始まった米グラミー賞をヒントに、対象年度に発売された作品の中から、その年度を代表する大きな支持を集めたものを顕彰する賞だ。

ただ、TBS社史「TBS50年史」によると、賞創設当時はレコード会社が「われわれの作品にランク付けするのか」と怒り、大半が共催を断るなど、理解は得られなかったようだ。そんななか、テレビ局で唯一、理解を示したのがTBS(当時はKRT)。賞に出資し、毎年、受賞発表の様子を放送した。

昭和40年代中頃からテレビ歌謡曲の全盛期が到来すると看板番組に成長し、52年の第19回(大賞は沢田研二「勝手にしやがれ」)の視聴率は、過去最高の50・8%を達成。ほかの民放局が「新宿音楽祭」「日本歌謡大賞」といった音楽祭や音楽賞を相次いで放送する先駆けにもなった。

 ■「賞レース」の功罪

だが、こうした盛り上がりは同時に、その年の「賞レース」の行方に注目が集まることにもつながっていった。音楽評論家で、現在レコ大の常任実行委員を務める富澤一誠氏は「賞レースの盛り上がりが、ファンには音楽業界の利益優先の『腐敗』や『出来レース』のように映るようになり、大衆から支持を失っていった」と指摘する。

平成に入ると、NHKが紅白歌合戦の放送開始時間を午後9時から午後7時台へと大幅に早めていく。出場歌手もバッティングするようになり、紅白出場歌手がレコ大会場からNHKホールへ急いで移動する様子が新たな風物詩になる一方、レコ大の視聴率は徐々に低迷。平成17年には10・0%と過去最低を更新した。厳しい状況を打開するため、翌18年には放送日を12月31日から前日の30日に変更した。

上智大の碓井広義教授(メディア論)は、レコ大のターニングポイントの一つとして、平成13年から浜崎あゆみが3年連続で大賞を受賞したことを挙げる。「もちろん浜崎さんは悪くないが、同じ歌手が3年連続で受賞することで、視聴者は『またか』としらけてしまったのではないか」と推測する。

また、平成20年から25年までの大賞受賞者は、EXILE(4回)とAKB48(2回)の2組のみ。昨年の三代目―もEXILEの兄弟グループだ。碓井教授は「音楽の趣味が細分化、多様化し、1年を代表する曲を選ぶことが難しくなっているのは理解できる。しかし、結果として持ち回りになってしまっており、グループのファンだけが喜ぶような賞になってしまっていないか」と問題提起する。

 ■スターを生む舞台に

一方、放送日を12月30日に変更した平成18年の番組視聴率は17・0%と、前年より7ポイント上昇した。その後、視聴率は一進一退を続けているが、23〜25年は14・9%、16・6%、17・6%と3年連続で上昇するなど、復調の兆しも現れつつある。なお、昨年は15・6%だった。

富澤氏は「CDの売り上げが伸び悩むなか、音楽業界を盛り上げる環境作りが必要になっている。テニスの錦織圭選手やフィギュアスケートの羽生結弦選手のように、スーパースターは華やかな舞台がないと生まれ得ない。レコ大はそんな受け皿にならないといけない」と強調する。

昨年のレコ大では、優れた企画作品に贈られる「企画賞」に、過去最多の11作品を選出した。富澤氏は「賞の乱発とみられるかもしれないが、レコード会社の優れた企画を紹介することで歌手にも番組出演の機会が生まれ、ファン獲得の裾野が広がるチャンスになる。視聴者の趣味の多様化に応える狙いもある」と語る。

レコ大以上に長い歴史を持つNHK紅白も、プロデューサーの制作費着服事件などが発覚し、低迷した時期もあった。だが、近年は視聴者の予想を裏切るような出演者発表や番組演出などが奏功し、再び高い注目を獲得している。番組演出を含め、どう賞を視聴者に説明し、どう見せていくか−という点は、確かにカギになるかもしれない。

上智大の碓井教授は「いろいろいわれても、日本の音楽シーンを総括し、顕彰する番組はレコ大以外にない。今の時代、誰もが納得するような賞選びは不可能かもしれないが、視聴者の声が反映されるような『参加性』のある試みがあってもいいのではないか」と提案している。

*文中の視聴率はすべてビデオリサーチ調べ、関東地区

(産経新聞 2015年01月10日)

週刊新潮で、「菊池桃子」再ブレイクについて解説

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発売中の「週刊新潮」最新号で、菊池桃子さんの「再ブレイク」について解説しています。


「菊池桃子」なぜか46歳の再ブレイクで
離婚して本当に大正解だった
80年代に人気アイドルだった菊池桃子さん。

引退、結婚、出産、子育て、離婚を経験し、現在46歳の彼女が再ブレイクしている、という内容です。

ママドルか?

