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ホウドウキョクで、「クロ現」BPO意見書について解説

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フジテレビが立ち上げた、マルチデバイス対応のニュース専門局「ホウドウキョク」。

生放送(ライブ配信)のニュース番組『あしたのコンパス』に、電話出演しました。

テーマは、BPO『クローズアップ現代』を“重大な放送論理違反”。

私の他に、法政大教授の水島宏明さん(元日本テレビ)、武蔵大教授の永田浩三さん(元NHK)が、それぞれの角度から意見を述べていらっしゃいました。

かなり突っ込んだ話ができるのもWEB放送ならではで、とても刺激的でした。


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ライブで話している内容が、リアルタイムで画面表示されていきます

設定と配役が絶妙な「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~」

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ東京「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~」について書きました。


テレビ東京系
「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~」
設定と配役が功奏
「釣りバカ日誌」とは大胆な企画を打ち出してきたものだ。「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~」(テレビ東京系)の話である。原作は今も連載中の人気コミックだが、映画のヒットシリーズとしても知られている。あえてドラマ化するには勇気が必要だったはずだ。

今回、いくつかの仕掛けが功を奏している。まず設定を、ハマちゃんこと浜崎伝助の新入社員時代にしたこと。映画で西田敏行が演じてきた“中年ハマちゃん”のイメージから離れ、新鮮さと共に若い視聴者層にもアピールできるからだ。

次に配役だが、主演の濱田岳もさることながら、スーさんこと鈴木建設社長・鈴木一之助に西田敏行を持ってきたことが大きい。「釣りバカ」と聞けば西田の顔が浮かぶほど、作品にとっての“功労者”だ。この起用によって往年の映画ファンたちに“仁義を切った”ことになり、ドラマ版への呼び込みにもつながった。

放送開始直後は、西田がスーさんであることに戸惑ったが、すぐ慣れてしまった。映画で三国連太郎が演じたスーさんとは一味違うちゃめっ気も魅力だ。加えて、老舗すし店で若い職人が握るすしを、大将が見守っているような安心感とほほ笑ましさがある。

先週ハマちゃんは、スーさんが、自分が勤める会社の社長であることを知ってしまった。でも2人の関係は変わらない。みち子さん(広瀬アリス)との笑えるラブストーリーもこれからだ。

(日刊ゲンダイ 2015.11.11)

ポストセブンで、「散歩番組」について解説

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出演者の知性、教養、人柄問われる散歩番組 
高田純次は最適

散歩ブームの火付け役、地井武男さん(享年70)亡き後も増え続ける散歩番組。タモリ(70)、有吉弘行(41)、マツコ・デラックス(42)など、各局とも人気タレントを起用する力の入れようで、この秋からは高田純次(68)もそれに加わった。なぜどの局も散歩番組を作りたがるのか。

上智大学教授(メディア論)の碓井広義さんはその理由をこう話す。

「テレビ業界には『5匹目まではドジョウがいる』といわれるくらい、一つの企画が当たると他局もそれに追随しようとします。散歩番組が増えているのは、他が当たっているからうちもやろう、という何匹目かのドジョウ狙いなんです。こういう時代ですから、低予算で番組を作れるというのも大きな理由の一つです。

散歩番組が世の中に支持されているのは、日常の中の小さな冒険を一緒に体感できるからだと思います。ゆるく、気ままに、ぶらぶらと歩くだけなので、日ごろ雑務に追われてなかなか旅行に行けないという人でも、『散歩なら自分でもできるんじゃないか』という気にさせられます」

散歩というのは、するのは簡単だ。ただし面白く見せるためには、タレントに相応の実力が必要なのだという。

「散歩中に出会う一般の人たちは、タレントの振りにどう返してくるのかが読めません。そこが面白いところなのですが、予定調和にならないので、タレントの知性、教養、人柄が問われます。

そういう意味では、高田純次さんのキャスティングは絶妙だと思います。散歩タレントとしての資質を備えているうえに、“いい加減”キャラ。散歩そのものがいい加減なものだから、キャラとコンセプトが合致します。高田さんは、関心がないものははぐらかして次のものを見る。そういうテキトーさがある高田さんは、“ミスター散歩”だと思います」(碓井さん)

高田純次の『じゅん散歩』は、地井武男さんの『ちい散歩』、加山雄三(78)の『若大将のゆうゆう散歩』と続いてきたテレビ朝日の朝の散歩番組の3代目にあたる。新たな散歩マスターとなるか。

「散歩番組の元祖は、1992年にスタートした『ぶらり途中下車の旅』(日本テレビ系)だと思います。『ちい散歩』は散歩番組をより注目されるものとした、いわば中興の祖。『ちい散歩』がウケたのは、地井さんの人柄が活かされていたからでしょう。主体はあくまで街やそこに住む人たちなんですが、それを地井さんの目線で見られるところに楽しさがありました。

