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【気まぐれ写真館】 夕景 2016.04.08
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週刊朝日で、有名人の不倫「トンデモ言い訳」について解説
“ゲスの極み乙武”だけじゃない
有名人の不倫「トンデモ言い訳」
“ゲスの極み乙武”なる言葉も生まれた乙武洋匡氏(39)の不倫騒動。HPに妻と連名で謝罪文を掲載して“炎上”。2月に20年不倫を暴露された桂文枝師匠はとにかく家族に平謝り。
発覚時の対応次第で、「その後」は大きく左右される。著名人のコメントから、失敗・成功のポイントを、識者とともに見ていこう。
3月末、晴れて梨園の妻となった藤原紀香の元夫・陣内智則(42)も、2009年、離婚会見で話した。
「私の未熟さ、心の弱さ、家庭を持つという責任を果たせず、浮気をしてしまった。全ては僕の責任です」
と“平謝り系”。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは、「紀香を守ったところは偉い」と高評価だ。
3月には、米米クラブの石井竜也(56)とファンとの「東北被災地不倫」も。「自分自身に深く失望しております。なくした勇気と自信を、もう一度取り戻す」。
「曲をつくるだけあって言葉のチョイスがうまい」と上智大学の碓井広義教授(メディア論)は指摘する。
見事な麗句と対応の素早さも奏功したが、よその不倫騒動で沈静化。乙武がいるだけで石井の心が強くなったかどうか。
自身の不始末を、妻も登場させて沈静化を目論む「妻が尻拭い」系も多い。
11年、ホステスとの議員宿舎不倫が報じられた後藤田正純衆院議員に代わり、「私が至らなかったので、夫に不始末をさせてしまいました」と支援者に謝ってまわったのは妻の水野真紀(46)。夫であるクリントン大統領(当時)の浮気を、ヒラリー・クリントン氏(68)は「右派の陰謀」と言いきってかばった。
深夜の“現場”を写真誌に報じられた布袋寅泰(54)も、妻によりかかる。「(今井)美樹ちゃんは今回の報道に関しても笑って許してくれました」
だが、いつも妻に頼って事が収まるとは限らない。育休不倫の宮崎謙介前衆院議員(35)は、妻の金子恵美衆院議員(38)に「恥をかいてきなさい」と会見に送り出され、過去にも女性を「傷つけた」とぽろり。しっかり恥をかいた。
「妻の言葉足らずだったかも。あなたは恥をかいてきて、でも私と有権者は傷つけないでとしっかり言えばよかったのに」と岡野さん。
碓井教授も「金子さんの“よくできた妻”ぶりが強調され、保身も見え隠れする」と夫妻ともに斬る。
かつては峰竜太の不倫会見に同席した海老名美どり、川崎麻世の会見でにらみを利かせたカイヤなど、安易な妻頼みがその後、収拾不能の事態に発展する場合もあるので注意したい。
夫妻連携が成功したモデルケースは、浜田雅功(52)と小川菜摘(53)だ。不倫発覚後のコメントで、「羽を伸ばし過ぎ、その羽は、家族にへし折られました」という浜田に併せ、小川が「伸ばし過ぎた羽根を、家族にバキバキに折られ、その羽根をそっと畳み、意気消沈ゴリラになっています」とブログでコメントした。
「夫婦漫才としても素晴らしい作品。家の様子が目に浮かぶリアリティーもある」と碓井教授は絶賛。
岡野さんも「夫婦はいつまでも男女ではいられないが、よき同志になれると教えてくれる」。
疑惑自体を否定する、という方策はどうか。至近な例は今年の不倫暴露合戦の火つけ役ともいえる“ゲス不倫”のベッキー(32)。
「お付き合いということはなく、友人関係であることは間違いありません」
その後、さらなるLINE画面の流出で火だるまとなったのは周知の通り。古くは1989年、神楽坂芸妓とのスキャンダルが首相辞任の遠因になった宇野宗佑元首相のように、最後は「明鏡止水の心境であります」と一切の思慮を捨てるという手もあるが、火消しの好例とはいえないだろう。
不倫騒動では炎上・鎮火にキャラも大きく貢献する。会社員との不倫が露見し、「酔ってお城だと思って(ラブホテルに)入っちゃった」と話した杉田かおる(51)に、思わず噴き出した人は少なくないはずだ。
「嘘に聞こえないし、本人のイメージが下がらなかった」と碓井教授。
実はこの「開き直り型」、けっこう多い。
矢口真里(33)は騒動直後に「一緒に住んでます」と発言し、炎上した。だが、なかには、後世に残る“名言”も。森本レオ(73)は年下女性との関係を「異文化交流みたいなもん」と豪語し、元祖トレンディー俳優、石田純一(62)は「文化や芸術といったものが不倫から生まれることもある」と発言し、大バッシングされたものの、20年の時を経て、「言葉の意味が深い。哲学のよう」(岡野さん)。
「好きになったひとにたまたま家庭があったの」。現在の夫、糸井重里と交際中だった樋口可南子(57)のセリフだ。
古谷一行(72)はAV女優との情事を問われ、「関係を持ったという事実に対しては後悔していませんが、表沙汰になったことは後悔しています」。
潔さに芸能記者は虚を突かれた。現場を直撃された“セクスィー部長”沢村一樹(48)は最後に言った。
「いやもう、したでもいいですよ。バックでしました」
もうこうなると一回転して好感触か。よい子のみなさんはまねしないでね。
<炎上>
▼嘘をつく
▼自己中、自己防衛(相手への配慮がない)
▼無自覚が透けてみえたとき
<沈静>
●いろいろな意味で正直
●許せるキャラである(言動とリンク)
●よいパートナーに救われる
(碓井教授による)
(週刊朝日 2016年4月15日号)
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書評した本: 嵐山光三郎 『漂流怪人・きだみのる』
「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。
嵐山 光三郎 『漂流怪人・きだみのる』
小学館 1,728円
編集者として間近で見続けた
破天荒な不良老人の生涯
「きだみのる」は明治28年生まれの作家、翻訳家、社会学者である。本名の山田吉彦としてはファーブル『昆虫記』の翻訳で知られるが、きだといえば、やはり『気違い部落周游紀行』だろう。
