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書評した本: 『東京大学「80年代地下文化論」講義 決定版』

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現在へとつながる80年代サブカルの検証

宮沢 章夫 [著]
『東京大学「80年代地下文化論」講義 決定版』
河出書房新社

[レビュアー] 碓井広義(上智大学教授)

1982年、原宿に出現したクラブ「ピテカントロプス・エレクトス」は、日本に初めてクラブカルチャーを輸入した店だ。プロデュースを担当したのは桑原茂一。中西俊夫、藤原ヒロシ、坂本龍一などのミュージシャンから、キース・ヘリング、ナム・ジュン・パイクといった海外のアーティストまでが集った。

そんなピテカンを起点として、80年代のサブカルチャーを検証したのが本書だ。実際には著者が東大で行った講義の記録であり、10年前に一度出版されている。今回は修正を施した上に、補講という名の総括講演を収録した。前著『NHK ニッポン戦後サブカルチャー史』と併せて、現代にまで繋がる地下文化の見取り図を再構築している。

有名なコピー「おいしい生活。」に象徴される、“情報を売る”ビジネスを展開した西武セゾングループ。その“西武文化”を憎悪した「おたく」たち。「ネアカVS.ネクラ」をはじめとする単純な二分法と細分化。各ジャンルにおける差異化とヒエラルキー。読み進めると、リアルタイムで見ていたつもりのものと、見えずにいたものの両方が、くっきりとした像を結んでくるようだ。

たとえば80年代的「おたく」の動向について、著者は「趣味や情報を共有する集団の内部的埋没」を指摘する。漫画やアニメとの関係において、当初は素人ながらも作り手側にいた彼らが、鑑賞する側、ファンの集団へと変容していく。作品を作って他者と向き合うのではなく、「内閉する連帯」に沈潜する若者たち。著者は、「それを好きだと思う私が好き」という彼らの自意識に、この時代のある空気を読み取る。

その一方で、いとうせいこうの活動や漫画家・岡崎京子の作品、さらにピテカンと桑原茂一の理念などを再検討。そこにある「資本に対するゆるやかな対抗」、そして「批評性」に注目する。今後、新しいものは、そこから生まれるのかもしれない。

(週刊新潮 2016年1月21日号)

東京新聞で、大河ドラマ「真田丸」についてコメント

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真田丸 視聴率20%台 好調船出
CG説明、俳優陣・・・「見たくなる仕掛け」効奏
今年のNHK大河ドラマ「真田丸」は、十七日放送の二回目で視聴率が上がって20%台に乗せ、好調なスタートを切った。昨年の「花燃ゆ」が低迷しただけに、TBSのドラマ「半沢直樹」(二〇一三年)で人気を得た堺雅人とヒットメーカーの脚本家・三谷幸喜のタッグで、今後の展開に期待がかかる。 (鈴木学)

タイトルは、堺演じる戦国武将・真田信繁(幸村)が大坂の陣で築いたとりでの名。一族の戦国サバイバルを、荒波にこぎ出す一そうの船に見立てて描く。

「久しぶりに一年ワクワクしながら見られそう」と話すのは、上智大の碓井広義教授(メディア論)。

「信州の小さな一族が、あらん限りの力や知恵で激動の時代をわたっていく姿は、高視聴率を得たTBSドラマ『下町ロケット』(一五年)にも通じるような、判官びいきの日本人の感性を揺さぶるものがある」。三谷脚本は今のところ、心配されたやりすぎ感はなく「ユーモアも抑制が効いている」と高評価だ。

混沌(こんとん)の時代を描くにあたり、コンピューターグラフィックス(CG)などで状況を分かりやすく説明していることも評価。「『花燃ゆ』は歴史上の人物を支えた人を主人公にしたつらさで、誰を追うのか見えなくなっていったが、今回は表舞台に立つ人でそのあたりが明確。ただ、信繁の母親が変に目立ったり、気掛かりな点もある」と話す。

「クスッと笑わせ、泣かせる三谷テイストに加え、信繁らが追い詰められ、もうダメかという場面で助けが入る『待ってました』とばかりのシーンも盛り込んでいる。三谷さんが覚悟を決めて取り組んでいる印象」と、コラムニストのペリー荻野さんは語る。

一、二回では、信繁の父・昌幸役の草刈正雄と、主君・武田勝頼役の平岳大が目を引いたとの評判だ。荻野さんも同感だという。

「武田が滅ぶことはない」と一族の前で言い切った直後のシーンで、息子二人にだけ「武田は滅びるぞ」と告げる昌幸。草刈が幸村を演じたNHKドラマ「真田太平記」(一九八五~八六年)で、丹波哲郎さんが演じた悪賢い昌幸を見るようで「オールドファンには涙もの」とも。子役を使わず少年時代から堺が演じる点は「潔い」と評価する。

キーマンに挙げるのが兄・信幸(大泉洋)だ。後に信繁らと敵味方に分かれ戦う難しい立場で、作品が視聴者に受け入れられるかのカギになるとみている。

「脚本に三谷さんを起用した時点で重厚感のある大河ドラマを求めるのは無理。しかし、しかめ面で演じれば重厚かというとそうではなくて、芯がブレなければ多少のお笑いも許せる。ただし、あまりコメディー色が強いと従来の大河ファンが離れる恐れもある」。辛口な意見も多いコラムニストの桧山珠美さんも及第点のようだ。

戦国武将でも織田信長や徳川家康に比べて知名度に劣るため、戦国に疎い女性らをひきつける取っ掛かりが必要だ、とも。多くのイケメン俳優を使って盛り上げようとした「花燃ゆ」の轍(てつ)を踏まず、信長(吉田鋼太郎)、家康(内野聖陽)ら興味をひくような俳優陣を一話でチラリと見せて、「見たくなる仕掛けをつくっていた」と分析する。

一方で、桧山さんが「描き方がうまくない」と評すのが女性陣だ。信繁の姉に会話で「ねぇ?」と言わせたり、母親のオーバーなリアクションだったり、今後登場するヒロインの描き方も含め「やり過ぎは禁物。何ごともさじ加減が大切」と指摘している。

(東京新聞  2016年1月23日)

【気まぐれ写真館】 冬陽 2016.01.25

“日本一不幸が似合う女優” が、情熱部長に!?

