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Channel: 碓井広義ブログ
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4~6月期ドラマの総括

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北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

6月の掲載分をアップするのを忘れていました。

4~6月期の連続ドラマの総括です。


今期ドラマを総括
主演俳優 それぞれの挑戦
今期(4~6月)の連続ドラマも終盤に入った。誰もが納得の大ヒットはないが、何本かの意欲作が目につく。まず、木村拓哉主演『アイムホーム』(テレビ朝日―HTB)である。事故で記憶を失った男(木村)が、かつての自分を探し歩く物語だ。後遺症で妻(上戸彩)や息子の顔が白い仮面に見えるという設定にインパクトがある。

このドラマでは、木村がこれまでの「かっこいいヒーロー」という固定化したイメージを脱する演技を見せている。自分は元々家庭や職場でどんな人間だったのか。なぜ結婚し、離婚し、また新たな家族を持ったのか。知りたい。でも、知るのが怖い。そんな不安定な立場と複雑な心境に陥った男を丁寧に造形している。ようやく実年齢に見合った役柄を演じられる、大人の俳優になったのだ。

次は、堺雅人が精神科医に扮した『Dr.倫太郎』(日本テレビ―STV)だ。いまだに『半沢直樹』(TBS―HBC)のイメージが鮮烈な堺だが、それを払拭する、まったく異なるタイプの主人公に挑んだ。なぜなら精神科医の仕事の中心は、患者の話をじっくりと聞くことにあるからだ。しかも、患者である売れっ子芸者(蒼井優)に魅かれたことで、自身も悩みを抱え込んでしまう。

よく見かけるスーパー外科医のドラマのような派手な見せ場がない分、堺の飄々とした押さえの演技が光っている。特に、蒼井との場面は力のある役者同士の名勝負だ。

3本目に、『天皇の料理番』(TBS―HBC)を挙げたい。物語の主人公は、大正・昭和時代に宮内省大膳頭を務めた実在の人物、秋山徳蔵(ドラマでは篤蔵)だ。

原作は36年前に出版された杉森久英の小説である。これまでに2度ドラマ化されており、1980年に篤蔵を演じたのは、後に『チューボーですよ!』(同)に出演する堺正章。93年版は高嶋政伸。そして今回が佐藤健だ。

佐藤は、いわゆる器用な役者ではないかもしれない。しかし、そのエネルギッシュな演技と独特の愛嬌は見る者を引きつける。いわば発展途上の魅力だ。またこのドラマでは、主人公の妻を演じる黒木華の存在感が際立つ。戦前がこんなに似合う若手女優も珍しい。
 
これら3本のドラマに共通するのは、主演俳優たちの果敢な挑戦である。いずれの物語も決して明るいものではない。むしろ暗かったり、重かったりする難しいドラマだった。彼らは自身の演技の幅を広げることで、見事に登場人物として生きてみせたのだ。

(北海道新聞「碓井広義の放送時評」 2015年06月08日掲載)

5日(日)朝、「TBSレビュー」に出演します

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5日(日)朝、
「TBSレビュー」に出演して、
「酒場放浪記」と「ぴったんこカンカン」を例に
“快いテレビ”について話をします。


「TBSレビュー」
この番組は、TBSのみならず、
放送全般が抱える問題について、
幅広く取上げ、
検証していく番組です。

<放送日時>
7月5日 日曜日 午前5時30分~6時

<テーマ>
「ぴったんこカンカン」と「酒場放浪記」 ~快いテレビとは~

<出席者>
碓井広義(上智大学教授)

<進行>
木村郁美(TBSアナウンサー)

<内容>
ひとりの中年男性が、一軒の居酒屋を訪ねて
ただ飲んで食べる。「吉田類の酒場放浪記」は、
12年間も続く人気番組です。

地元で多くの客が集う名店に、
ぶらりと立ち寄った吉田氏は、
常連さんたちに混じり、ただ酒を飲み肴を食する。
カメラはただそれを凝視します。

そこには余計な仕込みや段取りなどはせず
現場をありのまま切り取っていこうとする
テレビドキュメントの原点があるようです。

一方、地上波の食べ歩き番組の王道とも言えるのが
「ぴったんこカンカン」です。
有名人といくつかの店を訪ねて
飲み、食べるだけではなく、
トークあり笑いありのバラエティ番組です。