散歩番組はタレント本人が目立ちすぎてしまうと、散歩番組ではなくそのタレントのバラエティー番組になってしまいます。とはいえ後発の番組は、差別化を図るためにあえてタレントの素顔を見せようとするものもあります。『有吉くんの正直さんぽ』や『国分太一のおさんぽジャパン』(ともにフジテレビ系)はその例。『モヤモヤさまぁ~ず2』(テレビ東京系)は、さまぁ~ずと女子アナとのやり取りも見どころの一つになっています。

他と大きくコンセプトが異なるのは、マツコ・デラックスさんの『夜の巷を徘徊する』(テレビ朝日系)。街の人たちの人生を掘り下げることも多く、ドキュメンタリーの要素もあります」(碓井さん)

バラエティー豊かになってきた散歩番組だが、これからまだまだ増えるかというと、「今がピークでここからは淘汰が始まる」というのが碓井さんの見方。

番組はゆるくても、生存競争は激しくなりそうだ。


(ポストセブン 2015.11.10)

オリコン「コンフィデンス」で、俳優・笹野高史さんについて解説

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ベテラン俳優・笹野高史が
映画初主演 人気の理由
映画「武士の一分」で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞するなど、名わき役として活躍している、笹野高史の初主演映画「陽光桜」が11月21日から公開される。

同映画は、世界恒久平和への願いを託し、桜の新品種開発に生涯を賭けた高岡正明をモデルに描かれたヒューマンドラマ。

笹野の他、的場浩司、若き日の高岡役として笹野の実息のささの翔太が出演する。

笹野は現在67歳。1972年の舞台デビュー以来、これまで映画「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」シリーズなど、数々の作品に出演してきた。

上智大学文学部新聞学科教授の碓井広義氏は、「一言で言えば、ネガティブさこそが売りです。俳優なんだけど、一見ただのおじさん。しかも「冴えない」「地味」「暗い」「意地悪そう」など、俳優の褒め言葉とは対極にいる人。でも、そのネガティブさを武器にわずかな出番でも「ワンシーン役者」として一瞬画面を支配する。その集中力はすごい」とコメント。

「まだ笹野さんが世間的に名の知れてない頃から、CMディレクターの川崎徹さんは、まず笹野さんのスケジュールを押さえると言っていました。そこにいるだけで、不思議な空気感が生まれるからです。

役柄も中小企業のさえない係長から、大河ドラマ『天地人』での秀吉まで、ここまでふり幅の広い役者はそうそういない。どんな役柄にも馴染んでしまう、まさにカメレオン役者です」と絶賛する。

“ワンシーン役者”として一瞬の登場でも確実に爪跡を残すその存在感。スクリーンに登場するだけでワクワクさせられる俳優である。

(コンフィデンス 2015.11.09号)

書評した本: 『70年代と80年代~テレビが輝いていた時代』

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放送批評懇談会が発行する、専門誌「GALAC(ぎゃらく)」。

その最新号に、『70年代と80年代』の書評を寄稿しました。


『70年代と80年代~テレビが輝いていた時代』
市川哲夫 編
毎日新聞出版社/2700円+税
1970年は高校入学の年だった。大学卒業後、出版社を経て高校教師をしていた私が、テレビマンユニオンに参加したのは1981年。26歳の新人だった。つまり70年代のほとんどを学生・社会人という視聴者の立場で、そして80年代をテレビの作り手として過ごしたことになる。そのためだろうか、無意識のうちに、当時の自分とリンクさせながらページをめくる現在の自分がいた。

今年は戦後70年。編者は、70年代と80年代を戦後の青年期・壮年期と呼んでいる。古希となった現在とは何が異なり、何が変わっていないのか。この時代にスポットを当てることで、「この国のかたち」(司馬遼太郎)の変遷をとらえようというのが本書の狙いであり、その試みは成功している。テレビだけでなく、背景となる政治や文化や事件にも的確な目配りをしているからだ。

まず、“当事者”たちの人選が見事だ。70年代では、「時間ですよ」の久世光彦。「機動戦士ガンダム」の富野由悠季。「田中角栄研究」の立花隆。ロッキード事件を担当した東京地検特捜部の堀田力。情報誌「ぴあ」を創刊した矢内廣もいる。

また80年代には、「花王名人劇場」で漫才ブームを生んだ澤田隆治。「金曜日の妻たちへ」のプロデューサーだった飯島敏宏。「ニュースステーション」に立ち上げから携わった高村裕などが並ぶ。いずれも個人的回想を超えた貴重な証言である。

さらに、読み応えのある批評や論考が多いことも特色だ。関川夏央の「岸辺のアルバム」。宮台真司のコンビニと郊外。鈴木健司のブルース・リー。中森明夫の80年代アイドル。市川真人の村上春樹。保阪正康の中曽根政治などだ。これらによって、本書は広がりと立体感を持つ“同時代ドキュメント”となった。

(GALAC 2015年12月号)

週刊現代で、「下町ロケット」についてコメント

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週刊現代に掲載された、「下町ロケット」の特集記事が、現代ビジネスにアップされました。