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日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。

今回は、木村多江さん出演「まんが王国」のCMについて書きました。

まんが王国
「情熱部長 ページにこめられた重み」篇
「作品届けたい」
熱弁に心動く?
木村多江という女優さんは、どちらかといえば幸福な女性より影のある役柄が多かった。恋人に捨てられるとか、夫に裏切られるとか、そんな場面で圧倒的な存在感を示す。

随分前に新聞のコラムで「日本一不幸が似合う女優」と褒めたことがある。その後あちこちで引用され、今やすっかり定説となってしまった。

そんな木村さんが電子コミックサイト「まんが王国」のCMに登場した。和服ではなく、光沢のあるブラウスに黒のスカート。しかもカメラ目線で「作品に込められた想い、その重みを届けることが私たちの使命なんです!」と熱弁をふるうのだ。

電子書籍は日々進化している。旧作も含め読みたい時にすぐ読める利便性は侮れない。とはいえ中高年層の中には抵抗感をもつ人も少なくないはずだ。

しかし、不幸な女や小料理屋の美人女将だけが木村さんではないように、勇気を出してデジタルの海に漕ぎ出してみるのも悪くないですよ。  

(日経MJ 2016.01.25)

「あさが来た」は、なぜ面白いのか!?

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産経デジタルの総合オピニオンサイト「iRONNA(いろんな)」に、朝ドラ「あさが来た」に関する論考を寄稿しました。

http://ironna.jp/article/2726

歴史に残る傑作の予感 
「あさが来た」は朝ドラ55年の王道である
NHKの連続テレビ小説(通称、朝ドラ)『あさが来た』が好調、いや絶好調だ。昨年10月のスタート時から現在まで、平均視聴率は連続して20%台をキープ。11月20日には番組史上最高の25%を記録した。視聴率だけでなく、新聞や雑誌などメディアで取り上げられる頻度も高く、雪だるま式に支持層が広がっている。そんな『あさが来た』の絶好調の理由を探ってみたい。

NHK朝ドラの基本

朝ドラが開始されたのは1961年だ。すでに55年の長い歴史をもつ。第1作は獅子文六の小説を原作とする『娘と私』だった。66年に樫山文枝が主演した『おはなはん』で平均視聴率が45%を超え、視聴者の間に完全に定着した。

当初、一つのドラマを1年間流す通年放送だったが、74年の『鳩子の海』以降は渋谷のNHK東京放送局と大阪放送局が半年交代で制作を担当するようになり、現在に至っている。途中、唯一の例外は、平均視聴率52.6%(最高視聴率62.9%)というメガヒットとなった『おしん』(83~84年)で、全297話の通年放送だった。

歴代のNHK朝ドラには、いくつかの共通点がある。その第1は、当然のことながら、主人公が女性であることだ。少女が大人になり、仕事や恋愛、結婚などを経験していくのがパターンである。幼少時から晩年までを描いた、いわゆる「一代記」の形をとったものも多く、『おしん』では、その生涯を年齢の異なる複数の女優(小林綾子、田中裕子、音羽信子)がリレーで演じていた。また朝ドラには、女性の自立をテーマとした「職業ドラマ」という側面もあり、全体的には、生真面目なヒロインの「成長物語」という内容が一般的だ。

「あさが来た」のポイント

『あさが来た』の主人公は、京都の豪商の家に、次女として生まれた今井あさ(波瑠)。大阪に嫁いだ後、炭鉱、銀行、生命保険といった事業を起こし、日本で初めてとなる女子大学の設立にも携わる。

このドラマ、物語としてのポイントは2つある。1つ目は、あさが実在の人物をモデルとしていることだ。“明治の女傑”といわれた実業家・広岡浅子である。2番目は、物語の背景が幕末から明治という時代であることだろう。

実在の人物がヒロインのモデルとなるのは、最近の朝ドラでは珍しくない。2010年の『ゲゲゲの女房』(漫画家・水木しげるの妻)、その翌年の『カーネーション』(デザイナーのコシノ3姉妹の母)、14年の『花子とアン』(翻訳家 村岡花子)などだ。いずれも現代の話ではなく、近い過去がドラマの舞台となっていた。今回の『あさが来た』も、これらの作品が好評だったことを踏まえて企画・制作されている。とはいえ、幕末から話が始まるという設定は大胆で、冒険でもあったはずだ。

この“過去の実在の人物”という選択は、逆に言えば、近年“現在の架空の人物”で制作された朝ドラが、視聴者の気持ちをあまり捉えてこなかったことを示している。視聴者側としては、ヒロインが人間的にあまり魅力的とも思えない架空の人物の場合、彼女の個人的な“さまよい”や“試行錯誤”や“自分探し”に毎日つき合ってもいられない、ということだ。