戦時中、現在の八王子市西部にあった村落に疎開した際の、住人たちとの交流体験や見聞きしたエピソードなどをもとに書き上げた。日本人とその生活の原型が描かれ、考察されている。刊行は昭和23年で、ベストセラーとなった。
著者が雑誌『太陽』の編集者として、きだと関わり始めたのは28歳の時だ。連載のための取材旅行に同行するなど、生身のきだを知ることになる。
本書にはその頃きだが暮らしていた部屋の写真が掲載されている。床なのか畳なのかの判別もつかないほど、視界いっぱいに散乱した雑誌、本、原稿、そしてゴミ。その真ん中で、きだが腹這いになって原稿を書いている。きだは旅館でも、他人の家でも、自分がいる場所をすぐゴミ屋敷にしてしまうのだ。
きだの性癖はそれだけではない。世間の常識には従わず、本能で生きている。金銭にうるさい。さらに「フランス趣味と知識人への嫌悪。反国家、反警察、反左翼、反文壇で女好き。果てることのない食い意地。人間のさまざまな欲望がからみあった冒険者」である。
これは面倒な人だ。著者は強烈な魅力を感じながらも、冷静に観察していく。
定住を好まず、全国を歩き回ったきだだが、著者が出会った時、一人ではなかった。謎の少女・ミミくんがいた。小学生のはずだが、学校には行っていない。頭がよく、しっかりしているが、通常のしつけはできていない。ユニークな言動の女の子と、きだとの関係は、後に三好京三の直木賞受賞作『子育てごっこ』とからめて明かされることになる。
これまで不良中年、不良定年などにスポットを当ててきた著者。本書は破天荒な不良老人、いや漂流怪人の実相に迫る一代記である。
(週刊新潮 2016年4月7日号)
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朝ドラ『とと姉ちゃん』の舞台は、なぜ浜松なのか!?
『とと姉ちゃん』第1週
NHK連続テレビ小説(以下、朝ドラ)の“実録路線”が続いています。明治の女性実業家・広岡浅子をモデルとしていた『あさが来た』に続き、4月4日からは『暮しの手帖』を創刊した大橋鎭子(しずこ)がモデルといわれる『とと姉ちゃん』が始まりました。
第1週で描かれたのは、ヒロインである小橋常子の“幼少時代”です。背景となるのは昭和のヒトケタの時代で、小学生の常子は、両親(西島秀俊・木村多江)や2人の妹と共に何不自由なく暮らしています。しかし、父が結核で亡くなったため、自分が“父親代わり”を務めることを決意し、家族に宣言するという流れでした。まさに“とと姉ちゃん”の誕生です。
このドラマへの“呼び込み”となる第1週ですが、西島さん、木村さん、3人の子役たち、そして常子の叔父役の向井理さんと、メンバーはそれなりに揃っているのに、なぜかあまり盛り上がりませんでした。「日常を描く」と言えば聞こえはいいのですが、要するにエピソードが何とも平板でつまらない。
それでいて、やけに先を急いでいるみたいで、少女時代の常子にも、西島さんが演じる父親・竹蔵にも、視聴者が感情移入しているヒマもなく、2人はわずか1週間で画面から消えてしまいました。仲のいい家族から、さっさと愛すべき父親を消し去ることを目指したような印象です。
まあ、できるだけ早めに、主演の高畑充希さんをドラマの中心に置きたかったのかもしれません。であるなら、高畑さんの登場以降、このドラマが劇的に面白くなることを祈ります。
浜松は“ご当地”か?
さて、スタートから視聴していて、ずっと気になるというか、ちょっとした疑問がありました。それは物語の舞台が、静岡県の浜松になっていることです。
亡くなった常子の父(西島)は浜松の染物工場の営業部長でしたし、常子や妹も浜松の小学校(あまり描かれませんでしたが)に通っていました。第1週を見ていて、「ああ、大橋鎭子さんは、浜松の生まれ育ちなんだ」と思った視聴者は多いのではないでしょうか。
しかし実際には、大橋鎭子さんは浜松の出身ではありません。育ってもいないし、住んだこともないのです。
大橋さんの自伝的エッセイ『「暮しの手帖」とわたし』によれば、生まれたのは東京の麹町、現在のJR線・市ヶ谷駅近くにあった病院でした。だから、出身地は東京です。
父親の武雄さんは、当時の府立一中(現在の日比谷高校)を経て、北海道帝国大学を出た人物です。帰京し、日本製麻株式会社に入社すると結婚し、長女である鎭子さんが誕生しました。
2年後には、妻と幼い娘を伴って、北海道に工場長として赴任。大橋さんが最初に通った小学校も北海道です。
北海道での子供時代について、大橋さんは自分のことを、野原で一日中遊ぶ「グループの大将、ガキ大将」だったと言い、「そのころの私の無鉄砲さというか怖いもの知らずが、決心したら何としてでも実行するという、私の性格の土台になっているのかもしれません」と回想しています。つまり、北海道の風土とそこでの生活が、大橋さんの人生に大きな影響を与えたことが分かります。
やがて武雄さんが結核を患い、会社を辞めて東京に戻ることになります。療養が主な目的でした。
大橋さんは、牛込第一小学校へ。話すと北海道弁が混じるので笑われたり、勉強も遅れていて、学校に行くのが嫌だったそうです。
その後、武雄さんの入院先が変わるのに伴って、一家は鎌倉や東京で暮らしました。大橋さんは3年生で編入した大井第一小学校を卒業し、東京府立第六高等女学校(現在の都立三田高校)へと進学します。「私にとって、ここ(第六高女)は『心のふるさと』『育ての親』でした」と、母校への想いを綴っています。
というわけで、今回のドラマのヒロインが少女時代を過ごした浜松は、「架空の人物・小橋常子」の故郷かもしれませんが、「『暮しの手帖』の大橋鎭子」とは縁もゆかりもありません。
いや、もちろん、これがドラマ、つまりフィクションであることは重々承知です。ただ、『暮しの手帖』という実在の雑誌や、大橋鎭子という実在の人物にからめた“告知”が行われ、視聴者の関心を集めていたので、違和感を持ったのだと思います。
モデルとモチーフ
そういえば、制作側は大橋鎭子が「モデル」だとは言っていないんですね。脚本の西田征史さんも番組サイトのインタビューで、「モチーフ」にした、という言い方をしています。モチーフ?