この記事の中でコメントしています。


『下町ロケット』の快進撃が止まらない!
夢を諦めない男たちにグッとくるのはなぜか
阿部寛ら出演者・専門家が語る
あの池井戸潤の原作で、阿部寛が主演。期待は大きかったけれど、それを上回る面白さだ。社会人なら誰もが挫折を味わう。それでも、諦められない夢がある。「大人のドラマ」から目が離せない。

■阿部寛が熱く語る

「佃のような中小企業の経営者は、これまでにまったく演じたことがないタイプですね。ただ、僕は父も兄もエンジニアでした。僕自身、大学は電気工学科だったのですが、子供の頃は、漠然とした宇宙への憧れがあった。だから佃には共感するところもあります」

TBS系ドラマ『下町ロケット』で主人公・佃航平を演じる阿部寛はそう語る。

「僕の役は、元ロケットエンジンの開発者で、現在は家業を継ぎ、下町の中小企業を経営する男。経営上の苦難や社員との軋轢に葛藤しながら、若い頃の宇宙への夢を捨てられない主人公です。

経営者なら、もちろん現実も見なければいけません。ですが、僕個人としては、夢は捨てたら終わりだと思っています。夢も、そして技術も、失ったものはもう帰ってこないのですから」

『下町ロケット』の快進撃が止まらない。10月18日放送の初回が16.1%の高視聴率で、第2話では17.8%を叩きだした。'13年夏放送の『半沢直樹』の人気を再現しそうな勢いだ。

阿部をはじめとした人気俳優の起用。原作はヒットメーカー・池井戸潤の直木賞受賞作。そして、『半沢直樹』と同じ制作陣。放送前からヒットの予感をさせたが、『下町ロケット』が見る者に感動を与えているのは、阿部がいう「夢を諦めない人々」の人間ドラマを、説得力を持って描いているからだ。

それを象徴するのが、11月1日に放送された3話の名シーンだ。佃航平は力強くこう熱弁した。

「カネの問題じゃない。これはエンジンメーカーとしての、夢とプライドの問題なんだ!」

純国産でのロケット開発に邁進する、日本を代表する帝国重工。莫大な費用と長い年月をかけた研究の末、ついにロケットの鍵となる「水素エンジンのバルブシステム」の開発に成功する。

しかし、そのバルブシステムの開発には、実は佃が先に成功し、特許も取得していた。「特許を買い上げたい」と持ちかける帝国重工の宇宙航空部部長・財前道生(吉川晃司)。提案にどう応えるか、佃社内で議論が紛糾する。

特許を可能な限り高く売却しようという声、特許使用契約を結んで、技術は保持しつつ長期的な収益を確保するべきという声。様々な意見のなか、佃航平が決めたのが、

「バルブシステムの部品を佃製作所で作り、帝国重工と受注契約する」

という方針だった。夢物語のような提案に、社員から異論が噴出。それを制するように放ったのが、先の台詞だ。

撮影現場にも男たちの熱気が満ちている。佃製作所営業第一部部長・津野薫役の中本賢が語る。

「現場では、阿部さんが作品の中の佃航平以上と言えるくらい大きな役割を担って、出演者をリードしてくれています。男ばかりの現場で、いつもテンション高く、ラグビーでスクラムを組むような連帯感があるんです。ドラマの雰囲気そのままで撮影が進んでいます。

その相乗効果もあって、感情を高ぶらせるようなシーンでは、たとえそれが佃航平の台詞だとわかっていても、阿部さんの言葉のように聞こえてしまう。心に沁みてくるんですよね。撮影中、みんな本気で泣いています(笑)。それは役者としてとても嬉しいことです」

■「出向銀行マン」の意地

役者たちの熱演に加え、物語にリアリティを与えているのが、『半沢直樹』でも見られた撮影手法。セットに頼らず、既存の会社や工場などで撮影が行われている。佃製作所でのシーンも、古くからの町工場が立ち並ぶ蒲田の、実際の社屋で行うという徹底ぶりだ。

その社屋の一室で、再び阿部が語る。

「ここも、戦前からある建造物と聞いて、『そんなに歴史を重ねてきたのか』とびっくりしました。戦争にも、多摩川の水害にも負けず、ずっとこの地に根付いてきた。そんな町工場の頑張りを意気に感じながら、佃航平を演じています。

ここには、僕より年上の機械類が並んでいる。これを見ていたら、工場を人手に渡す経営者の悲しい気持ちがわかってきてね。これまで懸命に油を注いで、整備してきた機械を人手に絶対渡したくないという思いがこみあげてきました。