いや、違うんですね、これが。

なんとプロゴルファーの西川哲さんと離婚後、大学院に進んでいました。

記事全体は本誌をご覧いただくとして、以下は、私がコメントした部分です。


「菊池桃子と同世代の元アイドルタレントは現在、ママタレやママドルと呼ばれてますが、彼女のように大学院まで行って学び直した人は見当たりません。彼女は所謂、普通のママタレたちとは一線を画します」

とは上智大学の碓井広義教授(メディア論)。

「法政大学大学院で修士課程を修了した後、母校の戸板女子短大の客員教授として生涯学習についての講義を持つようになった彼女は“生涯学習タレント”と呼ぶべきかもしれません。他にはこのような分野で活躍するタレントはいません」


(離婚後)彼女は家庭を支えるため、タレント活動を行ってきたが、その一方、離婚後から次のステップへの準備を行っていた。大学院への進学である。

「修士号を得たのは彼女なりに考えての自己投資のはず。その選択は間違っていない。非常に賢い。他のママタレのように賞味期限切れになることもない」

(週刊新潮 2014年1月15日迎春増大号)

【気まぐれ写真館】 我が家の梅も咲いて、祝!「成人の日」

北海道新聞で、年末年始のドラマについて・・・

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北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、年末年始のドラマについて書きました。


年末年始のドラマに思う
普遍性見せたHTB作品
年末特番の喧騒が続いていた12月29日夜、HTBスペシャルドラマ「UBASUTE」が放送された。

主人公は“ゆとり世代”と呼ばれる若者の一人、冬馬(大和田健介)だ。自分のやりたいことが見つからないまま、どこか苛立ちながら短期のアルバイト生活を続けていたが、ある日、ネット上でダイアナという女性(イメージ役は波瑠)と知り合う。

連絡を重ねるうち、彼女の励ましや的確なアドバイスが、徐々に冬馬を前向きな青年へと変えていく。

実はダイアナと称していたのは老人ホームで暮らす72歳のトシエ(草村礼子)だった。正体を隠しながらではあるが、トシエもまた冬馬との交流によって精神的に救われていた。やがて自分の居場所を得た冬馬はダイアナに会うことを決める。

このドラマで評価したいのはHTBの海野祐至による脚本と演出だ。若者と高齢者、それぞれが抱える悩みや迷い、そして希望を、地に足のついたストーリーと語り口で丁寧に描いていた。

何より北海道や札幌といった地域性に寄りかからない、一種普遍的な物語として成立させていたことが印象的だ。HTBの自社制作ドラマの歴史もすでに長いが、その中でも出色の1本と言える。


年が明けて1月4日からNHK大河ドラマ「花燃ゆ」が始まった。しかも初回視聴率16・7%(関東地区)がいきなり話題となった。1989年「春日局」14・3%、77年「花神」16・5%に続く歴代ワースト3位の数字だったからだ。

NHKの看板番組の一つであり、注目度も高いので仕方ないが、初回視聴率だけで否定的な評価を下すのは早計というべきだろう。

吉田松陰をはじめ幕末から維新へと時代を動かした人物たちを描いていくドラマであり、基本的に面白くないはずはない。

ただし今回は吉田松陰の「妹」という、一般的には知られていない人物を主人公に立てたことへの不安はある。この設定が物語の幅を狭めないかという危惧(きぐ)だ。

だが初回を見る限り、子役の山田萌々香の好演もあって、少なくとも文(ふみ)という女性が少女時代から「人をつなぐチカラ」を持つ人物であることは伝わってきた。

2回目からは主演の井上真央も本格的に登場して、文のヒロインとしての存在感も増している。今後松陰はもちろん、後に最初の夫となる久坂玄瑞や高杉晋作たちとの関わりも興味深い。視聴率ばかりを指摘する声に惑わされず、ドラマそのものと向き合っていきたい。

(北海道新聞 2014.01.13)

