週刊朝日の特集記事「2016 お騒がせな人々」で解説しました。
そのパート2です。
年忘れワイド
2016 お騒がせな人々
円楽、宮崎元議員…
不倫で離婚しないのはもっともキツい制裁?
著名人の不倫が多々発覚した2016年。そのなかで報道陣を「さすが」とうならせたのは三遊亭円楽だ。
6月に一般女性との不倫が発覚、その後の囲み会見は独演会のようだった。
「軽率な行動」と全面的に不倫を認め、「身から出たさびだと妻に伝えると『さびも味になる』と言われた」と涙。報道陣から謎かけを頼まれると「今回の騒動とかけまして、今東京湾を出ていった船と解きます。その心は航海(後悔)の真っ最中」とキメた。
「いろんな意味の遊びが、落語という文化を支えている。師匠がその共通認識に上手に触れたので笑って終わることができた。地に足のついたしゃれっ気でうまかった」(上智大学の碓井広義教授[メディア論])
円楽は離婚もせずに仕事も順調。ところが、だ。12月になって、この3月に群馬の釈迦尊寺の住職の誘いを受けて「出家」していたことが判明。僧名は「楽峰圓生(らくほうえんしょう)」で、大名跡、三遊亭円生の名を「襲名」した。師匠は取材に対し「(出家は)邪魔にならない。出家後の変化はない」と答えたが、不倫発覚は出家後の6月。出家は世俗を離れ修行の道に専念することを意味するはずだが、煩悩を捨て切れなかった?
歌舞伎界では、10月に八代目中村芝翫を襲名する直前の中村橋之助の不倫が発覚。相手は京都の人気芸妓・市さよで、妻の三田寛子と面識があり、浮気現場が三田との結婚披露宴会場のホテルだったから、さあ大変。「不徳の致すところ」と8回も繰り返した橋之助の謝罪会見の2日後、三田が雨の中、稽古場の前で「いま一度夫婦で立ち返ってよく考える時間を神様に与えていただいた」と柔和に対応。
「歌舞伎役者の浮気はまあ仕方ないという(世間の)思いに、梨園(りえん)の妻の見事なフォローが上乗せされて、これ以上つっこむのをやめようという感じになった」(碓井教授)
卑屈にならず、梨園の妻として本物感があった、というのだ。
一方で、こんな意見も。
「夫に浮気されたら、もうちょい感情ぶつけようよ(笑)。自分を主語にせず『主人が』と言える女でないと梨園では通用しないということがよくわかったわねー」(テレビウォッチャーの吉田潮さん)
とにもかくにも三田の神対応で修羅場を乗り越え、東京での襲名興行は無事に成功。同時に襲名した3人の息子は、父の不徳の“背中”はどうかまねしないでほしい。
政界でトップ・オブ・ゲスに君臨したのは前衆院議員の宮崎謙介氏。妻で衆院議員の金子恵美氏の出産を前に元グラビアアイドルと不倫をし、人間としての欲が勝ったと言い訳をした。宮崎氏は現在、都内で会社経営に携わっているとか。吉田さんは言う。
「離婚しないで針のむしろで生きるっていうのは、奥さんが制裁を与えるパターンでもっともキツく、なかなかいい(笑)。妊娠中に不倫された例ではゆうこりんこと小倉優子もいるけど、キャラとしてはプラスになる。ママタレ界は戦国時代、被害を被った方が支持されるから」
不倫の“豊作”とも言える今年。最後は、吉田さんに〆てもらおう。
「ネタに感謝。ありがとう、著名人!」
(週刊朝日 2016年12月30日号)