今回は特に、前作が『まれ』だったことが大きい。世界一のパティシエになる夢を追う女性を描くこと自体は悪くないが、物語としてはかなり迷走気味で、脚本にもご都合主義が目立った。それに比べると、『あさが来た』は実話をベースにしている分、物語の骨格がしっかりしている。“女性の一代記”ドラマとして成立するだけの実質が広岡浅子にあるからだ。

また、時代設定が幕末から明治という大激動期である点も有効に働いている。現代は明日が見えにくい閉塞感が漂っているが、今とは比べものにならないほどのパラダイムシフト(社会構造の大転換)があった時代を、ひとりの女性がどう生き抜いたか、視聴者は興味をもって見ることができる。

さらに、舞台が関西であることにも注目したい。同じ時代であっても、立つ位置によって異なる視点から眺めることができるからだ。そこに発見もある。また幕末維新ものの多くは、江戸を舞台にすると武家中心の話になってしまう。武家の場合、しきたりに縛られてあまり面白くないが、『あさが来た』では大阪の商人たちが自由で伸び伸びと活躍する様子が新鮮だ。

登場人物と役者たち

ヒロインに抜擢された波瑠は、これまで何本かの主演作はあるものの、女優としては発展途上という印象だった。どちらかといえば、やや捉えどころのない、どこかミステリアスな役柄が多く、“女傑”が似合うタイプとも思えなかった。

しかし今回は、いい意味で裏切られたことになる。意外や、明るいコメディタッチも表現できることを証明してみせたのだ。加えて、まだ女優としてはこれからという波瑠のたどたどしさ、素人っぽさが、両替商の若いおかみさんや炭鉱の責任者といった場における初々しさに、うまく自然に重なった。視聴者側からいえば、応援したくなるヒロイン像になっている。

また確かに美人女優ではあるが、現代劇ではどこか生かしづらかった容貌も、このドラマの時代設定にはマッチしており、日本髪と和服がよく似合う。トータルで、非常に効果的なキャスティングとなった。

しかし、ドラマは主役だけでは成立しない。周囲に魅力的な登場人物が必要になる。その点でも、いくつか秀逸なキャスティングが行われている。

前半で大活躍したのが、姉のはつ(宮崎あおい)だ。性格も生き方も異なる姉の存在が、このドラマにどれだけの奥行きを与えてくれたことか。『花子とアン』で成功した、一種の“ダブルヒロイン”構造の踏襲だが、そこに宮崎あおいという芸達者を置いたことで、視聴者は2つの人生を比較しながら見守ることになった。

次が、あさの夫である新次郎(玉木宏)である。この男の人物像が何とも面白い。江戸時代までの男性の多くは、女性に関して、「台所を中心に夫や家族を支え、常に2歩も3歩も引いた控えめな態度でいること」をよしとしていた。だが新次郎は、「女性はこうでなくてはならない」というステレオタイプな女性観の持ち主ではない。あさが旧来の女性の生き方からはみ出して、思い切り活動できるのも、実は新次郎のおかげだと言える。あの夫がいたからこそ起業もできたのだ。

新次郎は常に、のんびり、のらくらしているが、リーダーとしての仕事をさせたら、きちんとこなせるだけの力量がある。それにも関わらず、自分は表に出ず、当然のように妻の仕事を応援しているところが侮れない。“頼りない”のではなく、あさが思う存分羽ばたける環境を整えてやれるだけの“度量がある”のだ。お転婆なあさは、孫悟空ならぬ新次郎の手のひらの上で飛び回っているのかもしれない。玉木宏が、そんな男をさらりと具現化している。

もう一人、魅力的な脇役として五代友厚(ディーン・フジオカ)がいる。後に「近代大阪経済の父」と呼ばれることになる人物だ。五代がいることで、時代の動きを見せることだけでなく、あさと新次郎の心情にも膨らみが生まれた。フジオカという役者の出現もまた、このドラマの収穫だ。

ドラマを支えるもの

こうして見てくると、『あさが来た』の絶好調の裏には、以下のような要素があると言えるだろう。

1)幕末から明治へというこの国の激動期を、関西を舞台に描いていること。
2)女性実業家のパイオニアともいうべき実在の女性を、魅力的な主人公として設定したこと。
3)「びっくりぽん!」などの決め台詞も交え、全体が明るくテンポのいい脚本になっていること。
4)主演の波瑠をはじめ、吸引力のあるキャスティングがなされていること。

しかも、『あさが来た』には、「女性の一代記」、「職業ドラマ」、そして「成長物語」という朝ドラの“王道”ともいうべき三要素がすべて込められている。まだ前半が終わったところではあるが、朝ドラの歴史の中で傑作の一本となるかもしれない。

このドラマの第1回は、洋装のあさが、初の女子大(後の日本女子大学)設立を祝う式典の壇上に立つところから始まっていた。あの場面に到達するまでに、あさはまだまだ多くの試練を経なければならない。その過程だけでなく、出来れば女子大設立後のあさの人生も、しっかり見届けたいと思う。これから展開される、『あさが来た』の後半戦が楽しみだ。

(産経デジタル「iRONNA」 2016.01.26)

三谷幸喜「真田丸」脚本の “抑制されたユーモア”

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、NHK大河ドラマ「真田丸」について書きました。


NHK大河ドラマ「真田丸」
“抑制されたユーモア”に拍手
「真田丸」の舞台は戦国時代。主人公は真田信繁(幸村)。演じるのは堺雅人だ。

信長、秀吉、家康といった大物たちがしのぎを削る中を、信州の小さな一族である真田家が渾身の力と知恵で生き抜いていく。その構造はどこか「下町ロケット」を思わせ、判官びいきの日本人の感性に訴えるものがある。久しぶりで大河らしい大河の登場だ。