妙なリアリティーがある草の好演で、「銭の戦争」が面白い

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日刊ゲンダイの連載している「TV見るべきものは!!」。

今週は、ドラマ「銭の戦争」(フジテレビ系)を取り上げました。


妙なリアリティーがある草の好演。
心配材料は・・・
韓国ドラマの面白さは視聴者を油断させないことにある。「こうなるぞ」という予測をいい意味で裏切っていくのだ。

先週から始まった「銭の戦争」(フジテレビ系)には、そんな韓国ドラマの香りがする。それも当然で、原作は韓国の漫画なのだ。あちらでもドラマ化され、大ヒットとなった。

主人公(草剛)は外資系のヤリ手証券マンだったが、町工場を経営していた父親が多額の借金を抱えて自殺したことで人生が一変する。

連帯保証人として金融業者に追われ、会社はクビ。恋人だった資産家令嬢(木村文乃)とも破局。ホームレスとなった草は「金を掴む」ことで復讐を果たそうとするのだ。

木村の祖母(ジュディ・オング)が、孫娘と別れることを条件に大金を差し出す。もちろん草は突き返す。と思いきや、母親の手術費用が必要になり、引き返して金を受け取る。

ところが取り立て屋たちに襲われ、金を奪われてしまう。といった具合に主人公は快調に転落していくが、草の予想以上の好演で物語に妙なリアリティーがある。

脇役の固め具合もいい。父親を追い込んだ金融業者に渡部篤郎。人の好さから保証人になる高校時代の恩師が大杉漣。伝説の金貸しには津川雅彦だ。

唯一心配なのが大杉の娘・大島優子の素人芝居で、草、木村との三角関係はやや無理筋かも。足を引っ張らないことを祈る。

(日刊ゲンダイ 2014.01.13)

「サンデー毎日」で、フジテレビについて・・・

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発売中の「サンデー毎日」最新号に、フジテレビに関する記事が掲載されました。

この中で、解説しています。


年末年始もコケたフジテレビ 
「最後の秘策」はコレしかない!?
低視聴率に喘ぐフジテレビが、年末年始の特番視聴率でもコケた。大みそか午後9時から放送された「ワンピース」劇場版と、元日の「オールナイトハワイナイトフジ」が低視聴率で「目もあてられなかった」(芸能記者)との声が挙がっている。

上智大文学部の碓井広義教授(メディア論)は嘆息する。

「ワンピースはアニメ界のビッグブランドですが、子どもとマニア向けで視聴者の幅が狭すぎ。正月のオールナイト~は中途半端なバブリーさで出演者と作り手だけが楽しんでいるようでシラケました。こんな番組を編成したセンス、視聴者との溝は埋めようもなく深いことが問題です」

「東京ラブストーリー」や「ひとつ屋根の下」など次々ヒットを飛ばし、2011年まで7年連続の視聴率3冠を達成した王者フジだが、視聴率競争から脱落して久しい。

「フジは『若々しさ』を標榜し、若者をターゲットにしてきたのですが、私が教えている大学生に聞いても、フジに限らずテレビはほとんど見ていない。申し訳ないけれど、あなたたちの考える若者はどこにいますか、というくらいテレビ離れが激しい。届けようとしている人に届いていない現実を認識していない気がするんです」(碓井教授)

では、フジに秘策はあるか。碓井教授はこう言う。

「フジは、絶好調の『テレ東』のように丸ごと中高年シフトする必要はない。しかし視聴者の幅は広げるべき。若者をターゲットにした恋愛ドラマを作ってもいいが、一方で40代も視野に入れる。最近のドラマでいえばキムタクの『HERO』が初回視聴率で26・5%をマーク、上戸彩の『昼顔』もヒットした。40代以上の世代は、自分たちの日常とリンクした物語が展開されることに安心感や共感を持つのです。そんな番組をもっと送り出すことですね」

放送評論家の松尾羊一氏は「トレンディードラマ」に徹せよと訴える。

「言葉は悪いが『よそ者、若者、バカ者』がテレビの原点。フジはそれで視聴者を獲得してきた。今の若い人は何を求めているのか。現代版トレンディードラマを作るべき。原宿や湾岸でなくて下北とか立川などを舞台に、シェアハウスに住んでブランド志向を嫌う若者の生態を描く。それなら80代の私も見てみたい。『月9』復活です」

今年、フジは正念場だ。

(サンデー毎日 2015.1.25号)

「500万アクセス」に感謝です!

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おかげさまで、このブログの「総アクセス数」が、なんと500万!を超えました。

500万といわれても、やや実感がありませんが(笑)、2008年の開設から積もり積もっての結果です。

一個人のささやかな発信としては、とても大きな数字であり、これまで、たくさんの皆さんに見ていただいてきたことに、あらためて感謝いたします。

本当に、ありがとうございました!