モチーフとは、何かを表現するときの動機やきっかけ、着想のことです。大橋鎭子はモデルではなく、着想を与えてくれた存在にすぎない、ということでしょうか。
だから、本来なら「北海道・東京」が“ご当地”であるべきところを、「静岡・東京」としている。「どうしたもんじゃろのう~」という、“流行希望”のセリフも遠州弁になっています。北海道弁なら、どう言っていたんだろう。
同じ朝ドラでも、『まれ』のようにまったくの架空の人物なら、能登でも横浜でも、好きなように舞台設定すればいいでしょう。
モチーフとは言うものの、朝ドラ『とと姉ちゃん』にとって、大橋鎭子はモデルに近い扱いをしている実在の人物です。「どこで生まれ、どう育ったか」という人格形成に関わる事実を完全に無視した作りは、何とも不思議な感じがします。しかも、ヒロインが進む女学校も浜松になるようで、第六高女を誇りにしていた大橋さんが泉下で寂しがりそうです。
たとえば、『あさが来た』のヒロイン・白岡あさは、ドラマの中で京都の豪商の家に生まれ、大阪有数の両替屋に嫁ぎました。これは実在の広岡浅子と重なります。『花子とアン』の“ご当地”も、翻訳家・村岡花子の実際の故郷である山梨と東京でした。
今回、なぜ北海道を避けたのか、静岡が出てきたのか、イマイチよく分からない。これが、モデルとモチーフの扱い方の違いなのでしょうか。
背景には、全国各地で盛んになっている、朝ドラや大河ドラマの“誘致”合戦があるのかもしれません。ただ、“ご当地”としての浜松が、このドラマを観光事業に活用するとしても、そこにあるのは「大橋鎭子ゆかりの場所」ならぬ、「ロケ場所」でしかない。まあ、それはそれで、いわゆる「聖地巡礼」的な意味合いはあるかと思いますが。
再確認すると、この朝ドラにおいて、『暮しの手帖』も、大橋鎭子も、いわゆるモデルではなく、あくまでもモチーフである、と。だから、ヒロインの生まれ育った場所や環境も、大橋さん本人とは無関係に設定して構わない、という姿勢ですね。でも、それでいいのかなあ・・・。
前述した、大橋さんの自伝的エッセイの中に、こんなエピソードがありました。父・武雄さんの葬儀の際、小学5年生だった大橋さんが「喪主」を務めたというのです。
「母はあえて一歩引き、長女である私を前面に立てたのでした。たいへんでしたが、やりとげました。挨拶もしました。私が度胸のある人間になれたのは、小学生の頃から私を認め、立ててくれた母のおかげだと思います」
ドラマでは、先週金曜(登場から5日目)に、父親が亡くなりました。しかし、喪主どころか、葬儀のシーンさえ、ありませんでした。父が娘に遺言のような言葉を伝えたかと思ったら、「三日後、竹蔵は息を引き取りました」というナレーションが入って終わりです。
余韻を残す最期という狙いだったのかもしれませんが、“小学5年生の喪主”は、ヒロインの「これから」を象徴するエピソードだと思うのです。モッタイナイなあ、と感じるのは私だけでしょうか。モデルだとか、モチーフだとかに関わらず、秀逸な実話を取り入れなかったことは残念でした。
ドラマの成否は、脚本にかかっています。もしも『とと姉ちゃん』が、モチーフとする実在の人物や、その実人生をあまり大切にしないドラマだとするなら(だったらモチーフなど立てるな、と言いたくなりますが)、ストーリーに、エピソードに、もっと想像力を発揮していただきたい。今後、起伏に富んだ物語が展開されることを期待します。
個人的には、『暮しの手帖』を『暮しの手帖』たらしめた伝説の編集者、花森安治がどう描かれるのか、大いに興味があります。たとえモチーフであっても。
(Yahoo!ニュース個人 2016.04.10)
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【気まぐれ写真館】 郊外 2016.04.11
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フジテレビの月9「ラヴソング」が始まった
11日から始まった、フジテレビの月9「ラヴソング」。
初回、思っていたよりは(笑)、よかったです。
福山雅治、さすがの安定感でした。
藤原さくら、設定の仕方が凝っていました。
恋愛と音楽のバランスは、まだ不明です。
そのあたりが上手くいけば、今回の月9、イケるかもしれませんね。
また、あらためて書きます。
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NEWSポストセブンで、今期の「不倫ドラマ」多発について解説
テレビ朝日『不機嫌な果実』の栗山千明、市原隼人
4月開始不倫ドラマ増加
不倫騒動続く中で脚本が成否のカギ
この4月から始まる新ドラマには、なぜか不倫モノが多い。栗山千明(31)主演『不機嫌な果実』(テレビ朝日系、4月29日~)、前田敦子(24)主演『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系、4月20日~)、伊藤英明主演の『僕のヤバい妻』(フジテレビ系、4月19日~)。各局の足並みが揃ったのは、偶然か、それとも最近の芸能ニュースを賑わせた数々の不倫騒動を受けてのものか。
元テレビプロデューサーで上智大学教授(メディア論)の碓井広義さんはこう述べる。
