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週刊ポストで、「真田丸」の藤岡“本多忠勝”弘、についてコメント

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発売中の「週刊ポスト」最新号。

「真田丸」に登場している、徳川家臣・本多忠勝に関する特集記事が掲載されました。

記事では、まず忠勝がどんな人物だったのかという説明があり、次に忠勝を演じている藤岡弘、さんに言及しています。

詳しくは本誌をご覧いただくとして、私のコメント部分は・・・

大河ドラマに詳しい、上智大学の碓井広義教授も同意見だ。

「僕らの世代からしたら、藤岡さんといえば『仮面ライダー』。本郷猛が本多忠勝をやっている感じなんですよ。それは『戦う男』『武人』というイメージで、こんなに武将役としてピカイチの人はいないと思う」

さて、今後の『真田丸』で本多忠勝はいったいどう描かれるのか。

「真田を巡る物語として忠勝の存在は非常に大きい。真田親子の助命嘆願を藤岡さんがどう演じるのか。そして娘を兄・信幸に嫁がせるシーンも期待しています。信幸役の大泉洋さんの義理の父が藤岡さんなわけで、“大泉信幸”にとってはかなりシビアですよね(笑い)。怖い”藤岡忠勝”とどんな掛け合いをするかが楽しみです」(碓井氏)

(週刊ポスト 2016.03.04号)


書評した本: 徳山喜雄 『『安倍晋三「迷言」録』ほか

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「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。


徳山喜雄 『安倍晋三「迷言」録~政権・メディア・世論の攻防』
平凡社新書 842円 

「放っておいていいの?」「構わない。彼女、ああいうキャラだから」という会話を耳にした。キャンパスですれ違った女子学生たちだ。“彼女”が何をしたのか知らないが、「キャラだから」で見過ごせるなら、まあ、大丈夫なのだろう。

しかし、これが一国の首相となるとそうもいかない。「議論は深まった」「私は総理大臣なんですから」「早く質問しろよ!」など迷言の山だ。著者が“アベ流言葉”の特徴だという、「断定口調」「レトリック」「感情語」の3点に納得すると同時に、“キャラ”として放置しておくことの危うさを強く感じた。何しろ政治は言葉なのだから。

安倍首相が「積極的平和主義」と言い出した時、本書にも登場する、ジョージ・オーウエルの小説『1984年』を思った。物語の舞台となる全体主義国家が掲げる、「戦争は平和だ」「自由は屈従だ」「無知は力だ」のスローガン。平和のために戦争ができる国にしたのは、まさに「戦争は平和」の体現化である。

本書は文字通りの首相迷言集ではない。発する言葉を目に見える“症状”とするなら、それが伝える “病状”はいかなるものなのか。著者は隠された“病巣”の指摘も含め、主治医のごとく鋭い診断を下していく。

しかも“患者”は首相だけではない。暴言を繰り返す政治家たち、政府広報化するマスメディアにもメスを入れていく。「無知は力」とならないための一冊だ。


佐藤建寿 『奇界紀行』
角川書店 1944円

奇妙な風景、奇妙な人たちを求めて世界を旅する。それが奇界紀行だ。写真集『奇界遺産』で注目され、テレビ番組『クレイジージャーニー』(TBS系)でも話題の著者。アフリカの呪術師からチェルノブイリの廃墟まで、現地現物主義の破天荒な旅が続く。


石田英敬 『大人のためのメディア論講義』
ちくま新書 886円

記号論・メディア論が専門の東大教授による特別講義である。人間の心とスマホなどメディア装置の関係。記号論から見るメディアと文字の問題。資本主義と文化産業の行方。さらにデジタル・メディア革命がもたらしたもの。“一億総スマホ化社会”を解読する。

(週刊新潮 2016.02.25号)


【気まぐれ写真館】 札幌 曇り -5℃  2016.02.26

HTB北海道テレビ「イチオシ!」 2016.02.26

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MCの国井アナ、ヒロさん

オクラホマ藤尾さん



今週の「国井美佐アナウンサー」

上智大学新聞学科OB 札幌マスコミ会

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北海道新聞、FM北海道、HTBで働く新聞学科OBの皆さんと

【気まぐれ写真館】 札幌 2016.02.27

「イチオシ!モーニング」で、セカオワのDJ LOVEさんと・・・

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DJ LOVEさん、愛里さん、依田アナ、オクラホマ藤尾さん

スポーツ担当の五十幡アナウンサー

今週の「木村愛里さん」

「イチオシ!モーニング」からの<お誕生祝い>に、感謝です!