ドラマのなかでも難題にぶつかった佃が『ちくしょう』と悔しがるシーンがたくさんありますが、そんな実感をこめています」

佃航平の人間性が伝わってきたのが、第2話のクライマックス、ナカシマ工業との裁判で、自ら証人尋問に立つシーンだ。

いわれのない特許権侵害訴訟を起こされた佃が、ナカシマ工業の顧問弁護士・中川京一(池畑慎之介)の技術者をバカにしたような嫌らしい質問に、こう反論する。

「たとえこの裁判に負けたとしても、ナカシマに特許を奪われたとしても、屁でもありません。培ってきた技術力だけは決して奪えない。正義は我にありだ!」

その実直な言葉が裁判長の心を動かし、佃の実質勝訴の和解という決着を生む。

上智大学新聞学科の碓井広義教授(メディア論)もそのシーンに「グッときた」という。

「普段スポットの当たらない技術者たち、モノを作る人たちの思いを代弁してくれた名台詞でした。俺たちの言いたいことを言ってくれた。そう快哉を叫んだ人も多いんじゃないでしょうか。

演出の福澤克雄さんの手腕だと思うのですが、それまでの訴訟の攻防がサスペンス色強く描かれているため、証人尋問のシーンが盛り上がり、綺麗事に聞こえがちな台詞もスッと心に入ってくる。阿部さんの目を真っ赤にした演技も迫真でした」

もちろん、理想だけでビジネスは成り立たないのも事実。そんな現実をしっかり描いているのも、このドラマの魅力だ。

なかでも、佃製作所の資金繰りに奔走する経理部長・殿村直弘(立川談春)の存在感が際立つ。メインバンク・白水銀行から出向中という、いわば「よそ者」の立場。法政大学社会学部教授で元テレビディレクターの水島宏明氏はこう言う。

「私が共感するのは殿村です。50代になると、大学の同期で銀行員になった連中にも、殿村のように出向になった人が多い。すると、『結局はウチの人間じゃない』とイジメられたりして、鬱になってしまう人もいるんですよ。

他の社員の陰口をバックに、殿村が一人居酒屋で酒を飲むシーンがありましたが、サラリーマンの切なさを立川談春さんがとてもうまく表現していました。だからこそ、経営の危機に瀕しながら『この会社が好きなんです』と殿村が叫ぶシーンや、出向元の白水銀行と袂を分かつ決断などが、心に響くんです」

■普通の人間が頑張る物語

佃vs.帝国という中小企業対大企業の構図だけではなく、佃社内での意見の対立も丁寧に描かれる。組織の論理が先にあって個人がいるのではなく、個人の思いの集積が、組織を作る。そんなテーマが内包されている。

経理の殿村や営業の津野、技術開発部長の山崎光彦(安田顕)、熱血漢の営業第二部部長・唐木田篤(谷田歩)らが、会社の方針をめぐって激しく意見をぶつけあうシーンはもはやお馴染みだ。

「満員電車で通勤しているような、普通の人間を思い浮かべて」津野を演じているという、中本賢が語る。

「経営は一筋縄ではいかない話です。ただ、津野にとって特許だカネだという話は本筋ではなくて、まず『佃航平についていこう』という思いがある。

先代の頃から勤めている津野としては、希望に燃える若旦那に引っ張られて『この社長の思いを実現してあげたい』と、佃の人としての魅力に惹かれている。その純粋な思いがモチベーションなんです」

第3話では、夢を追う佃やそれを支える山崎と、目の前の利益を求める若手社員の間にミゾが生まれる。ドラマは前半の山場、帝国重工との決着に向かっているが、その社員同士の対立が、物語の行方に大きく関わってくる。

阿部寛が語る。

「実際に中小企業の経営者たちに話を聞いても、在庫を抱えて資金繰りに苦しんだり、人間関係で悩んだり、日々問題が起こっている。従業員から社長まで、時に妥協しながらも、誇りを失わずに生きているんだなと感じます。そんな人たちを応援する作品にしたい」

これからも、日曜21時を楽しみにしよう。

(週刊現代 2015年11月14日号より)

オリコン「コンフィデンス」で、俳優・ピエール瀧さんについて解説

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16年朝ドラ「とと姉ちゃん」に出演決定
俳優・ピエール瀧の魅力
ピエール瀧が16年春にスタートするNHK朝ドラ「とと姉ちゃん」に出演することが、11月6日、都内で行われた記者会見で発表された。

同ドラマでは、主演の高畑充希が演じる奇橋常子一家が間借りする、深川の仕出し屋・森田屋の主人兼板前の森田宗吉役を演じる。

ピエール瀧は、テクノユニット・電気グルーヴのメンバーとして活動する傍ら、俳優としても活躍。

13年には、映画「凶悪」での演技が評価され、第37回日本アカデミー賞で優秀助演男優賞を受賞。今年は「64(ロクヨン)」(NHK)で主演を務めた他、映画には「寄生獣 完結編」など数多くの作品に出演している。

上智大学文学部新聞学科教授の碓井広義氏は、「不思議な役者さんです」と言い、その理由について「普通、名脇役と言われる役者さんは、自分を役に同化させる。だからいろんな役ができるわけで、ただ、ピエール瀧さんの場合は、どんな作品でもピエール瀧さんとして演じ、視聴者を引きつけている。そこが同じ名脇役と呼ばれる俳優さんとは一線を画す点です」と語る。

