Quantcast
Channel: 碓井広義ブログ
Viewing all 5553 articles
Browse latest View live

昭和45年11月25日から、ちょうど45年

$
0
0
四谷から富士山を望む

1970年11月25日、三島由紀夫自決。

昭和45年に、45歳で亡くなってから、ちょうど45年になります。

今年も、四谷キャンパスの研究室から見える、市ヶ谷の防衛省(旧市ヶ谷駐屯地)に向かって、合掌しました。

毎年この日は、その年に出版された“三島本”を読みます。

今回は、佐藤秀明:編『三島由紀夫の言葉 人間の性(さが)』(新潮新書)。

さまざまな作品からの抜き書き、引用を、男女、世間、国家などの項目で括った、いわば箴言集です。

最後に置かれてるのは、有名な、そして今も生きている、あの文章でした。

私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機質な、からっぽの、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済大国が極東の一角に残るのであろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである。

(「サンケイ」夕刊 1970年7月7日)


週刊誌で予測した、小林幸子とμ'sの「紅白」出場決定!

$
0
0



先日、NHK「紅白」に関して、「週刊新潮」の取材を受けました。

その際、小林幸子と『ラブライブ!』声優9人組μ's(ミューズ)の出場を予想するコメントをしていたのですが、NHKが26日に発表した内容によれば、なんと、どちらも出場メンバーに入っていました(笑)。

以下は、発売中の「週刊新潮」最新号の記事です。


ウエルカム!紅白
「小林幸子」のNHK貢献度
小林幸子(61)がついに巨大・豪華衣装で復活!?

2011年の大晦日を最後に、33回連続出場していた紅白歌合戦から遠ざかっていたが、NHKからお呼びがかかったと11月20日に報じたのは日刊スポーツ。

「各紙裏取りに走りましたが、26日の発表前のため小林の事務所は否定。ただしオファーがあれば喜ばしいと歓迎ムード」(芸能記者)

NHKは、12年には三輪明宏と矢沢永吉、13年には北島三郎の紅白引退、あまちゃん特別編、昨年はサザンオールスターズ、中森明菜・・・と話題作りにつとめてきた。

が、昨年は年間最高視聴率No.1(関東地方)の座をサッカーW杯(日本vs.コートジボアール戦)に譲渡してしまった。

「紅白にとって年間最高視聴率は最重要課題。しかし、昨年の“アナ雪”のようなヒット曲が今年はなく、目玉も望めない」(同)

といって、小林が切り札になるだろうか。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)は、あり得るという。

「NHKは若者を呼び戻すため、狙いをオタクにシフトしています。事実、映画が大ヒットしたアニメ『ラブライブ!』の特集を何度か組み、年明け2日からは民放で放送したアニメ版をEテレで再放送すると発表しました。その声優たちを紅白にという噂もあり、小林さんもその狙いの1人」

落選した後の小林は、活動の場をオタク文化に求めた。元々巨大な衣装はゲームオタクから“ラスボス”のようと人気があり、さらに音声合成ソフト“初音ミク”の「千本桜」をカバーすることで、彼らに再評価され生き返ったのである。

「彼女はEテレの『趣味どきっ!』の“スマホ動画”の生徒役として出演しており、NHKへの貢献度も十分。紅白復活への大義名分は整っています」(同)

いまやクールジャパンの国是にも則った小林幸子。紅白復活ならば歌うは「千本桜」以外にないが・・・

「日の丸や反戦国家、断頭台といった歌詞を、紅白で放送する覚悟がなければ落選でしょう」(前出記者)

NHKに覚悟はあるか。

(週刊新潮 2015.12.03号)

「視聴覚教育」構成会議

【気まぐれ写真館】 夕陽と富士山 2015.11.27

今週末は入試(公募・指定校推薦) 2015.11.28

週刊大衆で、「大晦日のテレビ」についてコメント

$
0
0



「目玉なし紅白」で民放が血眼に!
「大みそかテレビ視聴率戦争」舞台裏
終わり良ければ、すべて良し! テレビ各局は有終の美を飾るべく大晦日の夜に大勝負を仕掛けてくる。本誌は、今年の各局の特番情報を独占キャッチ! はたして、2015年最後の夜を制するのは!?