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生放送終了後に、びっくりぽん!



週刊新潮で、枠移動する「TVタックル」についてコメント

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「たけし」引っ越しで
二兎を追うテレビ朝日
日曜昼にたけし、月曜深夜に橋下――で一挙両得?

4月からの番組編成でテレビ朝日が打ち出したのが、月曜深夜(23時15分~)の「ビートたけしのTVタックル」を日曜昼に移し、空いた深夜枠に「橋下×羽鳥の新番組!(仮題)」をはめ込むというもので、大阪市長を辞任した橋下徹(46)のタレント復帰番組だ。

1989年の番組開始から長くゴールデンタイム(月曜21時~)で放送されていた討論バラエティ「TVタックル」だが、サラリーマンが帰宅後に見られるようにと、一昨年4月より深夜枠に。そこでも10%近い視聴率を上げていたにもかかわらず、NHKでは「のど自慢」が流されている日曜昼である。

「このところ弱体化を指摘されるTBS系の『アッコにおまかせ!』を、たけしさんで食ってしまおうという腹なのでしょう」

とは上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)だ。

「ただし、日曜昼はあくまで、遅い朝食をゆったり摂るファミリー層の時間帯。タックルは深夜に移ってからもバラエティ色を強めていましたが、よりソフトな番組となって、以前のように政権批判をしたりできなくなるかもしれませんね」

その代わり・・・と目されるのが、タレント弁護士の再デビューというわけだ。

「番組タイトルも決まっていないくらいなので、内容も固まっていないようです。まずは3月下旬にゴールデンで3時間の特番を放送してみてですね」(社会部記者)

二兎を追う者は・・・とならなきゃいいが。

(週刊新潮 2016.03.03号)


すごいぞ!!「浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる」

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3月31日まで 世田谷文学館



















田原総一朗さん、鳥越俊太郎さんたちの声明

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田原総一朗さん、鳥越俊太郎さん、岸井成格さんなど7人が、高市総務相の「電波停止」発言に抗議する声明を出しました。

全面的に賛同します。


私たちは怒っている
高市総務大臣の「電波停止」発言は
憲法及び放送法の精神に反している
 今年の2月8日と9日、高市早苗総務大臣が、国会の衆議院予算委員会において、放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性について言及した。誰が判断するのかについては、同月23日の答弁で「総務大臣が最終的に判断をするということになると存じます」と明言している。

 私たちはこの一連の発言に驚き、そして怒っている。そもそも公共放送にあずかる放送局の電波は、国民のものであって、所管する省庁のものではない。所管大臣の「判断」で電波停止などという行政処分が可能であるなどいう認識は、「放送による表現の自由を確保すること」「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」をうたった放送法(第一条)の精神に著しく反するものである。さらには、放送法にうたわれている「放送による表現の自由」は、憲法21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」の条文によって支えられているものだ。

 高市大臣が、処分のよりどころとする放送法第4条の規定は、多くのメディア法学者のあいだでは、放送事業者が自らを律する「倫理規定」とするのが通説である。また、放送法成立当時の経緯を少しでも研究すると、この法律が、戦争時の苦い経験を踏まえた放送番組への政府の干渉の排除、放送の自由独立の確保が強く企図されていたことがわかる。

 私たちは、テレビというメディアを通じて、日々のニュースや情報を市民に伝達し、その背景や意味について解説し、自由な議論を展開することによって、国民の「知る権利」に資することをめざしてきた。テレビ放送が開始されてから今年で64年になる。これまでも政治権力とメディアのあいだでは、さまざまな葛藤や介入・干渉があったことを肌身をもって経験してきた。