これからも、日々、あれやこれやと書き続けていきますので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

視聴率惨敗のNHK『花燃ゆ』が抱える不安 評価は早計!?

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視聴率惨敗のNHK『花燃ゆ』が抱える不安 
評価は早計、
面白くないはずはない
2014年から15年へ。テレビもまた新たな年を迎えた。年末特番の喧騒の中で見つけたオアシスのようなドラマと、今年の放送界を代表する任を負ったドラマ。年末年始の2本をオトナの目で振り返る。

●年末特別ドラマ『東京センチメンタル』(テレビ東京系)

出演者のタレントとつくり手だけが楽しんでいるような年末特番ラッシュに閉口していた昨年12月30日夜。年末特別ドラマ『東京センチメンタル』(テレビ東京系)にじんわりと癒された。いわゆる大作や問題作ではない。むしろ逆で、中年オヤジの淡い恋物語なのだ。

しかし、主人公の和菓子職人を、昨年放送され人気を集めたNHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』の吉田鋼太郎が演じたことで、俄然魅力的なドラマとなっていた。吉田が演じる久留里卓三はバツ3で現在は独身。結構惚れっぽい。10年ぶりで再会した設楽靖子(高岡早紀)と東京・谷中の町を散歩しながら、また仕事上のつき合いがある木崎みゆき(黒川芽以)と深川を食べ歩きしながら、つい「もしかしたら」という勝手な妄想が湧き上がる。

結局、子供と多額の借金を抱えた設楽は北海道の資産家を選び、若い木崎は結婚のお知らせを送ってくる。つまり片想いのままフラれるのだが、久留里は執着しない。「ま、いっか」という余裕の負けっぷりが微笑ましいのだ。オトナの男は、こうでなくてはならない。

このドラマには「町歩きの楽しみ」という裏テーマがある。日常からのささやかな逸脱。オトナならではの趣味だ。ドラマの中に登場する谷中の「カヤバ珈琲」も、深川の「イベリコバル門仲」も実在の店だ。この辺りは『孤独のグルメ』(テレビ東京系)を想起させる手法で、どの店も行ってみたくなった。

今年もまた、テレビ東京はオトナの男の味方であってほしい。そんな願いが叶いそうな、オトナなドラマだった。

●NHK大河ドラマ『花燃ゆ』

年が明けて1月4日からNHK大河ドラマ『花燃ゆ』が始まった。しかも初回の平均視聴率16.7%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)がいきなり話題となった。1989年の『春日局』(14.3%)、77年の『花神』(16.5%)に次ぐ歴代ワースト3位の数字だったからだ。

大河ドラマはNHKの看板番組の一つであり、注目度も高いので仕方ないが、初期の視聴率だけで否定的な評価を下すのは早計というべきだろう。

吉田松陰(伊勢谷友介)をはじめ、幕末から維新へと時代を動かした人物たちを描いていくドラマであり、基本的に面白くないはずはない。ただし今回は吉田松陰の「妹」という、一般的には知られていない人物を主人公に立てたことへの不安はある。この設定が物語の幅を狭めないかという危惧だ。

だが初回を見る限り、子役の山田萌々香の好演もあって、松陰の妹・文(ふみ)が少女時代から「人をつなぐチカラ」を持つ人物であることは伝わってきた。

最も印象に残ったのは、幕府が禁じた書物をめぐる騒動の中、後に文の夫となる小田村伊之助(大沢たかお)が、長州の藩校で学ぶ若者たちに訴える場面だ。

「人はなぜ学ぶのか。お役に就くためでも、与えられた役割を果たすためでもない。かりそめの安泰に満足し、身の程をわきまえ、この無知で世間知らずで、何の役にも立たぬ己(おのれ)のまま生きるなどご免です。なぜ学ぶのか。この世の中のために、己がすべきことを知るために学ぶのです」

この場面、そしてこの台詞には、ドラマをつくっているスタッフとキャストの“志”のようなものが込められていた。それさえあれば、「大きく堕することはないのではないか」とさえ思った。

2回目からは文を演じる井上真央も本格的に登場して、文のヒロインとしての存在感も増している。今後、松陰はもちろん、門下生の高杉晋作(高良健吾)や久坂玄瑞(東出昌大)など幕末の志士たちと、どう関わっていくかも興味深い。視聴率ばかりを指摘する声に惑わされず、ドラマそのものと向き合っていきたい。