昨年は42.2%と7年連続で40%の大台をクリアした『NHK紅白歌合戦』。しかし、「今年は、ここ数年のようにはいかないのでは」とNHK関係者が話す。

「総合司会をタモリにオファーしたまではいいんですが、タモリサイドからの“同じ事務所の夏目三久も出演させて”という依頼を断ったことで、タモリ司会の話も消滅したとのことです。いずれにせよ、大きな目玉がなくなりましたね」

変わって司会を務めることになったのは綾瀬はるか。

「彼女は魅力的ではありますが、2度目だけに目新しさはないですよね。出場者の目玉も、つんく♂特集とかマッチの復活とか、サプライズ感のなさは否めない。ラグビーの五郎丸歩選手への審査員の依頼まで断られる始末ですから」(前同)

“卒業”した北島三郎がなんらかの形で出る、ともいわれたが、可能性は、そう高くなさそうだとも。

そんな紅白の牙城を崩さんとするのは、昨年も視聴率18.7%と2位につけた日本テレビの『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』の「笑ってはいけない」シリーズだ。

今年は“笑ってはいけない探偵事務所”が舞台だが、日テレ関係者からは、「実は、今回で最終回説が濃厚」という衝撃発言が漏れるのだ。

制作会社関係者も、「最終回、さもありなんですね……。実は最近、松本人志さんの機嫌がすこぶる悪いんです。松本さんは、番組開始から25年以上、自分の楽屋はなしで、収録前後はスタッフらとスタジオでしゃべっていたのに、急に最近になって、“なんで俺の楽屋がないんじゃ!!”とブチギレたり……」と、浮かない顔で話す。

「昔からずっと一緒にやっていたスタッフがどんどんクビになっているし、プロデューサーも死にそうな顔で局内を歩いているし……。特番が最終回なら、レギュラーの『ガキ使』も終わるかもしれません」(前同)

昨年は9.9%と比較的健闘したTBSは、今年も同企画の『史上最大の限界バトル KYOKUGEN 2015』を放送。今回の目玉は格闘技の魔娑斗VS 山本KID徳郁だ。

元テレビプロデューサーで上智大学教授(メディア論)の碓井広義氏も言う。

「2004年の大晦日にも2人の対決を放送しましたが、なんと瞬間視聴率31.6%を記録したんです。もしかしたら、“紅白超え”の瞬間もあるかもしれません」

だが、こんな冷めた声も。「“ガチ”って言うけど、グローブは大きい14オンスを使うし、KIDはケガで9月のUFCの試合を欠場したばかり。UFCとの契約上、こんなエキシビジョンマッチでケガはできないだろうし、お茶を濁して終わる可能性も……」(格闘技関係者)

今年は、フジテレビも格闘技で勝負にいく。『総合格闘技RIZIN』で、桜庭和志やヒョードルの出場が決定。さらに、曙VSボブサップの再戦がささやかれるなど、確かに気合いは入っている。

だが、前出の格闘技関係者は、「どの名前も、“昔のスター選手”」とし、「『RIZIN』のベースになっている往年の『PRIDE』ならば、戦わないとしても今が旬の五郎丸をリングに上げるくらいの影響力があったけど、今はそんな勢いはないよね」と言うのだ。はたして落ち目のフジは、五郎丸をリングに上げられるか!?

毎年、手堅い路線を貫くテレビ朝日は今年も、昨年視聴率8.8%を獲得したゴールデンコンビを再び起用した『くりぃむVS林修! 年越しクイズサバイバー』。同様にテレビ東京も毎年恒例の『年忘れにっぽんの歌』を放送する。

「テレ朝は、『ガキ使』のようなお下品系(笑)はいやだけど、バラエティが見たい層にドンピシャ、テレ東もご年配層にハマります」(前出の碓井氏) 

大晦日が待ち遠しい!

(週刊大衆 2015.11.30号)

【気まぐれ写真館】 芝公園の夜  2015.11.28

今週末は入試(編入・外国人入試) 2015.11.29


書評本: 工藤美代子 『皇后の真実』ほか

$
0
0



「週刊新潮」に、以下の書評を寄稿しました。

工藤美代子 『皇后の真実』  
幻冬舎 1836円

日本でテレビ放送が始まったのは昭和28年である。この年のNHK受信契約数は、わずか866。しかし6年後の34年には346万と激増する。4月に行われた「皇太子ご成婚パレード」を見るためだった。そんな皇室人気の中心に当時の美智子妃、現在の皇后がいた。