 現在のテレビ報道を取り巻く環境が著しく「息苦しさ」を増していないか。私たち自身もそれがなぜなのかを自らに問い続けている。「外から」の放送への介入・干渉によってもたらされた「息苦しさ」ならば跳ね返すこともできよう。だが、自主規制、忖度、萎縮が放送現場の「内部から」拡がることになっては、危機は一層深刻である。私たちが、今日ここに集い、意思表示をする理由の強い一端もそこにある。

〈呼びかけ人〉(五十音順 2月29日現在)

青木理、大谷昭宏、金平茂紀、岸井成格、田勢康弘、田原総一朗、鳥越俊太郎


吉田剛太郎「東京センチメンタル」は、大人のための恋愛ドラマ

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ東京「東京センチメンタル」について書きました。


テレビ東京系「東京センチメンタル」
旬の女優ばかりが女優ではない
「東京センチメンタル」の主人公・久留里卓三は、55歳になる和菓子屋店主だ。職人としての腕はいいが、かなりの女好き、というかホレっぽい性格。離婚歴ありで、しかもバツ3。これを“平成一のモテ中年”である吉田剛太郎が演じているところが絶妙だ。

基本的には、毎回いろんなタイプの美女にホレて、結局はフラれる。だから、つい「男はつらいよ」の寅さんを思い浮かべる人もいるだろうが、ちょっと違う。寅さんが無意識のうちに恋をしてしまう“恋愛の天才”だとすれば、卓三は自意識過剰な“恋愛の凡人”。いや、だからこそ世の男たちも共感できるのだ。

これまでの中で、最高傑作は「新井薬師の恋」である。昔、修業をしていた老舗の和菓子屋から閉店の知らせが届く。現在の店主は先代の娘で、かつて隠れて交際していたこともある、みずほ(床嶋佳子)だ。卓三は、彼女から父親の味を再現して欲しいと頼まれる。

卓三への思いを持ちながら、直接伝えることのできないみずほ。それを感じながらも、応えることができない卓三。互いに大人だからこそ、一度失った恋を取り戻すのは難しいんだよなあ。

和服姿の床嶋佳子が、せつなくも美しかった。また別の回では、イタリアから一時帰国したヴァイオリニスト役の奥貫薫もよかった。旬の女優ばかりが女優ではない。

(日刊ゲンダイ 2016.03.02付)

映画『ぼくが命をいただいた3日間』、間もなく公開!

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工藤里紗監督の『ぼくが命をいただいた3日間』を、公開に先駆けて観る機会がありました。


本作は、食べることのありがたさや「いただきます」という言葉の意味をテーマとした“食育エンタテインメント”。主人公は、生まれて初めて父の故郷である山村を訪れた都会育ちの小学6年生・悠介。茶色いものばかりの料理やつらい畑仕事に戸惑いながらも、彼が近所に住む美少女・明日香から「いただきます」の意味を教わる様子を描く。

悠介役を務めるのは、大河ドラマ「軍師官兵衛」で官兵衛の幼少期を演じ、本作が映画初主演となる若山耀人。そして「青鬼 ver.2.0」「案山子とラケット ~亜季と珠子の夏休み~」の平祐奈が明日香に扮する。フレッシュな2人の脇を固めるのは、松原智恵子、高橋和也、伊藤裕子、でんでん、坂田利夫ら。テレビドラマ「アラサーちゃん 無修正」のプロデューサー、工藤里紗が監督を務めた。


確かに、私たちは様々な“生きもの”の命を頂戴することで、自らの命をつないでいます。

少年の目と心を通して、「人はいかにして生きているか」を伝える秀作でした。

主に子供たちに観て欲しい。もちろん、“かつての子供たち”にも。

主演の若山耀人くん、そして平祐奈さんが、とてもいいです。

でんでんさんのお祖父ちゃんは、まさに適役。

また、私たちの世代にとっての憧れのお姉さんだった、松原智恵子さんも素敵なおばあちゃまに(笑)。

丁寧に撮られたエピソードの一つ一つが、人が暮らすことの“原点”を思わせてくれました。


東京都 イオンシネマ板橋  3月5日(土)~3月11日(金)
茨城県 イオンシネマ守谷  3月5日(土)~3月11日(金)
埼玉県 イオンシネマ春日部 3月5日(土)~3月11日(金)
群馬県 プレビ劇場ISESAKI 3月12日(土)~