「ドラマの準備には通常半年から1年かかるものなので、時期的にも今年の騒動が直接関係あるとは考えにくいところですが、実はこのように同じジャンルが重なるのはテレビ業界ではよくあることです。特に重なりやすいのが、刑事ドラマ、医療ドラマ、恋愛ドラマ。そのうちのひとつ、恋愛ドラマは、月9の低調にも現れているように、このところ王道路線が苦戦しています。各局が王道以外の恋愛ドラマで何かないかと考えている中で、『そろそろ不倫モノをやろうか』と思惑が重なったのかもしれません」(碓井さん・以下「」内同)
重なったのが偶然にせよ必然にせよ、やるからにはそれなりの勝算があるということだろう。キャストも意外性のある女優がそろった。前出の栗山千明、前田敦子、そして『僕のヤバい妻』での相武紗季(30)と、不倫ドラマには似つかわしくないイメージの女優ばかりだ。
「不倫しそうにない人が不倫にはまっていく姿は面白いと思いますが、その反面、リアリティーに欠けてしまう恐れもあります。特に前田敦子さんの場合は、恋愛モノというだけでもチャレンジングな印象があるのに、不倫モノというのは階段を飛び越えているという感じがします。この起用が吉と出るか凶と出るかは、蓋を開けてみないとわからないところです。
栗山千明さんの『不機嫌な果実』は、金曜の午後11時台というセクシーな演出も盛り込める時間帯です。ここで中途半端なことをやってしまうと、視聴者はがっかりしてしまいます。セクシー系の橋本マナミさんも出演しますが、栗山さん自身がどこまで見せるかがカギを握るでしょう。
相武紗季さんは女優として今ひとつ抜けてこないですし、伊藤英明さんとの組み合わせもインパクトが弱いので難しいところだと思います。ただ、転換期を迎えている彼女としては勝負どころでもあり、不倫ドラマで新境地を開拓するチャンスともいえます」
どこまで体当たりで挑めるか。彼女たちがひときわ注目されることは間違いないが、ドラマの成否はキャストだけで決まるものではない。重要なのはやはり脚本だ。
「連日の不倫報道に辟易している視聴者に『ドラマの世界でも不倫か』と思われる可能性もあるので、いくら不倫ドラマとはいえ、ドラマとして押さえるべきところがしっかり押さえられているかが明暗を分けると思います。興味関心の持てるストーリーか。登場人物に共感できるか。“読後感”はよいか。不倫を美化しすぎてもいけないし、後味が悪いのもよくありません。
今はほとんどの人がスマホを持つようになって、男女が出会いやすい世の中に変わってきています。不倫というのが、乗ろうと思えば乗れるバスになってしまった。そうした現実をふまえつつ、『こんなの私の周りにもいるよ』、『勝手にやっていれば?』と女性視聴者に思われずに現実を越えていく脚本でなければ、ヒットは難しいと思います」
有名人の不倫騒動がフィクションの遥か先を行ってしまっている中、どういった見せ方をするか。各局の“不倫モノバトル”の行く末やいかに。
(NEWSポストセブン 2016.04.12)
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【気まぐれ写真館】 春も新校舎建設進む 2016.04.13
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朝ドラ「とと姉ちゃん」は今後の脚本次第
日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。
今週は、NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」について書きました。
NHK「とと姉ちゃん」
実にモッタイナイ
先週からNHK朝ドラ「とと姉ちゃん」が始まった。とはいえ、「あさが来た」の波瑠(24)からバトンタッチした高畑充希(24)の登場は、今週からだ。第1週はヒロインの幼少時代を扱う、いわばイントロ編だった。
最初からやけに“しっかり者”の小学生である主人公・常子より、家でも丁寧語を使う生真面目な父・竹蔵(西島秀俊)のほうが話題になった。それはそれで結構だが、正直言って、描かれるエピソードが陳腐でありきたりなことに落胆した。
たとえば、父が取引先から預かった巨匠の絵画。幼い妹が汚して大騒ぎになるが、結局は贋作だとわかる。また、結核を患い、死期が迫った父を励まそうと、常子が散ってしまった桜の花を布で再現してみせる。「これって泣けるでしょ」といわんばかりの話で、見る側はその“いかにも”な展開に苦笑いするばかりだ。
しかも、せっかく好演している西島を、わずか1週間で消してしまった。家族を残して逝く父親や小学生のヒロインに、視聴者が感情移入するヒマさえ与えなかったのだ。実にモッタイナイ。
そして主演女優・高畑充希の出番となる。「問題のあるレストラン」や「東京センチメンタル」など、クセのある脇役ならピカイチの個性派だが、朝ドラが求める「明るく元気で前向き」なヒロインが似合うのかどうか。これも脚本次第だ。
(日刊ゲンダイ 2016.04.13)
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週刊プレイボーイで、「犯罪報道とオタク」についてコメント
「犯人は○○オタクでした」の30年史!