民間から皇室へ、しかも将来皇后となることが決まっている結婚。正 田美智子さんという一人の女性と家族にとって、どれほどの重圧であり高いハードルであったか。著者は56年前の国家的慶事の舞台裏をはじめ、半世紀を超える美智子妃の歩みを丹念に描いていく。

そこから浮かび上がってくるのは正田家がもつ家風だ。それは「財は末なり、徳は本なり」という家訓であり、「必要なことを粛々とする」合理的習慣であり、「質素の美学」である。いずれも現在に至る皇后の軌跡と重なっている。

一方で、著者は小和田家にも目を向ける。江戸末期に十手を持つ捕り方だった小和田家の宿望は、「さらなる上級職」を目指すことだった。ハーバード大、東大、外務省、そして皇太子妃へと進んだ雅子さんは、祖先からの「社会的地位に付随する価値観」を開花させたことになる。

正田家と小和田家、皇后と皇太子妃。本書はもちろん皇后の半生に迫るノンフィクションだが、合わせ鏡のように雅子妃の姿が挿入される。著者の目は時に鋭く、厳しい。たとえば皇太子と雅子妃の発言には、「私(わたくし)」が極めて頻繁に登場する。だが、両親陛下の会見には「私」が出てこないと指摘する。

皇族にとっての「私」と「公(おおやけ)」の関係を、身をもって示してきたのが皇后ではなかったか。皇太子妃時代に受けた、近くに仕える人間からの“いじめ”であれ、皇室批判を装った執拗な皇后批判であれ、「私」として対処したことはない。皇后が貫いたのは、まさに「愛と犠牲」による生き方だったのだ。


星亮一、一坂太郎 『大河ドラマと日本人』
イースト・プレス 1620円

NHK大河ドラマの第1作は1963年の『花の生涯』。すでに半世紀を超える歴史をもつ。最盛期は『独眼竜政宗』、『武田信玄』、そして『春日局』が放送された80年代末だ。大河ドラマは日本人の精神にどのような影響を与えてきたのか。作家と歴史研究家が探る。


小川隆夫 『証言で綴る日本のジャズ』
駒草出版 5616円

原信夫、秋吉敏子、渡辺貞夫、山下洋輔といった、日本のジャズ界をリードしてきたミュージシャンの肉声が聴こえてくる。また、彼らと併走してきた油井正一、相倉久人、湯川れい子など評論家の証言も収録。戦後日本のジャズが、生きた歴史として立ち現われてくる。


徳岡孝夫 『五衰の人~三島由紀夫私記』
文春学藝ライブラリー 1318円

三島由紀夫は昭和の元号と年齢が重なる。昭和45年11月25日に45歳で自決してから45年が過ぎた。死の直前、覚悟の「檄」を託されたのが新聞記者だった著者だ。3年半の濃密な交友。本書には誰も知らなかった三島像がある。新潮学芸賞受賞作の有意義な復刊だ。

(週刊新潮 2015.11.26号)

女優・内田有紀の魅力は「わけあり感」にあり

$
0
0



内田有紀、来年1月放送の
連続ドラマで広末涼子と初共演
内田有紀が16年1月にスタートのドラマ「ナオミとカナコ」(CX系/木曜22時)で広末涼子と初共演することが、11月13日に明らかになった。

同作は、奥田英朗による同名小説のドラマ化で、内田は主演の広末演じるOL・小田直美と共に、“DV夫”の殺害計画を企てる主婦・服部加奈子役を演じる。

トップアイドルから見事女優へと転身を果たし、数多くの映画・ドラマで活躍。今クールも、天海祐希主演の「偽装の夫婦」(NTV系)に出演中の内田の魅力について、上智大学文学部新聞学科教授の碓井広義氏は、

「“わけあり感”が魅力です。過去の離婚、プライベートがなかなか見えてこないという点も関係しているのかもしれませんが、彼女には明るく元気な役柄よりは、影のある役柄が合います。

彼女の再評価のきっかけとなった作品で、引きこもりの役を演じた『最後から二番目の恋』にしても、足が不自由なシングルマザー役を演じている、現在の『偽装の夫婦』にしてもそう。彼女の“わけあり感”がうまく活かされた時、視聴者の印象に残ります。

おそらく今、彼女は単に「内田有紀」という美人女優を欲している作品ではなく、自身の持ち味が出せる作品を選んでいるのではないでしょうか。最近はそのチョイスがぴたっとはまっている気がします」とコメントする。