放送文化基金贈呈式に出席

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昨年から続けている、実相寺昭雄監督の研究が、放送文化基金の助成対象となりました。

実相寺昭雄資料アーカイブスとテレビ演出研究会、通称「実相寺研究会」のメンバーと一緒に、贈呈式に行ってきました。

2016年度のテーマは、「実相寺昭雄監督が手掛けた音楽番組の演出手法の調査・研究・WEB公開」です。







目録を受け取りました



研究の成果は、下記のサイトで、順次公開していく予定です。

実相寺昭雄オフィシャルサイト:
http://jissoji.wix.com/jissoji-lab

碓井ゼミ「追いコン(4年生追い出しコンパ)」


東京新聞で、「保育園落ちた」ネット投稿についてコメント

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「保育園落ちた」ネット投稿話題 
「日本死ね」叫びどこへ
名ばかり「一億総活躍」
投稿の30代女性「共感する人 いかに多いか」
「保育園落ちた日本死ね!!!」。そんな刺激的なタイトルのネット投稿が話題だ。子どもの保育園の入園審査に落ちた匿名のブロガーが「一億総活躍社会じゃねーのかよ」と憤る。待機児童問題の深刻さを物語るエピソードはネット上で拡散され、国会でも取り上げられた。「総活躍」とは程遠い子育て環境、振り返れば安全保障法制の強行、最近は閣僚の不祥事…。国民の怒りは沸点に達しているかに見えるが、なぜか安倍内閣の支持率は下がらない。「日本死ね」の叫びはどこへ。 (白名正和、三沢典丈)

話題の投稿が、人気サイト「はてな匿名ダイアリー」に登場したのは二月十五日。十九行、約五百字の短い文章だ。

「昨日見事に保育園落ちたわ」と告白した後、安倍晋三首相の看板政策「一億総活躍社会」を「どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?」とメッタ斬り。返す刀で「オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ。エンブレムとかどうでもいいから保育園作れよ」と税金の使い道に文句をつける。

投稿したブロガーが一日、「こちら特報部」の取材に応じた。東京二十三区内に住む三十代前半の女性である。正社員の事務職をしており、同じ二十代前半の夫と共働き。もうすぐ一歳になる子どもがいる。現在は一年間の育休中だ。

現在の心境を尋ねると、「子どもを預けられる両親が近場にいない。無認可の施設も含めて問い合わせしているがいっぱいで、手詰まり状態。このままだと会社を辞めざるを得ない」と切実だ。

投稿にはどぎつい表現が並ぶが、「保育園に預けられず、仕事を辞め、これから生活していくことを考えると、不安ややり場のない怒りがこみ上げて来た。勢いで感情のままに文章を書いた」と女性。最後に「何年後に解決するとか言われても、現実では今日明日の生活がかかってくる問題で、少しでも早く待機児童問題をなんとかしてほしい」と訴えた。

なるほど、待機児童問題は解決していない。保育園探しに失敗すれば、親は仕事をあきらめるか、相対的に料金が高い無認可施設や幼稚園に子どもをやるしかない。厚生労働省によると、待機児童はニO一五年四月時点で二万三千百六十七人。一O年から少しずつ減っていたが、一五年に再び増加へと転じた。東京都では一五年四月時点で、七千六百七十人が希望する施設に入れなかった。

こうした状況を背景に、投稿はネット上で一気に拡散。「私も落ちた」「怒って当然だ」などのコメントが寄せられた。テレビの情報番組なども「ママの叫びに共感続々」(テレビ朝日系の「モーニングショー」)などと食いついた。