番組では、このふたつの番組を例に、
テレビにおける快さ、楽しさとはなにか。
またそこで大切にすべきものとはなにか。
そして視聴者は、いまのテレビに何を求めているのか。
多角的に探っていきます。

新宿紀伊国屋ホールで、ラッパ屋「ポンコツ大学探検部」

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ラッパ屋の「ポンコツ大学探検部」、観てきました。

まずは、こうして新作の公演が行われること自体が、嬉しい。

紀伊国屋ホールであることも、嬉しい。

入口に立って観客を迎える鈴木聡さんを見るのも、嬉しい。

場内に、私と同じように何十年もラッパ屋を観続けてきたらしい年代が多いのも、嬉しい。(同窓会気分!?)

舞台に立つ、お馴染みのメンバーが元気そうなのも、嬉しい。

大学キャンパスで展開される、世代をまたいだ登場人物たちの物語も、嬉しい。

オーディションで選ばれた、4人の若い衆が頑張っているのも、嬉しい。

笑って、笑って、ちょっと泣いて、また笑っての展開も、嬉しい。

お土産に買った、ラッパ屋Tシャツも、嬉しい。

というわけで、嬉しいことだらけの、ラッパ屋公演でした。

本日、5日(日)午後2時の回がラスト。

当日券、若干あるようです。

ぜひ!


■日程 2015年6月27日(土)~7月5日(日)

■会場  紀伊國屋ホール

■脚本・演出 鈴木聡



■出演
おかやまはじめ 俵木藤汰 福本伸一/
岩橋道子 三鴨絵里子 弘中麻紀/松村武 ほか

■ストーリー
その探険部の伝統的な合言葉は「気合と根性」だが、もう一つの合言葉は「人生は探険」なのだった。卒業生は「探険部は終わるけど僕らの探険は終わらない。これからは人生と世の中を探険していこう」と誓い合い巣立ってゆく。毎年の恒例、スーツ姿にリュックを背負った卒業生たちが、「カッパ生け捕り」やら「幽霊を撮影」やら「雪男捜索」やら、ことごとく失敗に終わった探険を思い起こしながら部室を出てゆく場面は、それなりに感動的なものである。さて今、OBたちが久々に部室に集合することになった。アラフォーもいればアラフィフもいる。果たして彼らの「人生の探険」は成功したのか?そして現役大学生たちをも巻き込むことになる探険部史上最大の無謀な探険計画とは?

書評本: 川本三郎『映画の戦後』ほか

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川本三郎さんの映画批評は、必ず読む本の一つです。

1977年に筑摩書房から出た『朝日のようにさわやかに~映画ランダム・ノート』以来、多分ほとんどのものを、同時代で読んできたはずです。

川本さんの著作から、いつも映画について新たなことを教えてもらってきましたし、その鑑賞眼の確かさを信頼しています。

『映画の戦後』を読み終わったと思ったら、もう次の『サスペンス映画 ここにあり』(平凡社)が出てきました。

すごいエネルギーです。


週刊新潮「十行本棚」に書いたのは、以下の本です。

熊野以素 『九州大学生体解剖事件 七〇年目の真実』
岩波書店 2052円

敗戦直前の九大医学部で、米軍捕虜の生体実験が行われた。遠藤周作が小説『海と毒薬』で描いた事件だ。戦犯裁判では、死亡した首謀者の代わりに助教授の鳥巣太郎が死刑宣告を受けた。白い巨塔の中で、本当は何が起きていたのか。鳥巣の姪である著者が真相に迫る。


川本三郎 『映画の戦後』
七つ森書館 2376円

「映画をその時代のなかに置いて見る」と著者は言う。黒澤明の“汚さの美学”も、“詫びるヒーロー”高倉健も、昭和という時代との関わりで語られる。またアメリカ映画も同様で、「赤狩り」や「ヴェトナム戦争」への言及が興味深い。自身の葛藤も込めているからだ。


飯嶋和一、北方謙三ほか 
『復活する男~冒険の森へ 傑作小説大全11』
集英社 2160円

冒険小説・ハードボイルドを軸に、“面白い小説”を集めた全20巻のアンソロジーの登場だ。この巻では北方謙三の代表作『檻』、藤原伊織の傑作短編『雪が降る』などが読める。志水辰夫『行きずりの街』や結城昌冶の掌編を収録した第16巻も同時発売された。 