17歳の時にドラマデビューした内田も11月16日に40歳を迎えた。円熟味溢れる演技派女優として、今後、多くの作品でその存在感を発揮していくことだろう。

(コンフィデンス 2015.11.23号)




しっかり“ドラマ度”を高めている「孤独のグルメ」

$
0
0



日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、テレビ東京「孤独のグルメ」を取り上げました。


テレビ東京系「孤独のグルメ」
目立たぬよう、しかし確実に
“ドラマ度”が高まっている
「孤独のグルメ」の初登場は3年前。この秋、堂々の第5シリーズである。しかも、これまでの深夜バラエティ枠から、「ドラマ24」というブランド枠へと移行した。いわば“看板ドラマ”として認知されたことになる。

とはいえ、主人公の井之頭五郎(松重豊は完全に一体化)自身に大きな変化はない。例によって、仕事で訪れた町の大衆的な店で、ひたすら胃袋を満たすのみだ。その潔さがファンには堪らない。

それでいて、新シリーズに全く手が加わっていないかと言えばウソになる。例えば先週の「千葉県いすみ市大原」編。五郎が港で伊勢エビを見かける。今回は「千葉で伊勢エビ?」という意外性で来たかと思いきや、それはフェイント。

結局、飛び込んだ食堂で食べたのは「ブタ肉塩焼きライスとミックスフライ」である。このいすみ産のブタ肉、厚切りの塩焼きが何ともうまそうで・・・。

また食堂に至る過程で出会う、市役所職員(塚地武雅)とのやりとりもおかしい。

どこから見ても地元民という風貌にも関わらず、東京からの移住者だという。「都会っぽさが抜けなくて」のセリフに、五郎が口には出さず「抜けてます、抜けてます」とつぶやくのだ。塚地も朝ドラ「まれ」以上のハマリ役だった。

目立たぬよう、しかし確実に“ドラマ度”を高めた今シーズン。まだ見てないなら、お急ぎを。

(日刊ゲンダイ 2015.12.02)


実習科目「テレビ制作」撮影開始

【気まぐれ写真館】 12月の風景 (上智大学 北門)

まだ見てないなら、お急ぎを!今期ドラマ「最終案内」

$
0
0

10月に始まった今期の連続ドラマが、いずれも終盤に入った。「下町ロケット」ばかりが話題になっているが、中には隠れた名品もある。まだ見てないなら、お急ぎを。

●TBS系「コウノドリ」
綾野剛がノンシャランと魅せる異色の産科医

「下町ロケット」の大ヒットで影が薄くなっているが、同じTBS系の隠れた佳作としてオススメしたいドラマがある。「コウノドリ」だ。

まず、主人公である鴻鳥サクラ(綾野剛)のキャラクターが興味深い。患者の気持ちに寄り添い、出産という大事業をサポートしていく優秀な産科医である。しかも天才ピアニスト(病院にはナイショ)という別の顔も持つ。実の親を知らずに育つ中で、自分の思いをピアノで表現することを知ったのだ。この謎の部分が物語に陰影と奥行きを与えている。

毎回の読み切り形式だが、一組の夫婦の症例を軸にしながら、他の患者たちの妊娠や出産をめぐるエピソードも同時進行で織り込んでいく。思えば、妊娠・出産は病気ではない。だから健康保険などは適用されない。しかし、さまざまなリスクを伴うことも事実。産科には日常的に生と死のドラマが共存するのだ。この構成は、「ゲゲゲの女房」(水木しげる先生に合掌)などの脚本で知られる山本むつみのお手柄である。

産科医にもわからないことはあるし、出来ないことも多い。当然のことだ。だが、鴻鳥はその当然を真摯に受けとめ、自分たちに何が出来るかを徹底的に考えていく。生まれたばかりの新生児も含め、毎回本物の赤ちゃんが多数登場するのもこのドラマの特徴だ。リアリティーを追求する制作陣の細部へのこだわりが、十分な効果を生んでいる。


●テレビ朝日系「サムライせんせい」
タイムスリップしてきた幕末コンビの“競演”

2013年から14年にかけて放送された「信長のシェフ」(テレビ朝日系)。料理人の若者(玉森裕太)が戦国時代にタイムスリップし、なんと織田信長の“お抱えシェフ”となる奇想天外な物語だった。この「サムライせんせい」は、その逆パターンだ。突然、幕末から現代へ、時空を超えてやってきた志士たちが巻き起こす珍騒動である。