まず注目すべきは、「新選組!」以来12年ぶりの起用となる三谷幸喜の脚本だろう。物語や人物像よりも笑いを優先されたら困ると心配だったが、どうやら大丈夫そうだ。

たとえば、信繁の父・真田昌幸(草刈正雄、好演)が、一族郎党の前で「武田が滅ぶことはない」と断言。その直後、信繁と兄の信幸(大泉洋)に向かって「武田は滅びるぞ」と平気で言ってのける。昌幸の食えない人柄を見事に表現したこの場面、三谷の“抑制されたユーモア”に拍手だ。

この草刈正雄をはじめ役者陣も充実している。堺雅人は、一見茫洋としていながら、後の“戦略家”としての片鱗もうかがわせる信繁をのびのびと演じている。また、すでに亡くなってしまったが、武田勝頼の平岳大が存在感を見せた。

今後も信長の吉田鋼太郎、家康の内野聖陽、上杉景勝の遠藤憲一など、個性的な面々がこの芝居勝負に本格参戦してくる。男たちの骨太な人間ドラマが期待できそうだ。

(日刊ゲンダイ 2016.01.27)

「4年生ゼミ」 今学期終了!

【気まぐれ写真館】 キャンパスの夕景 2016.01.27


週刊朝日で、「SMAP騒動」についてコメント

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SMAP騒動 得した人損した人 
新橋のオジサン3分の2が支持
「キムタク処世術」は吉か
日本中を揺るがせた「SMAP解散騒動」は、1月18日の「SMAP×SMAP」で放送された“生謝罪”で、一応の収束を見せた。

大山鳴動して、拍子抜け。だが、一連の騒ぎによる余波は、意外なところにも及んでいた。“損得収支”を見てみよう。

まずは騒動を大々的に報じたスポーツ紙やテレビ局。部数や視聴率を伸ばしてホクホク顔だ。“棚ぼた”は、レコード会社や楽曲提供者。

中でも断トツは「世界に一つだけの花」を作詞・作曲した槇原敬之(46)といわれる。「解散」第1報の直後からファンは回避のために購買運動を始め、21日付のオリコンデイリーランキング(シングルCD)では2位。レコチョク週間ランキング(1月13~19日)では、トップに躍り出た。

「約260万枚のヒットで既に稼ぎは億単位ですが、再びバカ売れ。懐は相当温まるはずです」(音楽業界関係者)。

槇原本人はというと、

「楽曲提供を含め、これまで何度もSMAPさんとお仕事をさせていただいており、また、いちファンとして一連の動向に胸を痛めているようでした」(事務所担当者)

思わぬ“漁夫の利”を素直に喜べない状況のようだ。

不倫報道で清純キャラ株が大暴落したベッキー(31)も、目くらましになって得した口だろう。さらに「相手の『ゲスの極み乙女。』川谷絵音(27)こそが焼け太り」と言う指摘も。

「昨年9月に発売されたSMAPの最新曲『愛が止まるまでは』の作詞・作曲者は、実は川谷。曲が注目され入る印税も増えるはず」(芸能プロ幹部)

さて、損したのは誰か。

「解散報道2日前の11日に結婚したDAIGO(37)と北川景子(29)でしょう」と芸能プロ関係者は明かす。

「ツーショット会見も行い、映画やドラマの宣伝にもつながるはずが、霞んでしまい、とんだ誤算ですよ」

ファンからは「でも、一番損したのは木村拓哉(43)」という声がある。

“生謝罪”について、上智大学の碓井広義教授(メディア論)も木村のイメージダウンを指摘する。

「立ち位置や言動から、『キムタクに免じて事務所から許された4人』と『正義はキムタク』という構図に見えました。ネットの普及で『(妻の)工藤静香の暗躍』など様々情報も出回り、なぜ彼だけ守られるのか疑問を感じるファンが多かったんだと思います」

アンチ派が一気に増えた感があるが、援軍がいる。中高年サラリーマンだ。

東京の有楽町、新橋周辺で、主に40代以上の会社員30人に聞いてみると、実に3分の2、19人が「キムタク支持派」だった。高級スーツを身にまとった50代男性は、「騒動を収めたキムタクの言動こそが称賛されるべきだ。一番得する行動だ!」と鼻息が荒かった。

人事・組織戦略コンサルタントの麻野進氏は、「日本企業では、木村さんのように忠誠心があり、利害関係の調整をする人が出世しますから」と説明する。稼ぎ頭の5人を再びまとめ、残留に貢献した木村が高く評価されるというわけだ。

4人には今後、事務所からペナルティーが科せられるとも噂される。企業人と見たときの彼らの今後は?