「女子高生アニメに熱中…寺内容疑者の素顔同級生語る」
こんな見出しの記事が、3月29日付けの『日刊スポーツ』に掲載された。女子中学生を誘拐し、2年半に渡って監禁した容疑で逮捕された寺内樺風(かぶ)容疑者(23)について、高校時代の友人に取材して得た情報をもとに書かれた記事だ。
この「女子高生アニメ」とは、2005年に深夜帯で放送された『涼宮ハルヒの憂鬱』のこと。事件との因果関係は見あたらないが、あたかもこのアニメが「犯行の原因」とさえ取られてもおかしくない見出しだ。
過去にも、異常犯罪が起こった際にマンガやアニメ、ゲームといった〝オタク文化〟と犯人を結びつける報道は何度もあった。今回は、その歴史を辿ってみたい。
〝萌え〟でオタク犯罪の報道が増加?
メディア論が専門の上智大学の碓井広義教授は、オタクと犯罪を結び付ける報道について、こう分析する。
「世間の人々にとっては、犯人像がわからないことが一番、不気味で怖いことなんです。『異常な趣味を持っている人間だから異常な犯罪をしたんだ』と納得したい。そんな読者の欲求に応えて、メディアはこんな報道をするんでしょう。
特に、オタク・サブカル系の趣味趣向は、非常に使い勝手のいいネタになる。今回の事件に関しても、『かわいい女の子が出てくるアニメが好きだったから、かわいい女の子を誘拐した』と書けば、納得しやすいじゃないですか。加えて、具体的なタイトルや、特殊な設定を記事に盛り込めるオタク系コンテンツは、メディアにとって大変都合がいいはずです」(碓井氏)
こうした「オタクによる犯罪」でまず思い浮かぶのは、88年に起こった「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件」だ。犯人の宮崎勤が、特撮やアニメのビデオを所有していたことから、メディアは彼の趣味趣向をクローズアップし、「オタク」という言葉を広めた。
ただ、異常犯罪に詳しい評論家の唐沢俊一氏は、「オタク文化に限らず、フィクションと犯罪を結びつける風潮は昔からあった」と指摘する。
「19世紀のアメリカで『アンクル・トムの小屋』という小説が出版されました。この作品には、黒人が白人に拷問を受けるというシーンがあるのですが、それに影響された白人が実際に黒人に暴力を働く、という事件が多発しました。また、1950年代には、コミックから暴力やセックスシーンを排除しようという運動もアメリカでは起きています。私はフィクションと犯罪に明確な関連性はないと考えているのですが、いまだにどこの国でも『小説やコミックが悪影響を与えている』という声は根強いです」
確かに日本でも、68年に連載開始された永井豪氏のマンガ『ハレンチ学園』が、「有害コミック」だとして非難された。宮崎事件の前から、アニメやマンガは槍玉に挙げられやすかったのだ。
しかし、特に犯罪報道でオタク文化が関連付けられることが増えたのは、2000年頃からだと唐沢氏は言う。
「その頃から『萌え』という言葉がメディアに登場しました。特に『萌えアニメ』や『萌えゲーム』とされたものの多くが、未成年の少女との恋愛やセックスを描いたものであったことから、『萌え』、ひいてはオタク文化が異常な性と結びついて語られるようになった。そうしたイメージから、特に少女を対象にした性犯罪が起きた際、『犯人は◯◯オタク』式の報道がされやすくなったんです」
「萌え~」という言葉は、05年の流行語大賞にも選ばれている。皮肉にもオタク文化が世間に認知されるに従って、事件報道でも「オタク」という単語が頻出するようになったのだ。
憂慮すべきは海外での報道
朝日新聞でアニメやマンガに関する記事を手がける小原篤記者は、メディアにおけるオタク文化の扱いの変化を語る。
「オタク文化に対するメディアの空気が変わったのは、97年です。その年、宮駿監督のアニメ映画『もののけ姫』がベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞し、『新世紀エヴァンゲリオン』の劇場版第一作も公開された。一方、テレビアニメ『ポケットモンスター』を見ていた子どもたちが次々と発作を起こし、〝ポケモンショック〟と騒がれるなど、よくも悪くもアニメというものの存在感が増しました。これによって『オタク文化は社会的影響力を持ちうる』ことに大手メディアも気づき、以後、朝日新聞など各紙でオタク文化を紹介するような連載も始まりました。
10年代からはアニメやコミックの舞台になった地をファンが訪れる〝聖地巡礼〟や、作品とタイアップした町おこしの活動がクローズアップされるなど、経済面でアニメなどが取り上げられる機会が増えたこともあってか、オタクへの偏見は小さくなり、作品と犯罪を安易に結びつける報道はさすがに減ったように感じます。
私が今、憂慮しているのは、海外メディアの動向です。日本のオタク文化をネガティブにとらえた報道が相次いでいるようです。昨年も、シリア難民を揶揄した日本のマンガ家のイラストが各国のメディアで非難を浴びました。それ自体は非難されてもおかしくない作品でしたが、英BBCなどの海外メディアの騒ぎ方を見ていると、その根底に『オタク文化への偏見もあるのではないか』心配させられます」(小原氏)
海外では、“日本のマンガやアニメ=暴力とセックス“という偏見も根強いという。もし今後、オタク趣味を持つ日本人が海外で犯罪を犯したら……。「Mangaに影響されたOtakuが犯行」と、世界中で報道されてもおかしくない。
(週刊プレイボーイ 2016.04.25号)
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週刊新潮で、「とと姉ちゃん」高畑充希についてコメント