首相「知らない」

そして二月二十九日の衆院予算委員会。民主党の山尾志桜里-しおり-氏が俎上-そじょう-に載せた。見解を問われた安倍首相は「承知していないが、匿名である以上、実際のことは本当かどうかも含めて確かめようがない」とけむに巻いた。

投稿した女性は、安倍首相に反論する。「待機児童が二万人超えという状態なのは確かで、そのことに対して具体的にどうしていくかを議論してほしい。匿名の記事がここまで拡散されたのは、同じような思いをされている方がたくさんいたからだと思う」


メディア操作で不満封じ?
介護、安保、原発でも渦巻く反発・・・・
今回は待機児童問題が脚光を浴びたが、ネットには、政治に対する怨嗟-えんさ-の声があふれている。「一億総活躍」で言えば、例えば「介護離職ゼロ」政策だ。

介護を理由に離職する人は年間十万人とされるが、安倍首相は昨年九月、二O年までにゼロを目指すと表明した。だが、ネットには、現場を知る人から「職員の待遇改善が先」「ただでさえ入手不足。(入所者への)虐待問題を増やすだけ」と批判が殺到した。

安全保障や原発問題ではご存じの通り、ネットにとどまらず、多くの人が既に路上で「安倍政権ノー」を叫んでいる。昨年の安全保障法案の審議をめぐっては、「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」や学者グループが国会前などで大規模な抗議行動を展開。原発問題の世論調査では、再稼働反対が賛成を上回っている。政権がごり押しする沖縄県名護市辺野古沖の米軍新基地建設問題でも、沖縄の民意は反対だ。

「黄色信号」がともっている経済政策アベノミクスも例外ではない。

若者の就職難や格差拡大に業を煮やした大学生らは昨年十月、最低賃金引き上げなどを求める「AEQUITAS(エキタス)」を結成し、数百人規模のデモを繰り返す。中心メンバーの栗原耕平さん(ニ0)は「生活者目線からは労働、雇用環境ともボロボロ。ブログの母親には共感できる」とカを込める。「現政権の打倒を目指す他の運動との連携も可能だ。まず政権交代しないと始まらない」

年金生活者も立ち上がっている。一三年からの公的年金の減額は生存権を保障した憲法に違反するとして昨年五月、東京などの年金受給者約千五百人が国に減額決定の取り消しを求める訴訟を起こした。原告の一人で、全日本年金者組合東京都本部副委員長の杉山文一氏は「若い世代や高齢者だけでなく、現役世代だって非正規雇用の拡大などに反発している。安倍政権には退陣してもらう以外の選択肢はない」と言い切る。

とはいえ、内閣支持率は高水準を維持する。甘利明前経済再生担当相の金銭授受問題など不祥事が続出しているにもかかわらず、報道各社の世論調査では、おおむね40~50%だ。

「安倍政権ノー」を叫ぶだけではだめなのか。

碓井広義・上智大教授(メディア論)はメディアのあり方を問題視する。「安倍首相は母親のブログに対し、つれない対応をしたが、メディアもこれに準ずるところがあるのではないか。背後に膨大な数の同様の声があることを知りながら、その意見を取り上げると安倍政権に対する批判になるからと、あえて見て見ぬふりをしているように思えてならない」

五野井郁夫・高千穂大准教授(政治学)は「今の日本は、金持ちだけ政治家に口利きしてもらい、利益を得ることができるような社会。公正な政治を取り戻すためには、お金のない大多数の人々は、不満に対して声を上げ続けなければならない。そうしないと表現の自由すら権力側は奪いにくる。メディアコントロールの次は、国民の声が封じられる」と警鐘を鳴らす。

待機児童問題に話を戻せば、自治体に働きかける手もある。鈴木亘・学習院大教授(社会保障論)は「保育園のほぼ半分は公立で、もう半分は地元の名家などによる社会福祉法人が運営しており、既得権益化している。増設して競争が激化するのは困るため、株式会社などの新規参入を、保育園に関する権限を握る自治体が阻んでいるのが、待出児童問題の本質だ」と指摘した上で、こう提案する。