木皿 泉 『6粒と半分のお米~木皿食堂2』
双葉社 1512円

著者は『野ブタ。をプロデュース』『すいか』などの脚本家。夫婦で共同執筆という珍しいスタイルを貫いている。本書は新聞連載のエッセイを軸に編まれた。日常に向けるユニークな視線はもちろん、夫婦による創作談義や芸術祭ラジオドラマの脚本も味わえる。

(週刊新潮 2015.07.02号)

政権与党の「報道威圧」で問われる、メディアの「当事者意識」

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北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、自民党「マスコミを懲らしめる」発言問題について書きました。

政権与党の報道威圧 
問われる当事者意識
6月25日に行われた自民党議員の勉強会で、メディアに対する威圧的発言が続出し、現在も大きな問題になっている。それも当然で、耳を疑うような言葉が並んでいた。

「反・安保(安全保障関連法案)を掲げ、国益を損ねるような一方的な報道が為されている」ので、「懲らしめるには広告料収入がくなるのが一番」。「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればい」と言うのだ。

これはつまり、政権に批判的な報道機関は広告主を通じて規制すべきだという暴論である。民放の足元を見た“兵糧攻め”という発想にあきれてしまう。

翌26日、テレビはこの件を報じたが、その内容や温度には明らかにバラつきがあった。

NHK『ニュースウオッチ9』では河野憲治が、「報道の自由、表現の自由は、言うまでもなく民主主義の根幹。自民党の若手議員の発言や、とりわけ作家の百田尚樹氏による、沖縄の2つの新聞は潰さなければならないという発言は、報道機関に所属する者として決して認められない」。

また『NEWS ZERO』(日本テレビ)の村尾信尚は、「メディアの是非は視聴者や読者が決めます。こうした発言をする政治家の是非は選挙で有権者が決めます」と述べた。

『NEWS23』(TBS)の膳場貴子は、「権力による報道規制に他ならないと思うのですが」と、コメンテーターに問いかける形だった。

『報道ステーション」(テレビ朝日)の古舘伊知郎はこの話題を展開した後で、「こういう話をしているだけで、この番組も懲らしめられるんですかね」と苦笑い。「政権が気に入る意見とか、お気に召す報道をすることで、世の中が豊かになるとは思えない」と締めくくった。

ちなみに、『あしたのニュース』(フジテレビ)と『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)では、ニュースとして取り上げてはいたが、VTRによる説明のみで、キャスターなどが触れることはなかった。残念ながら、その腰の引け具合は当事者意識の欠如と言わざるを得ない。

今回、与党議員たちが行った問題発言の背景には、安倍政権が強めている「メディアコントロール」がある。4月にも、自民党が放送局の経営幹部を呼び、個別番組の問題について異例の事情聴取を行ったばかりだ。

しかし、これまでも今後も、多様な情報を発信すると共に、権力を監視し、問題点を指摘することはジャーナリズムの責務である。

(北海道新聞 2015.07.06)

【気まぐれ写真館】 七夕のキャンパス  2015.07.07

女優・伊藤歩の民放連ドラ初主演「婚活刑事」

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日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、伊藤歩主演のドラマ「婚活刑事」について書きました。


日本テレビ系「婚活刑事」
ひたすら伊藤歩の座長芝居を見るべき1本
伊藤歩という女優を初めて見たのは約20年前。岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」だった。独特の世界観で構築された架空の街で生きる、娼婦の母親を持つ少女の役だ。当時15歳の伊藤は、三上博史やCHARAといった個性派に負けない存在感を放っていた。
 
その後も映画やドラマで活躍を続けており、昨年の「昼顔」(フジテレビ系)でも、斎藤工のエキセントリックな妻を好演している。そんな伊藤にとって、この「婚活刑事」が民放連ドラ初主演だというから驚く。ようやく時代が伊藤歩に追いついたのか。

両国署・刑事課の巡査部長、花田米子が伊藤だ。35歳、独身、結婚願望あり。だが、実生活で好きになる男は、なぜか犯罪者となってしまう。逆に言えば、米子が好意を持った容疑者が真犯人ということになりそうだ。

先週の第1回も、再会して、一瞬恋心を抱いた高校時代の同級生(和田正人)が犯人だった。しかし、これだと毎回登場するゲスト俳優が犯人である可能性が高い。バレバレだ。その辺り、いかにして視聴者の予想を裏切ってくれるのかが見所となるだろう。

結婚へと繋がる相手と犯人の両方を探し求める婚活刑事。その笑える設定を、伊藤は生真面目に、そして楽しそうに演じている。これはもう、ひたすら伊藤の座長芝居を見るべき1本だ。

(日刊ゲンダイ 2015.07.07)

ミスソフィア2015候補者決定!