演技についても「ミュージシャンという足場があるからこその独特のリズム感であり、間であり、演じ手としてはどこか異世界の人。そんな人が刑事を演じたり、寿司屋の親父を演じたりするから、何気ないシーンであっても視聴者に対してフックを掛けることができる。作り手たちがこぞって起用するのにはそういう理由があるのでしょう」と語る。

来年はすでに3本の映画公開が決定。俳優としてさらなる活躍が期待できそうだ。

(コンフィデンス 2015.11.16号)

週刊新潮で、TBSドラマ『コウノドリ』についてコメント

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TBSドラマの鬼門枠で
好調『コウノドリ』を支える朝ドラ女優
未知の「化学反応」が望外の成果をもたらすのは、何もサイエンスの世界に限らない。ドラマのキャスティングにおいても大いに威力を発揮するようで、10月期の新番組『コウノドリ』(TBS系)も、そんなケースの典型だという。

さる民放関係者が言う。

「TBSの金曜22時ドラマ枠、通称『金ドラ』は40年以上の歴史を重ねていますが、最近では“鬼門”といえるような時間帯となっていました」

実際に前作を振り返ると、

「7月期の『表参道高校合唱部!』は平均5・92%と惨敗。また4月期に山下智久が主演した『アルジャーノンに花束を』も8・61%に沈み、その前年もひとケタ台を連発している。“看板枠”には程遠い状況が続いていたのです」(同)

が、今期の『コウノドリ』は、初回が12・4%、2話目も12・0%と順調の滑り出し。

「原作は漫画ですが、綾野剛演じるピアニスト兼産科医と、妊婦や医療現場の同僚らが織りなす社会派の人間ドラマに仕上がっています。新生児が頻繁に登場するという、これまでの医療作品にないリアルな演出も特徴的です」(同)

ライターの吉田潮氏が言う。

「綾野が銀髪を振り乱してピアノを弾くシーンばかりだと、せっかくの良作が台無しになりますが、今回の作品はすべてが主役級の『チーム医療』で、綾野だけを美化して描いてないことでバランスが保たれています。吉田羊は人肌の温もりを持った助産師役で演技の広さを見せつけているし、青臭い医師を演じる松岡茉優も、若手の実力派だから安心して観ていられます」

■視聴者に親和性が

そうした脇の好演に、

「ある『共通点』が見てとれます」

と指摘するのは、スポーツ紙芸能デスクである。

「『純と愛』で名を売った吉田羊に、『あまちゃん』でアイドルを演じた松岡茉優。第1話のゲストで妊婦を演じたのも『まれ』でブレイクした清水富美加と、NHKの朝ドラで話題になった女優を揃えているのです。また『マッサン』で酒造会社の事務員だった江口のりこがソーシャルワーカー役、男優でも綾野と同期の産科医を演じる星野源は『ゲゲゲの女房』に出演していました」

そもそも主演の綾野からして『カーネーション』で紳士服職人を演じているのだから、さながら“朝ドラクロニクル”だ。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)いわく、

「同じ医療ドラマでも米倉涼子さんの『ドクターX』(テレ朝系)は、切った張ったのアクションもので男性視聴者が多い。対して『コウノドリ』は赤ちゃんと妊婦さんが中心で、女性視聴者に主眼を置いています。このあたり、朝ドラの視聴者と親和性があるのでしょう。意識して起用している部分があると思われます」

試みはさしあたり吉と出たようだ。

(週刊新潮 2015年11月12日号)

600万アクセスに感謝です!

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このブログの総アクセス数が、600万を超えました。

ありがとうございます!

ささやかな発信ではありますが、これからも、テレビを中心に、あれやこれやと書いていきたいと思います。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

書評した本: 川村二郎『孤高~ 国語学者大野晋の生涯』ほか

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「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。

川村二郎 『孤高~ 国語学者大野晋の生涯』
集英社文庫 799円

評伝の面白さは、主人公の実人生と人物像だけではない。誰が書くかも重要だ。

国語学の巨人と呼ばれる大野だが、日本語のルーツをタミル語だとする新説に対して、当時の学会やマスコミから強い反発が起きた。同時に、敵をつくることも恨みを買うことも意に介さない大野に反感を覚える者も多かった。

元「週刊朝日」編集長の著者は、記者として“人間・大野晋”の造形に挑み、成功している。ここに描かれているのは、言動にはだれの目にも明らかな目的があるべきだと考え、思い立ったらただちに行動し、新しいことに挑戦し続けた一人の男の姿である。第一級の研究者として、また語り継がれるべき日本人として。


橋本 治 『義太夫を聴こう』
河出書房新社 1944円

気になってはいたが、まだ一度も義太夫を聴いたことのない人のための入門書だ。著者によれば義太夫は音楽である。三大道行と呼ばれる「旅路の嫁入」「初音旅」「恋苧環(こいのおだまき)」をテキストに独自解説。「女流義太夫はAKB劇場ですよ」も納得だ。