切腹したはずの武市半平太(錦戸亮)は、ちょんまげ姿のまま神里村の路上で目覚める。そして、人の良い元小学校校長(森本レオ)が経営する学習塾の臨時講師となった。半平太が今どきのヒトやモノに驚く様子や、周囲の村人たちとの間で起こす摩擦が、我々が当たり前だと思っている社会や常識へのプチ批評になっているところがミソだ。

半平太より先にタイムスリップしてきていた坂本龍馬(神木隆之介)との対比も効いている。この龍馬、すっかり現代に馴染んでおり、パソコンやスマホも駆使するフリーライターになっていた。神木の演技は相変わらず達者だ。武士のままの半平太とは異なる軽さと如才なさで笑わせる。錦戸も神木とからむシーンが一番いきいきとしており、いわば男2人のダブル主演作である。

なぜタイムスリップしてきたのか。どうしたら過去に戻れるのか。戻ったとして彼らの運命は変わるのか。そんな疑問はひとまず置いて、のんびり楽しむ深夜ドラマだ。


●テレビ東京系「孤独のグルメ」
目立たぬように高めている“ドラマ度”

「孤独のグルメ」が登場したのは3年前のことだ。今回は、堂々の第5シーズンである。しかも、これまでの深夜バラエティ枠から、「ドラマ24」というブランド枠へと移行した。局内外で、テレビ東京の“看板ドラマ”として認知されたことになる。

とはいえ、主人公の井之頭五郎(松重豊は完全に一体化)自身に大きな変化はない。例によって仕事で訪れた実在の町で、偶然見つけた大衆的な店(こちらも実在)に入り、ひたすら胃袋を満たすのみだ。そのシンプルな構成と潔さがファンには堪らない。

それでいて、新たなシリーズに全く手が加わっていないかと言えばウソになる。例えば「千葉県いすみ市大原」編では、五郎が港で伊勢エビを見かける。おお、今回は「千葉で伊勢エビ?」という意外性で来たかと思いきや、それはフェイントだった。結局、飛び込んだ食堂で食べたのは「ブタ肉塩焼きライスとミックスフライ」である。この地元いすみ産のブタ肉、厚切りの塩焼きが何ともうまそうで堪らない。

また食堂に至る過程で出会う、市役所職員(塚地武雅)とのやりとりもおかしい。どこから見ても地元民という風貌にも関わらず、東京からの移住者だという。やや自慢げに語る「都会っぽさが抜けなくて」のセリフに、五郎が口には出さず心の声(これが見る側の楽しみ)で、「抜けてます、抜けてます」とつぶやくのだ。塚地も朝ドラ「まれ」以上のハマリ役だった。目立たぬよう、しかし確実に“ドラマ度”を高めた今シーズン。まだ見てないなら、お急ぎを。

女性セブンで、好調の「あさが来た」についてコメント(1)

$
0
0


発売中の「女性セブン」最新号で、好調のNHK朝ドラ「あさが来た」についてコメントしました。

その一部がNEWSポストセブンにアップされたので、転載しておきます。


あさが来た 
有名ではない題材のため
期待感持て人気との分析
宮藤官九郎脚本のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』(2013年)は業界から注目を集めて世間に広まった朝ドラだったといわれる。それに対して、現在放送中の『あさが来た』は、一般視聴者から火がついた朝ドラだといえるだろう。あさのお世話係・うめ役の友近(42才)が言う。

「『あさが来た』は脚本を読んだ時、めちゃくちゃ面白くて、絶対人気出るだろうと思ったんです。でも、あまり騒がれず静かにスタートしました。ふたを開けてみれば、ありがたいことにお茶の間のみなさんが見てくれています。最近、ようやく芸人やタレントが“そんな面白いんや”って、騒いできました。遅いわって(笑い)」

友近の言う通り『あさが来た』が絶好調だ。視聴率は放送開始から7週連続20%を超え、11月20日には番組史上最高視聴率25%を記録した。つまり、日本人の4人に1人が見ている計算になる。