「投稿が話題になったお母さんもネットなどで同じ境遇にある人と手を結び、自治体に増設を訴えてはどうか。保育園の利権を持つ関係者より、お母さんたちの方が怖いと思い知らせなければならない。そんな地道な取り組みが国を動かすことにもつながる」

<デスクメモ>
二月二十九日の衆院予算委で江田憲司氏(維新)が「民主党よりマシという趣旨の反論はやめてほしい」と詰め寄った。例に挙げたのは「天にブーメランを投げているようなもの」(一月の衆院本会議、岡田克也代表に対する答弁)。安倍首相は「マシだなんでいう横柄な気持ちは言っていない」と開き直った。(圭)

(東京新聞・こちら特報部 2016年3月2日)

読売新聞で、「あさが来た」について解説

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「あさが来た」好調のワケ
人間関係のわかりやすさ
新次郎役・玉木宏が「分析」
昨年9月末に放送が始まった「さが来た」は、明治時代に女性実業家の先駆けとなったあさ(波瑠)を主人公にした物語。あさを支える夫の新次郎を演じる玉木宏は、大森美香の脚本を読んで、「対比がシンプルに描かれていてわかりやすい」と感じたという。

感情をストレートに表現するあさ、気が利く行動を取ってもどこか心をオブラートに包んでいる新次郎。商売で成功するあさと、苦労を重ねる姉のはつ(宮崎あおい)――。「人間関係のわかりやすさは、ホームドラマにとって重要な要素だと思う」と玉木は話す。

物語が始まったのは、幕末。朝ドラには珍らしい時代劇の要素もあった。女性の社会進出が珍しかった時代。商家に生まれたあさは学問に励み、炭鉱経営などで商才を発揮する。

玉木は「働く女性は今や当たり前。それを支える『主夫』という言葉も生まれているほど。そういう現代だからこそ、あさの生き方は共感をもって見てもらえるのではないか」という。妻を支えながらも、骨を折るような姿は見せない新次郎に「男性の理想像を示してもらった」ともいう。

あさを演じる波瑠について「芯が強い女性で疲れた顔を見せない。今は本物のあさそのものだと感じている」と玉木はいう。スタジオでは休憩中も、出演者らが役名で互いを呼んでおり、「撮影期間は約10か月。もう家族みたいなもの」とほほえむ。

大阪府寝屋川市にある成田山不動尊での節分行事に参加し、大勢のファンから「新次郎」と呼びかけられ、「多くの方に番組を見ていただいている」と実感したという玉木。「最終回に前向きな力を与えられるよう演じたい」と意気込んでいる。

15分間に山あり谷あり  碓井・上智大教授

「あさが来た」はなぜこんなに人気があるのか。

上智大の碓井広義教授(メディア論)は「物語の骨組みがしっかりしていて、15分という放送時間で山あり谷ありを表現している」と話す。

ヒロインのモデルは、明治期を代表する女性実業家・広岡浅子。「実際にいた人なんだ」と視聴者が興味を持ちやすかったのでは、と分析する。「人物設定が迷走していた前作の『まれ』とは異なり、時代の先駆者となった人物像にぶれがなく、安心して見られた」。

主演の波瑠については、「キャリアの浅さを不安視していた」というが、「画面越しに一生懸命さが伝わった」という。「演技する様がありし日の夏目雅子を思わせる」。

ひょうひょうとした新次郎を演じて新境地を開いた玉木、「いきなりの出現感」で女性の心をわしづかみにした五代友厚役のディーン・フジオカら「配役の妙」もあった。

「セリフ回しやテンポの良さは『あまちゃん』のように爽快。期待感は最終回まで続くのでは」と話している。

(読売新聞 2016.03.03)


【気まぐれ写真館】 雨の一日 2016.03.07

NHK朝ドラ「あさが来た」が支持された理由

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北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、NHK朝ドラ「あさが来た」を取り上げました。


「あさが来た」が支持された理由
大阪商人の姿 伸び伸びと
NHKの連続テレビ小説「あさが来た」が最終コーナーに差しかかった。スタート時から平均視聴率が連続してほぼ20%以上というヒット作である。あらためて、このドラマが高い支持を受けた理由を探ってみた。