「同族企業の経営者と確執があった場合、復活は厳しい」と麻野氏は予想する。

取材した会社員男性(47)は、こう吐露した。

「心情では4人を支持するけれど、自分はキムタク的行動をするだろうなあ」

日本の多くのサラリーマンの本音なのかもしれない。

では、“キムタク流”処世術は吉と出るか。

「役員クラスには出世できますが、あくまで内部的な貢献なので、トップになる可能性は低い」(麻野氏)

日本の企業文化まで透けて見えるSMAP騒動。まだしばらくは続きそうだ。

(本誌取材班=牧野めぐみ、上田耕司、亀井洋志、山内リカ、松岡かすみ/今西憲之、岸本貞司)

(週刊朝日  2016年2月5日号)

【気まぐれ写真館】 札幌 曇り -4℃  2016.01.29

HTB「イチオシ!」の高橋春花アナウンサーと



HTB北海道テレビ「イチオシ!」で、いつものコメンテーターです。

今週は「シャッフルウイーク」とのことで、普段、外から中継をしている高橋春花アナウンサーが、スタジオでヒロ福地さんとMCを担当していました。

高橋さんの持ち味は正確なトーク、明るさ、そして冷静さです。

その司会ぶりも見事なものでした。


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高橋アナとヒロさん
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オクラホマ河野さん
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今週の「高橋春花アナウンサー」
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HTB「イチオシ!モーニング」  2016.01.30


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愛里さん、依田アナ、オクラホマ藤尾さん、ニュース担当の福田アナ
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野球解説の岩本さん
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スポーツ担当の五十畑アナ
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試食は浜中町の「あさり汁」と「あさりの天ぷら」
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今週の「木村愛里さん」

いつもの北海道千歳市「柳ばし」で、チカ三昧


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チカは、ワカサギの親戚みたいな魚です

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「柳ばし」の紹介記事が、雑誌「オトン」に掲載されました


書評した本:『健さんと文太 映画プロデューサーの仕事論』他

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日下部五朗[著]
『健さんと文太 映画プロデューサーの仕事論』 
光文社新書
[レビュアー] 碓井広義(上智大学教授)
最も映画館に通ったのは70年代の学生時代だ。ただし封切りを観るのはバイト代を手にした直後のみ。普段は二番館や三番館、そして名画座が定番だった。

おかげで小中学生の頃に公開された高倉健の任侠映画も、オールナイトの特集で観ることができた。思えば60年代の後半は『日本侠客伝』、『昭和残侠伝』、『網走番外地』という3つのシリーズが同時進行で製作されていたのだから、健さんも東映も狂気の沙汰だ。

一方、73年に始まった『仁義なき戦い』シリーズはリアルタイムで観ている。映画館いっぱいに罵声と銃声が響き渡っていた。菅原文太は本物のやくざじゃないかと思ったものだ。

毎回スクリーンに映し出される筆文字で、日下部五朗という、どこか凄味のある名前を覚えてしまった。こんなトンデモナイ映画ばかり作るのはどんな人かと想像していたが、やはりトンデモナイ人だったことが本書でわかる。

「プロデューサーは自分のコントロールできない監督、俳優と組んではいけない」と言う。「自分の意志が通せるかどうか」が問題なのだと。そこにあるのは、映画はプロデューサーが作るという自負と自信だ。

こういう人物が語る高倉健や菅原文太が面白くないわけがない。「健さんが制服の男とすれば、さしずめ文太は普段着の男」などと、さらりと言ってのける。ここでは紹介できないようなエピソードが満載だ。



橘 玲 『「読まなくてもいい本」の読書案内』
筑摩書房 1512円

大胆な読書論だ。まず書物を「(知の)ビッグバン」以前と以後に分ける。そして以前の本を読書リストから除外せよと言うのだから。その上で複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の5項目を徹底解説。現代社会を生き抜くための新たな“教養”の書だ。


池辺晋一郎 『耳の渚』
中央公論新社 1944円

映画『影武者』の音楽などで知られる作曲家が、月に一度、新聞に連載してきたエッセイの15年分である。畏友・武満徹のジャズ性。朝比奈隆の指揮と楽譜の関係。そして音楽史を俯瞰し包含していたビートルズ。作曲家の視点が見せてくれる新鮮な音楽風景だ。

(週刊新潮 2016年1月28日号)

百花繚乱!?「真田丸」の女優たち

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週刊アサヒ芸能で、「真田丸」の女優たちについてコメントしました。


ドラマ美女たちの「セクシー合戦」
ナマ報告する!
大泉が扮する真田幸村の兄・信幸の妻役に起用された吉田羊(年齢非公表)は、現場で妖艶な存在感を発揮していた。

「仕事のスケジュールが詰まっていたのですが、何としても出演してほしかったので、頼み込んで実現しました。衣装合わせでは、着物姿の凛としたたたずまいに女性スタッフさえウットリしていた」(NHK関係者)

吉田の衣装姿には、エキストラ男性も拍手を送る。

「張り出して持て余すことのない和尻は、江戸の花街・柳橋で働く芸妓のように、しゃなりしゃなりとした“柳尻”でしたね」

映画評論家の秋本鉄次氏も吉田の尻をこう評する。

「スレンダーでありながら肉感的。これまでの出演作品でも、スーツを着た時の後ろ姿が印象に残っていて、美尻がキュッと持ち上がって形のよさが際立ち、妙な興奮を覚えるんです」

真田丸で大河デビューする黒木華(25)は、14年に映画「小さいおうち」(松竹)でベルリン国際映画祭最優秀女優賞を受賞し、実力派として知られている。

「意気込みがすごくて、台本を読み込んで役に入っているので休憩中もピリピリした空気が流れています。長澤さんとの共演シーンが多いのですが、あまり話しているところは見ていません」(前出・NHK関係者)

上智大学(メディア論)の碓井広義教授も黒木華に注目している。

「まず役柄として、信繁の側室役の長澤さんと社会的地位は下ながら信繁の子供を生む黒木さん、この対立構造がおもしろいですね。女優としての長澤さんはこのところ横並びで一歩抜け出せていません。黒木さんは急成長中なのでバチバチ演技でやり合って、黒木華のほうが存在感あるじゃんって言わせてほしいです」