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大学構内の掲示板に、今年の「ミスソフィア」候補者が登場。

もう、そんな季節なんですねえ。

「おお、我が新聞学科からも出ているぞ」と思って、その横を見たら、なんと栗山朋子さん(写真中央)がいて、びっくり。

実は、彼女を小学校時代から知っているのです。

うーん、10年なんて、あっという間だ。

新聞学科の石本さんも応援したいのですが、ここはやはり「栗山さん推し」ということで(笑)。

決まるのは、11月のソフィア祭です。



【気まぐれ写真館】 「視聴覚教育」スタジオ収録完了!

動画メディアのスーパースター「がっちゃん」は6歳!

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朝日新聞に、超人気の動画サイト「ザ★がっちゃんねる」についての記事が掲載されました。

この記事の中で、コメントしています。


がっちゃん動画、幼児わしづかみ 
普通の6歳の日常、再生2億回
「がっちゃん」という6歳の男の子の動画が、幼い子どもの間で人気を集めている。

 動画サイトでは、国民的アイドルや大流行アニメとも肩を並べる。なぜヒットしているのか。

 男の子が居間で新品ミニカーの箱を開ける。「あ、清掃車」「欲しかったやつだ!」と拍手したり、歌ったり。机で1分ほど遊び、終わる。それだけ。人気番組「はじめてのおつかい」(日本テレビ系)のような冒険も試練もない。

 しかし、この7分の動画が昨年1月にユーチューブに投稿されると、1240万回再生された。AKB48の「真夏のSounds good!」(1548万回)やアニメ「妖怪ウォッチ」の「ゲラゲラポーのうた」(970万回)の動画に匹敵する。

 都内に住む男の子の愛称は、がっちゃん。家族の意向で本名は非公開だ。デザイン会社を経営する父(34)が2年半で300本以上をスマホで撮影し投稿。握手会で戦隊ヒーローと無言で握手したり、ひたすら自転車で走り回ったりと日常風景の動画ばかりだが、総再生回数は2億回を超える。

 好きな電車のおもちゃを紹介する動画を1歳からユーチューブで見ていた。3歳で「僕も映りたい」と直訴。「プライベートを見せるなんて」と渋る母を父が説得した。「やりたいようにやらせたかった。誰も見ないとも思ったし」

 気が乗った時にやりたいことだけをするのがルールで、親は指示しない。子どものファンが多いので「乱暴な言葉遣いだけ注意する」というが、人気の理由は「今でも分からない」が父の本音だ。

 投稿動画には「子どもがまねする」というコメントが寄せられ、ユーチューブにはがっちゃんをまねて鉄道のおもちゃやミニカーで遊ぶ子どもの動画もある。

 恵泉女学園大の大日向雅美教授(発達心理学)によると、まねをするのは「モデリング」と呼ばれ、他人の行動を取り込む、発達の重要な過程という。「少し年長のお兄さんお姉さんは、幼児にとって特に基準にしやすい」

 東京都練馬区の主婦木崎悠紀さん(24)と長男の光悠(あきひさ)君(2)は親子でファン。「周りの男の子はみんな知っている」そうだ。

 電車やバスの中で光悠君がねだるとスマホで一緒に見たり、家事の間に見せたり。「見すぎはよくないけど子どもが静かになる。言葉遣いも丁寧で安心。自然体で楽しそう」

 上智大の碓井広義教授(メディア論)は「思惑や狙いがあるプロのコンテンツとは対極。作り物でないことが、子どもや親の琴線に触れたのだろう」。

 ■スマホ「寝る前は控えて」

 子どもと動画の距離は縮まっている。

 情報サイト「ママスタジアム」を運営するインタースペースは昨年約600人にアンケートをした。「子どもがスマホを利用する」と答えたのは2~6歳の各年齢で8~9割、1歳でも74%。最も多い利用方法は「動画」で56%だった。  