芸達者高畑充希が背負う
「視聴率23・5%」
“びっくりぽん!”が終わって、決め台詞は“どうしたもんじゃろのう”に。
4月4日よりスタートしたNHKの朝ドラ第94作『とと姉ちゃん』である。
前作『あさが来た』が平均視聴率23・5%と今世紀トップのヒットとなっただけに、新ヒロインの高畑充希(24)のプレッシャーたるや相当なものだろうが、演劇評論家はいう。
「かつては新人女優の登竜門といわれた朝ドラですが、新人に見えた前作の波瑠だって、ドラマデビューから9年後。高畑の場合ミュージカルの主役でデビューし、ドラマ、舞台をこなし、CMでも歌っているように歌唱力、演技力は折り紙付き。しっかり演じきるでしょう」
だが、その実力が足を引っ張りかねないと懸念するのは上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)だ。
「波瑠の場合、演技力はまだまだこれからでしたから、視聴者も応援した。高畑は昨年放送された『問題のあるレストラン』(フジ系)や、現在放送中の『東京センチメンタル』(テレ東系)で、クセのある演技で存在感を見せつけている。そんな彼女が、朝ドラ特有のピュアで元気で健気な女性に見えるでしょうか。視聴者は本能的に、裏にありそうな何かを感じてしまうかも」
高畑が演じる主人公は、早世した父のかわりとなって妹たちと母を守り、後に「暮しの手帖」を創刊する大橋鎭子(しずこ)がモデルだ。
「『花子とアン』で仲間由紀恵が演じて話題となった白蓮事件のようなドロドロ感もいれにくい」(同)
どうしたもんじゃろのう。
(週刊新潮 2016年4月14日号)
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【気まぐれ写真館】 ハナミズキ 2016.04.16
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書評した本: 本城雅人 『ミッドナイト・ジャーナル』ほか
「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。
本城雅人 『ミッドナイト・ジャーナル』
講談社 1728円
野球がテーマのミステリーで知られる著者が、新聞界を舞台に挑んだ社会派サスペンス。さいたま支局の記者・関口豪太郎は、発生した児童連続誘拐事件と7年前の悲惨な事件との類似性に気づいた。社内外で軋轢を生みながらも、“チーム関口”は真相へと迫る。
株式会社タミヤ:編
『田宮模型全仕事[増補版]1~ミリタリーモデルズ』
文藝春秋 3510円
昭和21年の創業から70年、田宮模型が生み出してきた傑作を網羅するシリーズだ。全3巻のトップは700余の戦車群。ドイツ重戦車タイガー、アメリカ中戦車シャーマンなど完成度の高さは世界レベルだ。現役はもちろん、元プラモ少年への嬉しい贈り物である。
三好由紀彦 『哲学のメガネ』
河出書房新社 1620円
世の常識や、当たり前と思われていることを、「哲学」を通じて捉え直してみる。すると街中の赤信号や、電車内の老人と高校生など、日常的な光景がまったく違う側面を見せ始める。いや、時には真逆の世界観を提示してくれるのだ。「生きていること」の意味さえも。
(週刊新潮 2016年4月14日号)
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ネットテレビ局「AbemaTV」の勝算は!?
発売中のオリコン「コンフィデンス」誌で、「AbemaTV」についてコメントしています。
国内映像配信市場で放送型が増加
競争が激化している映像配信サービス市場。昨年、満を持して日本に上陸したNetflixをはじめ、一気に月額見放題型サービスに注目が集まり「動画配信元年」とも呼ばれているが、本年に入り新たな動きが目立ち始めている。それが“生放送”および“ライブ配信”サービスだ。
■4月11日にインターネットテレビ局「AbemaTV」本格開局
もっとも顕著な動きを見せているのが、テレビ朝日とサイバーエージェントが共同出資し設立したAbemaTVによるインターネットテレビ局「AbemaTV」だ。
同サービスは4月11日12時をもって本格開局した新サービス。特長は昨今、活況を呈している定額制見放題型サービスとは一線を画した“放送型メディア”である点だ。
11日に開催した記者会見に登壇した早河洋テレビ朝日代表取締役会長兼CEOが、「AbemaTVに約30名を出向させているが、すべての作業は藤田社長の指示に従えと厳命している」と明かしたように、番組制作にはテレビ朝日の技術を活かしつつも、コンテンツの内容からインターフェイスに至るまでネット側のノウハウを軸に構築されたサービスともいえるだろう。
AbemaTV代表取締役社長の藤田晋氏は「動画配信は“受け身メディア”のほうがいい」と説明。また、「すべて無料」「24時間編成」「多彩なラインアップ」「高品質な映像とデザイン」の4点をポイントとして挙げ、「惰性で開くインターネットサービスの代表はニュースアプリ。AbemaTVも1チャンネル目は“24時間ニュース”。2チャンネル目を“生放送”にした。若年層を中心に、ユーザーの視聴習慣を変えたい」とアピールしている。
上智大学文学部新聞学科教授の碓井広義氏は新たなにスタートしたAbemaTVについて、「“ネットテレビ局”と謳ってはいるが、結局のところリアルタイム視聴を強いるサービスであり、これを受け入れてもらうには、コンテンツに対する相当な工夫が必要」と解説。
その点において、「渋谷のスクランブル交差点をただ中継し続けているようなライブ配信は“何が起きるんだろう”という不思議な期待感があり、若い人たちに面白がってもらえるかもしれない」と可能性を示唆する。