幕末から明治・大正を生き抜いた実業家・広岡浅子をモデルにしたヒロインの人生を描いたドラマが、なぜここまで人気なのか。

まずは、なんといっても広岡浅子自身の人生がびっくりぽんなことだろう。

上智大学文学部教授の碓井広義さんは言う。

「もともと、誰もが知っている有名人ではありませんが、あまり知られていないことがかえってよかった。“これからどんなすごいことをやるんだろう”という期待感を持ちながら見ることができますね」

実在の広岡浅子とは、どんな女性だったのか。『あさが来た』の原案『小説 土佐堀川』(潮出版社)の著者・古川智映子さんはこう話す。

「ドラマのように子供の頃から自己主張を持っていた女性でした。彼女は、自分の人生を『七転八起』ではなく『九転十起』と言っています。九回転んでも十回立ち上がるような人間でありたい。この言葉に彼女の波瀾万丈な生き方すべてが表れています」

現在ドラマでは、炭坑経営に尽力しているが、史実ではこれからどうなったのか。

「炭坑が成功するまでには、10年以上の歳月がかかりました。その炭坑を政府が高額で買い取って、彼女は全国的に有名になっていったのです」(産経新聞編集委員の石野伸子さん)

持ち前の『九転十起』根性で炭坑ビジネスを成功に導いた浅子は、それから、さまざまな事業に着手していく。

「大隈重信や伊藤博文、渋沢栄一といった、当時の政財界の大物と交流をして、彼女は実業家としてますます成長していきます。その知識と人脈で、日本初の女子大・日本女子大学の設立にかかわりました。また、大同生命保険の創業にも深く携わります。まさにスーパーキャリアウーマンでした」(石野さん)

(女性セブン 2015年12月17日号)


芸歴50年目で「石倉三郎」映画初主演のワケ!?

$
0
0



石倉三郎が芸歴50年目で映画初主演
大ベテランによる初主演続く
名脇役として知られる石倉三郎が11月22日、都内で行われた初主演映画『つむぐもの』(16年春公開)の完成報告舞台挨拶に登場した。

同映画は、日韓国交正常化50周年記念作品で、ある日突然、脳腫瘍で倒れた石倉演じる頑固な和紙職人と、ひょんなことから彼の介護をすることになった韓国人女性との交流を描いたヒューマンドラマ。

石倉にとっては、芸歴50年、68歳にして初の主演映画となる。

上智大学文学部新聞学科教授の碓井広義氏は、「いわゆる“強面”と言われる風貌ですが、観る人はその奥に一本筋の通った男らしさのようなもの、一般的な役者では表現できない人間の凄みを感じるんではないかと思います。そこが魅力。まさに「昭和の男」で、言葉はもちろん、背中、手、表情だけで魅せることのできる石倉さんには、今回の職人役はぴったりなのではないでしょうか」と初主演作に期待を寄せる。

また、先週末21日には、笹野高史が67歳にして初主演を務めた映画『陽光桜』が公開と、大ベテラン俳優による主演が目立つ昨今の状況についても「今どきの若くてかっこいい俳優を主役に据えればいいという風潮が変わってきたのはとてもいいことだと思います。それなりの年齢の役者が主役を務めるということはこれまで海外でなら十分にあり得ましたが、日本ではなかなかなかった。日本のエンタテインメントの世界に多様性が生まれてきた証拠でもあり、1つには楽しむ側の成熟もあるのでしょう」と語っている。

(オリコン「コンフィデンス」2015.11.30号)

女性セブンで、好調の「あさが来た」について解説(2)

$
0
0



発売中の「女性セブン」最新号で、好調のNHK朝ドラ「あさが来た」について解説しました。

その記事がNEWSポストセブンにアップされたので、転載しておきます。

先日の続き、という感じです。


『あさが来た』あさ 
大変なことが起きる直前目が大きく開く
朝の連続テレビ小説『あさが来た』が絶好調だ。視聴率は放送開始から7週連続20%を超え、11月20日には番組史上最高視聴率25%を記録した。

ヒロインのモデルが魅力的なだけではここまでの人気にはつながらない。『あさが来た』にはヒットの仕掛けがいたるところにちりばめられている。

主人公・あさを演じる波瑠(24才)、そして姉のはつ役の宮崎あおい(30才)のダブルヒロインが、ドラマの見どころのひとつだ。

「もしも、はつが描かれていなかったら、ここまで奥行きのある物語にはならなかったでしょう。あさとはつという、同じ時代を生きながら対照的なふたりを描くことで、見ている側はあさの気持ちになったり、はつの気持ちになったりで、1粒で2度おいしい(笑い)。これは非常に効果的な設定です」(上智大学文学部教授の碓井広義さん)