 日本小児科医会は2013年末に「赤ちゃんの育ちをゆがめる可能性がある」として、「スマホに子守りをさせないで!」と訴えるポスターを配った。今年5月にはリーフレット計25万枚を増刷。内海裕美常任理事は「動画は見始めたら止まらない。親子が触れ合う時間を奪う」と心配する。

 しかし、成長や発達への影響を示す具体的なデータは、実はまだない。

 中央大の山口真美教授(認知心理学)は「生活からスマホを排除するのは今や無理」と指摘。「時間を区切り、親と一緒に見るなど使いこなす工夫をすべきだ」と話す。

 ただ、眠る前は注意が必要だ。兵庫県立子どもの睡眠と発達医療センターの中井昭夫医師によると、就寝前にスマホやテレビの画面を見ると、ブルーライトが睡眠調節ホルモンの分泌を抑え、動画やゲームは内容によっては良質な眠りを妨げるという。「体内時計が狂い睡眠障害になると成長や発達に悪影響がある。寝る前のスマホは控えるべきだ」と注意を促す。(後藤遼太)

(朝日新聞 2015.07.09)

書評本: 新保博久『ミステリ編集道』ほか

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週刊新潮「十行本棚」に書いたのは、以下の本です。

新保博久 『ミステリ編集道』
本の雑誌社 2160円

戦後ミステリーはこうして生まれた。幻の探偵雑誌「宝石」から創元推理文庫まで、13人の編集者が自らの軌跡を語るインタビュー集。今年4月に亡くなった船戸与一のデビュー秘話など、貴重なエピソードも満載だ。通読すれば、堂々の戦後ミステリー史になっている。


ろくでなし子 『私の体がワイセツ?!』
筑摩書房 1512円

漫画家である著者は、女性器をモチーフにしたアートが原因で逮捕・起訴された。罪状は当初「わいせつ図画頒布罪」で、後に「わいせつ電磁的記録記憶媒体頒布罪」。本書は苦笑の留置場体験と爆笑の作品制作を綴ったエッセイ集だ。「ワイセツ」とは何なのか?

(週刊新潮 2015.07.09号)

【気まぐれ写真館】 晴れ間の緑  2015.07.11

女性セブンで、『ヨルタモリ』の魅力について解説

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発売中の「女性セブン」最新号で、『ヨルタモリ』(フジテレビ系)の魅力について解説ています。


『ヨルタモリ』にハマる理由
東京・湯島辺りにあるバー『ホワイト レインボー』で、毎週日曜日深夜、ママ(宮沢りえ、42才)とタモリ(69才)とゲストが愉快な宴を繰り広げる。その30分間の宴を放送する番組が『ヨルタモリ』だ。

毎週欠かさず見ているという、上智大学教授(メディア論)の碓井広義さんは言う。

「お店を舞台にしたトーク番組は少なくない。でも、この番組に出るゲストは、他では一切しない話をしたり、他では見せない表情をしたりする。例えば、沢尻エリカさんはアイスランドに行ってオーロラを見たという話をしていました。そういう意外な面を見られるのは『ヨルタモリ』だけです」

その雰囲気を作っているのがタモリと宮沢りえだ。

「『笑っていいとも!』では受け手だったタモリさんが前面に出て楽しんでいる。1980年代、タモリさんが音楽やコントをしていた番組『今夜は最高!』(日本テレビ系)を彷彿とさせます。軽く一杯飲みながら、見ていられる。大人の贅沢な時間です」(碓井さん)

「宮沢りえが素晴らしい。いろんな人生経験があってそれを隠さずに話してくれる。男性の理想とするバーのママそのままです。

かつて貴乃花親方(42才)と婚約解消した過去を持つ彼女が、石橋貴明(53才)がゲストのときに『こっちのタカにしときゃよかったのに』と言われて、照れながら爆笑していた。酸いも甘いも経験したすごくいいママです」(コラムニストのペリー荻野さん)