共演シーンが楽しみだが、黒木のお尻の評価はイマイチ。前出のエキストラの男性が残念そうに言う。

「健康的な安産型ではあるのですが、色気はまったく感じなかった‥‥」

前出の秋本氏も同意見のようだ。

「顔は美人なのですが、濡れ場の経験がほとんどなくよくも悪くも“無菌状態”。色っぽさがなさすぎて、男性人気はどうでしょうか」

同じく大河初出演の竹内結子(35)について、前出の碓井教授はこう絶賛する。

「個人的にデビューした頃から好きな女優。凛とした美しさがあり、聡明な印象があります。結婚した時には、中村(獅童)は何てことするんだと激怒しましたが、別れたのでよしとしました(笑)。豊臣秀吉の側室の茶々はおもしろいキャラクターなので、いろいろな経験をして35歳を迎えた竹内さんが天下人をどう翻弄するのか見ものです」

撮影現場では、共演者の鈴木京香(47)と何やら不穏な雰囲気だという。

「理由はわからないのですが、正室役の京香さんとの関係があまりうまくいっていないようです。会話どころか目も合わせようとせず、スタッフも困惑しています」(前出・NHK関係者)

竹内には私生活で、こんな変化があったようだ。

「都内の高級マンションに小学生の息子と暮らしています。離婚してからも中村さんと何度か3人で近所のコンビニに来ていましたが、昨年1月に中村さんが別の女性と再婚してからは見かけなくなりました」(近隣の住人)

シングルマザーになって竹内は子供に対して、こんな夢を抱いているという。

「今は大学付属の小学校に通わせていますが、将来は東大に入学させたいそうです。以前、冗談っぽい口調で、『歌舞伎役者ではなく官僚にさせたい』と言っていました」(芸能プロ関係者)

(アサヒ芸能 2016.02.04号)

冬ドラマ多彩に!  笑いがスパイス「真田丸」

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北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、1月に始まった今期連続ドラマについて書きました。


冬ドラマ多彩に
笑いがスパイス「真田丸」
NHK大河ドラマ「真田丸」が好調な滑り出しを見せている。主人公(堺雅人)は誰もが知る真田信繁(幸村)だ。信長、秀吉、家康など大物たちが激突した時代、信州の小さな一族が渾身の力と知恵で生き抜いていく。昨年のヒット作「下町ロケット」と同様、判官びいきの日本人の感性に響く物語だ。

注目は、「新選組!」以来12年ぶりとなる三谷幸喜の脚本である。笑いを得意とする三谷の“やり過ぎ”を心配したが、スパイスとしてのユーモアとなっていて安心した。たとえば、信繁の父・真田昌幸(草刈正雄)が一族郎党を前にして、「武田が滅ぶことはない」と断言。その直後、信繁と兄の信幸(大泉洋)には、「武田は滅びるぞ」と平気で言う。昌幸の一筋縄ではいかない人柄が愉快だ。

この草刈をはじめ役者陣も充実している。堺は、一見茫洋としていながら戦略家との片鱗も見せる信繁を自在に演じている。大泉も信繁とは対照的な性格の兄を好演。また、すでに自害したが、武田勝頼の平岳大が強い存在感を示した。さらに複雑な時代背景をコンピュータグラフィックス(CG)などで分かりやすく説明する工夫も評価したい。

民放にも見るべきものがある。「わたしを離さないで」(TBS-HBC)は、日系イギリス人作家、カズオ・イシグロの小説に挑んだ野心作だ。主人公(綾瀬はるか)は、仲間と共に世間から隔離された施設で育った。図画の授業が重視され、頻繁に健康診断が行われる日々。ある時、彼らは自分たちが負っている「特別な使命」を知らされる。舞台はイギリスから日本に移されたが、静謐で謎に満ちた物語の雰囲気は変わらない。「生きるとは何か」という重いテーマは万人向けではないかもしれないが、ドラマの質は上々だ。

次に「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」(日本テレビ-STV)を挙げたい。事件現場に残る「強い感情」にシンクロ(同期)する女性刑事(堀北真希)という設定と、大地真央、壇れい、YOUなど女優陣の競演が目を引く。だが、それ以上に興味深いのは、動画での犯罪予告、スマートフォンによるいじめ、そしてカリスマブロガーの深層など、毎回のストーリーに“ネット社会の闇”を織り込んでいることだ。時代の合わせ鏡としてのドラマという意味で意欲的な1本といえる。

前回「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 大晦日年越しスペシャル」の副題の表記に誤りがありました。正しくは「絶対に笑ってはいけない名探偵24時」です。訂正します。

(北海道新聞 2016年02月01日)



「しんぶん赤旗」で、SMAP問題についてコメント

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記事をアップするのを忘れていましたが、先日、例のSMAP問題に関して、「しんぶん赤旗」でコメントしました。


SMAP「独立騒動」
疑問残る「謝罪番組」
見えた芸能界のブラックぶり
人気グループSMAPの独立騒動では、18日のフジ系バラエティー番組「SMAP×SMAP」にメンバー5人がそろって、「謝罪」しました。でも、スッキリしないのはなぜ? 騒動で明るみに出たのは、「大物アイドル」ですらあらがうことができない芸能界のブラックな実態でした。(取材班)

番組の冒頭、SMAPの5人は黒いスーツ姿で登場。顔をこわばらせながら「申し訳ございません」と頭を下げましたが、最後までグループ存続についての明言は避けました(発言は別表)。番組を見た本紙読者から「あまりにも前時代的で背筋が凍る思い」(東京都・女性)などの感想が届き、BPO(放送倫理・番組向上機構)にも多くの意見が寄せられたといいます。