いしいしんじ 『且坐喫茶(しゃざきっさ)』
淡交社 1836円

書名は禅の言葉で「お座りになってお茶でも飲みなさいよ」といった意味。織田作之助賞作家である著者が、縁あって出向いた茶事を通して語る茶道エッセイだ。禅僧、牧師、陶芸家など、向き合った亭主たちも多彩。随所に登場する、亡き師の存在が強い印象を残す。


ステュアート・ガルブレイス4世:著、櫻井英里子:訳 
『黒澤明と三船敏郎』
亜紀書房 6480円

著者はアメリカ人映画評論家。黒澤と三船の生涯を一冊の伝記とすることを目指し、厚さ5㌢の大部にまとめ上げた。特色は映画公開当時の欧米の評論が多数引用されていることだ。また関係者たちへのインタビュー取材も資料的価値が高い。DVDでの再見必至。

(週刊新潮 2015.11.19号)


大沢在昌 『鮫言(さめごと)』
集英社 1278円

週刊プレイボーイの連載エッセイ「陽のあたるオヤジ」、その20年分が一冊になった。若くして作家デビューしながら、11年間、28冊が初版止まり。『新宿鮫』は29冊目の大金星だった。小説、遊び、酒、女性などについて、飾らず、気取らず、率直に語っている。


エミリオ・ラーリ 
『ビートルズ写真集~映画「HELP! 」の撮影現場から』
ヤマハミュージックメディア 3780円

映画『HELP!』の公開から40年。ビートルズの4人が共演した劇映画としては最後の作品だった。本書は撮影現場の未公開写真集だ。英国陸軍が戦車まで持ち出してエキストラ出演する一方、映画作りを楽しんでいるような、いないような表情の4人が可笑しい。


横尾忠則 『言葉を離れる』
青土社 2268円

高校時代に購入しながら、未だに読んでいない『サロメ』と『みづうみ』。人生のシナリオを書き変えてしまった『金閣寺』。読書エッセイのはずが、本そのものより人物や出来事が自在に回想されていく。「ぼくにとっての未来は過去に存在する」とは著者の言葉だ。

(週刊新潮 2015.11.12号)





神木隆之介「サムライせんせい」の“軽い龍馬”で光る演技力

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ朝日「サムライせんせい」を取り上げました。


テレビ朝日系「サムライせんせい」
光る神木“龍馬”の芸達者
2013年から14年にかけて放送された「信長のシェフ」(テレビ朝日系)。料理人の若者(玉森裕太)が戦国時代にタイムスリップし、なんと織田信長の“お抱えシェフ”となる物語だった。

この「サムライせんせい」(テレビ朝日系)は逆パターン。突然、幕末から現代へ、時空を超えてやってきた志士たちが巻き起こす珍騒動だ。

切腹したはずの武市半平太(錦戸亮)は、ちょんまげ姿のまま神里村の路上で目覚める。そして、人の良い元小学校校長(森本レオ)が経営する学習塾の臨時講師となった。

半平太が今どきのヒトやモノに驚く様子や、周囲の村人たちとの間で起こす摩擦が、我々が当たり前だと思っている社会や常識へのプチ批評になっているところがミソだ。

半平太より先にタイムスリップしてきていた坂本龍馬(神木隆之介)との対比も効いている。

この龍馬、すっかり現代に馴染んでおり、パソコンやスマホも駆使するフリーライターになっていた。神木の演技は相変わらず達者だ。武士のままの半平太とは異なる軽さと如才なさで笑わせる。

錦戸も神木とからむシーンが一番いきいきとしており、いわば男2人のダブル主演作である。

なぜタイムスリップしてきたのか。どうしたら過去に戻れるのか。戻ったとして彼らの運命は変わるのか。そんな疑問はひとまず置いて、のんびり楽しむ深夜ドラマだ。

(日刊ゲンダイ 2015.11.18)

セーラームーンや鉄腕アトムの“現在”に異議あり!?

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セーラームーンや鉄腕アトムの“現在”を見せる、ソフトバンクの新しいCM。

「おいおい、こんなふうになっちゃてるの?」「勝手に未来を作らないでくれよ」の違和感強し。

週刊新潮の記事で解説しました。


CM合戦
「小泉今日子」敗れたり!
小泉今日子(元セーラームーン)、堺雅人(元鉄腕アトム)、小日向文世(元デューク東郷)、広瀬すず(元ちびまる子)・・・錚々たるメンバーで10月17日からスタートしたソフトバンクの新CMが、つまらない。

「フィクションのキャラクターが大人になって、元セーラームーンはバーのママ。そこへ集うアトムやゴルゴ13・・・。

よくあるパターンですが、それぞれが大ヒット作品だけに、視聴者の思い入れがある。セーラームーンなら、少女時代の夢や希望など、いまや人生の一部と化しているファンもいるでしょう。