そのふたりのヒロインを巡る物語は山あり谷ありで実にテンポよく進んでいき、はらはらしたり涙したり。次回が気になって仕方がない。

「1回15分の放送の中に、泣けたりドキドキしたりする山場、“次はどうなるの?”というシーンが毎回入っています。最近、発見したんですが、何か大変なことが起きる直前にあさは必ず目を開きます。その開き具合で、どれくらい大変なことが起こるのかわかります。そうした細かい演出は、視聴者も見ていて楽しいですよね」(コラムニストのペリー荻野さん)

そうした物語を私たちがワクワクドキドキ楽しめるのは、時代と場所が絶妙だから。ペリーさんが続ける。

「江戸時代の関西は商人、庶民の街です。庶民目線で動乱の時代をたくましく生きようとする商人には、たとえ、あさがお金持ちでも共感しやすい。これが現代劇だと、自分とヒロインを重ねすぎて疲れてしまう。江戸時代なら現代とは別の世界なので、安心してドラマを楽しめます。江戸時代の関西は、ほどよい舞台設定なのです」

大ヒットする朝ドラには、視聴者は共通してこんな思いを抱くという。

「私たちはみんな、登場人物の親戚になるんです。親戚のように彼女たちの喜怒哀楽を見守り、人生が心配になって仕方ない。そうでないと半年間も見られません。今や全国には、はつやあさの親戚がたくさんいます」(ペリーさん)

モデルの広岡浅子の波瀾万丈な人生に加え、スタッフや出演者の創意工夫で作り上げている『あさが来た』もそんな朝ドラといえるだろう。明日のあさが楽しみだ!

(女性セブン2015年12月17日号)

NEWS23「意見広告」問題について

$
0
0


北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、「NEWS23」意見広告をめぐる問題について書きました。


圧迫される放送の自律と報道の自由
事業者の見解 示すべき
11月の中旬、紙面全体を使った意見広告が読売新聞と産経新聞に掲載された。題して「私たちは、違法な報道を見逃しません」。

広告主は「放送法遵守を求める視聴者の会」という団体。報道番組「NEWS23」(TBS―HBC)のキャスター、岸井成格氏(毎日新聞特別編集委員)を非難する内容だった。

今年9月、参議院で安保関連法案が可決される直前、岸井氏は番組内で「メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げるべきだと私は思います」と述べた。この発言を、意見広告は番組編集の「政治的公平性」の観点から、放送法への「重大な違反行為」に当たると断じているのだ。

確かに放送法第4条には「政治的に公平であること」や、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」が規定されている。

しかし、それは一つの番組内における政治的公平ではなく、事業者が放送する番組全体のそれで判断されるべきものだ。その意味で、岸井発言は決して“違反行為”などではない。

個人に対する新聞での意見広告というのも異例だが、それ以上にこの意見広告を目にした時の違和感は、“視聴者(市民)の意見”という形をとりながら、メディアコントロールを強める現政権の思惑や意向を見事に体現していたことだろう。

「NEWS23」は、政権に対しても“言うべきことは言う”姿勢を持った貴重な報道番組だ。故・筑紫哲也氏がキャスターを務めていた頃と比べて弱まってはいるが、岸井氏が孤軍奮闘して引き継いできた大事なカラーである。

昨年の11月、同番組に出演した安倍首相は、VTRで紹介された街頭インタビューで自身にとって厳しい意見が流れると、生放送中にも関わらず「これ、ぜんぜん(国民の)声を反映していませんが。おかしいじゃないですか」と抗議した。そうした経緯も、今回の異様な意見広告で思い起こされた。

また、もう一つ気になるのは、この意見広告に対してTBSが反論や抗議を行っていないことである。岸井発言についてはもちろん、放送法や報道番組に対する認識を、放送事業者の見解として明確に示すべきだ。

沈黙している間に、一部の報道では、岸井氏の番組降板説まで伝えられている。もしも今回の件を受けて、トカゲのしっぽ切りのように降板させるようなことがあれば、放送の自律や報道の自由を自ら放棄することになる。強い関心をもって推移を見つめたい。

(北海道新聞 2015.12.07)