■「dTV」も新ジャンル“ニュース”を追加
一方で、月額定額制の映像配信サービスにおいても同様の動きが見られる。
以前より音楽ライブの生配信にも積極的に取り組んでいた動画配信サービス「dTV」は4月4日より、フジテレビジョンのマルチデバイスに対応したニュースメディア「ホウドウキョク」と事業提携し、同メディアのニュース映像の提供を受けて、新ジャンル“ニュース”を開始している。
今後は、毎日約40本程度の政治・経済・社会・国際問題などのニュース映像を配信。“ニュース”を選択すると、各ニュースの見出しがモーションタイポグラフィーで次々と自動再生されるサービスとなる。気になるニュースは画面をタップすると詳細をまとめた約1分間のニュース映像を視聴できる。
こうした音楽ライブの生配信や、ニュース配信は他の月額定額制サービスではほぼ見られず、dTVの強みの1つになりつつある。
ここにきて即時性・速報性を打ち出したサービスが目立ち始めた日本の動画配信市場。海外では映画やドラマ、ドキュメンタリーなどのアーカイブを多数取り揃えるNetflixが規模を拡大させているが、日本においては、どのようなサービスが勝ち残っていくのか、どこにブレークスルーがあるのか、いまだ判然としない。
ただし、昨今の各社の動きを見ると、今後は“ニュース配信”や“ライブ配信”がそのカギの1つになっていきそうだ。
(コンフィデンス 16年4月11日号/4月18日号掲載)
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歌って踊る!?「とと姉ちゃん」
日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。
今回は、高畑充希さんの「かんぽ生命」CMについて書きました。
かんぽ生命「それは人生、わたしの人生」編
人生夢だらけ
「詞」胸に響く
画面いっぱいにミュージカルのステージが広がっている。郵便ポストや桜の木のネオンサイン。電飾を施された階段。歌いながら宙を舞うのは女優の高畑充希さんだ。本CMでは、16歳でミュージカル「ピーターパン」の主役を務めた高畑さんの実力が存分に生かされている。
また椎名林檎さんによる楽曲がいい。特に最後で歌い上げる「この人生は夢だらけ」の詞が胸に響く。年齢を重ねると、人生も夢だらけとは限らないからだ。人生は敵だらけだったり、罠だらけだったり、傷だらけの時もある。いや、人生は謎だらけというのが実感だ。
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」が始まり、高畑さんの人生も大勝負を迎えている。「問題のあるレストラン」や「東京センチメンタル」といったドラマで演じた、ちょっと暗めの“ワケあり女子”は絶品だった。そんな高畑さんが挑む、明るく元気で前向きなヒロイン。CM同様、心して拝見しようじゃないの。
(日経MJ 2016.04.18)
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黒木華の連ドラ初主演「重版出来!」は、いい出来!
日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。
今週は、TBS「重版出来!」について書きました。
TBS系「重版出来!」
クセ者たちの波状攻撃を受けて立ち、
きっちりと返している
黒木華の連ドラ初主演となる「重版出来!」。タイトルは「じゅうはんしゅったい」と読む。重版は本など出版物の増刷のこと。
増刷になれば、いわばお札を印刷するようなもので、出版社が儲けるのはそこからだと言われている。また重版出来は多くの読者を獲得した証しであり、著者や版元の達成感も大きい。
主人公はコミック誌の新米編集者・黒沢心(黒木)だ。柔道の日本代表候補だったバリバリの体育会系女子。頑健、元気、明るさ、さらに勝負勘も武器になる。先週の初回では大御所漫画家(小日向文世)の引退危機を、持ち前の鋭い観察眼で救っていた。
映画「小さいおうち」や大河ドラマ「真田丸」での“和風でおっとり”とは大きく異なるキャラクターのヒロインだが、黒木はコメディエンヌとしての才能も発揮しながら生き生きと演じている。
また脇を固める編集部の面々が豪華だ。指導係の先輩がオダギリジョー、編集長は松重豊、編集部員として安田顕や荒川良々、そして社長は高田純次だ。
これらクセ者たちが繰り出す芝居の波状攻撃を、黒木は一人で受けて立ち、きっちりと技を返している。とても連ドラ初主演とは思えない。
漫画家の世界やコミック誌の現場を垣間見せてくれる“お仕事ドラマ”として、また20代女性の“成長物語”として、先が楽しみな1本だ。
(日刊ゲンダイ 2016.04.19)
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4月21日は、「民放の日」
ニッポン放送のスタジオで
1951年4月21日、全国各地のラジオ16社が、民放初の予備免許を取得しました。
これを記念したのが「民放の日」です。
この年の9月1日には、名古屋の中部日本放送(現在のCBCラジオ)と大阪の新日本放送(現在の毎日放送)が、本放送を開始しました。
65年を経て、現在はラジコを通じて、全国各地のラジオ放送をリアルタイムで聴くことができます。
信州で過ごした中学生時代、深夜、苦労してチューニングしながら、TBSやニッポン放送、さらに大阪のMBS(毎日放送)などのラジオ番組を聴いていたのが懐かしい。
ともあれ、本日、日本の民放ラジオは65歳になったわけですね。
誕生日、おめでとう!