毎週ひょいと突然やって来るゲストとの絡みはもちろん、その間に流れるコーナーも『ヨルタモリ』の魅力のひとつだ。いくつか紹介しよう。

<世界音楽紀行>
生演奏をバックに、外国人歌手に扮したタモリが、いかにもそれらしいデタラメな外国語で歌い上げる。

「タモリさんがサルサやったりレゲエやったりするコーナーです。例えば、カルロス・カズヨシ・ロドリゲスとかおかしな名前を名乗って、実際に歌ったり踊ったりします。すごいチープなかつらでタモリさんはやっているのに、音楽のレベルは高い」(ペリーさん)

<日本の車窓から>
『世界の車窓から』(テレビ朝日系)のパロディー。取り上げる路線は地下鉄。毎回、地上駅から発車するものの、すぐに地下にもぐり、真っ暗な車窓をタモリが解説する。

「電車はタモリさんの趣味のひとつです。東西線の回では、中野駅から落合駅の間は、初めは外の景色が見えているけど、地下に入っていく。それを、もっともらしいナレーションをつけて、真っ暗な車窓を見せ続けて笑わせるって、こんなおもしろい遊びはない。一瞬、放送事故かと間違えるくらい、画面が真っ暗になります(笑い)」(碓井さん)

<始点・終点>
『視点・論点』(NHK)のパロディー。鉄道駅の始発・終着駅に焦点をあて、終着駅への思いをタモリが語る。

「いかにもマニアックで、鉄道マニアが喜びそうなコーナーです。京急線の三崎口駅の場合は、路線が先に続いていて、トンネルまで造られているにもかかわらず、諸般の理由で計画が中止になったというナレーションが入ります。本来終点になるはずではなかった駅の車止めを、タモリさんがドラマティックに解説するのがおもしろい」(碓井さん)

(女性セブン 2015.07.23号)


“声優”滝川クリステルの期待度

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発売中の「週刊新潮」最新号に、滝川クリステルさんが「声優」に挑戦、という記事が掲載されました。

この記事の中で、コメントしています。

芸能界って、いろんな“需要”があるものですね。


“左斜め45度”は復活しない
声優「滝川クリステル」
“お・も・て・な・し”の次は声優だ!

フリーアナウンサーの滝川クリステル(37)が声優に挑戦するという。テレビアニメで本人役に声を当てたことはあったが、本格的な演技は初めて。

「5月のカンヌ国際映画祭で、非コンペティション部門に出品された『リトルプリンス 星の王子さまと私』です。現地では、マリオン・コティヤールと、意外にも初カンヌという津川雅彦さんらがレッドカーペットを一緒に歩いて話題になりました」(業界関係者)

サン=テグジュペリの「星の王子さな」の後日談を描いたアニメ映画である。“エディット・ピアフ”を演じて、アカデミー賞主演女優賞ほか数々の賞を総なめにしたコティヤールはオリジナル版の声を務め。津川氏は日本語版で年老いた元飛行士の声を演じる。

で、クリステルはといえば、日本語版のバラ。

「この起用について配給のワーナーは“フランス出身で『星の王子さま』への理解も深く、うっとりとする艶のある声が、物語のヒロインでもあるバラにぴったり”と言っています」(同)

とはいえ、コティヤールと同じ役。そんなに演技派だったっけ?

「ある意味演技派かも。確かに彼女はフランス生まれですが、2~3歳の時に来日し、日本の小学校に入学。一時、フランスに戻って、中学から大学までは日本。それなのに、いかにもハーフっぽい、たどたどしい話し方が不思議でした」とは上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)だ。

しかし、“左斜め45度”が人気だった『NEWS JAPAN』(フジ系)、『Mr.サンデー』(同)のキャスターを終えると、彼女を見かけるのはCMばかり。

「キャスターの時も原稿を読むだけで、自分を出しませんでしたからバラエティでは使いにくい。あの美貌はCMの仕事にはぴったりですが、顔が見えない声優となると・・・」(同)

化けるか、化けの皮が剥がれるか。

(週刊新潮 2015.07.16)

NEWSポストセブンで、テリー伊藤さんについて解説

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テリー伊藤 TVのオファー続く理由は
毒舌に終わらぬ俯瞰目線
今年3月に『スッキリ!!』(日本テレビ系)を降板するも、そのわずか3か月後に同時間帯の裏番組『白熱ライブ ビビット』(TBS系)、『チャージ730!』(テレビ東京系)に掛け持ち出演。