成長した“朝ドラ女優”瀧本美織のドラマ10「わたしをみつけて」

$
0
0



日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、NHKドラマ10「わたしをみつけて」について書きました。


NHKドラマ10「わたしをみつけて」
修業の旅に出ていた朝ドラ女優が
成長して“故郷”へと帰還
土曜ドラマの秀作「破裂」に続き、ドラマ10「わたしをみつけて」の舞台もまた病院である。しかし、こちらの主人公は医師ではなく准看護師だ。

弥生(瀧本美織)は、生まれてすぐ病院の前に捨てられ、養護施設で育った。自分の“居場所”を守るため、子どもの頃から「いい子」であることを自分に課してきた。一種のトラウマだ。

勤務する病院で、院長(本田博太郎)の誤診が原因で患者が死亡する。隠蔽する院長と、患者の命を守ろうとする看護師長(鈴木保奈美)。自分の殻に閉じこもっていた弥生も、がん患者の菊地(古谷一行)との交流を通じて変わり始める。

決して明るい物語ではない。ヒロインの内面も複雑だ。しかし瀧本美織の繊細な演技が見る者を引っ張っていく。また鈴木保奈美の存在感と余裕のアシストも、ドラマ全体に大きく寄与している。

瀧本といえば、2010年秋のNHK朝ドラ「てっぱん」を思い浮かべる人は多い。大阪でお好み焼き屋を再開させようと奮闘したヒロインは、当時19歳だった。あれから5年。宮崎駿監督作品「風立ちぬ」の菜穂子もよかったが、今回その表現力を再認識させられた。

このドラマの制作はNHK大阪。制作統括の三鬼一希は、「てっぱん」のプロデューサーでもある。修業の旅に出ていた朝ドラ女優が、成長して故郷へと帰還したのだ。

(日刊ゲンダイ 2015.12.08)

週刊朝日で、「流行語大賞」についてコメント

$
0
0



流行語大賞でクレーム殺到 
“アベ政治”タブー化で沈黙
今年話題になった言葉を選ぶ「2015ユーキャン新語・流行語大賞」。12月1日に発表されたが、「世相をあらわしていない」と疑問の声が上がっている。

年間大賞の発表に先立ち、選考委員らは「今年は政治の季節だった」「政治色が強かった」「主役は永田町にいた」と「政治」を強調したにもかかわらず、大賞に選ばれたのは「爆買い」「トリプルスリー」。

「爆買い」は中国人ら訪日観光客が大量に日本製品を買うこと、「トリプルスリー」はプロ野球で打率3割、30本塁打、30盗塁以上の好成績を残したソフトバンクの柳田悠岐選手、ヤクルトの山田哲人選手の活躍を指すが、一体どれだけの人が聞いたり使ったりしただろうか?

「トリプルスリーは野球好きでないと知らないですよ。それって流行語なの?と思いました。我々の感覚とずれがあるのではないか」

上智大学新聞学科の碓井広義教授は不満をあらわにする。

トップ10には、「アベ政治を許さない」「一億総活躍社会」「SEALDs」と、政治に関わる言葉が三つ入った。ノミネート段階では50語のうち13語が政治に関わる言葉だが、それに対する「クレーム」があったという。

「ノミネートが発表されると一般の方から電話やメールがありました。これを入れないのはおかしい、というものから、政治関連が多すぎる、(選考委員の考え方に沿って)左寄りなのではないのかという意見までありました」(新語・流行語大賞事務局)

それを意識してか、選考委員のやくみつる氏は授賞式で「各委員にはそれぞれの政治スタンスはあるが、選考はそれに左右されることはない」と強調していた。

だが、政権に遠慮して、政治に関する言葉は大賞に選ばなかったのではないかとの疑念もくすぶる。

「今年は当然、『安保法案』や『イスラム国(IS)』が入っていておかしくない。むしろ、なぜ『安保法案』が入らないのか。安倍首相に配慮したのではないかとさえ勘ぐってしまう」(碓井教授)

選考委員長でジャーナリストの鳥越俊太郎氏は言う。

「大賞は言葉の存在感とインパクトで選ぶが、今回はバランス感覚も多分に働いた。政治には賛否両論があるが、どちらかを選んでどちらかを選ばないわけにはいかないでしょう」

物言えば唇寒し。

(週刊朝日 2015年12月18日号)


・・・「不満をあらわにする」って言われても(笑)。
Viewing all 5553 articles
Browse latest View live