芸能問題に詳しい上智大学新聞学科の碓井広義教授(メディア論)は、「SMAPがファンに謝罪した形ですが、まるで(所属する)ジャニーズ事務所に対する謝罪を公開の場でやらされているかのように見えました」と、番組で謝罪させた「異様さ」を指摘します。

騒動の発端は、番組の数日前にスポーツ紙が事務所の内紛を報じたことでした。実権を握るメリー喜多川副社長と対立するSMAPのマネジャーが、木村さんを除くメンバーを連れて独立を画策した、というものです。

碓井さんによると、こうした事務所の内紛劇がここまで公になることはなかったといいます。しかし、事務所の派閥争いに「持ちつ持たれつの関係」にあるメディアへのリークが使われ、いったん外に漏れた情報は火だるまのようにネット社会を駆け巡る…。「今回のような騒動であれば、メンバーが謝罪するのでなく、内部のゴタゴタを引き起こした事務所のトップが出てきて謝るべきです」

気になるのはSMAPの今後。事務所との契約が切れる9月以降、テレビなどの仕事が減るのでは、との懸念も伝えられています。

「もし、彼らが圧力で干されるようなことになったら、テレビは国民から見放されてしまいます」と危機感を語るのは、テレビコラムニストの桧山珠美さん。「『わびを入れる』とか『メンツ』とか、やくざと変わらない芸能界のお粗末な裏世界が見えてしまいました。日本を代表するアイドルのSMAPですら、独立する自由がないのかと失望する人も多かったのでは」

ブラック企業被害対策弁護団の代表を務める佐々木亮弁護士は、メンバーを労働者に置き換えると「退職妨害という、最近のブラック企業と共通するものがある」と事務所側の対応を批判します。「背景には、日本の芸能人の地位の低さがあります。労働組合があり不利益を課さないようにやっているアメリカと比べ、日本の業界のブラックぶりは明らか」だと、労働組合の必要性を訴えます。

桧山さんも、「ファンや視聴者が声をあげてたたかわなくちゃいけない」と語ります。「芸能界のあしき慣習をこのままにしていいのかと。声がどんどん大きくなって、もしかしたら一アイドルグループの解散騒動が、大きな成功体験になるかもしれません」

番組でのメンバーのコメント(発言順)

木村拓哉さん このままの状態だとSMAPが空中分解になりかねないと思い、今日は自分たち5人がしっかり顔をそろえて皆さんに報告することが大切だと思いました。

稲垣吾郎さん 世間をお騒がせしてしまったこと、申し訳なく思っています。これからの自分たちの姿を見て応援していただけるよう頑張っていきます。

香取慎吾さん たくさんの方に心配をかけてしまい、申し訳ございませんでした。みなさんと一緒に、今日から笑顔をつくっていきたいと思っています。

中居正広さん 今回の件で、SMAPがどれだけみなさんに支えていただいているのかを、あらためて強く感じました。

草剛さん 今回、ジャニーさんに謝る機会を木村君が作ってくれて、今僕らはここに立てています。5人でここに集まれたことを安心しています。

木村さん 最後に、これから自分たちは何があっても前を見て、ただ前を見て進みたいと思います。

(しんぶん赤旗 2016年1月24日付)

堀北真希、「ヒガンバナ」で特殊能力刑事(デカ)を好演

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、堀北真希主演のドラマ「ヒガンバナ」について書きました。


日本テレビ系「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」
現実とは違うフィクショナルな存在を
リアルに演じられる
「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」の主人公・来宮渚(堀北真希)は、異色の女性刑事だ。事件現場に残る犯人や被害者の強い感情にシンクロ(同調)して、彼らの声が聞こえるのだから。死者と会話が出来た「BORDER」(テレビ朝日、14年)の小栗旬にも負けない、いわば“特殊能力刑事(デカ)”である。

この設定、並の女優だと、嘘くさくて見ていられなかったはずだ。しかし堀北には、この特殊能力をもつ偏屈な刑事がよく似合う。むしろ普通のパイロット(「ミス・パイロット」フジ、13年)や、普通の看護師(「まっしろ」TBS、15年)のほうがどこか浮いていた、というか居心地が悪そうだった。現実とは違う、フィクショナルな存在をリアルに演じられる女優なのだ。

また、このドラマでは大地真央、檀れい、YOUら、“濃いめ”の女優たちの競演も見ることができる。中でも堀北に振り回される、正義感いっぱいの相棒が、発泡酒のCMで世の男たちを振り回しているはずの檀れいというのが苦笑いだ。

だが、それ以上に興味深いのは、動画での犯罪予告、スマートフォンを使ったいじめ、そしてカリスマ主婦ブロガーの実相など、“ネット社会の裏面”をストーリーに取り込んでいることだろう。社会の合わせ鏡としてのドラマという意味で、意欲的な一本といえる。

(日刊ゲンダイ 2016.02.03)



NHK「クロ現」は、老舗女将から日替わりママへ!?