何だかんだといって、テレビ業界はテリー伊藤(65)を使いたくてしょうがないらしい。歯に衣着せぬ発言がネットの“炎上”を招くこともしばしば。それでもテリーがコメンテーターとして引っ張りだこなのはなぜか。

元テレビプロデューサーで上智大学文学部新聞学科教授の碓井広義氏は、テリーの“ギリギリ加減”が絶妙なのだと語る。

「テリーさんの持ち味といえば、ギリギリトーク、ぶっちゃけトークです。普通のコメンテーターなら自分の立場を考えてセーフティーな発言にとどめるところも、ギリギリのところを攻めていく。テレビの現場を知り尽くしているだけに、そのラインがどこにあるかをよくわかっています。

過激な発言に対する視聴者の反応もすべて織り込み済みで、そうした反応を取り入れながら次に活かすということを繰り返して、今のテリーさんが作られたといえます」

テリーが使われ続けるのは、単にテレビ業界に顔が利くだけでなく、卓越したコメント能力にもあるようだ。碓井氏いわく、テレビのプロデューサーには二つの目線が求められるという。

一つは自分の場所から見る目線、そしてもう一つは引いた場所から全体を見る俯瞰の目線。テリーの発言が単なる毒舌で終わらないのは、自分の思ったことだけを言っているのではなく、俯瞰目線から社会性のある批評を作り出しているからだという。

碓井氏はさらに、テリーの“とてつもないサービス精神”についてこう評する。

「テリーさんが面白いのは、安全圏にいようとしないことです。反応が予測できるからといって『このへんの発言にしておこう』とセーブするのではなく、ギリギリのラインを少しずつ超えながら、発言の幅をさらに広げようとしています。

視聴者に向けて『これで楽しんでいるか、これならどうだ』とボールを投げ続けて、それを受ける視聴者も『次は何を言うのかな』とテリーさんの発言に釘付けになっている。世の中に物申すコメンテーターというよりも、言葉のエンターテイナーとしてみんなを楽しませているのでしょうね」

とはいえ、世の中にはテリー以外にも、多くのテレビ文化人がいる。彼らとテリーのいちばんの違いはどこにあるのだろうか。

「テレビ業界である程度キャリアを積んでくると、どうしても自分でリミッターを作って既存の枠にはまりがちになります。ところがテリーさんは決して守りに入らない。そこが他の人と違うところです。『こんなもんかな』と思うたびにその枠をぶち壊してきたのがテリーさん。常に何か変わったことをしようと考えていますよ」(碓井氏)

自分の発言がもとで炎上しようと、降板させられようと、転んでもただでは起きないテリー。『スッキリ!!』の降板も今となっては“おいしい”出来事だったのかもしれない。

(NEWSポストセブン 2015.07.13)


危機管理ドラマとして面白い「リスクの神様」

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日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、堤真一主演「リスクの神様」を取り上げました。


フジテレビ系「リスクの神様」
フジテレビは他人事ではない危機管理ドラマ
企業ドラマ自体は決して珍しくない。しかし、「危機管理」に特化した内容となると、これが初めてかもしれない。企業にとって、たった一つのトラブルであっても、その処理を誤れば存亡の危機に追い込まれる時代だ。狙いとしては悪くない。

主人公は、米国の企業や政府の案件でも実績のある、危機管理専門家・西行寺智(堤真一)。国内の大手商社、サンライズ物産に招かれて、危機対策室長に就任する。最初の案件は、電機メーカーとの共同開発による次世代型バッテリーを使った新製品の発火事故だ。

西行寺も言うように、危機に直面した企業は無傷ではいられない。後は何を捨て、何を守るかだ。その対応の仕方によっては、危機をチャンスに変えることも可能だ。このあたり、何度も痛い目に遭ってきたフジテレビにとって他人事ではない。

ドラマでは、新製品の開発責任者である神狩かおり(戸田恵梨香)が、不祥事の責任を負う形になる。その背景には組織防衛だけでなく、社内の権力闘争がある。人間くさい企業ドラマの醍醐味だ。

また、東大卒で数カ国語を操るマルチリンガル才女には見えない戸田も、ここぞという場面で気迫の芝居を見せている。

同じ時間帯に「花咲舞が黙ってない」(日本テレビ系)があるのは辛いが、組織の表と裏を描く本格的社会派エンターテインメントである。

(日刊ゲンダイ 2015.07.14)

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