(ビジネスジャーナル 2015.01.16)

今週の「金曜オトナイト」は、渡辺正行さんと・・・・

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BSジャパン
「大竹まことの金曜オトナイト」

2015年1月16日(金)
夜11時30分~深夜0時00分

【ゲスト】渡辺正行



<出演者>
レギュラー:大竹まこと、山口もえ、碓井広義(上智大学教授)
進行:繁田美貴(テレビ東京アナウンサー)
ゲスト:渡辺正行

<番組内容>
◆流出ワイド◆
▽JR新橋駅の社畜が奮い立つ広告が話題
▽死んだ後であなたが言われていること

◆特集◆
トイレにびっくり!
街中で外国人に日本のトイレで驚いた事を調査!
さらに!世界に誇る日本のびっくりトイレに潜入

◆文化情報コーナー◆
渡辺正行が涙!母の死が理解できない女の子
オススメ映画『ポネット』
子役の演技に注目

週刊新潮で、BPO「青少年へのおすすめ番組」について・・・

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発売中の「週刊新潮」最新号で、BPOが選定する「青少年へのおすすめ番組」について解説しています。


余計なお世話よ
「BPO」お奨めは「壇蜜」
BPO(放送倫理・番組向上機構)といえば、放送業界のお目付け役。視聴者の権利を侵害したり放送倫理に抵触する番組を、大学教授や弁護士などの有識者が審議して提言を行う機関だ。

1月9日、BPOに対してお笑い芸人カンニング竹山が自虐気味に<謝ります!>とツイッター上で“白旗”を上げた。MCを担当した番組の性的表現が、BPOに問題視されたのだ。

じゃあ、彼らの目指す番組ってなんだろう。答えは、BPOが公式HPで発表する「青少年へのおすすめ番組」だ。NHKや民放連加盟のテレビ局の番組から月ごとに選んで公表している。

1月のラインナップは、三谷幸喜脚本の「オリエント急行殺人事件」(フジテレビ系)や、25周年スペシャルとして放送された「はじめてのおつかい!」(日本テレビ系)。

BSからは、中村玉緒や壇蜜が犬猫とたわむれる「わんにゃん倶楽部 家内安全!新春スペシャル」(BS日本)などが続く。うーん、イマイチ選考基準がわからない・・・・。

「半ば余計なお世話だと思われるかもしれませんが、青少年への情操教育に寄与するための啓蒙活動です」

と、解説するのは、メディア論が専門の碓井広義・上智大学教授だ。

「放送後にケシカランと言うばかりでは、作り手側から“じゃあ、どんな番組ならいいのか”となる。選ばれれば、放送局としてもお墨付きを貰った格好になり、悪い気はしないでしょう」

毒にも薬にもならない番組が溢れるのはだけはご勘弁。

(週刊新潮 2015.01.22号)

【気まぐれ写真館】 20年目の1月17日 合掌

書評本 『大脱走~英雄〈ビッグX〉の生涯』ほか

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先週から、「週刊新潮」の書評欄が変わりました。

いわばリニューアルです。

全体として、<署名入り>の書評が並ぶことになったのです。

大森望さん、豊崎由美さん、香川二三郎さん、東えりかさんなど錚々たる方々と共に、私も書き手の一人として参加させていただくことになりました。

私の担当は「文庫」と「ノンフィクション」で、随時掲載ということになります。

短い書評である「十行本棚」も、これまで通り、週に何冊か寄稿していきます。

というわけで、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。



『大脱走~英雄〈ビッグX〉の生涯』
サイモン・ピアソン:著、吉井智津:訳 
小学館文庫

映画『大脱走』が公開されたのは1963年。東京五輪の前年だった。スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームス・コバーンといった面々がナチスの捕虜収容所から集団脱走を図る物語だ。

この映画は実話に基づいている。昨年8月に亡くなったリチャード・アッテンボローが演じる脱走計画のリーダー<ビッグX>にも実在のモデルがいた。それが英国空軍のロジャー・ブッシェル少佐だ。入隊前は若き法廷弁護士だった。

本書は本邦初訳となる長編ノンフィクション。ロジャーの遺族が保存していた本人の手紙、各種公文書、そして生存者たちの証言などによって、恋と戦争に生きた34年の生涯と大脱走の全貌が明らかになる。