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書評した本: 『中高年がキレる理由(わけ)』ほか
「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。
榎本博明 『中高年がキレる理由(わけ)』
平凡社新書 821円
往来で自分にぶつかってくる“歩きスマホ”の男。その手の中にあるスマホを叩き落としたくなること、ありませんか? 私はあります。しないけど。
最近、キレる中高年の姿を目撃するのは珍しいことではない。人身事故で電車が不通となったホームで駅員を罵倒する40代。金融機関の窓口や病院の待合室で、待たされたと大騒ぎする50代。現代ほど中高年がキレやすい時代はない。
心理学者である著者は、中高年が衝動的な行動に走りがちな理由として、「人生の折り返し点」を迎えたことを挙げる。仕事や家庭をめぐる「これでよかったのか」という不安。「何とかしなければ」という焦り。時間もお金も能力も、常に足りていないような憤り。さらに、他人からバカにされるのではないか、軽くみられるのではないかという「見下され不安」も、中高年心理の特徴だという。
溜め込んだストレス、負のエネルギーが突然噴出するのが中高年のキレ方だとして、どうすべきなのか。まずは本書を通じて敵の正体、つまり衝動と不安のもつ意味を知ることだろう。
その上で著者のアドバイスは、「役割に徹する」。自分という個人ではなく、役割として対処すること。また、「許せない!」とキレたりしないよう、「価値観の棚上げ」をする。相手が同じ土俵にいると思えば腹が立つ。ちょっと見方を変えてみるのだ。歩きスマホにキレないためにも。
小林玖仁男 『あの世へ逝く力』
幻冬舎 1188円
著者は懐石料理屋の主人。ある日、「間質性肺炎」と診断され、余命2年半の宣告を受ける。それ以来の心情や葛藤や本音をまとめたのが本書だ。命の終わりと向き合いながら、魂の模索を続ける日々。死の準備書としてだけでなく、生の指南書として参考になる。
佐藤正午 『小説家の四季』
岩波書店 2052円
昨年、『鳩の撃退法』で第6回山田風太郎賞を受賞した著者。デビュー当時と変わらず、今も故郷の佐世保で書き続けている。本書はこの10年の“生活と意見”を収めたエッセイ集だ。句読点をめぐる煩悶からサイン会という難事業まで、日常の中の冒険が語られる。
住吉史彦 『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
晶文社 1728円
震災や戦災で破壊された浅草が、なぜ今も賑わっているのか。また老舗の暖簾が続いているのはなぜなのか。すき焼き「ちんや」六代目が、昭和の浅草を生き抜いた人たちの話に耳を傾ける。江戸前鮨、どぜう鍋、洋食から演芸ホールまで。もてなしの文化がここにある。
中島らも 『中島らも短篇小説コレクション 美しい手』
ちくま文庫 950円
なぜこの作品が未発表だったのか。そう訝しんでしまう名作「美しい手」などを初収録したオリジナル編集。妖しいユーモアも、怪しいホラーも、すべてが“らもワールド”だ。六代目笑福亭松鶴がモデルといわれ、マキノ雅彦監督が映画化した「寝ずの番」も読める。
(週刊新潮 2016.04.21号)
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【気まぐれ写真館】 新学期も工事中 2016.04.22
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倉本聰「見る前に跳んだ 私の履歴書」で、倉本ドラマを解説
脚本家・倉本聰さんの新著、「見る前に跳んだ 私の履歴書」(日本経済新聞出版社)が出版されました。
今年1月に81歳となった倉本さんの自伝で、昨年、日経新聞で連載された「私の履歴書」が一冊になったものです。
連載時も読んでいましたが、こうしてまとまると、面白いだけではなく、貴重な証言になっています。
実は、倉本さんからご指名を受けて、この本の巻末に、10ページほどの「解説」を書かせていただきました。
題して、「倉本ドラマの魅力――『北の国から』を中心に」。
併せて読んでいただけたら、嬉しいです。
以下は、アマゾンに掲載されている、「見る前に跳んだ 私の履歴書」の内容紹介文です。
<内容紹介>
「北の国から」「前略おふくろ様」……これらは老若男女がお茶の間のテレビにかじりついたドラマ黄金期の著者の脚本になる作品である。脚本家の名を冠にしたテレビドラマが大衆の人気を博した世代、向田邦子、山田太一と並ぶ巨匠の自伝的エッセイが本書。
テレビ草創期の作り手が円熟期を迎え、良質のドラマが作られていた時代。とりわけ倉本氏はテレビに異議申し立てを行う作風で、ドラマになりにくい題材を人気ドラマに仕立ててきたことで知られる。そのドラマはどこから生まれたのか。現在のテレビへの思いまでほとばしる、とにかく熱い自伝である。
純と蛍の成長物語「北の国から」についての説明は不要だろう。「時代と寝る」作家が多い中で貫いた反骨精神は、生い立ちから現在の自然保護活動まで一貫している。
語られる数々の製作秘話や高倉健、八千草薫、ショーケン、田中邦衛から岩城滉一、桃井かおりまで深く関わった名優たちとの想い出、ゼロから切り開いた富良野での生活と若者たちとの芝居づくり……かつてのテレビに、日本人は何を見ていたのか、それが言葉になっていることがこの作品の最大の魅力である。
本書は二部構成。第一部は幼少期から修業時代、売れっ子作家の時代、北海道の大地に根を下ろし無名の人たちと共に迎えた円熟期、そして現在までを自身のドラマのように骨太な筆致で綴る自伝エッセイ。第二部が年譜形式で、テレビドラマ、映画、ラジオドラマ全脚本作品と作・演出を務めた演劇全舞台のキャスト・スタッフ・内容を網羅した50ページにも及ぶ放送・上演記録決定版。
テレビマンユニオン時代から倉本作品を熟知する碓井広義・上智大教授が同時代における作品解説を加え、冒頭に同時代の大物脚本家のエッセイも収録する予定。
(アマゾン 2016年4月)
・・・ちなみに、「同時代の大物脚本家のエッセイも」とありますが、これは山田太一さんです。
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