日刊ゲンダイで、4月からスタートする「クローズアップ現代+(プラス)」について解説しました。


美女7人日替わり制へ
新「クロ現」は国谷イズム継げるか
NHKの新年度からの新キャスター発表会見が2日、同局で行われた。中でも注目は、「クローズアップ現代+(プラス)」。1993年から22年間にわたってキャスターを務めた国谷裕子(58)が3月末で降板する報道番組「クローズアップ現代」の後番組だ。

4月からは杉浦友紀(32)、久保田祐佳(33)、小郷知子(37)、松村正代(34)、伊東敏恵(43)、鎌倉千秋(37)、井上あさひ(34)の7人がテーマに合わせて交代制でキャスターを務めることになった。放送時間帯も月~木曜の午後7時30分から午後10時に変更。

久保田アナは「国谷さんと比べると知識も少ないので、もっと勉強していきたい。ひとりの生活者としておかしいと思うことはおかしいと言いたいし、疑問に思ったことはぶつけていきたい」と語ったが、これまでは豊富な知識に裏打ちされた歯に衣着せぬ「国谷節」が見どころで、官邸までもキリキリさせていたが、7人の美女軍団で番組はどう変わるのか。

上智大・碓井広義教授(メディア論)はこう言う。

「7人の美人キャスターが日替わりで、となると、『クローズアップ現代』とは似て非なるものになるかもしれません。これまでは国谷さんの突っ込んだ物言いや追及姿勢が売りでしたが、新番組はマイルドな報道バラエティーのような雰囲気の番組になりそうです。

ただでさえ、『報ステ』の古舘さんや『NEWS23』の岸井さんなど、物言うキャスターがどんどんいなくなっている状況なので、NHKにはぜひ肩ひじ張ってほしかったですね。できるだけ無難に、官邸から睨まれないソフト路線を目指している感じがします。

ただ、質より量で勝負している分、“お客さん”はつきやすい。今まで『クロ現』を見なかった人たちも、『日替わりママ』を並べればお目当てのキャスター見たさにチャンネルを合わせる可能性があります。NHKも案外、商売っ気があるなあと。『報ステ』や『NEWS23』など裏番組のライバル店に通っていたオヤジたちが『クロ現』に流れたら、リニューアルオープン大成功でしょう」

“骨抜き”になって翌朝、ママの顔しか覚えていない、では困るが、新番組は「NHK報道の良心」とまでいわれた国谷の気概と矜持をどこまで引き継げるか。

(日刊ゲンダイ 2016.02.04)


「開運!なんでも鑑定団」石坂浩二問題とプロデューサー

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NEWSポストセブンで、「開運!なんでも鑑定団」石坂浩二問題について解説しました。


石坂浩二の発言カット騒動 
プロデューサーの強大な権限とは
俳優・石坂浩二(74)の『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)降板騒動は、石坂の発言シーンが2年ものあいだ不自然にカットされていた問題に端を発した。その背景にはチーフプロデューサーとの確執があったと報じられ、波紋を広げている。

およそ22年も続く長寿番組の功労者である大御所芸能人にこのような“仕打ち”ができるほど、プロデューサーの権力とは強大なものなのか。

元テレビプロデューサーで上智大学教授(メディア論)の碓井広義さんは、その権限と責任についてこう解説する。

「プロデューサーには『ヒト・モノ・カネ』に対して、それぞれ権限と責任が与えられています。どういうタレントを使うか、どういう制作チームを編成するか(=ヒト)、番組の中身をどう作っていくか(=モノ)、予算をいかに確保するか、番組のどこに経費をかけるか(=カネ)、これらを決めるのがプロデューサーの仕事です。

いわば番組の王様のようなものですが、通常、番組をゼロから作る際には局や出演者などと話し合いながら決めていきます。しかし途中から入ってきたプロデューサーが自分のカラーを出そうと強引にキャスティングを変えたりコーナーを刷新したりしようとすると、軋轢が生じやすくなります。

今回の場合、石坂さんを出すかどうかはプロデューサーの権限の範囲。しかし報道にあるようなことが事実であるとすれば、番組への愛情や思い入れがなかったんじゃないかな、と思います。モノづくりに対しても不誠実だと思います」(碓井広義さん、以下「」内同)

この騒動を最初に報じた『女性自身』は、酒席で石坂とトラブルを起こした制作責任者が、石坂を自主降板へと追い込むために2年ほど前から石坂の発言シーンをカットしているという番組関係者の証言を紹介した。それを見たネットユーザーたちからは、「陰湿なイジメだ」、「パワハラだ」と、制作責任者やテレビ東京を批判する声が相次いだ。

「実は私と私の家族も『鑑定団』のファンで、番組が始まってから20年以上、毎週観ている番組の一つです。確かにいつからか、石坂さんがあまりしゃべらないことには気づいていたんです。家族で『変だね』とは言っていましたが、報道を見て『まさか』と驚きました」

当の石坂本人はスポーツ紙などの取材に「どうせ放送されないから、何を言っても大丈夫だと安心してやっていますよ」と答えるなど、騒動に対しては大人の対応を見せている。石坂ほどの大物でも、相手がプロデューサーとなれば侮辱的な仕打ちでも耐えなければならないのだろうか。

「どうまとめるかは制作側が決めることなので、出演者は普通、制作に口出しはしないものです。映画なんかでも、監督がシーンをカットしたからといって文句を言う役者はいませんよね。石坂さんは役者さんだから、そのことをよくわかってらっしゃるんだと思います。

カメラの前で自分の役割をきちんとこなすことができて、ギャラもちゃんと出ているのであれば、淡々と仕事を続けるのはある意味プロなら当たり前のことです。ただ、こういうことが明るみに出たのは石坂さんに対して失礼。応援してきた視聴者としても、残念なことです」

4月からは石坂に代わり、フリーアナウンサーの福澤朗(52)が司会を務める。そして石坂は、BSジャパンで4月からスタートする新番組『開運!なんでも鑑定団・極上!お宝サロン(仮)』の司会に就任することが決まった。本家からは去るが、新しい居場所ができたことでファンは一安心か。結果的にこれで良かったのかどうかは、微妙なジャッジである。

(NEWSポストセブン 2016.02.05)

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