『下品こそ、この世の花~映画・堕落論』
鈴木則文
筑摩書房

著者は菅原文太のヒット作『トラック野郎』シリーズなどで知られる映画監督だ。昨年5月に亡くなったが、このエッセイ集には熱い娯楽映画愛が遺されている。「この世は義理と人情」と言い切り、「連帯」を偽善用語として拒否する。畏友・上村一夫の装絵が美しい。


『書きたいのに書けない人のための文章教室』
清水良典
講談社

文芸評論家で大学教授の著者が伝授する文章術。出来事ではなく体験を描く。立派な意見も不要だ。文章の個性とは? アドバイスは具体的で丁寧。何より上から目線でないことが嬉しい。書くことによって初めて生まれる「自己」もある。文章は心の発掘作業なのだ。


『面白くて眠れなくなる社会学』
橋爪大三郎
PHP研究所

社会学は社会をまるごと考察する学問だ。大勢の人たちの共通点と法則性を探るが、観察対象の中には自分もいる。戦争、憲法、資本主義、家族、正義、宗教、そして死。学術用語を排し、話し言葉で社会を解読していく本書は、ものの見方を変えてしまうかもしれない。

(週刊新潮 2015.01.15号)

解説した、「菊池桃子」再ブレイクの記事全文(週刊新潮)

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解説した、週刊新潮「菊池桃子」再ブレイクの記事全文が、新潮社のサイトにアップされたので転載しておきます。


「菊池桃子」なぜか46歳の再ブレイクで
離婚して本当に大正解だった
何故かタレントの菊池桃子(46)が売れている。2012年に離婚。大学院にも進み、現在は母校の客員教授を務めるが、今やテレビにラジオ、講演などに引っ張りだこ。再ブレイクである。離婚は大正解だったか。


今年に入っても菊池桃子は連日のようにテレビに出っ放しだ。

1月4日『人生の楽園傑作集』(テレビ朝日系)、5日『はじめてのおつかい 爆笑! 25年記念スペシャル』(日本テレビ系)、7日『トコトン掘り下げ隊! 生き物にサンキュー!!』(TBS系=再放送)という具合。さらには12日と19日の2週にわたり、NHK総合『鶴瓶の家族に乾杯』に出演して、笑福亭鶴瓶と香川県坂出市を訪れる。

テレビだけではない、講演会の依頼も引きも切らない。昨年12月だけでも、テレビやラジオの合間を縫って、千葉、広島、静岡、岐阜と全国各地を駆け回っている。それにしても、46歳の元アイドルがどうして売れに売れるのだろうか。

「菊池桃子と同年代の元アイドルタレントは現在、ママタレやママドルと呼ばれていますが、彼女のように大学院まで行って学び直した人は見当たりません。彼女は所謂、普通のママタレたちとは一線を画します」

とは上智大学の碓井広義教授(メディア論)。

「法政大学大学院で修士課程を修了した後、母校の戸板女子短大の客員教授として、生涯学習についての講義を持つようになった彼女は“生涯学習タレント”と呼ぶべきかもしれません。このような分野で活躍するタレントは他にはいません」

■歌手としても

希少ゆえ、引く手あまたなわけだが、実は彼女、もともとは芸能界にそれほどの執着は持っていなかったという。

「彼女は80年代を代表するアイドルの一人でしたが、この世界にはさほど特別な思いはなく、むしろ結婚して子供が出来たら引退したいと考えていました。プロゴルファーの西川哲と結婚して、長男、長女をもうけ、そのまま専業主婦にもなれるはずでした」

とは芸能担当記者。

「しかし、結婚当初は夫の仕事が順調だったものの、試合で稼げなくなり、次第に遊び歩き、女遊びをして借金も抱えるようになった。彼女は子供たちのためにずっと耐えていたのですが、結局、12年に離婚しました」

彼女は家庭を支えるため、タレント活動を行なってきたが、その一方、離婚前から次のステップヘの準備を行なっていた。大学院への進学である。

「修士号を得たのは、彼女なりに考えての自己投資のはず。その選択は間違っていない。非常に賢い。他のママタレのように賞味期限切れになることもない」

とは先の碓井教授だが、芸能デスクは言う。

「とにかく、彼女はアイドル時代から今に至るまで、離婚は別にしてスキャンダルが一切ないのが強み。同性からも支持を得られるし、男性からも、アイドル時代の可愛さを持ち続けているので好感されています。昨年末の鈴木雅之のクリスマスディナーショーに出演してデュエットを披露しました。今年は歌手としても注目されそうな勢いです」

この活躍を見れば、離婚は大正解というしかない。

(週刊新潮 2014年1月15日号)
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