それらを無視して土足で入り込まれたような気がするからつまらない、というより不快感を覚えるんだと思います」

とは上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)だ。

犬のお父さんで人気だった「白戸家」シリーズが、2007年から8年連続でCM好感度1位だったが、代わりにトップに踊り出たのがauの「三太郎」シリーズ。こちらも桃太郎や浦島太郎、金太郎という人気キャラを扱っているが、

「万人に共通の距離があるし、物語を下敷きにしているから新たなエンターテインメントになっている。ソフトバンクは原作への敬意が感じられない。

「白戸家」のCMプランナーだったヒットメーカーの澤本嘉光さんが外れたことも大きいのかもしれませんが、作者や著作権者に使用料を払えば何をやってもいいってものではない。

人類のために太陽に突っ込んだアトムがサラリーマンやってちゃいけないし、権力を一顧だにしないゴルゴが総理になっちゃ情けない、ジョーは灰になって燃え尽きたんだ」(同)

我々はあしたのジョーである、なんて人たちもいたが。

(週刊新潮 2015.11.19号)

【気まぐれ写真館】 札幌は気温5℃

HTB北海道テレビ「イチオシ!」

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ファイターズ・杉谷選手が中継リポーター初挑戦
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今週の「国井美佐アナウンサー」



HTB「イチオシ!モーニング」


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愛里さん、依田アナウンサー、オクラホマ藤尾さん
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野球解説・岩本さん
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依田アナと・・・
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ファイターズガール!
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スポーツ担当・五十畑アナウンサー
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今週の「木村愛里さん」



【気まぐれ写真館】 いつもの北海道千歳市「柳ばし」で・・・

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特製たらフライ定食なり

やや物足りない、映画『ミケランジェロ・プロジェクト』

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ジョージ・クルーニー監督の映画『ミケランジェロ・プロジェクト』を見てきました。

ナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーの命を受け、ドイツ軍は侵攻した欧州各国の美術品を略奪。それに強い危機感を抱くハーバード大学付属美術館の館長ストークス(ジョージ・クルーニー)はルーズベルト大統領を説得し、美術品や歴史的建造物を保護する部隊モニュメンツ・メンを結成する。中世美術に精通したグレンジャー(マット・デイモン)や建築家キャンベル(ビル・マーレイ)などのメンバーを集め、ヨーロッパ各地を奔走。だが、劣勢を強いられて自暴自棄になったナチスや、妨害しようとするソ連軍が彼らの前に立ちはだかる。

いわゆる戦争映画とは、やや趣きが異なります。

“美術品の救出”がミッションというのが面白いな、と思って。

ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、それにビル・マーレイと、俳優陣も大好きなメンバーでした。

えーと、十分楽しめたのですが、もっとハラハラ、ドキドキがあってもよかったかな、と。

あの俳優陣に加え、ケイト・ブランシェットまでいるのに、物語として、ちょっと惜しいなというか、やや物足りないな、と(笑)。

「ノルマンディー」や「レマゲン鉄橋」や「バルジの戦い」といった有名な激戦地が出てくるのですが、地名のテロップと背景の風景というシンプルな表現。

確かに、美術品救出チームが活動できるのは、基本的に戦いが終わった後のタイミングなんですね。思わず苦笑いでした。

この「モニュメンツ・メン」は実在した部隊で、物語も実話だそうです。

実話や史実モノって、あまりイジることは出来ないので、まあ、ストーリーとしては仕方ないのかもしれません。

三井住友海上CMに見る、高速道路にご用心!

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日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。

今回は、三井住友海上「はじめてのハイウェイ」編について書きました。


三井住友海上「はじめてのハイウェイ」編
左右の車線変更 冷や汗の大冒険
クルマの免許を得たのは18歳の時だ。大学近くの自動車学校には同じクラスの学生も通っていた。

2浪したという同級生は無免許での運転経験が豊富だったらしく、仮免許取得までが実に早かった。

しかし高速道路での教習中、何とスピード違反で白バイに捕まってしまう。教官が一瞬居眠りをした際の珍事だった。

免許を取ったばかりの“新米”にとって、特に高速道路は敷居が高い。進入路から本線に加わることも、左右への車線変更も、インターチェンジでの合流も、そのすべてが大冒険である。

ましてや助手席に川口春菜さんのようなカノジョが乗っていたら、いいところを見せたいという思いと運転技術との落差で、冷や汗が止まらないはずだ。

運転は習うより慣れろ。いや習ってから慣れろだ。でも、自動車保険は入っておこうね。

仮免でスピード違反の彼は、確か地方の建設会社の後継ぎだった。今ごろ、どんな運転をしているのだろう。

(日経MJ 2015.11.23)

週刊新潮で、「下町ロケット」の吉川晃司について解説

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『下町ロケット』演技の評価が
真っ二つに分かれた「吉川晃司」
アクの強い仇敵、味方の裏切り、土下座、そして、胸のすくような逆転劇――。連想ゲームのヒントは『半沢直樹』と変わり映えしないものの、先月18日にスタートした連ドラ『下町ロケット』が目下、絶好調である。