ポイントは三つある。まず、主人公の白岡あさ(波瑠)が実在の人物をモデルとしていたことだ。“明治の女傑”といわれた実業家、広岡浅子である。京都の豪商の家に生まれ、大阪に嫁いだ後は炭鉱、銀行、生命保険などの事業を起こし、日本で初めてとなる女子大学校(現在の日本女子大学)の設立にも携わった。実話をベースにしているために物語の骨格がしっかりしており、安心して見ていられた。“女性一代記ドラマ”として成立するだけの実質が浅子にあったからだ。

次に、時代設定が幕末から明治という大激動期である点も有効に働いた。現代にも明日が見えにくい閉塞(へいそく)感が漂っているが、今とは比べものにならないほどのパラダイムシフト(社会構造の大転換)があった時代を、一人の女性がどう生き抜いたか。視聴者は興味をもって見続けることができた。

さらに、舞台が関西だったことにも注目したい。幕末維新ものの多くは、江戸を舞台にすると武家中心の話になってしまうが、しきたりに縛られてあまり面白くない。このドラマでは大阪の商人たちが伸び伸びと活躍する様子が新鮮だった。

三つ目は、ヒロインを支える魅力的な登場人物たちだ。特に大きかったのが、姉のはつ(宮崎あおい)である。性格も生き方も異なる姉の存在が、このドラマにどれだけの奥行きを与えてくれたことか。「花子とアン」でも成功した、いわゆる“ダブルヒロイン”構造の踏襲だが、そこに宮崎あおいという芸達者を置いたことで、視聴者は2つの人生を比較しながら見守ることになった。

もう一人が、あさの夫・新次郎(玉木宏、好演)だ。この時代の男としては珍しく、「女性はこうでなくてはならない」というステレオタイプな女性観の持ち主ではない。あさが旧来の女性の生き方からはみ出して、思い切り活動できたのも新次郎のおかげだろう。加えて、飄々(ひょうひょう)とした新次郎と対比させる形で近代大阪経済の父・五代友厚(ディーン・フジオカ)を置いたことも功を奏した。

朝ドラの“実録路線”は4月からも続く。「とと姉ちゃん」は、雑誌「暮しの手帖」を生み出した大橋鎭(しず)子と名編集者・花森安治がモデルとなっている。放送開始が楽しみだ。

(北海道新聞「碓井広義の放送時評」 2016年03月07日)


「消防隊だけが撮った0311」が見せた映像の力

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、フジテレビ「消防隊だけが撮った0311」について書きました。


フジテレビ系
『消防隊だけが撮った0311 
彼らは「命の砦」となった』
伝え続けることはテレビの使命でもある
今週、東日本大震災から5年を迎える。毎年この時期になると、震災関連と呼ばれる番組が各局で放送される。

“季節ネタ”などと揶揄する人もいるが、それは違う。あれだけの大きな出来事であり、現在も終わっているとは言えないのに、現地以外ではすっかり風化状態だ。伝え続けることはテレビの使命でもある。

4日に放送された「消防隊だけが撮った0311」は、文字通り消防隊が撮影した映像を軸に構成されていた。スタジオだの司会者だのを使わず、映像によって事実を伝えようとする2時間余り。大杉蓮のナレーションにも心がこもっていた。

当日、地元はもちろん、全国規模で動員された緊急消防援助隊員たちが、5000人以上の命を救った。だが、その裏で消防側も281人の犠牲者を出している。まさに決死の救助活動だったのだ。

たとえば、陸前高田市の消防団員が撮っていた映像。自身も津波に追われながら、「(津波が)堤防超えた!逃げろ!逃げろ!」と市民に呼びかけ続けていた。カメラのスイッチを切る間もなかったからこそ記録されたその映像は、乱れに乱れているが、現場の実態を想像させるには十分だ。

また、津波だけでなく大火災とも向き合うことになった、宮城県気仙沼市の消防隊からも目が離せなかった。映像のもつ力を生かした震災特番。ぜひ再放送してほしい。

(日刊ゲンダイ 2016.03.08)
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