なかでも注目を集めるのは、ギラギラとした存在感を放つ吉川晃司(50)。ただ、肝心の演技の評価は真っ二つに分かれているのだ。

阿部寛が社長役を演じる中小精密機器メーカーの本社に、黒塗りのハイヤーが横付けされる。颯爽と降り立ったのはスリーピースのスーツを着こなす、銀髪オールバックの吉川。

阿部と対峙する大手重工メーカーのエリート部長という役どころだ。

「身長189センチの阿部と並ぶと、どんな俳優でも迫力負けしてしまう。その点、高校時代に水球の日本代表に選ばれたこともある吉川の逆三角形の体型は、阿部にもヒケを取りません」

とは、スポーツ紙の芸能デスクの評。古川の抜擢もあってか、『下町ロケット』は、今期の民放連ドラでは最高視聴率となる18・6%を叩き出した。

「TBSの“チーム半沢”スタッフが手掛ける池井戸潤作品の3作目なので、放映前から期待度は高かった。今回も『半沢』と同じく“濃い”ドラマですよ」(同)

ベテラン俳優による脂っぽい演技に、松平定知・元NHKアナの重苦しいナレーションが加わり、ドラマを観終わると胃もたれは必至。主人公の阿部も“正義は我にありだ!”と叫ぶような熱血漢である。

「そうしたなか、準主役級の吉川だけはクールなキャラクターに徹している。そこが渋カッコいいと女性人気も再燃中で、視聴率の底上げにひと役買っているのは間違いありません」(同)

■顔の“どアップ”

とはいえ、ライブで“シンバルキック”を繰り出すロックンローラーのイメージが強い吉川に、巨大企業の“クールなエリート部長”が務まるのか。

「セリフは棒読みですし、滑舌も悪い。演技も共演者からは見劣りします」

と手厳しいのはライターの吉田潮氏である。

「本当に底意地の悪い敵役には、演技力に定評のある木下ほうかや新井浩文を配置している。その意味で、今回の寡黙な役柄は適材適所と言えるかもしれません。まぁ、セリフ回しや演技力はともかく、ビジュアルで魅せる今回のドラマは彼に向いているとは思います。重要なシーンで顔の“どアップ”を多用するベタな演出は、このシリーズのお決まりのパターンですからね」

確かに、ドラマ中の吉川は終始、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、たまに喋っても“手段を選んでいる余裕などない!”“全責任は私が取る!”といった短いセリフが目立つ。“決め顔”がウリなせいか、ドーランも濃い目だ。

一方、吉川の抜擢を歓迎するのは、上智大学の碓井広義教授(メディア論)だ。

「NHKの大河ドラマ『天地人』で織田信長を演じた時にも感じましたが、彼は一筋縄でいかない役どころにハマりますね。ミュージシャンとしてのカリスマ性が滲み出て、彼が登場すると画面が引き締まる。中小メーカーの技術力を目の当たりにして心が揺れる難しいシーンも、表情と所作だけで見事に演じてみせました」

ただ、セリフに難ありとは碓井氏も認めるところ。“残念”な芝居を目立たせないのも演出の手腕なのだ。

(週刊新潮」2015年11月19日号)


秋ドラマの隠れた佳作「コウノドリ」

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」

今回は、TBS「コウノドリ」について書きました。

TBS系「コウノドリ」
リアリティーの追求が十分な効果を生んでいる
「下町ロケット」の大ヒットで影が薄くなっているが、同じTBS系の隠れた佳作としてオススメしたいドラマがある。「コウノドリ」だ。

まず、主人公である鴻鳥サクラ(綾野剛)のキャラクターが興味深い。患者の気持ちに寄り添い、出産という大事業をサポートしていく優秀な産科医だ。

しかも天才ピアニスト(病院にはナイショ)という別の顔も持つ。実の親を知らずに育つ中で、自分の思いをピアノで表現することを知ったのだ。

この謎の部分が人物像に奥行きを与えている。毎回の読み切り形式だが、一組の夫婦の症例を軸にしながら、他の患者たちの妊娠や出産をめぐるエピソードも同時進行で織り込んでいく。

思えば、妊娠・出産は病気ではない。だから健康保険などは適用されない。しかし、さまざまなリスクを伴うことも事実。産科には日常的に生と死のドラマが共存するのだ。この構成は、「ゲゲゲの女房」などの脚本で知られる山本むつみの手柄である。

産科医にもわからないことはあるし、出来ないことも多い。当然のことだ。だが、鴻鳥はその当然を真摯に受けとめ、自分たちに何が出来るかを徹底的に考えていく。

生まれたばかりの新生児も含め、毎回本物の赤ちゃんが多数登場するのもこのドラマの特徴だ。リアリティーを追求する制作陣のこだわりであり、十分な効果を生んでいる。

(日刊ゲンダイ 2015.11.25)

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